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遊んどるフィンキック

 今日はムスコが通っているスイミングスクールの、検定の日だった。
 毎月行われているにもかかわらず、検定に足を運ぶのは実に1年ぶり。要するに、ムスコは検定に臨む資格の有無を判定する「チェック」で、毎回落とされてきたわけだ。
 ようやく現在の級から足を洗うチャンスが巡ってきた。負けん気にも真面目さにも欠けるムスコだが、今回はいくらか緊張している様子だった。周りにいる顔ぶれが毎月少しずつ変わっていく中、自分だけが変わらず同じ級にいることに、さすがに居心地の悪さを覚えていたのかもしれない。

 検定の前に、「頑張って」とムスコに声をかけたが、何かもっと大切なことを伝え忘れているようで落ち着かない気持ちになった。
 試験が始まってムスコの泳ぎを見て、「しまった!」と気がついた。
 ムスコは毎回コーチから「キックが弱い」と練習ノートに注意されていた。そのことを念押ししておくべきだったが、もう遅い。
 3人同時にやらされた背泳。ムスコのコースだけが凪いでいる。白波が立っていない。コーチの指摘どおり、キックが弱いためである。
 スピードだけを重視してくれるなら、あるいは合格できるかもしれない。ムスコは2番にゴールした。しかし、ムスコたちのように中クラスでは、タイムよりも基本となるフォームが採点の基準になる。検定結果は、週明け2日だ。検定料を支払って受ける検定で、「不合格」になることは稀だとは聞いているが、今度ばかりは安心できない。

 更衣室から出てきたムスコに、
 「ビートが利いてなかったよ」と告げた。「検定なんだから、いつもの百倍頑張らなきゃ」
 「百倍? それはちょっとムリだなぁ」と苦笑いするムスコ。始まる前にねだって飲んだオロナミンCの力を借りても‘元気はつらつ’とはいかなかったようである。
 「でも」とムスコはいった。「ちゃんと先生には、伝えておいたから」
 「何を?」
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 「‘センセイ! オイラのキック、水面じゃー静かなもんですが、
 水中じゃー泡だらけなんでさー’(←江戸っ子風)」
 「(笑)先生ソレ聞いて、何て?」
 「ママみたいに爆笑しないで、ニヤッと笑っただけ」
( ̄ё ̄;)・・・ダミだこりゃ。
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by vitaminminc | 2007-10-28 14:52 | Comments(0)

親切の裏返し

 先週末会社で接種(任意)したインフルエンザの注射跡が、「思ったより腫れたね~」という話になり、自分の左腕の袖をまくりかけて「わ!」と叫んだ。
 
 「どうした?」
 自分の二の腕のサイズに仰天したわけではない。秋物のセーターを裏返しに着ていたことに気づいたからだ。
 「裏返しだった~!」
 同僚の爆笑を背に聞きながら、トイレに猛ダッシュした。

 Q:電車の中で、服を裏返しに着ている女性を発見。さて、あなたならどうする?

 上と同じ状況を、私は(記憶しているだけでも)3回経験している。
 1回目は10代の終わり。自分が服を裏返しに着ている立場だった。同年齢くらいの女性が2人、自分の後ろでコソコソ話し合い笑っているのを分析した結果、
 ゲッ! わたしのことか!と気がついた。結局彼女たちは面と向かっては何も教えてくれないまま電車をおりていった。

 2回目は20代前半。服を裏返しに着ていたのはやはり私。この時は目的地の駅で電車を降り、ホームを歩き始めたところで後ろから来た女性に教えられた。キャリアウーマン風の彼女は、通り過ぎざま私の耳元にささやいたのだ。
 「服、裏返し
 私にだけ聞こえるボリュームだった。その女性は、振り向きもせずに人混みに消えていき、私は駅のトイレへと消えて行った。

 3回目は最近。電車に乗った私は、ドア付近に立つ20代女性の服のタグに目が釘付けになった。裏返しのような風合いを楽しむ服は確かにあるけれど、タグまで見せるデザインはない(だろう)。アレはどう見ても正真正銘の‘裏返し’だ。
 私の心は叫んでいた。
 お嬢さん、ソレ裏返ってます!
 しかし、教えてあげることができなかった。いつかのキャリアウーマンみたく、さり気なく忠告してあげたかったのだが、
 何言ってんの?と冷たい目で睨まれる幻影に怯え、結局見て見ぬ振りをしてしまった。

 人に笑われていることにさえ気づいていない場合、羞恥心は指摘された瞬間に芽生えることになる。私のように性懲りもなく何度も服を裏返しに着るようなアホ人間は、果たして教えられた方が幸せなのか、気づかないままのが幸せなのか。
 一つ言えることは、「自分で気づく」方が、「他人に教えられて気づく」よりも恥ずかしいと感じる度合いが少なくて済むということだ。これは、人から冷笑される前に自白してギャグにするしかないという自虐的心理、要するにボケとツッコミの一人二役を演じることで心の傷を二分の一に減らせるという錯覚的自己暗示─つまり自己防衛本能書きにも記されているワザ(←くどい)と、どこか似ている。
 
 それでも、どうしても教えたいという親切心がわいたならば、すれ違いざまに、あるいは通り過ぎざまに、本人にだけ聞こえるごく小さな声で、空耳のようにそっとささやいて欲しいし、また逆の立場ならそうしてあげたい。
 あの日、服を思い切り裏返しに着ていた女の子は、私のように自力で気づいてトイレに駆け込んだのだろうか。それとも誰かに優しくささやいてもらってトイレに直行したのだろうか──二の腕が注射をしてもしなくても同じように‘腫れている’ことなど忘れ、そんなことをふと思い出した私であった。
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by vitaminminc | 2007-10-27 17:00 | Comments(0)

弱肉朝食

 子どもの視点というのは楽しい。忙しい朝、大人だったら見逃しているようなことを発見する。

 先日、子どもたちのカルシウム補給にと、ちりめんじゃこで自家製のふりかけをつくって食卓に出したところ、しばらくしてムスコが感動の雄たけびをあげた。
 「あり得ねー! 小魚のまきまきウ○チ!」 
 ムスコのてのひらには、蛇のようにとぐろを巻いたジャコが載っていた。
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 そして今朝。
 ムスコがまたしても雄たけびをあげた。
 「グロ!! 超怖(こ)ぇー!」
 新しくつくったふりかけの中から、選りすぐりの逸品をてのひらに載せ、キッチンに見せにきた。

 確かに凄い。大きな一匹の口から、食べている途中(?)の小さい一匹の尾がはみ出している。弱肉強食の小宇宙が展開している。
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 「コレ、ほかのやつら(写真右側のサイズ)よりでかいし、全然違う種類なんじゃないの?」
 ムスコが、共食いしているでかい一匹を見ながら言った。
 ちりめんじゃこ(イワシの稚魚)の中に小女子(イカナゴの稚魚)でも紛れていたのか。それともその逆か。あるいはもともと大食漢なので、ほかの稚魚よりでかいのか。
 「コレ、絶対ウツボの子だと思う!」

 いや・・・それはないだろう。子女子が成長したもの=「メロウド」なのではなかろうか。ちなみにメロウドは、英語のMELLOW=円熟した、練れた──とは全然関係なく、女郎人と書く。

 仲間を喰らうその姿からは、蔑まれた女の反逆のごとき哀愁が漂っていたが、グロいだの怖いだのと叫んでいた割にはあっけなくムスコの口に呑み込まれた。
 暗黒の胃液の海を通過して、今頃どこをさまよっていることやら。
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by vitaminminc | 2007-10-26 16:25 | Comments(2)

ムスコとムスメとおムス日和

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   ↑学校からの帰り道、ムスコが「ママにプレゼント♪」と拾ってきたハート型の石

 寝違えて首を痛めた私が、「痛い痛い。これは重症だ。湿布薬なんかじゃダメだ。整体に行かなくては。どこかに痛くない整体師はいないか」と大騒ぎしていると、ムスコが‘普通に’質問してきた。
 「ママ? 今日は何時に起きるの?」
 なんか変だ。私はすでに起きてい・・・なかった。夢を見ていたようだ。それもかなり痛い夢を。大体寝ている者に対して「何時に起きるのか」と質問すること自体がおかしい。その時点で相手を起こしているってことに気づくべきではないか。夢の中に片足を突っ込んだまま、夢の中ではシャキシャキ文句を言っていた私だが、現実に口を開いてみると大いにだらけた声が出た。
 「はに? おひるりかん? ひちり・・・ひゃんふぎきゃ・・・」
 「7時半に起きるんだね? ならその時間に朝食作って持ってきてあげる。ところで今何時?」
 時計を見るとまだ5時半をまわったところだった。気を失いかけたので、言い終わらないうちに夢の中に戻った(←推定)。
 「まら5時ら。もちっと、寝てなひゃ・・・」
 
 ムスコは素直に小一時間ほど二度寝をした後、やはり自然に目が覚めたらしい。そして私の知らないうちにキッチンで一仕事終えて戻ってきた。ちょうど私が、テスト用紙に名前を書き忘れないようムスコの背後に立って見張っている最中に──。
 「ママ、朝ごはん作ってきたよ」
 現実のムスコの声で目を覚ました私は、夢のムスコのテスト用紙から目を離して薄目を開けた。すると片足でドアを開けようとしている現実のムスコの姿がうっすらと見えた。
 「焼きおむすびだよ♪」
 両手に持った小皿の上には、大きな大きな、相当大きな焼きおむすびが載っていた。
 私はベッドの上に上体を起こし、小皿の一つを受け取って自分の枕の上に載せた。
 「わぁ。ずいぶんおいしそうだね」
 そう言いながら、ムスコが両脇の下に挟んできたヤクルトを受け取る。
 「一緒に食べよう」
 ムスコは嬉しそうに言って、すっかり冷たくなった足先を私の布団の中に入れた。
 「コタツみたいであったかいね」
 「ぎょえ~!!」
 私は叫んだ。自分の皿を取ってさあ食べようとしたら、上に何も載っていなかったカラである。
 「ママ!」
 ムスコは私の枕を見て笑い崩れた。枕の上には置いてきぼりにされたままのおむすびが鎮座していた。ムスコはそれを拾って、私が手にしていた小皿の上に載せてくれた。
 「テーブルクロスを引き抜くワザを披露しちゃったね」と私が言うと、
 「ああ、あのワイングラスとかを倒さずにテーブルの上に残すヤツ?」
 ムスコはおむすびを頬張りながら私の枕を見て、「あ~ぁ。枕カバーに、お味噌が少しついちゃったョ」と笑っていた。どっちが大人でどっちが子どもなんだかよくわからなくなった。
 朝型ニンゲンのムスコは、今日もこうして私の休日のささやかな楽しみである1時間の朝寝坊をほぼ100%奪ってくれた。それでいて、これ以上はムリというくらい私の目尻を垂れさせるのであった。

 楽しい朝食を終えて居間でくつろいでいると、そこそこ朝寝坊を満喫したらしいムスメがおりてきた。
 「ママー、オハヨー。わたしの朝食は?」
 「今用意する」
 キッチンに立って電子ジャーを開ける。
 「ぎょえ~!!」

 保温スイッチが虚しく点っているジャーの中は、見事にカラであった。大判焼きのようにデカイ焼きおむすび2個の残像が、頭蓋骨の内側のワイドスクリーンに映し出され、私は言葉もなく微笑むのみだった。
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  ↑14年前に、14年後の朝突然自分に降りかかる悲劇を予知して驚いたムスメ
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by vitaminminc | 2007-10-20 11:59 | Comments(2)

死後の別荘

 朝刊を読んでいた私にムスコが話しかけてきた。
 「ねぇ、ママ? ママはお墓とかにお金をかけたいほう?」
 「誰かのお墓とかじゃなくて自分のお墓っていう意味なら、ママはお金なんかかけてくれなくていいなぁ──」
 そうして私は斜め後ろにいるムスコに、親の背中を7割見せながら、振り向きもせずに静かに続けた。
 「──たとえば先いってママが死んだとき、ママは毎朝ムスコがほんのちょっぴりでもママのことを思い出してくれればそれで十分なんだ。きっとあの世で、‘お墓なんかにお金をかけないでいいから、もっと自分の子どもたちのためにお金を使いなさい’って言ってると思うよ」

 ムスコはしばらく黙っていた。
 自分の台詞に自分で感動し、鼻の奥をツーンと痺れさせている私に、ようやくムスコが口を開いた。
 「ボクはせいぜいママには76万円の──」
 「ちょっ・・・何? その具体的な数字は」
 振り向くと、新聞の折込チラシを凝視しているムスコが見えた。
 「何見てんの!」と取り上げたチラシには、


     公営墓地でも実現出来なかった低価格!!
 完成墓所セットこの価格!総額で76万円
永代使用料万円+石碑・外柵・彫刻・工事代金全て込み石工事代金10%OFF
 

 なんて文字が躍っていた。お墓に金なんかかけんでいいと言っておきながら、なぜこうも複雑な思いにとらわれるのか。
 「でも確かに激安だね」と私は言った。「普通、一区画の金額だけでもそんな値段じゃ買えないはず」
 「イックカクって?」
 「お墓を建てる土地の値段と思えばいい」
 「土地かぁ~。なら家が壊れちゃったときとか一時そこに避難してテント生活出来るんだ!」
 「墓地でか?・・・・・怖いでしょ」

 『激安物件=いわく付き』という公式も、ムスコには教育しておく必要がありそうだ。で、どうでもいいけど、うち、既にお墓あるんだよね。大きな文字では打てないが、どこの嫁でもそう思うよに、私も例外なく‘入りたくないなー’と思っちゃいる。けどまさか10歳のムスコがそこまで母親の胸中を察しているとも思えない。
 ひっくり返って能天気に笑っているムスコを尻目に、もう一度チラシに目を通す。


              新デザインの墓石が早くも登場です。
          1周年記念につき、展示墓石を30%OFF


 洋風区画は99万6000円より─か。差額の23万6000円を払って、ムスコに死後の別荘を建ててもらうのも悪くない。

 ところでこのチラシの有効期限──いつまでじゃい???
 
 
 
 
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by vitaminminc | 2007-10-13 09:50 | Comments(4)

オフィスのアイドル・チャッピー

 家庭の都合で休みをとって二日ぶりに出勤したら、待ってましたとばかり声をかけられた。
 「チャッピーが、また遊びに来ていたんだよ! みん子さんが休んでいる日に」
 「みん子さんがいないから、寂しそうにしてたわよ」
 おお、そうかそうか。かわいいヤツだ、チャッピーめ。

 チャッピーはこのあいだ日曜出勤した日に、いつのまにかオフィス内に入り込んでいた。窓を開放していたので、そこが侵入経路だろう。そしてなぜだか私に懐き、常に私のそばから離れようとしないのだった。
 仕事中なので、最初のうちはもちろん困惑した。何度も「しっしっ」と追っ払おうと試みたが、そのたびに素早く身をかわされた。そしてまたしばらくすると、音もなくそばにきているのだった。
 これといって悪さをするわけでもない。だから私は退屈しのぎに、そやつに名前を付けた。
 「チャッピー、チャッピー」
 私が呼ぶと、隣の人が苦笑した。
 「あ~ぁ。名前まで付けちゃって」
 「この子見てたら自然に浮かんだ名前が‘チャッピー’」
 チャッピーは隣の人にも愛想を振くこと思いついたらしく、今度は隣の席に寄っていった。
 「チャッピー! ハウス! ハウス!」
 隣の人が、私を指差して叫ぶと、なんとチャッピーは再び私の元に戻ってきたではないか。
 「ほ~らね、完全にみん子さんに懐いてる。これはもう、連れ帰って飼うしかないね」
 「うちは無理よ~」と私は言った。「猫が2匹もいる。ここで放し飼いするしかないでしょう」
 その後少しの間、忙しくなった。かまってもらえないことを察したチャッピーは、自ら姿をくらまして、そのまま戻ることはなかった。
 退社時間がおとずれた。午後の人と交替する時に、一応チャッピーのことを告げておいた。その人は明るく笑って約束してくれた。
 「わかった。もしもまたチャッピーが来たら、私がみん子さんの分も可愛がっとくわ!」

 チャッピーに似た子を家のそばで見たという人もいた。が、昨日会社に現れたのなら、その人が見たのは、単にチャッピーに似ている子だったに違いない。
 今朝は出勤早々チャッピー情報を寄せてもらったが、残念ながらオフィス内でチャッピーを目にすることは出来なかった。

 物足りないな寂しいな・・・と思う反面、ああ、これでよかったんだとも思う。なにしろチャッピーは小さい。ごくごく小さい。

 でも、よかった。本当によかった。あの日私に懐いたのが、銀蝿じゃなく、コバエで。
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by vitaminminc | 2007-10-12 15:17 | Comments(2)

森に帰ろう

 テレビ・コマーシャルを見るのが好きだ。

 追い払っても追い払っても果物にたかってくる市場のコバエのように、たとえそれがどんなに番組に水をさしたとしても、だ。テレビからCMが消えてなくなるよりは全然いい。いや、なくなったりしたら困る。受信料の問題以前に、きっと寂しくてたまらなくなる。

 映画の予告編、東スポの見出し、そしてテレビのコマーシャル。短いものほどおもしろい。これまで見てきた平均15秒間のテレビCMの数々。心に残るCMは数え挙げたらきりがない。が、秋がどんどん深まっていくこの季節。深い森の奥へといざなってくれるようなCMはコレ。

 何年前だろう? AGFマキシムのコマーシャルである。BGMに流れていた、マティア・バザールの名曲「愛のブルー・トレイン」に耳も心も奪われた。この曲、当然レコードアルバムでは持っているのだが、ものすごーく残念なことに、CD化されていないのだ。これほどの名曲だ。いつの日か復刻盤CDとなって、再び私をあの森に連れて行って欲しい。
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※懐かしいマキシムのCMをご覧になりたい方は、下のアドレスを‘コピー&ペースト’し、提供サイトへリンクしてみてください(無料)。

⇒⇒     http://jp.youtube.com/watch?v=S03kWf1BnXM

   

    
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by vitaminminc | 2007-10-10 15:49 | Comments(5)

あなどら連発

 セルフのスタンドで給油をし、支払いのため店内に入る。中にいたのは、30代半ばの女。見慣れる顔だ。新入りか。
 「6番です」
 と給油Noを告げる。
 「6番?」とその女が聞き返す。
 「6番です」
 と私は繰り返し、クレジットカードを出す。
 女は無言でカードを切る。
 おい・・・。私はにわかに腹が立ってくる。何で客の私が敬語を使って、店員のアンタがその態度なのだ。
 「サインをお願いします」
 ここで初めて女は「ですます」調になった。
 仕方ない、許してやるか。柔らかな筆遣いで私は名前を書く。

 スーパーで買い物をしてレジで精算をすませると、50代後半くらいの女の店員が、
 「ありがとう」
 と短く言った。
 駄菓子を買いに来た小学生ではない。ここはふつう「ありがとうございます」ではないのか?
 もともと「ありがとう」という言葉自体は好きな私だ。レジ係が自分より年長者であることを考慮して、心の片隅で苦笑するに留めた。
 買った商品を袋に詰め終え、さあ帰ろうとしたときだ。背中でレジ係の声が聞こえた。
 「ありがとうございます」 
 別の客に対して言っていた。しかも、その女性客は明らかに私よりも若い。女性客が自動ドアを抜けて表へ出る際にも、レジ係はもう一度言った。
 「ありがとうございます」
 女性客は買った物を自分で袋に詰めることなく店を後にした。購入したのが一品だけの場合、レジ係はバーコードを通した商品をそのまま袋に入れて客に渡す。
 さきほどの女性客よりもたくさんの品を買い、おそらく支払金額もずっと上回っていたであろう客の私が自動ドアを抜けるとき、レジ係は「ありがとうございます」とは言わず、無言のままだった。

 実は私はこのような目によく遭う。早い話が、軽んじて見られがちだ。自分の何が相手を横柄にさせるのかわからない。わけもわからないまま「どっちが客だかわからない」態度をとられる。
 年上の店員にぞんざいに扱われた時には、「必要以上に若く見られたんだ」と受け流し、年下の店員に失礼な態度をとられた場合は、「まだまだ修業が足りないね」と許容もするが、目の前であからさまに差別されると、さすがに不快になる。

 ムカムカしながら考える。
もしかして自分はコイツにだけは頭を下げたくないって顔をしているんだろうか。気が弱そうだとか、何をやっても許してくれそうだとか、そんな理由ではなく、単純に「頭を下げたくない面構え」というやつ。
 若い頃はもっと眼ヂカラがあって、「横目で睨まれるとコワイ」と恐れられもした。そのせいか、店員に高飛車な態度をとられた記憶もない。年齢と共にすっかり顔面根性が失せ、キリッとしていたはずの目元(自認)は完全にタレ眼(by ムスメ)になった。こうなってしまった以上は仕方ない。若返り整形などを企てるよりも、仏の顔の方に磨きをかけよう。

 ところが、まだあった。声である。顔が見えないのだから電話ならOKかと思いきや、これがまた、面白いように舐められる。
 勤務先のフリーダイヤルにかかってきたエロ電。実年齢をいったらグロテスクなくらいのギャップがあるとも知らず、開口一番独りで勝手にボルテージを上げ、独りで勝手に果てた。平日の真昼間、わずか1~2分間の光速飛行である。
 タレ眼は点となり、鼓膜には気色の悪い残響がいつまでもこびりついて離れない。
 「どこへでも勝手に行きやがれ~!」
 そう叫んで受話器を投げ捨てた私を見て、同僚が吹き出した。
 「もしかしてエロ電?」
 「おばさんに向かって、‘おねえさん’と呼ぶんじゃねー!」
 
 本当に、どうして自分はこう他人に穴取られ侮られてばかりいるんだろ?(T皿T)
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by vitaminminc | 2007-10-04 17:50 | Comments(4)

ハナマル新聞広告

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 「プラレール」や「トミカ」シリーズなど男児向け玩具の帝王トミカと、看板娘のリカちゃん&誰でも一度はやったことがあるであろう国民的ボードゲーム「人生ゲーム」でお馴染みのタカラが合併(2006年3月1日)してから1年半あまり。株式会社タカラトミーの誕生は、有名男子校と有名女子校が合併して夢のマンモス共学校が出来たようなものだった。

 実はこの学校ぃゃ会社、東京下町は葛飾にある。私の生まれ育った町だ。
 タカラトミーになってからの「リカちゃん」の広告が、なんともいえずイイ。
 たとえば9月29日付読売新聞全面広告は、上の写真の右側。お人形=ロングヘアの概念を打ち破って登場したリカちゃんは、今風のショートヘア。その顔のドアップは、ほぼヒトの頭と同サイズ。とってもかわいい。
 そしてその短髪リカちゃんの頭上に、
 まるで光の雨ように降り注いでいるのが、こちら↓↓↓の詩。                         


         わたしを束ねないで    
                            新川 和江

         わたしを束(たば)ねないで
         あらせいとうの花のように
         白い葱のように
         束ねないでください  わたしは稲穂
         秋 大地が胸を焦がす
         見渡すかぎりの金色の稲穂

         わたしを止(と)めないで
         標本箱の昆虫のように
         高原からきた絵葉書のように
         止めないでください  わたしは羽撃(ばた)き
         こやみなく空のひろさをかいさぐっている
         目には見えないつばさの音

         わたしを注(つ)がないで
         日常性に薄められた牛乳のように
         ぬるい酒のように
         注がないでください  わたしは海
         夜 とほうもなく満ちてくる
         苦い潮(うしお) ふちのない水

         わたしを名付けないで
         娘という名 妻という名
         重々しい母という名でしつらえた座に
         坐りきりにさせないでください わたしは風
         りんごの木と
         泉のありかを知っている風

         わたしを区切らないで
          ,(コンマ) や.(ピリオド) いくつかの段落
         そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
         こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
         川と同じに
         はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩
  
                   (詩集「わたしを束ねないで」 童話屋 刊より)




 久しぶりに、胸を打つ広告に出合った。
 「ふちのない水」のような脳で、リカちゃんと同じ葛飾生まれであることを誇りに感じ、
 「泉のありかを知っている風」のように、詩を読んで、ひゅーーー、と溜息が出た。  
       
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by vitaminminc | 2007-10-02 17:58 | 趣味 | Comments(4)


日々の暮らしに「ん?」を発見


by みん子

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