一周忌譚

本当の命日は数日後に控えているが、昨日、だんはんの一周忌法要を執り行った。
早いよね、一年て。
まだ夢の中にいるみたいだ。
なんだかいろんな重圧が、全部腰に来ちゃったようで、半月前から腰痛に悩まされている。

空梅雨だけあって、昨日は朝からよく晴れていた。
暑かったけれど、湿度が低め。
カラッとして気持ちよかった。
いったい何の重圧を受けていたのだろうというくらい、親族はみな私にやさしく、誰もがにこにこほほ笑んでいた。
自分でいうのもあれだけど、和やかで、実にいい法要となった。

無論心の傷は完全に癒えてはいない。
読経の間、隣に座っていたムスメは始終すすり泣いていた。
私も注意深く瞬きをしないと塩水が頬を伝いそうで難儀した。

主人は病気がもとで亡くなった。
私を苦しめたのは、それが「死ぬような病ではなかった」ことに尽きる。
難病指定の病ではあったが、早期に適切な治療さえ始めていれば、上手に病気と共存できたはずなのだ。
普通に生活することも可能だったかもしれない。
調べれば調べる程、私はずるずると落ち込んだ。
ここ30年で医療が飛躍的に進歩して、死亡率が劇的に減った好例、それが主人の病だった。

普通の健康診断ではない、「人間ドック」を毎年受けていた。
風邪に似た症状が続いていて、早く医者に診てもらうよう何度も言った。
ようやく医者にかかったものの、悪くなる一方だったので、病院を替えるよう訴えもした。
頑なに医者を拒んだのも、私や子どもがいくら仕事を休むよう頼んでも、聞かなかったのは主人だ。

あなたは悪くない、と誰もが慰めてくれた。
それでも私だけは私を責めた。
言うことを聞いてくれなかったのは、私が女房だったからではないだろうか。
私と結婚していなかったら、今もこの先もずっと生き続けたのではないか。
いろんな思いが頭をよぎって、水中で長いこと息を止めているみたいに、変に息苦しくなったりした。

好きなテレビ番組「笑点」で、小遊三師匠だったろうか、「長くなったり短くなったり」で結ぶ上の句を考えよというお題に、
「女房のさじ加減。旦那の寿命が長くなったり短くなったり」と答えた。
会場は笑い、私は凍り付いた。
好きだったテレビ番組を見てさえこのザマだ。
人が一人、この世からいなくなることの罪。

家でも職場でも、私はほぼ明るい。
バカみたいに明るい。
でも、先に述べたような琴線が、心なのか頭なのか、わけのわからない部分に縦横無尽に張り巡らされている気がする。
いつ瞬間冷凍状態になっても、いつ永久凍土になってもおかしくないような不安。

私は、具体的に2人の友に救われた。
一人は行動で。
もう一人は言葉で。

行動派の友は、私の心の空洞を「猫」という、私にとって最適な直球で埋めてくれた。
有無を言わさぬ剛速球で投げ込まれた「猫」は、38℃という絶対温度で、やわらかく温かく、じわじわと心の傷を癒し続ける。まるで湯治だ。

もう一人は、弱音を吐いた私に、こんな言葉をかけてくれた。
「ほんとはパパさん 
 もっと寿命が短かったんだよ。
 みん子があそこまで延ばしたの」

よく、「時が解決してくれる」というけれど、時なんて目に見えないものに身を任せていたら文字通り時間がかかる。
解決を早めてくれるのは、間違いなく生身の人間だ。
友だちに救ってもらった。
一生の宝だ。

身に覚えのある2名に告ぐ。
救助活動の一環として、あと一つだけお願い。





私より先に死なないで。








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by vitaminminc | 2016-06-19 16:44 | 人間 | Comments(2)
Commented at 2016-06-29 17:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by vitaminminc at 2016-06-30 17:21
♥お二人の鍵コメさま♥
ありがとうございます。
この、サボリにサボっているブログでも
こんなに優しい言葉をかけていただいて──。
(T▽T) 嬉しくて、涙が出ちゃってます。
健康に気を付けて、だんはんの分まで長生きせねば!
本当にありがとうございます。
みんなで幸せに生きましょう!
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