恥の多い生涯を送っております

─恥の多い生涯を送って来ました。

ご存じ、太宰治『人間失格』の有名な出だしである。
そしてムスコのマイブームでもある。
何が気に入ったのか、日に最低一回は冒頭の一節を口にする。

言っちゃなんだけど、私は過去形に出来ない。
絶賛人間失格中なんである。

先月下旬、久しぶりに手持ちの1day コンタクトを装着しようとしたら、ペリッと剥がすアルミの蓋が、ペリッと剥がれなかった。
もんのすごい圧着力。文字通りバカぢからでペペペッリリリッと力任せに引き剥がしたら、大失敗した。
普通はアルミの蓋と共にきれいに剥がれるから、完全に気配を消しているが、実はプラ容器とアルミの蓋の間には、更に半透明の薄~い膜のごときフィルムがある。
そいつだけが剥がれずに、圧倒的存在感を放ちながら、完璧に残っていたのである。
柔らかいから始末に負えない。ぴんと張ってる割には押しただけへこむし、かといって引っ張るだけの余地もない。暖簾に腕押し、いや、指押し状態。
ムカムカしながら、思い切り爪を食い込ませて破壊したら、顔面に塩水を浴び、レンズは破損。
2個目も同様。5個試して5個とも蓋がイカレていた。
なんじゃこりゃ! 
昨年暮れに買ったばかりだというのに、蓋がきれいに剥がれないなんて。不良品ではないか。
早速、コンタクトレンズを購入した店に箱ごと持ち込んだ。
でも、おかしなクレーマーと思われたくなかったので、可能な限り下手に出た。
─蓋がまともに剥がれないんです。フィルムみたいのが残ってしまって、爪やカッターで無理矢理開けたらレンズが傷ついてしまって。不衛生ですし、とても困ってます。
女性スタッフが箱を受け取り、何やら調べ始めた。
現物を開けてみようともしない。
私は、彼女がコンタクトの1つを手に取って、実際に蓋が開かないのを確認して、『あら、これはいけませんね』と納得してくれる様子を妄想していた。
だが、彼女はPCのキーを叩きながら、しきりにメモをとっている。
やけに待たされるなと時間を気にし始めた頃、ようやく彼女がカウンターの内側から出てきた。
私が持ち込んだ箱と、写真つきのコンタクトの一覧表を2種類を携えて。
「お客様にお持ちいただいたのは、こちらのレンズでございます。こちらは2009年に発売されたものですが、2013年にメーカーの方でリニューアルされていますので、現在こちらと同じタイプのものは取扱い終了となっております」
「ひゃ!」
彼女は神妙な顔つきで、もう1つの一覧表を示した。
「お客様が昨年購入されましたのは、こちらのメーカーの、このタイプですので、おそらくご自宅にあるのではないかと…」
「使わないまま古くなりすぎたから買い替えたのに、私、そんな何年も前のレンズを目に入れちゃったんですね」
そう、無理矢理破ってレンズを取り出し、目に入れたら激痛が走り、レンズが破損していることに気づいたわけで。
「家に帰って探してみます!」
「お取り寄せでしたが、12月○○日に佐川急便でお届けしております、白地にオレンジの箱です…」
「わかりました、家に帰って探してみます!」
私は心の底から女性スタッフに詫びた。丁重に詫びた。
50年も生きているとわかることがある。
あの接着剤の頑固さ。あれは、一定の時を優に超えた状態を意味してるってこと。
それが頭の片隅にあったから、今回私は慎重だった。万が一に備えて、下手に下手に出て正解だった。

子どもらにカミングアウトした。
ムスメには、「なんで買おうと思った時点で古いの捨てちゃわなかったの」と呆れられた。
ムスコには、「あー、俺、恥ずかしい、そんな人、引くわー」と真顔で言われた。

暮れに購入した箱は、洗面所のキャビネットの中にしまってあった。店に持ち込んだ年代もののコンタクトも同じ場所にあった。せめて新しいのが届いた時点で、きちんと交換して捨てていれば。いや、ムスメが言うように、新しく買い直すことを決めた瞬間、破棄しなきゃいけなかったのだ。
猛省。 

来月初旬、脳ドックを受けることにした。
本気なので、予約も入れた。
期間限定とやらで、18,000円台で受けられる。
格安ながら、ごく基本的コース。もちろん、MRI。

結果が怖い気がする。

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by vitaminminc | 2017-03-08 22:32 | 健康 | Comments(0)

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