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グッ【ドブ】モーニング!

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4月19日の晩、冬眠から目覚めたコクワガタ→
の五十嵐くん。
うちでは4/19=飼育記念日とした。

 ──ドブソウジンバブエの朝は、早い──
 久米明の、まるで複式呼吸のように深く腹に染み入るナレーション。それが似合う光景が、ココ埼玉県某市の市街化調整区域の一角にはある。
 私の実家は東京23区内で最もカントリーといわれる下町。それでもソコに下水道が通り、私の両親が長年のドブ掃除から解放されたのは、今から30年以上も前のことである。何の因果か、親の世代よりも後に生まれたはずの私が、21世紀の今になって、ドブ掃除をやっている。誤算だらけの住宅購入、(ドブの)フタを開けてみたら、ドブ掃除が待っていたというわけだ。歴史は繰り返されるというが、「まったくだ」と言いたい。
 毎月最終日曜がドブ掃除デーである。セーラーマンのようにデッキブラシを握り、ドブに溜まったヘドロをかき出す。甲板の上なら雄大な鯨の潮吹きも拝めようが、悲しいことに、ココは側溝。絵の具の緑色と群青色と灰色に赤土を混ぜたような泥を浴びませんように・・・と憂鬱に拝んでいる。
 ところで、このドブ掃除。開始時刻は一応朝の8時と決められている。私の感覚では、「8時」といえば、「8時までに集合」を意味するが、ココでは違う。その日一番早く外に出てきた人が鳴らすドラの第一声が定刻となる。正確には、ドブにかぶせてある重い鉄のフタを持ち上げ、道端に返し置くときのじゃかましい音が鳴り響いたとき──これが始まりの合図だ。
 目覚ましは毎月8時10分前にセットしているが、ただの一度も目覚ましに起こされたためしがない。もう10年間もドラの音に起こされている。眠い目をこすりこすり目覚まし時計の針を見ると、7時20分を指していることなどザラだ。それでも私は意地でも毎月8時10分前に目覚ましをセットする。間違ってうちが一番に出ていこうものなら、開始時間が際限なく早くなっていきそうな恐怖があるからだ。
 我々のような「中年」の域に足を踏み入れている者ですら「若い人」と呼ばれてしまうくらい、ココの平均年齢は高い。早朝散歩も朝食も盆栽いじりもすべて終え、残っているのはドブ掃除だけ。日曜の早朝、そんな過密スケジュールにお付き合いするには、うちも土曜の晩の消灯を9時にするしかない。ムリである。
──老人バブエの朝は、とてつもなく早い──のである。

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by vitaminminc | 2006-04-30 19:09 | 人間 | Comments(0)