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カラオケージョナル・ポエム

カラオケージョナル・ポエム_b0080718_20131914.gif オケージョナル・ポエム=日常生活のありとあらゆる機会に素材を求め、生まれる詩歌。機会詩。言い出しっぺはゲーテらしい。詩のテリトリーを時事問題や社会問題にまで拡張させたとして、現代の革新的詩人たちからも支持されている。

 先日のボウリングで、わが家の夏のイベントは終幕したはずだった。なのに性懲りもなく、本日子ども2人を引き連れてカラオケに行った。仕事から帰ってみると、留守番をしていた娘と息子がいかにも退屈そうな顔で出迎えたので、つい
<こりゃいかん>と思ってしまったのだ。
 例によって平日の昼間だというのに、カラオケ・シダックスは大盛況。駐車場に私の車を1台滑り込ませると、ほぼ満杯状態。私の街は、遊び人だらけだ。
 子どもと3人でカラオケに来ると、いつも採点機能を使って得点を競う。本日は、採点のおまけに表示される消費カロリーも得点に加えることにした。
 歌手であると同時に多忙な主婦でもある私は、今日は2人の子どもが歌っている待ち時間を利用せんと、あるモノをカラオケルームに持ち込んでいた。はたして何を持ち込んだのであろうか。正解できる人がいたら、すぐさますっ飛んでいって握手したい。(それだけかぃ)
 ま、とりあえず歌の競演が始まった。フリーのソフトドリンクコースを選んでおいたので、早速息子が3人分の飲み物を注文。娘が採点表のノートを広げる。本日の機種の採点機能は、‘精密採点’というやつ。音程の正確さは%で、しゃくりは回数で、ビブラートは秒数で表示し、得点を出すようになっていた。‘しゃくり’の意味がよくわからん。しゃっくりでないことだけは確かだ。
 娘→私→息子の順に、唄い始めた。アニメ番組から次々に新しい曲を仕入れて唄う子どもたち。それに比べて私の選曲は、時が止まったようかのようだ。勝手に自分のテーマソングにしているイエロー・モンキーの「プライマル。」ほか、ワンパターン。唄い慣れている分、新曲にチャレンジする子どもたちよりも当然得点が高め。大人気ないと思いつつも、知らない歌は唄えない。
──これで、いいのだ。
 ところで‘しゃくり’であるが、12、13回という表示が多い私に比べ、子どもたちは0~せいぜい1桁表示。どうも音の上げ下げのテクニックをいうらしい。合唱部ではご法度の唄い方だろうと想像できる。なぜなら、素直に唄うことが要求される唱歌っぽい曲の場合、しゃくりが多いとかえって点数が低かったりしたからである。
 さて、子ども2人が2杯目のドリンクを注文したときのこと。
「あ~? なにコレ!?」
 娘の叫び声で、私は顔を上げた。
 子どもたちが頼んだのは、クリームソーダとアイスココアだったのだが、テーブルの上に乗っていたのは、クリームソーダと梅昆布茶であった。
「なんで持ってきてもらったときに言わないのよ?」
 思わず咎めたが、2人がそれぞれ唄うのと曲を選ぶのに夢中になっていたように、私もほかのことに精を出していて気づかなかったのだから、同罪だ。
「コレ、似合いすぎてて嫌なんですけど・・・」
 そういう私は待ち時間を利用して、【雑巾を縫っていた】のである。私自身の飲み物は、まだ1杯目のトマトジュースがたっぷり残っている。
 娘がすぐさまフロントに電話を入れた。アイスココアと梅昆布茶が間違って届いたことを告げると、ただいま交換します、との返事。ところが店員は、アイスココアを持ってきただけで、テーブルの上の梅昆布茶は下げずにそのまま置いていった。フリードリンクなので、サービスとして置いていったのだろうか。それとも、カラオケ画面の青白い光を顔面に反射させながら、場違いにも裁縫している変な女を見て、<いかにも飲みそうだ>と確信したのだろうか。因みに雑巾は、始業式の日に学校に持っていく息子のために縫っていたのである。
 競演が2時間を過ぎた頃、子どもたちがあーでもないこーでもないと、必死にページをめくり始めた。
「駄目だ、やっぱ番組名じゃ載ってないよ」
「‘リンリンリリン’で調べてみたら?」
「そんなの違うに決まってるじゃない」
 しょーがないなぁ。私の出番か。
「‘恋のダイヤル6700‘っていうんだよ」
「え~? ママなんで知ってんの?」
 CATVでやっている「思いっきり科学アドベンチャー」という子供向け科学番組のテーマソングに使われている曲は、私が小学生の頃に流行った、フィンガー5のヒット曲。リードヴォーカルのアキラとママは確か同年齢だったはずだと話すと、2人は「ひょぇ~!」と驚いて、ほんのちょっぴり尊敬の眼差しを寄越した。それよりちょっと前、私がキャンディーズの「年下の男の子」を唄ったときとはえらい違いである。
「あれ? この曲どっかで聞いたことある」(息子)
「思い出した!‘昭和のナントカ’っていう、昔の映像が流れる番組で──」(娘)
「ムカシ言うなー!」(私)
 曲の途中でつい文句を言ってしまったので、得点に影響した。
 
 結果。全17曲ずつ唄い、平均得点74.6(100点満点中)を記録した私が堂々トップ。中でも一番の高得点は、サザンの「いとしのエリー」で、84点。娘はこの曲を「いとしのメリー」などと言いおった。あのレイ・チャールズもカヴァーしている名曲を間違えるとは。再教育の必要性を感じる。
 ところで、17曲も唄ったにもかかわらず、合計消費カロリーは、たったの85キロカロリー。トマトジュースと梅昆布茶路線で地味にいっておけばよかったものを、途中でコーヒーフロートやコーラなども飲んでしまった。摂取量の計算は、怖くてできなかった。

 こうして、雑巾を縫いながら梅昆布茶をすすった歌手は、終わらない夏に終止符を打った。 
 
Commented by 鱗のファン at 2006-08-31 03:02 x
昭和ヒットパレード(全17曲)のタイトルが知りたいな(^^)
Commented by vitaminminc at 2006-08-31 14:38
ちょっと待ってくださいまし。半数以上は平成の曲です。昭和の曲はサビ以外覚えていないことが多く、ひどいときは出だしから「アレ?」なんて。
これ以上恥更科日記にするわけにもいかず、曲目はひ・み・つ(∧∧;)
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by vitaminminc | 2006-08-30 20:09 | 趣味 | Comments(2)