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虫がいい話

 今朝早く、部屋で物音がして目が覚めた。時刻を確認すると、まだ5:23だった。本格的起床時間まで、あと90分は寝ていられたはずなのに。
 ダブルベッドの横で寝ているはずの眠眠(♂ネコ)の姿が見えない。
 音のする方を見てみたら、床で眠眠が、しきりに紙袋を小突いている。どうも床に無造作に放置していた紙袋の下に、何かを追い詰めたようなのだ。
 ゴキちゃんだったらイヤだなぁと思ったが、そんな予感はあまりしなかった。実は、眠眠は私と同じで、ゴキちゃんがあまり好きではない。ゴキが動くたびにびくっと怯える始末で、しまいには寝転がっている自分の横をでかいゴキが悠々と通り過ぎるのを片眼を開けて見送ったことさえある。その様子はまるで「見なかったこと」にしたとしか思えず、大騒ぎしていたのは私だけなのだった。
 だから、ゴキ嫌いな眠眠がちょっかいを出しているからには、相手はゴキ以外の何かだろうと安心して見守っていられた。
 
 紙袋の下から、降参したのか最後の脱出を試みたのか、一匹の昆虫登場。眠眠が、すかさず猫パンチをお見舞いする。遊びたいから手加減している。今なら救出可能だ!
 「眠眠、おやめ」
 眠眠はおとなしく脇へ退いた。私は弱っている昆虫を、そっと手ですくい取った。洗濯ものと一緒に取り込まれてしまったらしい。よかった、まだ生きている。
b0080718_23271725.jpg

 画像はネットから引っ張って来たソックリさんである。カナブンより丸くずんぐりしているから、コガネムシの仲間だろうか。艶消しタイプの、地味な薄緑色をした子だった。私はカナブンとかハナムグリとかコガネムシとか、丸っこい昆虫が好きなので、ちょっと嬉しかった。
 その子は私の手の内側で、しっかり爪をたてて踏ん張っている。よしよし、これだけ元気があれば大丈夫。階段の踊り場の窓を開けて、外に放ってあげた。
 朝早くから起こされてしまったけれど、小さな命を一つ救えたのだ。実に気分がいい。知らなかったとはいえ、勝手に拉致して、勝手に救助して、勝手に自己満足するとは、虫のいい話。

 部屋の隅では、眠眠が、思い通りに事が運ばなかった時によくやる仕草─爪とぎ─の音だけが響いていた。バリバリバリバリ・・・・


 


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by vitaminminc | 2014-08-03 23:39 | 生きもの | Comments(2)

新世紀ガングリオン

「なんじゃその、エヴァンゲリオンみたいな名まえは!?」
 ムスメに笑われた。
 わが身に起きた症状の正体を、ネットで突き止めた瞬間である。
 下記の画像は、大阪の古東整形外科さんが、「患者さんのための病気の参考資料」としてHPに載せているものを拝借。まさに今、私の左手首は、位置といいサイズといい、↓↓↓こんな状態。
b0080718_17484630.jpg
 これは「ガングリオン」と呼ばれる、良性腫の一つだそうだ。とはいえ、ネット相談者の大半が「骨が突き出てきた!」と勘違いしているように、ちっともブヨブヨなんかしていない。結構硬くて、骨が変形して飛び出てきたんじゃないかという恐怖におののいてしまう。
 先の整形外科さんによれば、ガングリオンは「放置」が望ましいという。注射器で内容物を吸い出したり、外科的手術で除去しても、再発することが多く、放っておくと自然消滅することもあるからだそうだ。
 異様な手首の正体がわかるまでは、「私なんか骨まで出して頑張っているのに」と報われない主婦業をぼやくのに使ったりもしたが、本音は恐ろしい難病─進行性骨化性線維異形成症(筋肉が骨に変わっていく病気FOP)に対する恐怖をごまかしていたのである。
 気づいたのが土曜の午後だったので、すぐに医者に行けなかった私は、丸一日無駄に恐怖と闘い、無駄に憂鬱であった。
 でも、ガングリオンという、原因不明ながらも恐れるほどでもない症状とわかった以上、もう平チャラ。月曜になったって整形外科になんか行かなかった。
 案の定、ムスメに叱られた。
 「安心するのは、専門医に診てもらってからでしょう?」
 どっちが親だかわかりゃしない。で、仕方なく火曜日に受診。
Dr.「これは、いつから? 最近じゃないよね?」
ワタシ「それが、いつからかはわからないんですけど、気づいたのは土曜の午後です」
Dr.「あれ? ちょっと待てよ(と脈をとる仕草をしたまま)。コレ脈打ってるな」
ワタシ「???」
Dr.「コレのちょうど下あたりを動脈が通ってるんだけど、コレが血管に食い込んでたら厄介だ──」
ワタシ「!!!」
Dr.「ちょっと!(看護師さんに向かって)ほらあれ! 超音波用意して!」

 超音波断層カメラで念入りに調べてもらった結果、私の突起物は動脈を避けるようにつくられており、悪性腫瘍の特徴はまったく見られなかった。そして、「水ぶくれのようなもの」と診断された。
 私は自分で調べた病名を、間違えないように気をつけながら、おずおずと口にした。ゲングリオンでもガングリゲンでも、もちろんエヴァンゲリオンでもなく──
 「これはあの、ガングリオン、ですか?」
 「ああ、そう、ガングリオン」東北大医学部出身の気さくなセンセイは、素人が知ったような口をきくのにも寛容で、すんなり肯定。
 ガングリオンと認めてもらった以上、私は断固として『放置』を望むものである。もしもセンセイがやれ吸い出すの、やれ切開するのと言い出したら、「今週海に行くのです。帰ってからお願いしたいのです」とウソをついて永遠にバックレる準備も万端。
 「このままでいいでしょ?」むしろセンセイの口から、望み通りの言葉が。「たぶん自然に治っちゃうと思うから」
 「ハイ056.gif
 「どうしてもね、主婦は結構手をつかうからね」とセンセイが原因らしいことに触れるのにつられ、私はつい言わなくてもいいようなことを口にしていた。
 「コレに気づく前の日に、すごく重いレジ袋を、左の手首にかけてしまったんですけど──」
 「それは、無い」みなまで言わせず否定された。そんなことでいきなり飛び出たりはしないらしい。
 ま、20代~40代の女性に多い症状だというし、私もまだ若いってことか。ふはははは。
 
 人騒がせだな、ガングリオン。
 
 
    


 

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by vitaminminc | 2014-08-02 19:21 | 健康 | Comments(0)


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