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子どもに、カエル

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 学校から帰ってきた息子(小学校3年生)が、ランドセルを下ろしながら私に言った。
「今日ピエロ公園でみんなと遊ぶ約束したんだけど、行ってもいい?」
「いいよ。またカエル競走?」
「うん! たぶん」
「面白い?」
「すっごく面白い!」
 先日、同じ公園に遊びに行った息子は、カエルを捕まえて遊んだ。公園の隣にある草原や、すぐ脇を流れる小さな川べりに、アマガエルはいくらでもいるという。捕まえたカエルをピエロの頭のてっぺん(滑り台の上)から放し、誰のカエルが一番にゴールするかを競うのだ。
 そうこうしているうちに電話が鳴って、息子が出た。公園の近くに住む友達からだった。
「早く来いよ、みんな待ってんだぜ!」
 息子はその友だちの口真似をすると、嬉しそうに出かけていった。
 
 小学3年生から高学年にかけての学童期は、心理学用語では「ギャングエイジ」と呼ばれる。仲間意識が急速に芽生え、大人の干渉を嫌い、閉鎖的小集団をつくって行動を共にする。自分たちの知り得る情報を提供し合い、自分たちで様々なルールをつくる。
 ギャングなどというと聞こえが悪いが、その集団が健全でさえあるならば、これ以上素晴らしいものはない。ここで学んだ社会性や協調性、さらには自立心や競争心などは、社会生活を営んでいく上で、重要な基盤となる。そして、思春期から始まる「自分探し」の心の旅には、欠かすことのできない必須アイテム(精神的旅支度)であると私は考える。
 だからこそ、この時期に負のパワーを与えられることに関しては、ことのほか敏感でありたい。聞くところによれば、まだ小学3年生の身でありながら、悪い仲間に脅されそそのかされて、万引を強要される児童もいるという。心が痛む。

 5時の鐘が鳴った。間もなく、息子が帰ってきた。
「こないだよりいっぱいいたよ!」と満足げだ。「いっぺんに5匹くらい捕まえて、一気に5レースやった!」
「そんなにたくさん持ってられるの?」
「小さくてかわいいからネ」
 息子は、自分の腹にフワッと左手をあてがって見せた。息子の腹と片手のひらとの空間で暴れるアマガエル。想像したら、自分のてのひらまでくすぐったくなった。
「Nくんなんかヒキガエル捕まえてんの。こんのくらい大きいやつ! でもそれ、ちっとも跳ばないんだよね。体が重いのかな、ビリっけつ♪」

 悪びれもせず万引の手引きをする子に、聞いてみたい。
「キミは本当は、どっちがやりたい?」
 友だちに万引をさせている間、トイレでじっと待って、泣きそうな顔で友達が差し出す戦利品を巻き上げるのと、
 草っ原を駆け回って、小さなカエルを捕まえて、みんなでカエル跳びレースを観戦するのと。
「ねぇ、どっちが楽しいと思う?」
 コドモに返ろうよ。
 ‘楽’になろうよ。

Commented by みんみん梅桜紫陽花彼岸花 at 2006-09-26 23:37 x
今どき、蛙を捕まえてジャンプを競い合わせるという自然正統派の遊びをする子等がいて、うれしくなるなあ。殺伐とした時代にあってほんわかとした空気を感じさせてくれるビタミンミンは抜群の栄養剤やね。
Commented by vitaminminc at 2006-09-27 08:07
実は私が子どもの頃だって、そんな身近に蛙なんていなかったから、ちょっと羨ましいのです。昨夜の土砂降りも上がったことだし、今からチャリこぎ出勤です。今日も元気にがんば老体・・イデ・・・あ、頭が痛い(><)
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by vitaminminc | 2006-09-26 14:48 | 子ども | Comments(2)