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記憶の欠落

 日々の生活に追われて、ずいぶんブログをサボッてしまいました。。。(愕然)

 ところで、本日のタイトル。一見していかにもボケっぷりの著しい自分の身に起きたことのようであるが、チガウ。

 ムスコのことだ。

 先日、ふとした拍子にムスコの小学校時代に話が及び、「そういえば、あん時の担任とは相性が悪かったよねぇ」などと冗談半分に私が言うと、ムスコが意外な反応を示した。
 「え? そうだっけ? つか、そんなことあったっけ?」
 「え? 覚えていないの? K先生のことだよ」
 「・・・・・覚えてない」
 「ウソぉ~女の先生だったことくらいは覚えているでしょ?」
 「いや・・・・・まったく覚えてない」(真顔で答えるムスコ)
 最初のうち、私とムスメは「その若さでボケるとは」と笑っていた。だが、どうも様子がおかしい。
 なぜならムスコは、私が話題に挙げた小学4年の記憶だけが、だるま落としみたいにスコンと消えていて、それより遡る1年から3年までの記憶はしっかりしていたのだ。担任の性別はもちろん、名前も。
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 そして私はあることに思い当った。4年時の担任が、ムスコの言動のほとんどすべてを否定的に解釈する中年女性であったことに。
 当時(2007年5月29日の記事「坊主憎けりゃ・・・」ご参照願います)は私も、学校でのムスコの様子について担任から話を聞かされた際、注意事項ばかりで何一つ長所を挙げてもらえなかったことに、少なからずショックを受けた。大切に育ててきた我が子を全否定されて落ち込んだ。
 幼稚園の3年間と小学校に上がってからの3年間、どの担任も必ずムスコのいいところ(面白くてやさしいお子さんです)を挙げてくださり、それなりにムスコを可愛がってくださった。全否定されたのは、あとにも先にもこの4年という悪夢の学年が初めて。この時期ムスコは反抗期とは縁遠く、悪さに磨きがかかったわけでもない。ごく平穏に、素直に成長していた。

 「嫌いな生徒」のレッテルを貼られたムスコは、きっと学校では親の前とは比べようもないくらい、担任に冷遇され続けたに違いない。虫が大嫌いで、ごっつ几帳面な担任の、神聖であるべき教室内に、こともあろうに嫌い中の嫌いの最たる昆虫=カマキリの赤ちゃんを連れて登校しちまったばっかりに。
 私の中では笑い話にすり変わっていた記憶が、ムスコの中では見事に抹消されていた。
       それほど傷ついていたということだ

 まだ生まれて10年ほどの子どもが、自分の心を護るために記憶を消す。
 心的外傷ストレスによる記憶の欠落なんて、小説やドラマの中の話。そう他人事として認識していた自分が恥ずかしい。
 私は、ムスコのことを過信していた。いつも明るく笑っていたから、担任の無理解にもへいちゃらでいると思っていた。7年も経って、思わぬことから真相を知るに至り、きゅるきゅると胸が痛んだ。

 今更ながら、思わずにはいられない。生徒の記憶から消されるような先生が、子どもたちに一体何を教えられるというのか。
 小学校時代の担任は、幼い生徒ひとりひとりの人格形成に多大な影響を与える。あの当時の担任は、虫はもちろん、絶対に子どもが好きではなかったはずだ。たとえ虫が嫌いでも、子どもが好きならば、あそこまで嫌悪感に満ちた目で見ることはなかったろう。子どもが好きでないのなら、小学校の教員になどならないでもらいたい。

 K先生、悲しくはないですか? 自分と関わった一人の少年の思い出の中に、貴女は存在しないのです。
 
 

Commented by キャサリン at 2014-10-31 17:18 x
わかる~、わかるよ、息子ちゃん。
私もあるんですよ、記憶の欠落。
おとなになってからだけど、かなり辛い経験があって、見事にその間のことは欠落してました。
忘れようとしていたわけじゃないんだけど、忘れないと生きていけなかったんですね。生きるために、忘れたんだと思う。
息子ちゃんの年齢でそれを経験するなんて。。。
よっしゃ、おばちゃんがその先生シメちゃる!と、思わず拳をかまえちゃいました。
子どもが嫌いな人は、先生になっちゃいけない。
子どもと一緒に学ぼうとしない人が、先生になっちゃいけない。
それ以前に、人としてどうよ?

でも、その先生、きっと寂しい人生だと思う。
愛したり、愛されたりした経験がないんじゃないかな?
お気の毒。

そのかわりに、と言っちゃなんだが、こんな愉快な母さまがいるねんもん、ほんまにしあわせやで、ボン!
Commented by vitaminminc at 2014-12-04 18:01
❤ギャザリンざま❤
ごごご・・・ごべんなざい、月が飛び級しちまって。
どうにも体調感情ともにがすぐれず(?)の割にばかすか眠れており、つまり、なんていうかただのなまけものでございます。時間だけが虚しく過ぎ行く・・・ふはは、ふはははは~!
ムスコに寄り添ってくださる温かいコメント、とても嬉しゅうございますです。キャッ様にもお辛い経験があったんでございますね。こうして人はより優しくより強くなっていくのだ、と明るい未来が見えた気がします。おおきに、おおきにやで!
カマベイビー事件から7年。ムスコは高2になり、学業は超低空飛行。先日の定期テストの結果、あわやポチャンと着水かという危ない科目もありましたが、どうにか遠距離通学、頑張っておりますです!
家ではネコちゃんの皮下注射の際、優秀なる助手を務める傍ら、いつも小憎たらしい口ばかりきいちゃいますが、基本ババァ(私のことかい)と動物にやさしい仕様となっております。
そんなムスコ、高校にあがるまでは、「将来は学校の先生になりたい」と話しておりました(今はどうだかわからないが)。あの小4の女の先生、ムスコの将来を決める上で、少しは役に立っていたのかも、強烈な「反面教師」として。
なんて思ってみたりする12月なのでありました。ひゅぅぅ~
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by vitaminminc | 2014-10-26 20:05 | 子ども | Comments(2)