こんぺいとう物語~幻の執刀医~

え~~~~っとぉ、こちらが私のお腹から石を取り出して(オオカミと七匹の子ヤギか)くれた、
執刀医のダ・ヴィンチ先生です053.gif
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違~うッ!
このダ・ヴィンチを操作して、無事に手術を成功させた執刀医はいずこに?
不思議なことに、私はその執刀医(中心となって手術をする担当医)の顔を一度も見ていない。
入院初日には、薬剤師、麻酔医が「私が担当します」と挨拶にみえた。
そして、手術当日の朝には執刀医が挨拶にみえる。
この担当医挨拶システムは、入院中、病室内で他の患者の動向を注意深く観察して学んだので、間違いない。

しかし、入院の翌日が手術だった私は、まだこのシステムを把握していなかった。
手術当日になっても執刀医が顔を見せに来ないことに、なんの疑問も抱かなかったのである。

事前処置をほどこされて、いよいよ手術室へ。ここまでは自力で歩いていく。
ド近眼の私はメガネなしではあらゆる医療機器を破壊する恐れがあった。
眼鏡は手術台に寝かされてから外した。
「おはようございます。覚えてますか? 入院した日に挨拶にいった、麻酔医の□□です♪」
ああ、かなりぼやけてはいるが、確かにあの若い先生だ。相変わらず笑顔がやさしいなぁ。
ナースマン・鈴木に告ぐ。笑顔にまさる治療なし。悔い改めよ。

「おはようございます。本日の助手を務めさせていただく〇△です」
あら~。初めて拝見しますわぁ。なんて長身でスタイルのいい、カッコイイ美人さんなのでしょう。

「今ちょっと、まだ執刀される□〇先生が来ていないんですけど─」と麻酔医と助手がドアの方を見ながら言う。
遠くでドアが開いたようにも見えたが、とにかくド近眼なので定かではない。
気づけば麻酔医が、「点滴始めます。すぐに意識なくなりますからね─」
といって、私は夢すら見えない、空白の時間へと旅立ったのである。

手術の翌朝、リカバリールームにいた他の患者の元には執刀医が回診に訪れた。
が、私の元には来なかった。
午後になって、主治医のM先生が来た。
「どう? 大丈夫でしょ?」
私の顔色を見るというより、自分の顔を見せに来た感じ。高速で去りかけたので、慌てて呼び止めて、胆石の種類を確認した。


術後三日目。痩せて神経質そうな面立ちの女医が来た。
「執刀した□〇先生が出張で来られないので、私が代わりに来ました」そう言って胸のネームプレートを見せた。
「お変わりないですか?」
無表情な顔で問診。
「はい」というと、カルテにちょちょっと記入して去っていった。

──貴女だったのですね。
ネームプレートでわかった。麻酔科と耳鼻科に内線の取次ぎを依頼するときに名乗っていたから。
呼吸困難に陥った(正確には当人は呼吸が楽になったと訴えたけど、再挿管を決行)患者の身体で胃カメラのテストを行ったのは。

あの晩、私の隣人を担当していたのは、この女医(小柄。長身ではない)と、私を執刀したのとは別の男性研修医のチームである。
わが手術同意書に記載されていた担当医師名の中に、この二人の名がなかったのは、不幸中の幸いであった。

私の手術が終わった時点で、外で待っていたムスメに説明してくれたのは、主治医のM先生一人だけだったという。
ムスメの目の前で、母親の生肉的な胆嚢を、手袋をはめた手でモミモミしながら、
「うん、大丈夫かな、うん、大丈夫そうだ」
とだけ告げ、わずか30秒で説明が終了したそうだ。
いかにもM先生らしい。
おそらく、触診した感じでは、胆嚢自体に癌などの病巣はなさそうですよ、という意味だろう。

そんなわけで、とうとう執刀医の□〇先生とは、意識がある状態での対面は一度も果たせないまま退院した。
病院HPの医師紹介ページに、私を執刀した□〇医師の名を見つけた。
誠実そうで温かそうなお顔立ちだった。
「後期研修医」となっていた。
前期ではなく後期。ということは、それなりに場数も踏んで、研修医としてはベテランに違いない。

腕はすこぶる良かった。傷を最小限にとどめることができるってことは、的確な判断力、繊細な器用さをもっている証。
痛点超敏感体質のこの私が、たった3日間痛み止めの世話になっただけで済むなんて、奇跡としか思えない。
ムスコを産み落としたあとの会陰縫合部痛(←ほんの4針ほど)の時なんて、一時死にかけましたからぬえぇぇ。

今では憎めないキャラと化したM先生はじめ、手術に当たってくださった諸先生方、お世話になりました。
先生方のチームに当たったことに心より感謝いたします。ありがとうございました。



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by vitaminminc | 2016-11-20 10:37 | 人間 | Comments(0)

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