<   2006年 12月 ( 18 )   > この月の画像一覧

師走の音は「ド」んな音

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 昨夜のこと。キッチンで夕飯の後片付けをしていたら、居間にいたムスメが、
「誰かがそこでリコーダーを吹いている」
 なんてことを言う。
「外で?」
「そこで」
「外?」
「そこ、うちの庭」
 うちの庭! 怖すぎる。聞こえもしない笛の旋律に、思わず戦慄が走る。水道の蛇口を閉めて耳を澄ましてみる。
「変なこと言わないでよ、ソコっていったら雨戸の向こうじゃない」
の音だけを、ずっと練習しているの。ボー、ボー、ボー、って」
 ムスメは真顔だ。気味の悪さに怯えている。時刻はもう20時をまわっており、外には強い風が吹き荒れている。いくら勉強熱心な小学生がいたとて、こんな晩に冷たい風に吹かれて笛の練習をするとは思えない。
 笛の音はピタリと止んでいるらしく、私には確認することができなかった。どうせ何かの聞き間違いだろう。家事に戻り、米を研いだ。その研ぎ汁を空のペットボトルに移す。パタパタとスリッパを鳴らして玄関ポーチに出て、そこらに置いてある植物に撒いた。
「ママ、リコーダーの子、いた?」 
 とムスコがキッチンに戻ってきた私に聞く。
「ああ、忘れてた。でもそんなのいなかったよ。いるはずないじゃない」
「なんだぁ~、確認しに行ったのかと思ったぁ」
「ひゃあ、また鳴ってる!」とムスメが見えない雨戸の向こうを見る。
 今度は私の耳にも聞こえた。リコーダーのを吹く音が。
 再び玄関の外に出て、今度は居間の軒下へ回った。午後になってから洗って干して、そのまま取り込まずにいた服が、風に煽られ振り子のように激しく揺れていた。洗濯物は、日が翳り始めた時刻に干した割には、空っ風のおかげですっかり乾いていた。
 スウィングするハンガーのフック部分と物干し竿との摩擦音──それが、ムスメの耳にはリコーダーの低いの音に聞こえていたのである。

 【自作の早口言葉2句─ムスメはうまく言えず、作った本人(←滑舌悪し)は論外、ムスコは言えても超遅口】

  皿割られ
  更に拐われ
  笑われる

  痺れてる
  もろびと滅びて
  さびれてる

 
(ーー;)↑読み返してみると、皿が割れるだけあって、ひどく救いようのない言葉である。年明けは、景気のいい言葉を考案せねばッ!!
 みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。
 みんなですんばらしい初夢を見ましょう。
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by vitaminminc | 2006-12-29 10:44 | 子ども | Comments(0)

ビーバーの巣

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←プレイモービル
 アドベンチャー
 「ビーバーの巣」
 なんかビーバー
 が怖い・・・。

 
 

 私は奥ゆかしい人間なので、周りから攻めていく。嫌いな物事に対しては、特にこれが顕著である。学生の頃は、日々の怠け癖が祟り、試験前というと毎度毎度一夜漬けに賭けるしかなかった。しかし、この期に及んでもなお、私は外堀を固めるのに余念がなかった。
「まずは環境づくりから」なんていって、普段やらない部屋の掃除を始めてみたり、普段料理もしないくせに夜食づくりに全力を注ぎ込んだり。肝心の勉強に辿り着くまでが大変だった。

 で、仕事が休みだった先日、やるべき核は「家のの大掃除」だったのだが、なぜか私は庭にいた。ジャージの上下を着込み、ズボンの裾を長靴の中に突っ込むやいなや、ボーボーの庭木の伐採に取り掛かったのである。バカボンのパパである。切った切った。椿を切れば、バラも切り、サザンカ切ってモミジ切る。紫もくれんの太い幹は、短い鋸でシューコラシューコラ。あとは左右の柄を握り、エキスパンダーみたいにダイナミックにハサミを開閉しながら、ジャキ邪気ジャキ邪気、丸くかわいく名も知らない常緑樹を2本カットした。細かく切り落とした小枝はレレレのおじさんみたいに掃き集め、3つのゴミ袋に詰めた。片足を袋の中に突っ込み、長靴の底でプレスして、詰めまくりましたとも。
 問題は、ぽきぽき容易に折ることができない類の、しなる長枝。モミジの枝なんかがそうだった。いちいち鋸で短く切っていたら年が明けてしまう。いや、その前に手の皮がむけて自分の手が真っ赤なモミジになってしまうだろう。すっかり疲れ果てた私は、折れない枝を掻き集め、モミジの木の根元にぽいぽい投げ捨てた。長い年月が経つうちには、風雨にさらされ、強靭な枝も土にかえることだろう。

 そんなわけで、一見小ざっぱりして見える小庭に、ビーバーの巣のようなものが出現してしまった。もう少し目立たなくならないものかと、長靴履いた両足でぴょんぴょん(すみません、本当はどすんどすんです)踏み固めてみたものの、築山から下りるとゆっくりスローモーションのようにビーバーの巣が再生するという始末。まあいいや。丘ビーバー(←どんな生物なのか)でも棲んでいると想像し、野趣を楽しむとしよう。 
 
 ところで、家のはというと、不思議なことに、これがちっとも変わらない。今朝が年内最後の燃えるゴミの収集日とあって、昨日は仕事から帰ってから、それこそ燃えるように家の中を片付けて回った。45リットルのゴミ袋4袋分のゴミが出たのだから、もう少し片付いて見えてもよさそうなものなのに、見事なくらい変わらない。
 もういい。このまま新年を迎えよう。ビバ! ビーバーの巣!
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by vitaminminc | 2006-12-28 15:56 | 笑い | Comments(0)

長靴にズボンの裾、突っ込んでます

 朝もはよから大雨である。

 私はうら若い時分から、妙~なところで母性本能をくすぐられた。例えばビジネススーツのサラリーマンのおじさん。土砂降りや雪まじりの日に、ズボンの裾を長靴の中に突っ込んでいる姿なんか見ると、たまらなく母性本能をくすぐられた。スーツとのギャップがツボのようで、‘なんてかわいいのだろう’と思った。中学生の頃からすでにそうだった。ビジネスコートを着た先生の足元を見て、大いに見直したものである。

 今夕、スーパーに買い物に行こうとして、あまりの土砂降りっぷりに怖気づき、ムスメを呼んだ。
 「大雨だから、一人で買い物に出たくない。一緒に来て」
 気のいいムスメはにこにこして「いいよ」と言った。
 まるで威嚇するように、雨が地を打つ音がする。
 「長靴を履きなさい」
 と私が言うと、気のいいムスメが「いやだ」と言った。「スニーカーでいい」
 「でも絶対びしょ濡れになるって。長靴を履いて、ズボンの裾を長靴の中に突っ込みなさい」
 言いながら笑ってしまった。ムスメが絶対に「ハイ、そうします」と言わない確信があったからだ。私も30になるまでは、自分でやってみようなどとは思わずにいた。
 「ソレをやったらおしまいだ」
 と言うムスメの前で、私がソレをやって見せた。
 「おばさんっていいでしょ~。こんなことだってできるんだから」
 中学生のムスメは、私のソレを目にして母性本能をくすぐられたろうか。カッコ悪いからやめてとは言わなかった。
 「ママならソレやってもおかしくないよ」
 と、褒められた。うん、褒められたってことにしておこう。
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by vitaminminc | 2006-12-26 19:22 | 人間 | Comments(4)

でんぢゃらすかーさん

b0080718_132312100.jpg 今年息子のもとに届いた、サンタさんからの贈り物は、ゲームボーイアドバンスの中古ソフト(それも2004年7月発売の!)であった。
 信頼できる筋に寄れば、サンタさんはそのソフトのパッケージがいたく気に入ったとのこと。ゲームのタイトルもズバリ「絶体絶命でんぢゃらすじーさん~怒りのおしおきブルース~」である。でんぢゃらすじーさんなんて、名前だけは聞いたことがあっても、実際目にしたことはなかった。でも腹巻やハゲ頭、そして不敵な眼光といい、すっかり一目ぼれしてしまった・・・とサンタさんは言っているそうな。
 ゲームストーリーは、「じーさん最大のピンチ!? みたいな。──『じーさん』のマンガ原稿がなくなった! 早く探さないと連載なくなっちゃうのじゃ。」というパッケージの裏にバカバカしくも書かれた2行に凝縮されている。
 そんなわけで、ゲーム大嫌いな母親に代わって、サンタさんからの贈り物は、じーさんゲーム。(わたしゃ多重人格か)

 息子の笑いで幕が明けたクリスマス。私ら親子は朝から忙しかった。まず、最近常に鼻が詰まっているか、そうでないときは鼻血を出している息子を耳鼻科へ連れて行った。薬物を吸入し、2週間分の飲み薬が出された。
 お次は昨夜テレビで見た「M-1グランプリ」のスポンサー、オートバックスのCMで、軽自動車のタイヤ4本交換が9,900円(12/25まで)というのを知って、早速ブーブのゴム靴を新調しに。ところが、記憶の中にあるはずの店が、走れども走れども現われない。悔しいので帰る途中、Book-offで入浴中に読むための濡れても構わない文庫本を5冊買った。
 「どうもママは下準備がいい加減でいけない」と謙遜しながら車に乗り込んだら、二人の子どもが間髪をいれず「そうだね」と畳み掛けるように同意。
 「インターネットでもう一度場所を確認してから出直そう」
 そしてさらに帰る途中、悔しいのでコンビニに寄って39円アイスを買った。
 店に向かって駐車している車の中で母子3人、無言でアイスを舐める。ウィンドーを隔てた店の中には野郎が4人、深刻ぶった表情で無心に雑誌を立ち読みしているのだった。
 「ねえ」と私は前を向いたまま、後ろの子どもたちに言った。「あの人たちは揃いも揃って何だってあんな難しい顔をして雑誌を立ち読みしてるんだろうね」
 アイスキャンディーを舐めていた二人が顔を上げ、ぶッと吹き出した。
ムスコ「ほんとーだ、変なの」
ムスメ「あの位置から言って、エロ雑誌に違いない」
ワタシ「左から順に、名前を付けてあげましょう。一番左のメガネは、『きょどうふ・しんじ』くん、その横が『すけこま・しんたろう』くん」
ムスメ「あはははは」
ムスコ「こういうのは? こういうのは?『すとう・かーじろう』」
 それ以上滞在するのは危険な気がした。今にも中の一人と目が合いそうである。いつもなら全部舐め終え空き袋を店のゴミ箱に捨ててから車を出すのだが、今日は栗もなかアイスを食べ終えると、すぐにエンジンをかけた。後ろの子どもたちは、まだ夏色のソーダアイスをぺろぺろ舐めていた。
 家に帰って「オートバックス」を検索。以前「オートバックス」のオレンジ色の看板を出していた店が、グループチェーンの「セコハン走り屋」というのに変わっているのを知った。そうか、やはりアソコだったのか。すぐにも出かけ直す気でいたが、念のため電話でキャンペーンの確認をした。何しろ二人の子どもに無計画な「でんぢゃらすかーさん」扱いをされたばかりである。そしたら9,900円キャンペーンは、走り屋系では行っていないとのこと。アブナイ、アブナイ。

 何だったのだ、今日のドライブは。
 まあ、こんな調子で今年もでんぢゃらすに暮れていくようである。
 
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by vitaminminc | 2006-12-25 14:15 | 笑い | Comments(0)

文樂少年

b0080718_2257136.jpg 今年息子が希望したクリスマスプレゼントは、意外にも書籍であった。
 こう書くとまるで文学少年のようであるが、まったく違う。本屋で立ち読みして欲しくなったという本─それは「超こち亀」(集英社)と育成ゲーム‘はねるっち’の攻略本・・・というよりガイドブック「はねるっち・母子手帳」の2冊である。
 「超こち亀」は、ご存じ「こちら葛飾亀有公園前派出所」の連載30周年記念出版。何が凄いって、同じ漫画をもう30年間、一度も休まず「週刊少年ジャンプ」に掲載し続けているのだがら、もう神業としか思えない。漫画家は生活が不規則になりがちだ。日にも当たらず、カップ麺ばかりを食べる夜行性が多いらしく、よく身体を壊す。小学生の頃、兄が小遣いで買ってくる少年ジャンプを盗み読みしたものだが、「○○先生が風邪でダウン。今週はお休みです」なんて告知がよくあった。幾多の漫画作家が連載を終了、または脱落、リタイアしていく中で、「こち亀」は今でも元気に連載中。単行本はすでに150巻。恐れ入谷の鬼子母神である。

 で、息子があんまり愉しそうに「読め読め」と勧めるものだから、チラッとだけ見てみたのだが、これが実におもしろい。「こち亀」の歴史や裏話はいうまでもなく、CD-ROMが付いているほか、総勢92人の漫画家が自分の作品と「こち亀」を合体させ、コメントを寄せている豪華本だ。
 例えば小林よしのりなんかはこんなコメント→「連載30年ですか。あきれますね。10歳で読み始めた子は両さんの年齢を越えてますよ。わしが『東大一直線』を描いていた頃は合作をしたとき、秋本君(「こち亀」の作者)の机の前にずらっと栄養ドリンクの空きビンが並んでいるのを見て、身体の心配をしたものです。──」そしてイラストは、自作『おぼっちゃまくん』の中の登場人物の一人びんぼっちゃまくん(貧乏なので、エプロンみたいに前にしか生地がない服を着用)と並んで美人の婦人警官麗子がやはり前しかない服を着て池で釣りをしている。麗子が釣り上げたのは、もちろん主役のおぼっちゃまくん。両さんはびんぼっちゃまくんの釣り針にかかっているという図。
 『アンパンマン』のやなせたかしのページでは、両さんがバイキンマンに両さんパンチをお見舞いし、アンパンマンが「ぼくのテリトリーに勝手に入られても困るんですけど」なんて言っている。
 
 息子の生まれる前に活躍した漫画家のページ(一条ゆかりやくらもちふさこなど女流漫画家まで!)が結構多いのだが、イラストや文が面白いので息子は大喜びである。
 文学とはだいぶ違うが、買ってみたら親子で楽しめる本であった。

 さて・・・これから深夜にかけては、サンタさんからもプレゼントが贈られてくるらしい。息子はかなり期待して床に就いた。しかし、今年サンタさんは結構忙しかったらしい。私も時間がなかったので、息子の書籍は全部インターネットで取り寄せた。ネットで買える類のものを希望してくれたことに感謝して、「はねるっち2・母子手帳2」もおまけにもう1冊付けてあげた。
 だからサンタさん、奮発しなかったからとか、選ぶのに手を抜いたとかいって、そんなに気に病むことないですよ。何でだろう? サンタさんの気持ちが、まるで自分のことのようにわかってしまうなあっはっは。
 
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by vitaminminc | 2006-12-25 00:02 | 子ども | Comments(4)

バカ頭突きんちゃん

b0080718_16504252.gif 何が信じられないって、この世に「頭突き」という攻撃ワザがあるのが信じられない。そしてそれを使ってしまう人の神経がわからない。だってとっても痛そうではないか。頭が壊れたらどうしようとか、少しは心配したらどうなのだ。

 私は4,5歳の時に、オルガンの椅子の上に立ち、応接セットのテーブル目がけてヘッドドロップを食らわせたことがある。バックからのヘッドバットはテーブルの角に見事に命中し、血しぶきを見た。しかし、テーブルには血が通ってない。よく考えたら自滅的流血なのであった。
 早い話が、椅子の上に乗ってピアノの教本を取ろうとしてバランスを崩し、後ろにひっくり返った。母の話によると、私の後頭部は「パックリと口を開けていた」という。これが本当なら私は妖怪である。わが子の後頭部に清潔なタオルを当てると、母は死にもの狂いで近所の開業医目がけて走り出した。
 「どうしましょう、どうしましょう」という母の緊迫した声。タオルで後頭部を圧迫して止血しようとしてくれたのはいい。しかし全速力で走る母の振動で、脳味噌が少しこぼれ落ちたかもしれない。アスファルトを打つ母のつっかけサンダルの音。私はその木魚のようなリズムに合わせて必死に祈りを捧げていた。
 「神様・・・神様・・・」
 医者に着くと、母が絶叫した。
 「助けてください! 子どもが大変なんです!」
 時が止まったような待合室に、白衣の看護師さんが2人飛び出してきた。私はあれよあれよという間に診察台の上にうつ伏せに寝かされ、アッという間に処置された。麻酔注射を打たれた記憶はない。母によれば、
 「機械みたいのでバチバチバチッて縫ってもらった」らしい。ダンボールのみかん箱の底を金具で留めるがごとき縫われ方をされたのだろうか。もともと火が噴いたような状態だったので、縫合時の痛みなんか傷の痛みに吸収されてわからなかった。ひっくり返って医者に担ぎ込まれ、家に戻って寝かされるまでの間、私はずっと「ひ~んひ~ん」と泣き続けていた。にも関わらず、母は後日、感心したように近所の人たちに説明した。
 「こんな小さな子どもでもわかるのかしらね。教えたわけでもないのに、‘うわごと’で『神様、神様』って助けを求めていたんですよ」
 いや意識はずっとあった。あったからこそ神様に祈っていたのだ。あったからこそ痛くて泣いていたのだ。
 それ以来、プロレスで頭突きシーンを見るだけで後頭部に痛みが走る。こうして頭突きという文字を入力しているだけでも古傷がうずく気がする。だからだろう、高校時のBFのお兄さん(←自衛隊員)に、なぜか初対面の挨拶で後頭部を撫でられ、3分間だけBFよりもお兄さんの方が好きになってしまったのは。

 そんなわけで、頭突きは大の大の大の苦手なんである。
 後頭部のか弱い母に向かって、昨日学校の終了式から帰ってきた息子の第一声は、こうだった。↓↓↓
 「今日ね、おともだちに頭突きして、ケガさせちゃったの・・・
 ( ̄皿 ̄;)「え!?」
 「先生が連絡帳にそのこと書いてくれたから、読んで」
 (T{}T;)「ひぇ!!」
 先生からの報告は、概ね次の通り。
──ストーブの近くの場所の取り合いで友だちと争いになり、ムスコくんが下から友達の顎に頭突きをしたため、友達が口を切ってしまい、少々出血しました。帰るまでに出血は止まりましたが、一応ご報告しておきます。

 一縷の望みを抱きながら、息子に確認した。それは偶然当たってしまったのか?
 「ううん。頭突しようとしてやったの」
 「ヴァッカもん!」
 真っ先に友達の家に電話を入れ、友達のお母さんに平謝りに謝った。電話を友達にかわっていただき、息子を電話に出させた。
 「ちゃんと自分で謝りなさい」
 息子には友達だけでなく、再びかわってもらって友達のお母さんにも詫びを入れさせた。友達相手に謝っていた時は少しむくれたような口調であったが、友達のおかあさんを相手に謝らせた時には半泣き状態になった。友達のお母さんはやさしく対応してくださったようで、そこで初めて息子の反省の気持ちがホンモノになったようだ。ありがたいことである。
 次に学校に電話をして、先生から詳しい状況を聞いた。友達の方も無意識に息子に手を出していた節があるようなことを言われたが、ストーブのそばで頭突きなんか食らわすなど言語道断。一歩間違ったらどんなことになっていたか。
 友達は下唇に、上の前歯3本分の歯型がついたという。冬休みに入るっていうのに、本当に申し訳ない。お・・・の・・・れ・・・バカ息子め!

 マウスの実験では、右に行くと電気ショック、左に行くとエサがもらえるという条件付きで飼われた母ネズミからは、生まれながらにして左にしか行かないマウスが生まれる──というのを何かで読んだことがある。
 この論理で行くと、私の息子は突然変異ということになる。普段はケンカにゃ滅法弱いくせに、なんだってストーブの前の場所取りなんかで頭突きなんかやるんだ。そんなに寒かったのか?
血の気が多いんだか爺くさいんだかわからない─ったく、もう!
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by vitaminminc | 2006-12-23 18:39 | 子ども | Comments(2)

涙の味

 毎年冬にさしかかる頃になると、テレビではお歳暮バージョンのCMが流れる。
 「お歳暮に海苔を・・・」というナレーションを聞くたびに、胸がキュンとなる。

 亡父は海苔が好きだった。だから母は食卓の缶の中に、いつも海苔だけは切らさないように気を配っていた。
 今から10年ほど前のことだ。義理の妹のところに待望の第一子が産まれ、それから1ヵ月が過ぎた頃に、義母から電話がかかってきた。
 「おとうさん(私の父のこと)からお祝いをいただいてるんだけど、そのお返しするのに何がいいかしらね」
 個別に選ぶのでは大変でしょうからと遠慮すると、義母は気軽に言った。
 「いいのいいの。どうせあたしが(娘に)頼まれて手配するんだから。せっかくならおとうさんのお好きなものがいいと思って」
 義母の心遣いに感謝しながら、私は迷わず答えた。
 「それでしたら海苔をお願いします。絶対喜びますから」
 義母は快諾のついでに、気を利かせてくれた。
 「あなたたちのところには綿毛布を、なんて言ってるけど、いまどきそんなものどこの家にもあるわよねぇ?」
 「ええ、一応間に合ってはいますけど・・・」
 「でしょう? 内緒で現金で返してあげるから、あの子には‘綿毛布’のお礼を言っておいて。現金で返したなんて知ったら怒られちゃうから」
 義母と私は共犯者のようにふふっと笑い、電話を切った。
 数日後、義母から再び電話があった。
 「おとうさんへの海苔なんだけどね、ダメになっちゃったの。まさかおとうさんには‘綿毛布’が届いたことにしてくださいなんて言えないから、あの子(娘)に海苔を贈ることにしたからって話したら、すごく怒られちゃって」
 「え?」
 「海苔はよくお香典返しに使われるから、縁起が悪いって言うのよ。そんなうるさいこと言うなら自分でお返しの手続きすりゃいいのにね」
 「はぁ、そうですか・・・」
 実父の好物を否定されたようで、少し傷ついた。ならばお茶もボツか?と思う胸中を読んだのか、義母が補足した。
 「お茶とかならいいけど、海苔は色が黒だから、喪服を連想して嫌なんだって」
 「まぁそう言われてみれば確かにそうですね」
 「そんなわけだから、おとうさんにはあの子の希望通り、綿毛布を送らせてもらいました」
 「お手数をおかけしました・・・」
 「でね、あなたたちのとこにも現金書留で送っておいたから」
 「はい、ありがとうございます。どんな‘綿毛布’が届いたってことにすれば・・・?」
 「いいのいいの、どうせあの子が自分で選んだんじゃないんだから、そのへんは適当で」
 「心得ました」
 
 そんなやりとりがあったことすらすっかり忘れ、何年かが過ぎたある日のこと。
 日本橋のデパートから小包が届いた。差出人は父からだった。筆跡も間違いなく、筆まめな父のものであった。包みには、「快気祝い」ののしが付いていた。実の娘のところにまで律儀にお返しを寄越す必要なんかないのに──胃癌の摘出手術を受け、退院してからまだ一週間も経っていなかった。
 実家に電話すると、母が出た。父はカラオケ教室に出かけているという。
 「おとうさんたら、退院した次の日よ。そんなお返しくらい私がやっておくって言っても、いや、これはオレが自分でやるって聞かないでしょ、たったか日本橋まで行ってお見舞いのお返し全部済ませて来ちゃったのよ」
 「遠出なんかして大丈夫なの?」
 「止めたって聞かないから」
 電話の後で、包装を解いた。箱の蓋を開けた瞬間だった、義理の妹の言葉が蘇ってきたのは。高貴で落ち着いた色合いの缶を見つめる胸に、鈍痛が走った。中身は「海苔」だった。

 摘出した癌を私たちに見せながら、執刀医は言った。
 「とりあえず、目に見えるものは全てきれいにしておきました」
 それは、転移の可能性だけでなく、目には見えない部位の癌の存在を示唆する言葉でもあった。だが父はこれっぽっちも「完治」を疑わずに退院した。翌日には嬉しそうに地下鉄に乗って、日本橋のデパートまで出かけ、自分の好きな「海苔」を選んでみんなに贈ったのだった。
 
 海苔の歴史は古い。調べによれば、大宝律令(701年)には朝廷への調(税金)として、およそ30種類の海藻類が挙げられている。なかでも海苔は高級品とされていたようだ。縁起が悪いどころか、由緒正しい贈答品だったのだ。
 
 あちこちへこんでくたびれた缶が、今もキッチンの片隅にある。健康を取り戻した歓びに浸りながら、父が自ら足を運んで選んだ海苔の缶だ。どうしても捨てることができない。

 だから、「お歳暮に海苔を・・・」というキャッチコピーを聞くたびに、父が日本橋に出かけた時の姿を想像して、胸がキュンとなる。最初の頃は辛かったけど、時の経過と共に、キュンの絞りも緩やかになってきた。歓びにあふれた父の気持ちを尊重できるようになったのかもしれない。

 私にとって、海苔がちょっぴり涙の味がするのは、こんな理由による。
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by vitaminminc | 2006-12-22 09:26 | 人間 | Comments(2)

恥ずかしいジャンケン

 娘と息子が勝負だとか言いながら、狭いキッチンでジャンケンを始めた。
 「最初はグー、ジャンケンポン!
 「あーシマッタ、わかった、なら10回勝負ね」
 「ヨシ、ジャ・・・」
 「長い! 邪魔! あっちでやって!」と子どもたちを追い出した。
 大体、どっちがネコのトイレの掃除をするかで、何だってキッチンで10回もジャンケンをしなきゃならんのだ? こっちは朝食を作っている最中だってのに。

 ジャンケンと言えば、忘れられない言葉がある。私の子どもたちが通常やるジャンケンは、上記の通りのオーソドックスな言葉だが、私の子ども時代は違った。私は東京23区内で1、2位を争う田舎と言われた下町で生まれ育った。そこで使われていた当時のジャンケン言葉は、かなりだった。
 しかし、ごく小さな頃からすでにソレをジャンケン言葉として覚えてしまったのだから仕方ない。もちろん子ども社会においてではあるが、ソレは私の中では常識の一部であった。「おはよう」や「こんにちは」と変わらない、挨拶のようなものとして普通にインプットされていた。近所の友だちとジャンケンをするときなんかも、いちいち言葉を笑う子なんか‘田舎’ったのである。

 月日は巡り、高校生になってジャンケンをする機会が訪れた。なぜか中学を素通りしているが、それはたぶん中学の3年間、私自身が結構アンニュイな性格をしていたためだ。声は出さずに手だけ出してジャンケンに参加していたのだろう。
 高校生の私は、気心の知れた仲間とジャンケンによって何かを決めようとしていた。熱くなっていたらしい。私もついつい声が出た。
 ところが、私1人だけがおかしな言葉を口走る結果になった。
 「今、なんて言った?」
 みんなが手を引っ込めて私を見た。
 「え?」
 「今、なんか変なこと言わなかった?」
 私は同じ田舎区に住む友だちの同意を得るつもりで、正直に言ってしまった。
 「‘ジャンケン じゃがいも さつまいも!’・・・って言うよね?」 
 「え~? 言わないよ」と同区出身者が笑った。
 「嘘~! ほら、アイコになったら‘芋食ってぷー!’って」
 「知らないって」
 全員に笑われたのは言うまでもない。どうやら区の伝統というより私の町の一角でだけ語り継がれていた言葉だったらしい。ヤケクソになって説明してやった。さらにアイコが続いた場合は
 ‘ぷっぷのぷー!’。それ以降は
 ‘ぷー!’、‘ぷー!’─ひたすら擬音のみ。
 「下ッ品!」と爆笑されて、初めて言葉を咀嚼した。確かに下品である。刷り込みと言うのは恐ろしい。 当時の都立高校は学区制。生徒は近隣のいくつかの区から集まってきていたのだが、私の知るジャンケン言葉は私以外には通用しなかった。
 
 ジャンケン じゃがいも・・・のほかにも、兄の世代のジャンケン言葉にはこんなのもあった。
 ‘チー、ラッ、セ!’ 
 で、アイコの場合は‘チッチのチー!
 なんだか猫ひろしの「ラッセラー」や大木こだま・ひびきの「チッチキチー」みたいである。だが幼少時代、私はこの男子用のジャンケン言葉に憧れて、カッコイイとまで思っていた。どんな感覚をしていたのやら。

 ネットで「ジャンケンのバリエーション」について調べてみたら、同じように下品なやつが見つかった。
 ‘じゃんけん ぽっころ 馬のクソ!’(青森/低年齢層)
(ーー;)・・・アイコの場合は、↑これがさらにどうなってしまうのか心配だが、幸いなことにアイコまでは出ていなかった。私が使っていた「ジャンケン じゃがいも・・・」に関しては、日本全国のどこの地方にも見当たらなかった。今となっては幻のジャンケン言葉である。
 
 おもしろくも何ともないわが子らのジャンケンを耳にして、つい自分の子供時代のジャンケン言葉を懐かしく思い出した。下品ではあったけど、個性的でもあった。なんといっても‘物語’になっているところがいい。起承転結になっているところなんか、ぷっぷのぷーである。
 
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by vitaminminc | 2006-12-21 22:02 | 笑い | Comments(4)

向井右子を目指します

 あみんが再結成するということをテレビで知った。
 岡村孝子はずっとソロ活動を続けていたけれど、テレビで見るのは何年ぶりだろう。
 画面に現われた彼女は、かつて「♪かわいいふりしてあの子 わりとやるもんだねと」と歌っていたときの印象とはずいぶん違った。胴回りが中年のおばさんになってしまっていたのだ。一瞬、岡村孝子ではなくて、いつも向かって右側で歌っていた方(ちょっとだけふっくら系)かと間違え、なんて顔が変わってしまったのだろうと思ったほどだ。
 間もなく岡村孝子の後から、かつて「向かって右側」で歌っていた方が登場。一般人をやっていたとは思えない。スラッした美人で、すごくきれいだった。もともと端正な顔立ちだとは思っていたけれど、当時は横で唄う目のぱっちりした岡村孝子ばかりに目がいって、完全に引き立て役のようになっていた。画面右側の人の美しさは、中年に差し掛かってから威力を発揮する、大器晩成型美人だったのである。何年も普通の(←たぶん)主婦をしていたとは思えないほど垢抜け、画面に映えていた。岡村孝子と画面右側は、それぞれまったく違う驚きを提供してくれた。
 二人が並んで立つと、岡村孝子はかなり不利であった。ずっと人前に立つ仕事をしてきたはずなのに、いったい何が起こったのだろう? 逆にそれがストレスになって食べまくったのだろうか。服の上からでもボンレスハム的食い込みがわかった。何だかわがことのように思えて落ち着かない気分になった。鍛錬しなくてはあかん。あかんのじゃ。
 で、名前がわからないので画面向かって右側の人を「向井右子」と呼ばせてもらうが、彼女を見習って、弱弱しい誓いを立てることにした。
 
    目指せ、向井右子! (←誰のことなんだ)
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by vitaminminc | 2006-12-20 08:12 | 人間 | Comments(2)

自動ドア不適合体質

 何を思ったのだろう?
 スーパーで買い物を終えて、出入口の自動ドアに向け、キーレスエントリー車のキーボタンを押している自分がいた。店に入ってくる客の視線が、私の手元をチラ見したので「ハッ」と我に返った。

 遡れば20代。御茶ノ水のとあるビルの一角に勤務していた時にも、似たようなことをやらかした。ビルの入り口に立つ守衛さんに、
 「おはようございます」
 と挨拶をして、‘印籠’を見せながら自動ドアを通り抜けた。ヒールの踵をカツカツ鳴らしてエレベーターに乗り込みながら、ふと違和感を感じた。いつもは「おはようございます」と言葉を返してくれる守衛さんが、その日は軽く頭を下げただけだった。なぜあの人は“困ったような顔”をしたのだろう?
 エレベーターから降りてタイムカードを取ろうとした瞬間、謎が解けた。自分の右手には、電車の定期券が握られたままになっていた。
 【御茶ノ水⇔浅草橋】の定期券なんかを突きつけられて、ビルの守衛さんに何が言えただろう?
 あの頃はまだ、駅の改札に制服姿の人間(駅員さん)が立っていたからなぁ。ふはは。(←そういう問題か)
 
 突然フラッシュバックのように思い出した光景がある。父が、どこかの店のブ厚いガラスドアに激突するシーンである。父は「おわ!」と叫び、続いて「キショーめ」と江戸っ子よろしく毒づいた。幸いドアは割れずに済んだが、派手な音がしたので、通り過ぎる人々の視線を浴びた。父の後ろを歩いていた小学生の私は、さりげなく歩調を緩め、父との間に距離を保った。
 「何やってる、早く行くぞ」
 他人の振りは、振り向きざまに言う父の言葉で打ち砕かれた。
 家へ帰る途中、父の額にはタンコブが浮き出ていたが、指摘するのはやめておいた。当時の父は頑固系カミナリ親父。威厳にケチをつけるのはマズイと子供心にも感じていた。
 家に着いた父は、よほど痛かったのか、自分で鏡を見て言った。
 「何だよ、タンコブができてるじゃねーか」
 普通のドアを自動ドアと勘違いして突き進み、激突してタンコブをつくる父。そのDNA(私)は、学生時代にはよく自動ドアに挟まり(←羽根のように軽かったから)、定期券を持たなくなった今では車のキーを使って開けようとする。

 自動ドアってやつとは、親子代々相性が悪いらしい。
  
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by vitaminminc | 2006-12-19 17:16 | 笑い | Comments(0)


日々の暮らしに「ん?」を発見


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