2006年 10月 17日
虫取り網常駐
いえ、なに、過ぎた夏を惜しんでいるわけではございません。居間に虫取り網が立てかけてあるからといって。
おそらく、取り込んだ洗濯物にでもついていたのでございましょう。結構大きな「蛾」でした。
うわ! 飛んでいる、モスラと同じ羽ばたきで!
そう思ったのもつかの間、アッという間に姿を消しました。あんなに大きな図体をしているくせに、忽然と姿を消したのです、わたしがまばたきしている間に。
部屋から出て行ったわけではありません。いるのです、確実に。
虫取り網は、息子が持ってきました。いつでも捕まえられるようにと。あぁ、憂鬱。鱗粉が空気中に漂っていそうな気がします。蛾は黄色を濃くしてくすませたような色合いでした。恐ろしげなドクロの紋様がないだけ、まだ救われます。
家の中に、飼っている虫(コクワガタ)以外の虫がいる──そう思うだけで、気持ちが沈みます。ごく一部の昆虫を除いて、わたしは基本的には虫が苦手なのです。
先日も、赤茶のビロードを身にまとったっような、栗のごとき胴体を持つ大きな蜘蛛と遭遇し、心臓が瞬間凍結しました。生まれてこの方、見たこともないような蜘蛛でした。もっともそれは、家の中ではなく、軒下から降りてきたのですけれども。
毒蜘蛛だったら大変です。停まりかけた心臓に鞭打って、蜘蛛を追い払う決心をしました。箒の先で、尻から伸びている極太の糸を途中で掬い取り、そのままブラーーーンとぶら下げて、敷地の外の砂利路地へ放しました。蜘蛛には直接触れなかったにも関わらず、地面に落ちた途端、蜘蛛はすべての脚を縮めて動かなくなりました。死んだふりをしたのかと思いましたが、死んでしまったのでした。何だか「産卵を終えた直後の死」を思わせるような死に方でしたので、気が気ではありませんでした。あんなのがたくさんうちの敷地内に増殖するのかと思うと、私自身、ビロードのような毛が生えてきたように、全身がゾワゾワッとするのでした。
ネットで調べてみましたら、「オニグモ」という名の蜘蛛であることがわかりました。やはり、あの丸々とした胴体は、雌特有のものでした。軒下から降りてきたということは・・・屋根裏にでも卵を産みつけたのではないでしょうか。それでは結局「家の中」ということになります。
ただ、この蜘蛛には、一点微笑ましい習性があることがわかりました。夜行性なので、夜に立派な網を張るのですが、朝になるとそれを畳んでねぐらに帰るのです。放射状の大きな巣を張るのですから、そのままにして帰られたりしたら、たまったものではありません。庭に洗濯物を干しに出るたびに、顔面が蜘蛛の巣にひっかかるなんて真っ平です。後片付けをするのは本当のようで、昼間大きな蜘蛛の巣が張られているのを目撃したことはありませんでした。
そう考えると、少しはお近づきになれそうな気もしてまいります。毒もなさそうですし、暖かそうなビロードの毛皮をまとったおしゃれな蜘蛛さん・・・あぁ、やはりダメです、虫はダメです。
一時「オニグモ」のことを思い出しておりましたら、今現在直面している問題をしばし忘れることができました。蛾かオニグモか。もう頭の中は鱗粉舞い散り、蜘蛛の巣だらけです。
居間の虫取り網を眺めていたら、昼間買い物に出た帰り、後ろに500メートルの渋滞を作りながら、推定時速20キロで走っているトラクターとすれちがったことを思い出しました。ココに暮らすことは、即ち虫との共存を意味する──そんなことを悟った秋の夜です。
おそらく、取り込んだ洗濯物にでもついていたのでございましょう。結構大きな「蛾」でした。
うわ! 飛んでいる、モスラと同じ羽ばたきで!
そう思ったのもつかの間、アッという間に姿を消しました。あんなに大きな図体をしているくせに、忽然と姿を消したのです、わたしがまばたきしている間に。
部屋から出て行ったわけではありません。いるのです、確実に。
虫取り網は、息子が持ってきました。いつでも捕まえられるようにと。あぁ、憂鬱。鱗粉が空気中に漂っていそうな気がします。蛾は黄色を濃くしてくすませたような色合いでした。恐ろしげなドクロの紋様がないだけ、まだ救われます。
家の中に、飼っている虫(コクワガタ)以外の虫がいる──そう思うだけで、気持ちが沈みます。ごく一部の昆虫を除いて、わたしは基本的には虫が苦手なのです。
先日も、赤茶のビロードを身にまとったっような、栗のごとき胴体を持つ大きな蜘蛛と遭遇し、心臓が瞬間凍結しました。生まれてこの方、見たこともないような蜘蛛でした。もっともそれは、家の中ではなく、軒下から降りてきたのですけれども。
毒蜘蛛だったら大変です。停まりかけた心臓に鞭打って、蜘蛛を追い払う決心をしました。箒の先で、尻から伸びている極太の糸を途中で掬い取り、そのままブラーーーンとぶら下げて、敷地の外の砂利路地へ放しました。蜘蛛には直接触れなかったにも関わらず、地面に落ちた途端、蜘蛛はすべての脚を縮めて動かなくなりました。死んだふりをしたのかと思いましたが、死んでしまったのでした。何だか「産卵を終えた直後の死」を思わせるような死に方でしたので、気が気ではありませんでした。あんなのがたくさんうちの敷地内に増殖するのかと思うと、私自身、ビロードのような毛が生えてきたように、全身がゾワゾワッとするのでした。
ネットで調べてみましたら、「オニグモ」という名の蜘蛛であることがわかりました。やはり、あの丸々とした胴体は、雌特有のものでした。軒下から降りてきたということは・・・屋根裏にでも卵を産みつけたのではないでしょうか。それでは結局「家の中」ということになります。
ただ、この蜘蛛には、一点微笑ましい習性があることがわかりました。夜行性なので、夜に立派な網を張るのですが、朝になるとそれを畳んでねぐらに帰るのです。放射状の大きな巣を張るのですから、そのままにして帰られたりしたら、たまったものではありません。庭に洗濯物を干しに出るたびに、顔面が蜘蛛の巣にひっかかるなんて真っ平です。後片付けをするのは本当のようで、昼間大きな蜘蛛の巣が張られているのを目撃したことはありませんでした。
そう考えると、少しはお近づきになれそうな気もしてまいります。毒もなさそうですし、暖かそうなビロードの毛皮をまとったおしゃれな蜘蛛さん・・・あぁ、やはりダメです、虫はダメです。
一時「オニグモ」のことを思い出しておりましたら、今現在直面している問題をしばし忘れることができました。蛾かオニグモか。もう頭の中は鱗粉舞い散り、蜘蛛の巣だらけです。
居間の虫取り網を眺めていたら、昼間買い物に出た帰り、後ろに500メートルの渋滞を作りながら、推定時速20キロで走っているトラクターとすれちがったことを思い出しました。ココに暮らすことは、即ち虫との共存を意味する──そんなことを悟った秋の夜です。
by vitaminminc
| 2006-10-17 20:00
| 生きもの
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