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愚痴ってもいいですか

 8月のお盆に東京の実家に帰った晩、亡父の夢を見た。
 
 近所(実家の近くに似た街並)をウロウロしている2匹の真っ黒い野良犬(成犬)のことで悩んでいる私に、父が話しかけてきた。

 「なんだ、また犬のことを心配してるのか?」

 「うん。だって、あのままじゃ保健所に連れてかれちゃうんじゃないかって」
 
 「いいよ」と父は困ったように微笑んだ。「飼ってあげればいいじゃないか」

 私は子どもみたいに小躍りした。

 「ほんと? ほんとにいいの? おとーさん、犬2匹だよ? 2匹ともいい?」

 「ああ、いいとも。おとうさんはみん子が悩んでいる姿を見るより、そっちのがずっといい」

 「わ~! ありがとう、おとーさん!」

 目覚めと同時に、それが現実ではなく夢だと知って、少し泣きそうになった。


 おとうさん。
 今私、犬と一緒にいないんだよ。信じられる? 
 この私が、犬と一緒じゃないなんて。

 ぽっかりとした気持ちに、ふと襲われるのは、犬のいない生活というのに馴染まないせいだろう。

 だんなは、前に言ったことがある。
 「外で鎖につないで飼うのなら、絶対に家にあげない条件で、おまえが全部面倒を見るというのなら、勝手にすればいい」

 そんなんじゃ嫌だ。私は犬と一緒に暮らしたい。
 こんなに暑くなってしまった日本の夏。外で、鎖でつないで飼うなんて、絶対に嫌だ。
 
 5年ほど前に亡くなったポポは、実家にいたときは室内で寝起きしていたが、私が引き取ってからは、ずっと庭で鎖につながれていた。
 だんなが、犬を家にあげることを許してくれなかったからだ。

 真夏、暑さに喘いだポポは、土を掘り返し、穴の中で涼をとっていた。
 すると今度は穴を掘るなと言って、ダンナはポポを叱りつけた。

 こんなヤローのもとでは、犬とは暮らせない。

 
 去年、猫の茶尾を亡くし、私のぽっかりはまたジワジワ大きくなり始めている。
 兄貴分の猫=眠眠も、どこか寂しげだ。
 子どもたちも、犬が飼えないなら、もっと猫を飼いたい。
 犬と猫の両方が飼えたら一番いいのにと思っている。

 ある日のこと。近所を縄張りにしている野良猫たちが夏に生み落とした仔猫について、子どもたちと話し合っていたら、だんながいきなり自分の部屋から出て来て一言。

 「もうこれ以上、猫も犬も飼わないからな! 絶対にダメだからな!」

 
 おとーさん。
 私のオットは、酒も煙草もギャンブルもやりません。女癖も皆無です。
 つまらんくらい、超真面目なオットですが、私は満たされません。
 オットが動物嫌い。この現実が私の心に穴を開け、私の心はいつだってカラカラなのです。

 結婚前の約束(私と結婚するとモレなく犬と猫がついてくることになるがそれでもいいか?⇒いいです、動物は好きです)を破棄し、事実上、動物を飼うことを禁じているオット。

 先日眠眠が、わざわざそんなオットの和室に入り、畳の上にゲロゲーロした時は、ザマー見ろ 超焦った。
 「なんでママの部屋で吐いてくれないのよ~!?」
 畳が磨り減るくらい、何度も何度も拭き掃除をしながら、わんにゃんを愛せないオットのことを愛せない自分を実感。

 わんにゃんを愛せなくても、せめて私たちに好きなようにやらせてくれりゃ~よいものを。
 ノータッチでいい。許可するくらい、できねーもんか。ドケチ!
 敢えて「ダメ」と言い切るってことは、よっぽど嫌いなんだろう。
 けっ!!

 おとーさん。
 また夢に出てきてよ。
 ぽっかりの私に、「いいよ」と苦笑してみせてよ。「犬を飼ってもいいよ」って言ってみせてよ。
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                  オットに「部屋に入るな」と言われているくせに、すぐに
           襖を開けて入る眠眠。オットがいないと平気でオットのベッドでくつろぐツワモノ。
           しかし猫の室内飼いは事後報告の末しぶしぶ承諾したのに、なぜ犬はダメ?
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by vitaminminc | 2009-11-25 17:50 | Comments(4)

失言により失笑を買うという失態~シQKガン検診より~

 まずはじめに、これから私がお話しする内容が、決して「ネタ」ではないということを、この場を借りて断言します。

 
 年に一度(あるいは二度)の健康診断。
 どういうわけか、私は毎回何かしらの失態を演じている。(←女優でもないくせに)

 去年は完璧を狙うあまり、肩というかマタというか、とにかくチカラが入り過ぎ、見事に空振りした。
 ヒンシュクを買ったのである。

 今年こそは。今年の「子宮頸がん検診」こそは、ぬかりなく、スマートに、そして雅やかに終えてみせよう。

 子宮頸がん検診ほど嫌なものはない。インフルエンザの予防接種を10回受ける方がマシだ。
 「自己採取法」という選択肢もあるにはある。一度自力で挑戦した年もあるにはあった。
 が、これも比類なく嫌だった。どうせ嫌なら専門家に委ねた方が、失敗しなくて済む。
 こうしたことから、毎年「医師採取法」を選択しているのである。

 私も嫌だが、医師はもっと嫌に違いない。
 そう考えれば、少しは我慢しようという気にもなるから不思議だ。

 そんな清く正しく美しい心意気で臨んだのも束の間。

 受付兼控え室は、市の文化センター3階会議室。
 ここがまた、この世のものとは思えないほど罪深く居心地が良いのだった。
 ぽっかぽかに保たれた室温は、まるで母胎の羊水にでも浸かっているかのよう。

 持参した文庫本を開いてみたものの、2、3行読んだだけで、まずは両の瞼が落下。
 そして間もなく、強力な磁力が働いて、額が机に吸い寄せられた。
 中高生でもあるまいに、机に突っ伏して寝入ったバカモノは、たぶん私くらいのものだろう。

 しかし、そんな私にも、耳の奥に理性のカケラが残っていたらしい。
 係員の番号を呼ぶ声に反応し、ゆるゆると顔を上げ、ゾンビのようにイスから立ち上がったではないか。

 番号を呼ばれた4人の中では、私が最後尾だった。4人でエレベーターに乗り、4人で1階におりる。
 4人で外に出て、4人で文化センターに横づけされた検診バスに向かう。

 外気はまるで冬のごとく冷たかったが、私はまだ半分羊水の中にいて、足が地に着いていない感じがした。
 酔客みたいな足の運びになりかけるのを、一歩一歩軌道修正を加えながら歩く。まるで水中歩行である。

 4人ずつの総入れ替え制にしているせいで、バスに乗り込んでからは進みが速かった。
 狭い車内で蟹歩きする必要もなく、入ってすぐに、先の2人が2つあるカーテンの中にそれぞれ消えていった。

 採取は1人ずつ。
 2番目の人は、採取を終えた1番目の人が身支度を整えている間に採取され・・・という流れである。
 1番目の人が身支度を終えてカーテンから出てくると、そこに私の前の人(3番目)が呼ばれて入る。
 私は、2番目の人がカーテンから出て行くのと入れ替えに、中に入った。
 
 今回はぬかりなく下着を脱いだ。
 3番目の人が壁一枚隔てた横で身支度を整えている間に、私の採取も完了。
 死ぬほど眠かったおかげで、今回ばかりは痛みも感じずに済んだ。

 隣のカーテンからは、すでに人の気配が消えている。私も急いで身支度を整えた。
 そして、カーテン越しで声しか知らない2名(男性医師1+女性看護師1)に対し、律儀にも挨拶を述べて退出することにした。

 これがマズかった。

 なにしろ、こちらは胎児並みに眠かったのである。頭にひらめいた言葉と、実際に発音しようとした言葉とがチグハグになった。
 「お世話になりました」と言おうとしたのに、唇と舌は「ありがとうございました」の態勢を整え、その結果、私の口から発せられたコトバというのは──

 あらわになりまぢた。

 車中の2名に無言で見送られながらバスをおりた。
 駐車場に向かう道すがら、『こいつぁ~ヒドイ』と自分で呆れた。
 ハンドルを握ってからも、マスクの下で何度も噴き出した。(←バカ)

 去年買ったのはヒンシュクだったが、今年は失笑も買った。しかも自分で。(←激バカ)

 
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by vitaminminc | 2009-11-20 17:32 | Comments(4)

「演技」を担ぐオトコ

先週のことだ。

朝の通勤バスの中。その日の私の座り位置はというと、乗車口から入った真正面のシートであった。

シルバーシートを示す大きなシールが貼あったので、出来ることなら避けたかった。

でも、バスは遅れて到着したせいか、私を乗せるとすぐさま乱暴に発進した。

(おっとっと・・・)という調子で、半ばよろけるように座った席が、たまたまソコだった。(←まるで老女)

乗ってから2つ目の停留所で、バスは新しい乗客を迎え入れた。

(おっと、こりゃいかん)

松葉杖をついた60前後の男性が乗ってくるのを認めた私は、疾風のように後部2人掛シートに移動した。

運ちゃんは、松葉杖の男性が私の元いた席にゆっくりと腰を下ろすのを見届けてると、バスを穏やかに発進させた。

朝は、いつもターミナルより1つ手前の、「駅入口」というバス停で降りることにしている。

駅前の信号に引っかかると、歩いた方が早いからだ。

その朝は、私よりも先に誰かが「降ります」ボタンを押していた。

はたして、「駅入口」で降りようとしていたのは、松葉杖の男性だった。

男性がゆっくりとバスを降り、私もその後ろに続いて降りた。

私の前を、松葉杖の男性が歩き出す──

あっれぇ~???

私の前を颯爽と歩いていくのは、松葉杖をサーフボードのように抱えた男である。

60前後に見えた男性が、一気に10歳くらい若返って見えた。

(そうまでして・・・)腹が立つよりも、男の「演技」がおかしくてニヤケてしまった。
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by vitaminminc | 2009-11-08 22:50 | Comments(2)


日々の暮らしに「ん?」を発見


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