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関わってしまった

 ムスコが通っている塾から、帰宅時に関する通達があった。

 それによると、今月に入ってから市内の路上で中高生による恐喝事件が何件も発生しており、遺憾ながら当塾生も被害に遭ったとのこと。塾としては、最終退館時刻を厳守し指導を強化するとともに、警察とも連携して、授業終了時には講師が塾周辺の安全確認を行う旨記されていた。
 そのほか注意すべきこととして、下記の内容が挙げられていた。
 ①不必要に居残ったり、寄り道をしないようにする。
 ②帰宅時は薄暗い道やひと気のない通りを避けて、できるだけ大通りを選んで帰る。
 ③通塾時は貴重品や高額の金品を持ち歩かないようにする。

 実はこれより2日前、ムスコが恐喝未遂事件に巻き込まれた。
 ひと頃、「おやじ狩り」なんて言葉が聞かれたものだが、今では帰宅が22時を過ぎる塾通いの中学生が標的になっているのだろうか。
 勉強に明け暮れてひ弱になっているとでも?  おやじ狩りから「もやし狩り」に鞍替えかい。

 その日、ムスコが塾生のBくんと2人で地下にある駐輪場から歩道に出ようとすると、目の前を自転車に乗った同じ塾生のAくんが歩道から車道に出ていくのが見えた。
 奇妙なことにAくんは、帰るべき方向から塾に戻ってくるかたちで歩道から車道に出ると、また凄い勢いで帰るべき方角に走っていった。
 するとその直後、今度は自転車に乗った見知らぬ少年4人が縁石の切れ目のところ(つまり塾の真ん前)でいったん停まり、Aくんが走り去った方角を振り返りながら、こんなことを言っているが聞こえた。
 「クソ、なんだよ」
 「めんどくせーヤツ」
 「いいよ、行こうぜ」

 この時点でBくんがどう思ったかは知らない。が、安穏に生きているムスコの目には、その4人がAくんと同じ中学の《トモダチ》かなにかで、呼び止められはしたものの、帰宅を急いでいるAくんが上手にかわしたのだろう、くらいにしか映らなかった。なにしろこの日まで「もやし狩り」が頻発しているなんて想像もしていなかったのだ。

 ところが、しばらくBくんと一緒に自転車を走らせていると、右前方のひと気のない公園付近で数人の少年が《立ち話》 をしているような光景が目に入った。
 さして気に留めることもなく通り過ぎようとしたら、
 「××! ××!」
 と自分の苗字を呼ぶ声がする。緊迫した声の主がAくんとわかった瞬間、ムスコとBくんは状況を把握した。
 Bくんはフェイドアウトし、名前を呼ばれたムスコは不承不承助太刀に走った。正確には、スタンドを使ってきちんと自転車を停めて、ゆっくりと歩いて近づいた。

 後で思い返してわかったことだが、この時Aくんに直接手を出していたのは2人。残りの2人は少し離れた場所に《見張り役》として立っていた。先ほど見かけた4人だった。いったん逆方向に去ったと見せかけ油断させておいて、猛スピードで左折を2回繰り返し、先回りして執拗にAくんを追ったわけだ。

 ムスコは無言のまま、Aくんの身体と自転車を押さえ込んでいる1人の腕をバシッと片手で払い除けるやいなや、Aくんが背負っていたデイパックをこじ開けようとしていたもう1人の急所=脛を蹴った(←窮カピバラ猫を噛むの図)。

 見張り役の1人が言った。
 「ヤベーよ、ほかのヤツにしようぜ!」
 言うなり、そいつが自転車で遁走すると、条件反射のように残る3人も慌てて自転車に跨り走り去った。
 ほかの3人が、「ヤベー」の意味を「誰か来た!」と解釈したのか、それとも敵陣にたった1人で乗り込む、ミリタリージャケットに身を包んだ大柄なムスコを狩れないオヤジと判断したのかは不明(多分前者だろうけど)。

 途中までの道をAくんと並走しながら、「さっきのヤツら、知ってるの?」とのムスコの問いに、当然のことながらAくんは「知らない」と答えたという。「同じ中学じゃないし、見たこともない」。
 ムスコとAくんは、途中で1人になったBくんの身を案じつつ、それぞれの帰路についた。

 家に帰るまでの間、ムスコはAくんの言葉を受けて、あることに思い当たっていた。「ヤベー」と言った見張り役の少年──どこかで見たことがあるような気がしていたが、ムスコと同じ中学の、1学年上にいるヤツではないかと。

 休み時間、男子トイレの窓から校庭を見て、サッカーをやっている上級生がミスする度に、
 「下手クソ~!」と叫んではパッと窓の下に隠れる。そんなスリルとサスペンスに満ち溢れた遊び(←バカ)をしている時に見かけた、ミスった先輩の1人だった気がすると。あぁ、母さん心臓の毛が脱毛しそう。

 「だから、そいつが《ヤベー》って言ったのって、オレが同じ中学ってわかったからかも」
 ゲロゲロ。報復されたらどーすんだ。
 「明日学校で顔合わせたら気まずくて嫌だな」
 ゲロゲーロ。そんな甘いもんじゃなかろ。口封じとか称してボコされたらどーする。
 「とにかく」と私は言った。「顔を合わせることがあったとしても、まったく気づかないふりを決め込むこと!死ぬ気で演技しろ」
 「塾や学校には言わないでよ」
 「今のところは言わないでおく。その(見張り役の)子が同じ中学だという確証もないし。Aくんに名前を呼ばれた以上、同じ中学だとしたら名前から面が割れる可能性がある。くれぐれも用心しなさい」

 それにしても意外だった。ムスコに正義感らしいものがあるらしいことは知っていたが、不本意ながらも(?)それを発揮するのに必要なだけのチカラらしいものがあるらしいってことが。
 ムスコは伊達に勉強してないわけではなかった。そして伊達に部活の大会で敗退しているわけでもなかった。勉強してない時間はゲームで指先を鍛え、部活ではもっぱら基礎トレーニングのみが糧となり、腹筋が割れ体脂肪1桁をキープ。自称「腕相撲はクラスで1番」である。

 しかも、考えてみれば父親譲りの凶暴性がないわけではないし、天性の武器もある。

 恐喝少年たちに告ぐ。ムスコには、いや、すべての人たちに卑怯な手を使うのはやめろ。私を本気で怒らせないでくれ。キミたちが少年院に入るのは仕方ない。が、私はまだムショに入るわけにはいかんのだよ。

 後日塾から配布された通達は、おそらくAくんの保護者からの報告を受けて作成されたものだろう。ムスコが先の一件に関し、講師陣から何ら事情説明を求められなかったのは、賢いAくんが、いかなる理由にせよムスコに一切の迷惑がかからないよう配慮した結果にほかならない。

 私は心配になってムスコに言った。
 「これからは塾まで車で送迎するよ?」
 「いや。大丈夫」
 だが今日になって、ムスコが使用していない柱時計の「振り子」を武器として隠し持っていることが判明。やはり報復に備えているではないか(涙)。
 でもその振り子が、笑ってしまうほどしょーもなく華奢なので、私はこれから護身用に何かイイものはないか情報収集にかかる所存である。
 中学生が護身用として所持するのに適したもの──使えない防犯ブザーなんかじゃなくて──ムスコ! 塾に行く時は、必ずゴーグルとマスク、それとコショーを2つ、忘れずに持って行きなさい。いや、マジで。

 



 
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by vitaminminc | 2011-10-30 12:41 | Comments(2)

関わってはいけない

散弾銃のにわか雨を浴びたような顔で帰って来たムスコがいうことには──

自転車走行可の歩道ではなく、車道の端を普通の速度で走っていたら、はるか後方で何者かが何かわめき散らしている声が聞こえた。
その声がだんだん近づいてくるように思われた。
「どけ! どけどけどけ! どけっつってんだよ、このクソ野郎!」
若い女の怒鳴り声。
(え? まさかオレのこと?)
半信半疑でチラッチラッと後ろを振り返るうちにも、女はみるみる接近してくる。
紫色の上着にスカート、顔黒化粧(←いまどき?)に金髪のポニーテールを振り乱し、逆上中の真っ赤な目で自分を射た。
b0080718_9551890.jpg「クソ野郎! おめぇのことだよ! そこどけ! どけッ!!」
条件反射のように歩道に入って敵をやりすごしたものの、にわかに腹が立ってきた。
(チクショー、なんなんだよ!?)
再び車道に出ると、今度は自分が敵のすぐ後ろにピッタリつけた。
チリン チリン チリン
クラクションベルを鳴らしながら低い声で威嚇した。
「どけ! どけ! このクソ野郎!」
もともとキレていた女は、身も裂けよとばかりに意味不明な言葉をわめき散らしながら、その先を左に曲がって消えたという。

ムスコはでかい(クラスで一番長身)。私服姿で、さらに後ろ姿だと大人に見えなくもない。
女だてらに、そんな相手に対して怒鳴り散らせる神経がわからない。
「だろ?」とムスコが怯え顔で言う。
仕返しをしておきながら、女が去った後、突然恐怖を感じたらしい。
あれだけ至近距離で怒鳴っていたのだ。当然自転車の後ろに貼ってあるシール(中学校名+駐輪番号入り)も見たはずだ。そこからオレのことを割り出して、報復されたらどうしよう?

遅い。どうして放っておかなかったのか。ムスコも十分自覚なきアブナイ人種である。

「でも何をそんなに急いでたんだろうね」
「カレ氏にフラレて暴走?」
「赤い目してたんでしょう? 泣いてたの?」
「母危篤とか? いやいや違う、泣いてたんじゃない、アレは──」
「変なクスリでもやってたのかな」
「狂っていた」
ベルをチリンチリン鳴らしながら「クソ野郎!」と言い返したムスコ。
通行人がそこだけ見たとしたら、狂人とは100%ムスコを指す。

女は、ムスコが大人だろうと中学生だろうと見境なくはるか遠くから怒鳴っていたという。
ムスコがかろうじて狂い切っていない可能性を認めて母は少しほっとした。
相手が男だったらそのまま歩道を走り続けていたョという。
つまり、自分が闘える相手か否かを判断するだけの頭は働いたということだ。
「相手が女だからって・・・バックにすごいのがついてたらどーする」
念のためムスコの頭上に再び散弾銃の雨雲を呼び寄せておいた。
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by vitaminminc | 2011-10-25 09:57 | Comments(0)

♪名のある花にも名まえをつけましょう

仕事の電話を終えるとき(はじめも無論そうしているが)、必ず名乗る。
すると十中八九聞き間違えられる。
あまりにもそれが多いので、気になって同僚に確認しても、みんな一様に首を傾げる。
「そんなことないよ。(日頃いかに噛みまくろうとも)ちゃんとハッキリ言ってるし、そう聞こえるよ」

これ以上はできないというくらい明瞭な日本語で、NHKのアナウンサーばりにハキハキと名乗っても、なぜかトンチンカンな名まえを繰り返される。

タカナミさん? (土用波か)

タテガミさん? (ライオンか)

カタガミさん? (洋裁か)

カタガキさん? (ねーよ)

上に挙げただけでも、ふつうそんな名前ないでしょーの世界なのに、
先日ありえない名で繰り返されたときには、さすがに噴き出した。

え? マタガミさん?

ええ、確かに股上の深いもん、穿いちゃってますけど。
あ。でもマタガミさんて、ありえなくもないか。噴き出したりしてゴメンナサイ。

その後、どうやら名前を聞き間違えられるのは私だけではないということがわかった。
要するに、使っている電話に問題があるのだ。
そうとしか思えない。さほど珍しい名前でもないのに、毎回珍名さん扱いされているのだから。

ま、個人でやっている商売ではないわけだし、本名を名乗る必要性も感じない。

私はこれからも、砕け散る高波を見つめながら、
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風にタテガミをなびかせて、
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母が型紙をとって縫ってくれた
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股上の深いパンツを穿き、
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ライオンキングのようなダンデライオンとなって、
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肩書などなくていい、花のように生きていくんだ。
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by vitaminminc | 2011-10-22 21:19 | Comments(2)

アイ・ラヴ・レッチリ

You Tube で、カリフォルニアのバンド Red Hot Chili Peppers の The Adventures of Rain Dance Maggie という曲を繰り返し流していると、不思議な感覚に浸れる。
70年代~80年代にトリップできるのだ。
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深夜番組で偶然このバンドを知って、何だか妙に波長が合ってしまった。
バンド名もマギーの曲名も、大好き。
「レイン・ダンス・マギー」のPVのヴォーカルなんか、クィーンのフレディー・マーキュリーをパロッ意識しているとしか思えない。姿勢正しくマイクを摑んでみせるが全身卑猥。

なぜだ。なぜなんだ。この懐かしさはどこから来るんだろう。
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ウィキで調べてみたら、PVでは年齢不詳に見えたけど、4人中3人が60年代生まれ! 
私と年齢がほぼ同じ! 
ど~りでど~りでど~りで!
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50の若者が素敵にロックしている姿、たまりません。
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by vitaminminc | 2011-10-18 21:29 | Comments(0)

バカのカはチカラのカ

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先月、ムスコの学校で運動会がありました。上の写真は、ムスコのクラスの応援旗であります。
ムスコの中学校の運動会では、毎年クラス応援旗のコンクールも行われています。
夏休みに美術の課題で描いた応援旗のデザインの中から、みんなの投票でクラスの旗を決定。
デザイン提供者はもちろん、応援旗実行委員というのが選出され、毎日放課後教室に残って、
クラス応援旗の作成にかかっていたそうです。

何が難しいって、小さな絵を手描きで大きく写すのですから、大変です。
ほんのB6サイズのデザイン画を、4人掛けダイニングテーブルくらいのサイズに拡大しなければなりません。比率が狂ったりすると、全体にバランスが崩れてきて、違う印象の絵になりかねません。
原画よりも少しふっくらとして、社会科の教科書からスカウトしたはずの織田信長が、どことなく
ロバート秋山に?
でもみんなで遅くまで残って、体操着にペンキをつけた甲斐あって、立派な旗に仕上がりました。
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旗コンクールへの投票権は、先生+生徒+生徒1人につき保護者1人。ビジターは投票不可。
投票者は、各学年別に、最も良いと思う旗にマルをつけて投票します。合計3つにマルします。
学年ごとに採点されるので、他学年にきょうだいがいる生徒のクラスは俄然有利になります。
もしもムスコに年子の兄弟がいたとしたら、ムスコの応援旗には、家族4人分、確実に4票を
投じられるわけですが、できない計算をしても仕方がない。わが家の持ち点は、わずか2票。

先日、月が変わってようやく発表された投票の結果、ムスコのクラスの旗は2位でした。
8クラスある中での2位なので、私は大満足です。
また、先生票だけでみると1位だったそうですので、それも嬉しく感じました。
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ところで、こちら↑↑↑が宿題の原画。職員室に出しにいったら、担任の先生に笑われたそうです。
「おいぉぃ。思わず力が入るのはわかるけどな──」
先生は、誤字(「力」⇒「又」)を訂正しながらおっしゃいました。
「コレじゃ、チカラ、チカラ、チカラ─4つも力が入ってるぞ」

努力のの字は、オンナ⇒マタ⇒チカラですが、オンナ⇒チカラ⇒チカラになっていて、
さらに勝利のにもチカラが入っているからです。

「クラスの応援旗、何にしようかな」と悩んでいたムスコに、
組ならカッパキュウリのバトンを持って走ってるのにすれば?」
という母親(私)のありがたいアドバイスを聞かなかったことにして摑んだ栄光も束の間。

9月の実力テストの結果を母に見せないまま、勝手に「親のサイン&押印」を捏造して先生に返却したことがバレて、昨日は奥さん(私)カミナリが落ち、感電死しかけた、あまりにもバヂカラなムスコなのでありました。トホホ・・・。
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by vitaminminc | 2011-10-17 15:54 | Comments(0)

高齢魚・銀ちゃんの今

銀ちゃんが治療を始めてから、もう1カ月・・・。
思わしくない。
一時状態がよくなったように錯覚して、プラケースとバケツをいったりきたりの、
5㍑ウサギ小屋というかミジンコ部屋というか、
銀ちゃんにはあまりに狭いサナトリウムから出して、元の30㍑水槽に戻した。
運動不足によるストレスも治療の妨げになると思ったからだ。
もちろん、完全に治ったとは思っていなかったので、ブルーの薬浴は続けた。

でも、30㍑水槽ともなると、とてもじゃないが毎日の水換えは無理。
それがよくなかったのか、またもや病状が悪化して、今度は新たに外傷まで加わった。
痛いのだろうか。痒いのだろうか。
長さ4cm足らずの小さい筒状のエアストーン目がけて何度も身体をこすりつけたらしく、
右半身から広範囲に出血。エラが腫れているのも眼球が突出しているのも全部右側。

びっくりして、慌ててまた元のバケツに移し、新鮮な水で薬&塩浴をさせることに。
良質な細かい泡をつくるストーンは取り外し、柔らかいチューブのみで酸素を送ることにした。
その甲斐あってか、一晩で出血は治まった。

それでも、相変わらず「暴れる」⇔「ぐったりする」を繰り返している。
水のはねる音を耳にするたび、私の心臓もはねる。
フナの解剖をさせられた遠い昔、魚類は痛みを感じないと習った気がする。
が、ヒトのように「脳」では感じなくても、「脊椎」による反射としての痛みはあるらしい。

身体をこすりつけたり、水面で飛び跳ねたりといった症状のほかに、
眼圧が高くなるものとしては、エロモナス属による細菌感染症が考えられる。

病名の絞り込みが難しく、これまでは無難な万能薬ともいえる外傷薬(グリーンFリキッド)を
使っていたが、どうにも効果がない。
思い切って、特定の細菌に効果があるという薬に替えてみることにした。
これが見事ビンゴだったら銀ちゃんの症状は劇的に良くなるのだが。
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それから、こわごわ調べてみたところ、金魚の寿命は平均10年ほどらしい。
銀ちゃんは、満12歳だ。
長寿に違いないとは思っていたが、すでに平均寿命を超えていると知り、ショックだった。
昨年あたりから急激に免疫力が落ちてきたように感じたのも無理はない。

どうにかして病気を治して、もとのピンクパールに輝く美しい身体に戻してあげたい。
今は、ただそれだけ。
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by vitaminminc | 2011-10-15 20:35 | Comments(2)

風の谷のウマシカ

「ちぃ~~~」
ムスメの笑い方の一つである。
エネルギーの節約でもしているのか?
「ちぃ~~~」と風のように笑う。

去年までは、思わず「出たな妖怪!」と反応せずにはいられない、不思議な吸い込み笑いが主だった。
でも、今年に入ってからは、もっぱら「ちぃ~~~」

よそでは知らない。
家の中、それも私の前で笑うときは、ほとんど「ちぃ~~~」

どんな場面でこのような笑い方をするかと言うと、最近の例がコレ↓↓↓

玄関チャイムの音。
玄関ドアのはめ込みガラスに、ムスメの人影。
私(ドアの鍵をあけながら)「おかえり~」
ムスメ「ただいま~」(中に入ってドアに鍵をかけようと後ろを振り返って)
    「これ、奥さんが自分で書いたの?」
私「うん」
ムスメ「ちぃ~~~」

玄関ドアの内側に貼っておいたメモは、
『奥さん、仕事道具を
 忘れないように!』



職場で使っている資料が増殖して手に負えなくなり、連休前にファイリングBOXごと家に持ち帰った。
その書類の整理に費やした時間が、なんと2時間。
今の職に就いて今年で早7年目。
根がアバウトなので、ファイルの境界線も年々アバウトに。
必要書類がサッと取り出せず、ひどい時には隣の人に頼んで資料を見せてもらう始末。
これではいかんと一念発起。
かなりの重量の書類を持ち帰り、2時間かけて30%の削減に成功。

だが、私は私を信用していない。
こうして整理整頓して美しく生まれ変わったファイリングBOXを、平気で忘れる人間だ。
大切な荷物をわざわざ玄関に出しておきながら、いとも簡単に忘れて家を出る人間だ。
そんな悲劇が起きないよう、メモ用紙に祈りを込め、太マジックで伝言を書いた。
目をつぶったまま玄関ドアを開けない限り、絶対、確実に目に入る位置。
そこに、メモを貼っておいた。
16時間も前に。

「ちぃ~~~」は雄弁だ。

ムスメの柔和な目の奥を見れば、哀れみと慈しみ、そしてなにより、
『奥さん、ちょっと馬鹿っぽい?』
そんな言葉が、風に乗って聞こえてくる。
 
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by vitaminminc | 2011-10-14 19:43 | Comments(2)

アンコ便り

翌朝、私の顔を見たムスメとムスコは、共にギョッとし、共に笑った。
その前の日、私は冷蔵庫からおやつのあんまんを取り出すと、レンジで1分加熱し、ほっかほかに温めた。
皮はそれほど熱くなっていなかった。たぶん、2口か3口目には餡に到達したものと見られる。
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餡を舐めてはいけない。
あんまんの中心部でマグマであることに目覚めし餡が、この世のものとは思えない高熱を放ち、一気に襲いかかってきたのである。
そして熔岩流と化し、私のビルクチに溢れ出た。
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ハ~ヒフ~ヘホ~ッ!!

私は熱さに弱い。
アイロンに触れたことによる火傷痕が2年かかってよくやく消えてきたというのに、また新たに火傷するとは。
どうやら、あまりの熱さに死後硬直ならぬ死硬直を起こすらしい。
パッと離れれば(あるいは放せば)いいものを、なぜか咄嗟に身動きができなくなる。
結果、高温部に触れている時間が長引いて、必要以上に火傷を負う。鈍臭いということだ。

ムスメが大学から帰ってきた時、私はちょうど目に涙を溜めながら口に氷をあてがっていて、言い訳しいしい玄関ドアを開けた。
「あんまんをかじったら中から超熱い餡が出て来て、口の外を火傷した…」云々。
ムスメにハハハ…と冷笑され、また氷で冷やした効果もあって、ビルクチはタラコに変身せずに済んだ。

腫れもしなけりゃ赤くもならず。ヒリヒリ痛むことを除けば、傍目にゃ無傷。
だから部活から帰ったムスコには、わざわざ報告しないでおいた。
真相を伏せていた分、翌朝初めて『顔のワケ』を知ったムスコは、ムスメ以上に驚き、ムスメ以上にウケた。
「奥さん、アンタ、バカすぎる・・・」

一晩を経て、私の哀れなビルクチは、ちょうど熔岩が流れ出た様子を再現していた。
下ビルクチの左端に、烙印のようなティアドロップ型の瘡蓋。
それがまた、史実に基づき小豆色。

  ♪ 餡コ~ツバキィは~ コ~ツバキは あが…

このティアドロップ、涙のごとくはかなく消えた。
2年かかったアイロンの火傷痕とは違い、たった2日できれいに剥がれ落ちた。
三連休に一休さんをやっていた私は、2日間だけ会社にマスクをして行けばよかった。
そう、カサブタをブタクサのせいにして。

  気をつけよう
     
      甘い言葉と

         熱い餡

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by vitaminminc | 2011-10-11 22:22 | 笑い | Comments(2)

5年周期

5年に一度、ハンドルを手にする人に巡ってくる楽しいイベント、それは免許の更新。

自分が指名手配中の犯人だったことを自覚、あるいは錯覚させられる免許の更新。

前回はヒドかった。出来上がった免許の写真を見て腰の力が抜けた。

どう見たってコリャあなた、瞬きの途中経過じゃありませんか・・・。

いっそ閉じちまってたら撮り直ししてもらえた(するしかなかった)かもしれない。

が、中途半端だったために、もともとそーゆー半眼づらなんだとして処理されたらしい。

苦節5年。金融機関の窓口で身分証明のために提示を求められた時以外は一切手にすることもなく、

見ないように、ひたすら見ないよう努めてきた、半眼づら。

おまえとも、今日でおさらばなんだよっ! と、いつになく心躍らせ警察署へ出向いたのである。

前回より5年分老けていようが関係ない。

更新に行く朝は、あいにくの雨模様だったにも関わらず、私のつむじには天から一筋の光が射していた。

それは、天の思し召しと私の確信─あの半眼づら以上にヒドイ写真など撮りようがないという──とが繋がって生まれた光の糸であった。

受付、支払い、視力検査を終え、次は写真撮影である。

は、話の途中で申し訳ありません、たった今、わたくし逆上しましたです、

「ちょ・・・!! なんでわざわざこの(パソコンのある部屋の)狭い空間に入ってきて、そんな何発も屁ーこく!!」

振り返ると、両手のひらをクロスさせて握り、擬音精舎の鐘の音を鳴らしていたムスコが、

「ひゃ~っひゃっひゃっ!!  奥さん、だまされてやんの!!」

ムスコは笑い転げましたが、彼は自分が放屁を連発するようなお下劣な人種であると疑われたことに対し、もっと憂慮すべきであります。
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          上の写真は、トイレの猫ちゃんオブジェをムスコがイジッて遊んだ跡(涙)
                   どこに猫パンチお見舞いしてんだっ!!(怒)


失敬、軌道修正完了──で、お次は免許の写真撮影。

自分の前の人の番号札が呼ばれたので、私はバッグからヘヤブラシを取り出すと、スノークのお嬢さん(ムーミン・アニメではフローレンという似合わない名前で登場)のごとく自慢の前髪を素早く整えた。
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もしかしたら、あのカーテンの中にはちゃんと鏡があって、身だしなみを整えられるかもしれないけど。

しかし、撮影現場には鏡も、荷物置き場すらもないのであった。

バッグを抱えたまま高さ調整不能のパイプイスに腰掛け、前に置かれた高さ調整不能のニオイぷんぷんのガラス的なものを見るよう指示された。

え? あの同心円の中心が中心なのだとしたら、あの円の中に薄暗く映っている自分は中心よりも少し下に位置してはいませんか???

結果、かなり上目遣いになってしまっていますけど、マジ? 高さ調整はしてくれないわけですか?

「目が隠れてしまうので、前髪を分けてください」と係員の一言。

目なんかちっとも隠れてないじゃんよ~!?

それでも警察署内で反骨精神をひけらかす勇気も無い私は、整えたばかりの前髪を掻き分け掻き乱した。

心までも掻き乱しながら、それでも5年前の半眼づらの二の舞になってはいけないとの一心で、呼吸もろとも瞬きを堪えた。

「はい、終わりました」

5年前の悪夢同様、女性係員はたった1回シャッターを切っただけで、流れ作業の終了を告げた。

元伝説の黒髪少女の私にとって、前髪は必要不可欠なんである。

ド近眼に乱視という視覚的ハンデに、数年前から老眼が加わったため、眉頭の表情がキツくなりがちなんである。

前髪はオブラート(あるいは浅草海苔)となって、それを緩和してくれる必需品なんである。

それを邪魔だ、と言われて撮られた今回の指名手配写真免許写真。

結果やいかに?



















フローレンではなく、ミーですね。それも、犯罪に手を染め、逃亡を続けている晩年のミー。

張込中の刑事はいないかと、銭湯の暖簾を掻き分けて、鋭く険しい目で上目遣いに外を確かめている。

そんな免許証を手にして家に帰った。。。(涙)
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by vitaminminc | 2011-10-09 14:13 | Comments(0)

カゾクの一文

「なおざり」と「おざなり」の使い分けについて、夏でもないのに半袖パジャマの上に冬でもないのに

フリースジャケットを羽織っているムスメと、あーでもないこーでもないと議論したあげく、

「いい加減さという点では同義語なんだから、使い方さえ間違えなければどっちを使ってもギリギリOK」

などとまとめてしまう私という人間こそがいかにもタコにもおざなりの対応で生きてきた証のようだが、

「まぁ、なおざりにしておくよりはマシだよね」

という点でムスメと意見の一致をみた頃、居間という名の同じ空間の中で、何かの拍子にズレて以来、

洗濯ローテーションの関係で、常に上と下とが巡り合えない、チグハグなパジャマ姿のムスコが、

TVCMに合わせて福山の#ファイティングポーズを唄ったところ、これがえらく似ていたわけだが、

彼は「3年B組金八先生」の武田鉄也の物真似をする芸人の真似もまた上手いので、母親としては、

おもしろいのは武田鉄也だが、少しでも女子にモテたいなら福山路線でいくべきだと秘かに考えている。
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by vitaminminc | 2011-10-07 17:00 | Comments(2)


日々の暮らしに「ん?」を発見


by みん子

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