2012年 05月 23日
血まなこ噺
先日、自分がコレになった。仕事柄パソコン画面とにらめっこしているので、充血なんて年がら年中。でも今回私の左目は、「線」ではなく「面」として赤く染まった。
見た目(←文字通り)が派手なので、当人はもちろん、目を見た人たちはかなり動揺する。仕事を終えてから眼科に行くつもりでいたが、前の晩よりもさらに赤い面積が広がったように思えたので、つい子どもたちに見せびらかした。
「ひぃぃ!」
「ゲッ” 怖ッ!」
なにしろ白目が真っ赤なので、一瞬全体が黒っぽく見える。まるで呪怨のようである。
日頃母親がどんなに「疲れた」を連発しても、「オレも」「ワタシも」などと返すのみ。ちっともいたわってくれないのだが、今回ばかりは競うように言ってきた。
「仕事なんか休んで診てもらった方がいい!」
「奥さん、絶対医者に行って」
子どもたちを予想以上に心配させた。少し気が引けた。急遽仕事を休んで眼科に行くことにした。前にこの手の症状はさほど心配が要らないというのを聞いてはいたのだが。
はたして、診断は「心配なし」であった。
「年齢と共に─」と医師は言った。「毛細血管が脆くなってきますから、ふとした拍子に内出血してしまうことがあるんですね。急に重いものを持ったり、急に怒ったり、中にはクシャミしただけで目が真っ赤になる人もいます」
怒ることには慣れている。毎日のようにムスコに鍛えられている。どちらかと言えば、古新聞の束を一度に2つ持ち上げた、アレがいけなかったのか。
「こんなふうになったのは今回が初めてですか?」
「ハイ。生まれて初めて」
「一度なるとなりやすくなりますのでね、今後は頭をぶつけたりしないよう、いろいろ気をつけてください」
「あ、ハイ」
「今回は特にクスリは出ませんが、もしかして花粉症?」
「あ、ハイ」
「目の表面が少し荒れているから、アレルギーに効く点眼薬だけ出しておきましょう。それと、年齢的にも念のため、眼底出血がないかどうか調べておくのがいいですね。今日は車で来ましたか?」
「いえ、自転車です」
「車だったら眼底検査は次回にしますが、自転車ねぇ・・・検査のあと、目がだいぶ眩しくなるんだけど」
「大丈夫です!」何度も医者に行くのはごめんである。「 安全運転で帰りますから、今日検査してください!」
かくして受けた眼底検査の結果は、「今回は異常なし。近視が強いので年に一度は検査を受けるべし」であった。
外に出て、サングラスを持参して来なかった自分を毒づいた。
真っ白だぜ・・・
眩しい。これ以上瞼をおろしたら目を閉じるのと変わらないというくらい目を細めなければならなかった。超人相悪く自転車をこいだ。安全運転が聞いて呆れる。
家に着いて真っ先にしたことは、職場の同僚にメールすることであった。
「目から血が出るので、今後は互いの頭を叩くこと厳禁」
いつもトイレに立って自分の席に戻る時に、わざわざ遠回りして相手の席に寄ってはいちいち後頭部を襲撃していた。こんな注意事項を送りつけ合う中年女は、世界広しといえども我々くらいだろう。
また、母親の健康に無頓着だった子どもたちが、学校から帰るなり「奥さん、どうだった?」と口々に聞いてきた。心配というよりは、自分の母親の目が呪怨のままでは困るという感じが濃厚である。
「毛細血管が脆くなって内出血したらしい」
「え? それってやっぱ─」とムスコは言った。「齢のせいってこと?」
「いつも怒らすからでしょ! いいか、この目はオマエの作品だ!」
翌朝、職場で同僚がみんなに言うことには、
「仕事休んで眼科に行ったっていうから、てっきり結果を知らせるメールかと思ったら、目から血が出るから頭を叩くなだって。信じらんない」
爆笑された。
Commented
by
ビリーママ
at 2012-05-25 21:55
x
(^-^)(。_。)(^-^)(。_。)うんうん
ここへ来ると、思い当たることばっかり、
目の出血は日常茶飯事でございます。
でも一回目のときは、実にあせりましたよ。
私も仕事柄、きもい目を子供たちに見せられず
眼帯まで購入した始末です(使わなかったけど)
今では赤目になってもぜんぜん補正しませんことよ♪
でも、お大事になさってね。
ここへ来ると、思い当たることばっかり、
目の出血は日常茶飯事でございます。
でも一回目のときは、実にあせりましたよ。
私も仕事柄、きもい目を子供たちに見せられず
眼帯まで購入した始末です(使わなかったけど)
今では赤目になってもぜんぜん補正しませんことよ♪
でも、お大事になさってね。
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by
vitaminminc at 2012-05-27 07:03
❤ビリーママさま❤
おや、日常茶飯事とはまた出血大サービスな・・・!!
ワタクシもですね、出血は治まったのですが、充血のほうが
パワーアップしておりまして、結果的に常に赤いのです。
白眼が白眼でいられるのは、アレルギー目薬を
点してからわずか10分以内の奇跡となりました。
あの限りなく透明に近いホワイトだった、
若かりし頃の澄んだ白眼は何処に・・・(涙目)
おや、日常茶飯事とはまた出血大サービスな・・・!!
ワタクシもですね、出血は治まったのですが、充血のほうが
パワーアップしておりまして、結果的に常に赤いのです。
白眼が白眼でいられるのは、アレルギー目薬を
点してからわずか10分以内の奇跡となりました。
あの限りなく透明に近いホワイトだった、
若かりし頃の澄んだ白眼は何処に・・・(涙目)
by vitaminminc
| 2012-05-23 20:38
| 笑い
|
Comments(2)