逆戻り

 お蔭さまでサバンナちゃん、退院後、丸1日のみ姿をくらましましたが、その後は我が庭の一員として、日に最低でも三度は遊びに来てまんまをたらふくおなかに詰め込んでいます。
 気の強いチビハチのパンチをくらいながらも、頑張って栄養つけています。
 退院した翌日から3日間、合計6回与えたかった化膿止めのお薬も、どうにかこうにか2回だけはお肉に詰めたものを投げ与えることができました。
 今の獣医さんも、ノラちゃんなので「できる範囲でOK」というお話でしたし、そもそも前の獣医さんは処方箋自体出さなかったくらいなので、これでよしとするかぁ。
 中途半端な私を安心させてくれるかのように、サバンナちゃんとっても元気で飛び回っています。4匹の中では、授乳中のミケ母さん以上によく食べます。
 懐の深いボスハチも、サバンナちゃんを我が子のような目で見守っている様子。今はひたすら平和です。


 さて、本題──タイトルの「逆戻り」の話に移りましょう。
 二日ほど前のこと。三連休に三連勤した私は、その日の朝もチャリリンに乗って職場に向かっておりました。
 すると、前方をシルエットのようなものがこちらに向かって歩いて来たのです。
 仰天しました。
 なぜならそれは、シルエットのわけがなく、人だったからです。頭の先から足の先まで、全体に黒く煤けていたために、私の目には影のように映ったのでした。
 そうです、4/11の記事で紹介(?)した、谷口浩美選手似の男性だったのです。穿いていたズボンは作業着ではなく、元はブルーであったであろう黒っぽくなったジーンズ、足元はかつてのサンダルではなくスニーカー的な履物に変わっていました。やはりこのあいだバスで見かけた方と同一人物に違いありません。
 首は、相変わらず右(向かって左)に大きく傾いていました。

 (なぜ? なぜ?)との思いに支配されました。垢をすべて落としきったアナタは、清潔そうな衣類を身にまとい、あの日、おどおどとバスに乗っていたというのに。

 心なしか、以前にも増して負のオーラが強烈になっているように感じました。
 後方で、車のクラクションがププッと鳴り、私は慌てて歩道側に寄りました。
 私のチャリリンが、谷口浩美選手似のシルエットが放つ暗雲たるオーラに恐れをなし、制御不能な状態のまま、自転車の分際で意思を持ち、勝手にすれ違う瞬間の距離を最大確保すべく車道のど真ん中を走行していたからです。

 シルエットにリバースし、レジ袋とビニ傘を持って通り過ぎていったその人は、私の心にこれ以上ないほどどんよりと、複雑な余韻を残しました。

 ナントカは三日やったらやめられない、なんて言うけれど、 彼もそのクチなんだろうか。
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by vitaminminc | 2013-04-30 11:07 | Comments(4)

サバンナちゃん退院

 サバンナちゃんが退院しました。

 痛い目に遭わせたお詫びに、茹でササミを持参し、車中与えてみました。
 絶対空腹のはずなのに、頑として口をつけようとしません。
 黙秘して、じっとキャリーの奥に、小石のように固まっています。
 相変わらず、とても可愛い目をしています。
 「庭に戻ってからじゃ、ほかのみんなに横取りされちゃうかもよ」
 しばらく様子を見ておりましたが、とうとう口をつけようとはしませんでした。
 無理ないか。
 もっとずっと慣れていたチビハチでさえ、
 キャリーの中では食欲ゼロだったものね。

 家に着き、玄関ポーチの上にキャリーを置きました。
 奥にいたサバンナちゃんが、すぐに格子扉に寄ってきました。
 お外の匂いに、俄然元気が出た様子。
 扉を開いてあげると、ひらりと庭におり、一目散に駆け出しました。
 ああ、やっぱりこのまま逃げちゃうのね──
 と思いきや、庭の一角目指してに猛ダッシュしたのでした。

 アウトドアキャッツのためにいつも用意している、飲み水のところです。
 なんと! 3分間以上、ずーーーーーーーーーーーーーーーーっと、
 テチテチテチテチテチテチテチテチテチテチテチテチ水を飲み続けました。
 (T{}T) 月曜の入院から、今の今まで、一切、飲まず食わずだったのかも~?(涙)

 今度はココココケッ、固形物を食べておくれ!!
 しかし、サバンナちゃんにあげようとしても、
 案の定ハチワレ父娘に行く手を阻まれます。
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 しかも、ササミを弾き返してはくれず、すべてお口でキャッチ。

 こうなることは容易に予想されました。
 ですから、サバンナちゃんをお迎えに行く前に、
 予めこの子たち先住猫には、十分与えておいたのです。
 ミケ母さんなんかはその時、大きなササミを咥え、
 子どもたちの元(どこなんだろう?)へまっしぐらしたほど。

 おいおい、ボスハチ、チビハチ、どいてくれたまえよ。
 でも、私がハチワレ父娘にしっしっなんかしたら、
 逃げていくのは肝心のサバンナちゃんに決まっています。
 仕方ない。ハチワレ父娘に少しおとなしくしておいてもらいましょう。
 でかいのを2つ、丸ごと与えました。

 ソレ今だ、サバンナちゃん、ここへ──
 ところが水を飲み終えたサバンナちゃん、いつのまにやら姿が見えません。

 がぁぁぁぁん・・・嘘でっしゃろ・・・

 でもでも、まだ近くにいるかも。回復するためには栄養をつけなくちゃ。
 そう思って、うちと植木屋の広~い敷地との境に、一切れ投げてみました。
 数秒後、どこからともなくサバンナちゃんが現れ、ガッと肉に食らいつきました。
 ああ、よかった、待って、これもあげるから、もう少しそのままそこにいて──
 しかし、肉を咥えるが早いか、目にも止まらぬ速さで塀を乗り越えました。

 私が慌てて塀に近寄った時には、もう彼女の影はどこにもりませんでした。
 今度こそ、完全に消えてしまいました。

 サバンナちゃん、あなたは私の──
 自由の女神だよ。

 また遊びにおいで。

 
 野良ちゃんに避妊手術を受けさせることに、いまだに抵抗があります。
 チビハチを入院させた時、ムスコに言われました。
 なんでそんなことするの? 
 チビだって野良だけど、
 ちゃんと生まれてきたじゃないか


 ぐさっときました。そう、家で飼ってあげられるわけでもないのに。
 ムスコの言葉は、そのまま私の本心でもありました。

 でも、成り行き上人の手を借りて生きている彼らを、
 際限なく増やすわけにはいかないのが実情。悲しい現実。
 避妊することで回避できる病気もありましょう。
 今はそうやって自分を正当化させるしかありません。

 いずれにしても私は、広い外を闊歩し、飛び回って走る、
 アウトドアキャッツ(野外猫)の姿を見るのが、好きなんです。

 そういえばミケ母さんは、とても女性らしい、優しい顔立ちのミケ猫です。
 人にたとえると伍代夏子かな。
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 サバンナちゃんは、顔が小さくて目がクリッとしていて、堀北真希ちゃんみたい。
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 チビハチは、やんちゃな感で憎めなくて・・・ミソノっぽいかも。
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 ボスハチは、キム兄。みんな個性的で可愛いです。
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 病院からの帰り道、降りつけていた雨は、今はおさまっています。
 サバンナちゃんの傷口が早く回復するよう、これ以上荒れないでほしいものです。

 みんなが元気に、幸福に生きられますように──。

 



 

 
 


 

 
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by vitaminminc | 2013-04-26 19:25 | 生きもの | Comments(2)

サバンナちゃん入院

 ここのところ、毎朝のようにうなされる夢から目覚めてはうなだれていた。家が猫屋敷と化し、オットになじられている悪夢である。

 「ねこニャン」という猫写真集の豆知識のページで、1匹のメス猫の生涯出産数を420匹とする驚愕の記事を目にしたせいだろう。
 実際、猫の妊娠期間はいと短く、たったの2キャ月である。420匹というあり得ない数は、一度に「6匹」産む場合の試算(70回出産)となっていた。
 野良にゃんは怪我や病気のリスクが大きいだけでなく、栄養も一定でないため、室内飼いの猫より長生きしにくい。だから実際の出産数ははもっとずっと少ないに違いない。

 それでも、現在我家の猫の額ほどの小さな庭に、オス1匹(ボスハチ)とメス3匹(チビハチ+ミケ母さん+サバトラのサバンナちゃん)が集っている。メス3匹のうち、避妊手術を済ませたのは、先日ご紹介したチビハチのみ。
 サバンナちゃん(推定年齢チビハチと同じく1才未満)とミケ母さんは避妊していない。
 それだけではない。7匹の子ヤギを食べたオオカミのようなおなかをしていたミケ母さん、ごく最近どこかで出産を済ませたと見え、空気が抜けたようなおなかに変化した。
 ということは、いずれベビにゃんたちが歩き出すようになったら、ミケ母さんは最大6匹を引き連れてやってくるに決まっている。そして私の顔は最大6cmはひきつるに決まっているのである。
 さらに、魔性の美猫サバンナちゃんも、野郎どもが放っておくわけがなく、そのうち最大6匹を身ごもって、夏にはやはり最大6匹を引き連れ我家の庭に押し寄せるであろう。
 当然私の顔面は12cmはひきつる計算になるから、その頃にはピカソの泣く女のごとく顔面下でプレートがズレることは必至。

 寝ても起きてもうなされないわけがないという話なのである。

 なぜそこまで悩むのかというと、この猫まみれのタイミングで、なんと動物嫌いのオットの単身赴任が解けちまったたのである。
 先日の引越しのあとも、庭をうろつく私の愛すべきノラ猫ちゃんたちを睨み、こう言っていた。
 「なんだ、この猫たちは!?」
 「あ、隣のペケペケさんちに出入りしていた猫ちゃんが、急なお引っ越しで餌をもらえなくなったらしくてうちに来るようになって、車の出し入れの時に危ないから、餌で(庭の)奥に留め置いて以来──」
 「うちは(眠眠)1匹までだからね」
 「はぃ・・・」
 るせー! 誰の許可を得て勝手にそんなアホルールを決めやがった。黙れ黙れだまっとれぃ!
 と言いたいのをぐっとこらえて誤魔化すわが身の悲しさよ。

 さらにさらに! この絶体絶命のタイミングで、近くのパチンコ屋がガラガラ閉店となった。そう、ずーーーっと閉店。かれこれ1カ月。
 その店に掃除に来ていたおばちゃん連が、無暗やたらと野良猫たちに餌をばらまき続けて幾数年。もちろん絵に描いたような猫っ可愛がりオンリーなので、避妊なんて頭にない。おかげで野良猫の数が、ねずみ算式に増え続け、道端で車に轢かれて死んでいる猫をこれまで何度目にしたことやら。
 それに、パチンコ客の中には猫に餌をやるババアおばさんたちの存在を知って、わざわざ子猫を捨てに来る始末。ゲスのキワミ。パチンコ屋が閉店したら、今までの餌やりもおしまいかい。へーぇ!
 要するに、お隣の引っ越し&パチンコ屋の掃除婦の無責任さのしわ寄せが、我家の庭という名の岸辺に怒涛の如く押し寄せた次第。

 出来ることからコツコツと──サバンナちゃんはハチワレ父娘(←想像)と違い、常に現れるわけではない。捕獲の道のりは遠く険しいものと予想されたが、思い立ったが吉日。
 本日仕事から戻ると、2日間程姿を見せなかったサバンナちゃんが、やけに飢えた状態で私の帰りを待っていた。確かに、かなりスレンダーである。
 家の中に駆け込み、キャリーを引っ提げ庭に戻った私は、わざとらしいくらいにさり気なく、カリカリフードを1粒、キャリーの奥に置いた。
 チビハチが顔を突っ込み、なにかデジャヴュを呼び覚ましたのか、すぐにキャリーから離れた。
 次にボスハチが顔を突っ込み、一瞬ためらってから私と目を合わせようとした。私は慌ててあらぬ方角に視線を逃した。するとボスハチは、のそりのそりとキャリーに入り、カリカリフードをカリカリ音を立てて食べてみせた。おぉ、いい手本だ。
 私はもう1粒カリカリを奥に置く。ボスが再び中に入ってカリカリ音を立てて食べる。
 その様子をサバンナちゃんはチラッチラ見ていた。ほおらほおら、平気でしょう?

 ボスハチとチビがキャリーからいったん退くと、いよいよサバンナちゃんの出番である。私は出来る限りそ~っとカリカリを奥に忍ばせた。
 サバンナちゃんが、先程のボスハチを真似て、ゆっくりとキャリーの中に入っていった。もう少し奥へ、もう少し奥へ──格子の扉をそっと閉めた。
 野性味の濃いサバンナちゃんは、チビハチの3倍以上暴れたが、なぜかまったく鳴き声は立てなかった。
 もしかしたら、声が出ない程ショックだったのかもしれない。

 私は、チビがお世話になった獣医さんではなく、ネットで調べた地域ネコや野良ネコの避妊に協力的な動物病院に電話した。診療時間外なのはわかっていたが、野良猫ちゃんはいつ捕獲できるかわからないので、やむを得ない。
 先生の人柄は、先日眠眠が慢性腎不全の診察を受けた時に確認済みである。
 避妊手術は火・水・祝日を除く毎日行われているというのに、本日捕獲したことにより、3泊のホテル代が加算されることになった。しかし、手術自体は協力代として5250円。チビハチの時のわずか20%で済む。ホテル代も1泊1500円なので、かなり良心的といえよう。

 よってサバンナちゃん、木曜に手術を受けるため、本日入院となった。

 写真をご覧いただいてもおわかりのように、サバンナちゃんは実に美しいサバトラ猫ちゃんだ。我家で一時預かりでもできれば、サバトラ柄は人気があるらしいので、それなりの人に引き取ってもらえそうなものを。
 自分の家でチビハチもボスハチもミケ母さんとその子どもたちも、ひっくるめて飼ってしまいたいのに、それが叶わないことに、もんのすごい不条理を感じる。結婚前に「動物は好きです」と法螺吹きやがったオットを詐欺罪で訴えたいくらいである。
 私の人生の愉しみを奪う権利が、おめーさんにはあるというのか? キショーめ。

 今回は、悩みに悩んだ末、「極力小さく耳カット」を選択した。美しいサバンナちゃんのお耳に小さなカットが入るなんて。私の胸にも、カットされるような痛みが走った。泣けてくる。

 あとは、あとは、ミケ母さんとその子どもたち。。。一体何匹生まれたんだろう。かなり大きなおなかだったから、少なくとも3匹は生まれたに違いない。

 余談になるが、サバンナちゃんを捕獲したキャリーの横で平気でカリカリを食べていたボスハチ。
 病院に連れていくため、いったん家に入って身支度を整えて、玄関から出てきた私に向かって、小さく「シャー」を発した。サバンナちゃんが入っているキャリーを見て、次に私を見て。
 怒る気持ちは痛いほどわかる。が、自分はしっかり餌を食べといて私を責めるのは止めちくり。それよりも、チミを去勢しないでいる私の気持ちも察して欲ちい。
 
 サバンナちゃん、退院の日はササミを茹でてお迎えに行くからね。捕獲する日とオペ日が合わなくて、長い入院になってしまう不手際をどうか許して──なんて言わないョ。飼ってあげることもできないくせに、避妊手術を受けさせるなんて、人間のエゴのような気がしてならない。
 「不幸な野良猫を増やさないために」なんて綺麗事だ。にゃんこたちは自分を不幸だなんてこれっぽっちも思っちゃいないやね。猫たちに責められる方が、どれだけ楽だろう。

 ああ、チミたち全部を家に軟禁して、猫まみれになって暮らしたい。キショーめ。
 動物嫌いなオットを見抜けなかった私のドアホ!
 ぅわ~~~~~~~~~~~~~~~~~ん
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by vitaminminc | 2013-04-22 18:29 | 生きもの | Comments(0)

b0080718_20564148.jpg眠眠が、慢性腎不全に罹っていることが判明

b0080718_20581036.jpgもともとお水を飲むのが大好きだったんですけど

b0080718_2059840.jpgそれにしたって最近やけに尿の量が多いではないかと

b0080718_2102347.jpg心配になっていろいろ調べたのでありました

b0080718_2112517.jpgそしたら腎臓疾患の症状に「尿の量が増える」というのがあり

b0080718_2125382.jpg本日病院に連れて行って、血液検査をしてもらったところ

b0080718_214998.jpg「慢性腎不全」の初期症状が疑われるという結果が出ました。

BUN(尿素窒素)の基準値17.6~32.8に対し、眠眠は33.0mg/dl。
Cre(クレアニチン)の基準値0.8~1.8に対し、眠眠は1.8でした。いずれも腎不全が疑われる項目です。

まだ基準値ギリギリか少々オーバーした程度とはいえ、腎臓というのは一度壊れると絶対修復不可能な臓器だそうです。
眠眠の数値では、食事療法が適しているとのこと。早速腎不全のための食事療法フード2kg定価4746円のところ税込3675円にて購入。
大好きなおやつの鰹お節とも、大好きなお野菜レタスともお別れ。
一生療養食しか口にすることができなくなりました。
私の手からレタスをムシャムシャ食べる、ウサギのように可愛い姿をもう目にすることができないなんて(涙)
でも、病気が悪化したら苦しむのは眠眠なんだと必死に自分に言い聞かせてます。
冷蔵庫を仰ぎ見て、レタスや鰹節をおねだりする眠眠をひしと抱き寄せ、かなりウザがられてます(号泣)
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by vitaminminc | 2013-04-14 21:23 | 生きもの | Comments(0)

職場の同僚にした話

もしかして、霊感強いほう? 強くない? 私もホントはそうだったんだんだけど──

あのね、今から1年半か、2年くらい前になるかなぁ。
或る日を境に、朝通勤途中で、週に二、三度すれ違うようになった人がいたの。
年齢不詳というか、30代にも40代にも見える男の人で、とにかく負のオーラが凄い。
毎回すれ違うたび、ゾゾーッと鳥肌が立ってたの。
もとがグレーだったのかグリーンだったのかブルーだったのか・・・
判別がつかないくらい黒ずんだ作業着姿で、顔も煤けているから遠目に見ると、
その人だけ白黒映像を見ているみたいなの。
まっすぐ前を見ないで、いつもこうやって視線を下に落として、首をこう右に傾けてて──
実際顔もマラソンの谷口選手によく似てたんだけど。
あ、谷口選手は鍛錬による体脂肪1ケタだけど、その人は絶対に飢餓。
骨に皮が張り付いてるように痩せていた。よく歩けるなぁって思いましたョ。
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で、ピーカンに晴れた日でも、必ずビニ傘持って紙袋を提げて、サンダル履きなの。
夏は長袖長ズボンが暑いはず。で、冬は凍死しそうに寒いはず。なのに本人は淡々と歩いてる。
季節・天気を問わずいつも同じ格好だから、もちろん私も最初はホームレスの人かと思った。
けど、決定的に説明がつかない点があったの。髪と髭。
ホームレスならぼーぼーになりそうなのに、その人は常に短髪で髭も伸びていなかったの。
いつも駅の方向から何処に向かうんだろう・・・って、不思議でならなかった。

そんなことが続いていたある晩、テレビで「恐怖映像」の特番をやっていて、ハッと思いました。
そうか、そうだったのか──
動画に写り込んだ霊って一様に白黒なんだよね、知ってる?
だってこのカラーの三次元世界の中で、その人だけが白黒に見えるんだよ?
どうりで鳥肌が立ったわけですョ。
そもそも私を除きほかの通行人は、その人とすれ違っても何も感じない様子だった。
私、霊感強くも何ともないんだけど、なんでその人だけ見えちゃったんだろうね?

でね、この冬は特に寒かったじゃない?
サンダル履きで凍えそうに歩くその霊を、いつのまにか見なくなってたことに気づいたわけ。
すれ違うたび心の中で合掌し、必死にお念仏唱えていたから私。ナンマイダブナンマイダブ──
だから、ああ良かった、ようやく成仏できたのだなぁと感慨深かったですョ。

そしたらね、先週暴風雨の日、あったじゃない?
あの日私仕事だったから、朝バスに乗ったの。
乗ってすぐ左側に、シルバーシートがあるでしょ、ベンチシートになってる──
そこに座っていたのですよ、谷口浩美選手が。
清潔そうなクリーム色のフード付きトレーナーを羽織っていて、下はジーンズ。
気づかれないようにそっと足元を見たら、サンダルじゃなくて黒いスニーカーを履いていた。
でも、私にはわかったの。あの霊に間違いないと。

想像いたしますに、きっとどこかで行き倒れたところを保護されて、民生委員さんとかの手を借りて
生活保護の申請もして、住む所や仕事の世話などを受けたんじゃないかって。
この話をムスメにしたら、
「そういう人にこそ、生活保護制度は適用されるべきですな」って。

すれ違っていた頃、ぞぞ~っと鳥肌が立ったのは、その人に憑り付いていた貧乏神に
私の魂が感応していただけかぃ(笑)





 
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by vitaminminc | 2013-04-11 11:40 | 人間 | Comments(2)

春は

 朝起きて、雨が降っていて、それだからというんじゃないけど、今日が土曜日の気がして仕方なかった。

 バスの時間を調べる時に、ようやく「そうか、今日は平日だったな」と気づいた。

 バス停でバスを待っていて、あと少し待てばバスは来るだろう、いくら雨で道が混んでいるからとはいえ。

 頭じゃそう思っていたくせに、気づいたら、なぜか歩き出していた。

 やがて自分の横を、重低音を響かせて、私を乗せるはずだったバスが通り過ぎていった。

 悔しいとも、何とも思わなかった。何も感じず、冷たい春雨の中をずんずん歩いて会社に着いた。

 仕事は朝からめちゃくちゃ忙しかった。ホント忙しくて頭に来るほど。

 ようやく勤務が終了した時、「月曜からこんなに忙しくて身体がもつかしら~」と嘆いたら、

 「今日は火曜日だよ。もしかして昨日シフト休みだったの?」と訊かれた。

 「昨日も出てた」と私は答え、笑いながら思った(こりゃ相当疲れてる)


 夜になって、ムスコが風呂に湯を入れた。自動湯はりシステムが作動して、アナウンスが流れた。

 「オ風呂ニ、オ湯ガ、タマリマシタ」

 私は入浴剤を入れに行った。脱衣所で、大声で居間にいるムスコに言った。

 「ムスコ~、湯船の栓、抜いたままお湯入れようとしたでしょ~」

 嘘である。湯はしかるべき位置までしっかり溜まっていたのである。

 「え? おかしいなー」

 ムスコが浴室にやって来た。

 「ちゃんと確かめなかったんでしょー」

 なぜかムスメも一緒にやって来た。

 「へっへっへっ」と私は言った。「ウソだョ」

 「え? ウソ?」

 「エイプリルフールだからだョ」

 子どもたちは一瞬絶句したのちに言った。

 「今日は2日だよ、奥さん大丈夫?」

 「え? ホント?」

 「素で間違えてたの?」ムスメがあきれた。

 「ま、俺はたとえホントに風呂に湯が溜まってなくたって痛くもなかったがな」

 一番風呂に浸かるムスコを残し、ムスメと私は居間に戻った。

 曜日も違っていた。日付けも違っていた。春は本当に脳内時計がおかしくなる。ワタシだけ?
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by vitaminminc | 2013-04-02 23:28 | 人間 | Comments(2)

待ち往生

 【立ち往生】意味:①立ったままの姿勢で死ぬこと。立ち死に。「弁慶の―」 ②その場に止まったり途中で行き詰まったりしたまま、処置のしようもなく、動きのとれない状態。「吹雪で汽車が―する」

 お車を運転される方は、どうか想像してみてください。

 あなたは今、スクランブル交差点で信号待ちをしています。

 進行方向の信号は青です。

 あなたは右折するため、右折専用車線の先頭、ダイヤモンドマークの手前で停車中です。

 交通量が多いので、対向車線からはひっきりなしに車が直進してきます。

 右折のGOサイン「→」が出るまでは、アクセルを踏めそうにありません。

 信号が黄色に変わりました。と同時に、右手の方向から救急車のサイレンが近づいてきました。

 右折信号「→」が点灯しましたが、救急車が接近しているので、あなたは待機を強いられました。

 なんと、救急車が、あなたが進入しようとしていた道から現れました。つまり、逆走してきたのです。

 救急車は重症患者を乗せているもようです。

 交差点をかなり慎重に、まるであなたの行く手を妨害するかのように、ゆっくりゆっくりと左折しました。

 救急車があなたのすぐ脇を通り過ぎた時には、信号はとっくに「赤」に変わっていました。

 もう、おわかりですね?

 あなたは、交差点の、ど真ん中に、ただ1台、取り残されました。

 運の悪いことに、あなたの後ろに後続車はいませんでした。

 あなたの後ろに同じように右折する車がいたなら、その車は横断歩道上に停車していたことでしょう。

 そして、2台もの車が交差点内に取り残されていたなら、状況を知らなかった人の目にも、

 「何か尋常でないことがあったようだ」と容易に想像ができたに違いないのです。

 しかし、現実は過酷です。交差点内のど真ん中に取り残されたのは、あなたの車、ただ1台なのです。

 進入路から出てきた逆走救急車に道を譲ったために往生しているのだと知っている何台かは、

 気の毒そうに遠慮がちにあなたを避けてくれました。

 しかし、後ろの方の車は、救急車が反対車線を進んでいったことは知っていても、交差点の状況までは

 目にしていません。しかも想像力に乏しい連中なのです!

 なぜなら、今にもぶつからんばかりの勢いであなたの車を乱暴に除けました。

 お次は歩行者の出番です。歩行者専用信号が「青」になっても、状況は車の時と変わりませんでした。

 いや、むしろ悪化していました。

 運転しない人の目には、あなたはただの迷惑な三流ドライバーにしか映りません。

 鬼の形相で「チッ!」と舌打ちしながら、あなたの車を避け、これ見よがしに振り返るのでした。

 スクランブル交差点の信号待ちは、永遠に続くかのように、果てしなく長く感じられました。

 あなたが死にかけた頃、ようやく信号が再び青になりました。

 そして、対向車が途切れた瞬間、急発進して右折したあなたを、いったい誰が責められましょう。

 【待ち往生】意味:①停車したままの態勢で死ぬこと。待ち死に。「救急優先の―」 ②交差点で救急車に道を譲ったまま途中で信号が赤になり、弁明の機会も与えられず行き詰まったまま、動きのとれない状態。「人命を尊重するあまり車が―する」



  
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by vitaminminc | 2013-04-01 20:30 | 人間 | Comments(0)

日々の暮らしに「ん?」を発見
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