2007年 07月 21日
ひと夏の探検
今、私と子どもたちが最も見たい番組の一つ、それはテレ朝スイスペ!(水曜スペシャル)の探検シリーズだ。
おかしなものである。まだ若くとんがっていた時分、私はこの手の番組がキライだった。ビックリマークが跳びはねる扇情的な見出しに、毎回釣り上げられては2時間近くも探検に同行。ラストのとんでもない幕切れに、「なんじゃこりゃ!?」と切れてばかりいた。
何しろ初代隊長川口浩は、謎の生物を目の当たりにすると、いつだって大自然の驚異に敬意を払うあまり、「我々人間がこれ以上踏み入ることを拒むかのような大自然」を決して(アップで)カメラにおさめさせたりはしなかった。何かを‘見た!’のは隊員たちのみ。我々視聴者が見るのは、妙に清々しい隊員たちの汗と、夕日と、達成感を物語っている彼らの背中だけなのだった。
記憶が多少ゴッチャになっているかもしれないが、「双頭の巨大蛇」なんかはその名の通り、相当なものだった。洞窟の岩壁に一瞬だけ映る、ぎこちない動きの影。今のはなんだ? 思う間もなくコマーシャル。2分後、当然さっきの映像のリプレイが拝めるだろうと思いきや、「我々は神秘の洞窟を後にして・・・」というナレーション。今回の旅のまとめと次なる冒険に向けたメッセージを聞きながら、さっきのアレは、スタッフが苦し紛れに腕と手を使って‘影絵’をやったのでは・・・?という疑念と、ああ、今回もまた2時間ムダにしてしまったという喪失感とが双頭をもたげてくるのであった。
←1982年5月12日放送「恐怖! 双頭の巨大怪蛇ゴーグ!南部タイ秘境に蛇島カウングの魔神は実在した!!」
2005年3月19日。読売新聞の朝刊で、「藤岡弘、探検シリーズ」のことを紹介していた。歳月はアマゾン川のごとく流れ、初代隊長の遺志を受け継ぐ者として、藤岡弘、が探検隊を率いていた。この手の探検ものはもうケッコーと思っていたはずなのに、新聞の番組紹介にそそられた。記者は、(‘やらせ’と紙一重の?)演出を「突っ込みどころ満載」と許容。家族で楽しめる娯楽番組として高く評価していた。
そうか、そうであったか! 探検シリーズをドキュメンタリー番組だと思っていた自分が大バカだった。あの東スポの‘世界のびっくりニュース’の記事を思い出してみろ。手乗りの鹿や怪しげな宇宙人の写真を見て、本気で目くじらをたてる者がいないのと同じように、この番組もパロッた目線でとことん楽しんでしまえばよかったのだ!
番組表に載っていたタイトルはズバリ、
ミャンマーの奥地
赤い密林縦走3000km
伝説の野人ナトゥーを追え!!
ついに生け捕り!! 最強の野人 であった。
いや~、今になって思えば、昔から似たようなタイトルのこの番組をドキュメンタリー番組としてとらえていた自分が恥ずかしくなってくる。見方を変えることでこれだけ楽しめようとは。子どもたちも番組を楽しんだ。やらせ(?)をやらせ(?)と言わせない仮面ライダー的人望が、藤岡隊長にはあるようだ。
竹で作った罠の檻の中に、凶暴なナニモノかがかかって暴れている。中にいるのは伝説の野人ナトゥーなのか!? さあ今すぐ檻を開けてその正体を見せてもらおうじゃないか。
しかし、隊長は断念する。なぜなら隊員たちの顔に、疲労の色が濃く、夕闇も迫っていたからだ。番組よりも隊員たちの身体を一番に気遣う隊長の潔い一言、
「よし、ベースキャンプへ戻ろう」
によって、檻を確認するのは翌日に延期となった。
「嘘ー! これを確認しないことには眠れないってのが普通だろー!」
普通ではないのである。我々母子がギャーギャー騒いでいるうちに、ジャングルの夜は明けた。しかし現場に行って見ると(案の定)檻は物凄い力で破壊され、中で暴れていたナニモノかは‘忽然と’姿を消していた。
「え~! なんだよ~!」
「だから昨日のうちに見ておけって言ったのに!」(←聞こえるか)
子どもたちはブーブー文句を言いつつも、なぜかウケて笑っていた。番組自体が文句なく面白かったからだ。そして藤岡弘、隊長の、遠くを見つめるまなざしが、どうにもにくめなかったのだ。
残念ながら、藤岡弘、探検シリーズの6回目となった「ナトゥー」以降、新たなる探検は放送されていない。放送されないというより探検そのものが行われていないのかもしれない。私たちはあれから3回目の夏休みを迎え、しみじみ思うのだった。
「あ~あ、また藤岡弘、探検隊やらないかな~」
日本の夏が、熱帯雨林のようにどんどん暑くなっている。このジャングル的暑さが肌にまとわりつく度に、我々母子は藤岡弘、探検シリーズを懐かしく思い出す。
「こんなことならシリーズ1からシリーズ5も見ておきたかったな」
私のPCのデスクトップ背景は、今、「藤岡弘、探検隊」の写真で飾られている。
背景画像はコチラからダウンロードできます。→藤岡弘、探検シリーズ
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chin-papa at 2007-07-23 08:40
出た!川口浩!
ねえちゃん、あの歌は知ってるかい?
「川口ー浩がーー、洞窟にー入るーー、カーメラマンとー、照明さんのーー、あーとからー入るーー」
これ嘉門達夫だったかな?子供心に「ウマイ!」と喝采を送ったもんだった。
ちなみにワシがこれまでで最も心に残っている東スポ見出しといえば
「クロマニヨン人 生きていた!!!」
ねえちゃん、あの歌は知ってるかい?
「川口ー浩がーー、洞窟にー入るーー、カーメラマンとー、照明さんのーー、あーとからー入るーー」
これ嘉門達夫だったかな?子供心に「ウマイ!」と喝采を送ったもんだった。
ちなみにワシがこれまでで最も心に残っている東スポ見出しといえば
「クロマニヨン人 生きていた!!!」
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vitaminminc at 2007-07-23 14:46
chin子ちゃん、ごめん。そのクロマニヨン人て、姉ちゃんのことかも・・・。(なわけねーだろ)
そうそう、嘉門達夫にも歌われてました!‘前人未到の’洞窟!
それにあの見事なまでの『脱』カメラ目線、ありゃ~プロじゃなくッちゃできないわね。姉ちゃんみたいなド素人が隊長を務めたら、ついつい視線がカメラを追っちゃって、即刻降ろされていたに違いない。
そうそう、嘉門達夫にも歌われてました!‘前人未到の’洞窟!
それにあの見事なまでの『脱』カメラ目線、ありゃ~プロじゃなくッちゃできないわね。姉ちゃんみたいなド素人が隊長を務めたら、ついつい視線がカメラを追っちゃって、即刻降ろされていたに違いない。
by vitaminminc
| 2007-07-21 10:25
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