モフの経過報告

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最初の服用から、およそ一週間経過した、哀れなモフ。

春の嵐が吹き荒れた翌朝、ひょっこり姿を現した。

どうなんだろう? 少しは好転しているだろうか。

険しかった表情が、少しやわらかくなったように見える。

相変わらず、時折痒そうに身体を掻いている。

脱毛がさらに進み、地肌の見える範囲が広がってきた。

肌は角質化しているわけではないようだ。

つまり、重症ではないということだ。

本来であれば、最初に疥癬薬を与えた日から、ちょうど一週間目に服用させたかった。

でも、モフは毎日現れるわけではない。

何日も空けてしまうよりはと思い、一日早かったけれど、この日エサに薬を混ぜた。

ところが、やけに食が細くて、半分以上残してしまった(とほほ。。。)

すぐに食べ始めたので空腹だったはずなのに。

薬の味がよほど嫌なのだろう。

それとも、副作用で食が細くなってしまっているのか。

モフは、しばらく庭の隅にとどまって、私が車を洗うのを眺めていた。

そして昨日と今日、モフは一度も姿を見せなかった。

どこでどうしているのだろう。

来週で最後。何とかして薬を与えたい。

そして、あのゴージャスで見事な黒い毛並みに戻してあげたい。

# by vitaminminc | 2016-05-06 23:34 | 生きもの | Comments(0)

天女

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このCM、いいと思いませんか?
「こころの路線図、西武鉄道」
秩父を旅する文学青年・又吉が印象的。
それに何より、旅の終わりに天女(?)が登場するのです。なんたるたおやかさ。はぁ~~~お美しい~~~053.gif
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ロングヴァージョンにももちろん登場するけど、こちらは普通の人間の姿でも結構出てくる。なので私はやはり、短いCMの方がいいなー。
このモデルさん、俳優の満島ひかりと満島真之介の妹さんだそうで。ひかり&眞之介姉弟はすごくよく似ているけど、25歳のみなみさんは、また少し違った面立ち。ソフトな感じですね。
さらにもう一人弟さんがいるらしいのだが、きっと美少年に違いない。おそるべし、美形一族。

# by vitaminminc | 2016-04-29 18:57 | 趣味 | Comments(0)

第一回服用、無事成功

昨夜は夜中0時まで、今日は朝6時から、何度も庭を確認した。
玄関ドアの蝶番がバカになるんじゃないかというくらい、何度も何度も確認した。
モフの姿はどこにもない。
あんなに毛が抜けてしまっては、きっと寒いに違いない。

冷たい雨が、容赦なく地面に跳ね返る。
こんな日は、たとえ元気な猫だって姿を見せたりしない。
どこかでじっとうずくまり、雨が止むのを待つのである。

しかーし!!
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8時ごろになって、モフを発見。
黄砂をかぶった小汚い愛車の上にいた!!
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「モフ、いい? そのまま待ってて。いい? わかった?」

私はモフに話しかけた。
じっとこちらを見ているモフ。
胸元の毛が抜け落ち、やつれ果てたツキノワグマみたいだ。
顔の皮膚がただれてしまって、それはそれは恐ろしい形相。

私はすっ飛んで家の中に入った。
そして、冷蔵庫に保存しておいた、薬入りのエサをさっと温めた。
適当なサイズの発砲スチロールの箱の中身を廊下にぶちまけた。
空にした箱とエサを手に、静かに外に出た。
そっと庭の隅に、薬と寝床をセッティング。

「これは、お薬が入っているの。だから、絶対食べてね」
そう言い残して、すぐにその場を去った。

30分ほど過ぎた頃、念のため確認しに外に出た。
モフは相変わらず、車の上にいた!!
すぐ上にはカーポートの屋根。
軒下とはいえ、地面に置いた箱よりも、車の上の方が濡れずに済むのだろう。
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ああ、良かった。ほとんど残さず食べてくれた。
ほかに野良猫の姿は見えないし、何よりモフがいる。
食べた主は、モフ自身とみて間違いないだろう。
エサをレンジで20秒だけ加熱した。
薬効が消えてしまってなければいいけれど。

来週も同じ木曜の、できれば同じ朝に、薬入りのエサを食べてくれるといいな。
外にいる以上、繰り返し感染するのは避けられないかもしれない。
でも、とにかく今は、「今」のことだけ考えよう。
モフを痒さ地獄から救い出すのだ。




# by vitaminminc | 2016-04-28 13:11 | 生きもの | Comments(2)

野良ニャン事情

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昨年秋から冬にかけて、猫の額ほどのうちの小庭に顔を出していたモフ。黒いロン毛の、推定オス。迫力ある鋭い眼光で、初めて見た時は猫とは思わず「い、今横切った未確認生物は何だったんだ?」とかなりビビった。
何度か見かけるうちに、野性味豊かで魅力的な「猫」であることがわかり、家族間では「モフ」とか「タヌキ」とか好き勝手に呼んでいた。
ただし、サバコに輪をかけ人に馴れることはなかった。

推定オスなので、縄張り争い等、厳しい世界があったのだろう。サバコのように毎日顔を出すでもなく、そのうちモフはさっぱり姿を見せなくなった。どこかで逞しく生きていてほしいなと思っていた。

ところが二日ほど前、仕事から帰ると庭に奇怪な生物がいた。あまりの変わりようにわが目を疑ったが、一目見てモフだとわかった。
モフは重い皮膚病を患っていた。モフは「シャーッ」と私を威嚇すると、どこかに消えてしまった。
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昨日もモフが庭にいた。今度は威嚇しないで、「にゃー」と鳴いた。ものすごく体調が悪いのだと訴えているようだった。あいにく昨日はかかりつけの動物病院が定休日だったので、モフに「明日まで待ってくれ」と説明した。
そして私の言葉を理解していたかのように、私が仕事から戻ると、私の愛車の上でモフが待っていた。激しく身体を掻いている。そして、「にゃーにゃー」という訴えは更に切実になっていた。
動物病院は、昼過ぎから手術を行うため、午後の診療は16時開始である。昼食やら雑用やらを片付けて、病院に出かける時間になった。
モフは相変わらず愛車の上で風に吹かれていた。そして身体を激しく掻いていた。
「お薬もらって来るから、待ってるんだよ」
昨日スマホで撮っておいたモフの悲惨な病状を先生に診てもらい、薬を処方してもらった。
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疥癬であることは明らかなので、エサに混ぜることが可能な服用薬を出してもらった。本当なら、背中に直接塗布する薬と併用するのがベターなのだが、モフはサバコ以上に接近困難。写真を撮るだけでも大変だったのだ。やむを得ず、服用薬のみお願いした。
家に帰ると、モフはちゃんと庭の片隅で待っていた。
「今すぐ用意するからね!」
そう言って家に入り、大急ぎでエサに0.2mlの薬を混ぜて用意した。
ところが、庭に出るとモフの姿はどこにもなかった。3分も待たせていなかったというのに。病院への往復50分を待っていられたのに、どうして?
すると、すぐ近くで発情歌を唄うオス猫の声が聞こえた。のしのしと我が家の横を歩き去っていった。
あとちょっとのところだったのに。モフはそいつから逃れるため、姿をくらましたに違いない。今のモフは身体的に大変弱っているので、逃げるしかなかったのだろう。
薬を投入したエサをなんとしてでも食べさせたい。薬は週に一回、3週間かけて服用するタイプ。一回一回がとても大事なのである。
モフを目前に確認してからエサに混ぜるべきだった。。。戻って来てはいまいか。さっきから何度も庭に出て確認するも、いまだ現れず。
「保護して飼ってやれないのなら放っておけ」という意見も世の中にはある。「それが野良の宿命なのだから」と。が、モフが私に「何とかしてくれ」と訴えている以上、私は病気だけでも治してやりたいと思う。
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# by vitaminminc | 2016-04-27 17:56 | 生きもの | Comments(0)

サバコ

外猫のサバコ(本名サバンナ)が、99.99%の確率で死んでしまいました。

今週月曜日、サバコにそっくりな猫が県道で車にはねられ死んでいるのをムスメが目撃しました。
彼女はそのことを、通勤バスの中からLINEで私に知らせました。
仕事がOFFだった私は家事をこなしていて、LINEを見たのは1時間半も過ぎてからでした。
しかも、ムスメが送ってきた内容を完全に見誤っておりました。
「サバコにそっくりな猫が○○さんちの前で死んでいた」
を、『うずらにそっくりな猫』と読んでしまったのでした。
私の返信は、「かわいそうに」のみでした。あとは、うずらの居間デビューがうまくいかない件に関する内容を延々と綴っておりました。うずらの写真付きで。
超ビビリっ子のうずらが、私の部屋の外に出るのをひどく怖がり、いまだに家の中を自由に行き来できないでいることを嘆いていたのです。
その日も居間に連れてきてはみたものの、怯え方が尋常でなく、トイレに入るも緊張のあまり用を足せずにいたのでした。震えてピーピー鳴くばかりなので、結局2階の部屋に連れ戻したところでした。
ムスメから届いていたLINEを、うずらのことでいっぱいの頭で読んだものだから、サバコをうずらと読み間違えたのです。
「うずらに似た子が、また車に轢かれちゃったんだって──」
部屋に戻ったとたん、水を得た魚のように元気を取り戻したうずらは、早速優秀なウンチをしてみせました。
私はウンチの処理をしながら、‘見ず知らず’の野良猫の死をうずらに伝えました。うずらはベッドに飛び乗り、生き生きとした表情を見せていました。

サバコがマンマだけ食べに来て実態を見せないというのは、そう珍しいことではありませんでした。それでも、姿を見なくなってから、今日でもう4、5日は経っています。
突然、ムスメのLINEを思い出した私は、不安になってムスメに訊きました。
「ムスメが見た、うずらによく似た猫が県道で死んでいたってあれ、キジネコじゃなくてサバネコだったんじゃないの?」
「何言ってんの?」ムスメが氷のように言いました。「サバコにそっくりな猫って言ったじゃない」
びっくりしてLINEを遡って確認してみたら、本当に『サバコ』でした。
しばらくの間、頭が混乱して、状況把握に手間取りました。ここ数日、マンマ(姿を現さないのでごく少量)を平らげていたのは、サバコ以外の野良猫だったことになります。

仕事から帰って来ると、どこからかやって来て、小さな庭でお腹を見せて精一杯歓迎してくれたサバコ。
触れようとすると十中八九逃げるサバコ。
警戒心が強い利口な子だから、サバコだけは車に轢かれたりしないと勝手に安心していました。

「あれ? 今日はいつも庭に来ている猫ちゃん、いないんですね」
「そうなの。今日はまだ姿を見てないの。どこかよその家で、もっとおいしいマンマをもらってるのかな」
契約更新のために訪れた新聞販売員のお兄さんとの会話、あれは月曜の夕方でした。あの時、サバコがすでに死んでしまっているなんて思ってもみませんでした。ムスメのLINEが頭をよぎることもなかったのです。

「今更泣かれても」とムスメが困惑して言いました。「どうりで(LINEの)反応が薄いっていうか、あれ?そんだけ? 冷たいなって思ったんだよね」

休みだったのだから、道端で冷たくなっているサバコを引き取って、眠眠たちが眠るお墓に埋葬してあげることだってできたはずなのに。
その日はよそのお宅(おそらく○○さんち)が通報したらしく、午後買い物に出た時には、県道には何も残っていませんでした。
せっかく、休みだったのに。サバコの最期をどうにかしてあげられたというのに。痛恨のミスです。

捕獲して、避妊手術を受けさせて、約4年間マンマを与えてきました。たまに姿を見せない日もあったけど、ほぼ毎日サバコを見てきました。
奇跡的に触れさせてくれた時は、すごくすごく嬉しかった。猫らしい性質。きれいなサバネコ。美人な子。

サバコのために庭に設置したけれど、サバコがまったく入ろうとしなかった猫ハウス。
ダンボール箱で、せっせと作った猫ハウス。
車のフロント部分に残った、サバコの梅の足跡。たくさんの足跡。
そんなものしかもう残ってやしない。

「もう絶対、もう絶対、野良猫の面倒はみない。もう本当に、本当に嫌だ」
べそをかきながら言う私に、ムスメが返しました。
「これまでも、いつもそう言ってたよね」

サバコ、ごめんね。ごめんなさい。天国にいったら神様に羽根をもらうんだよ。車に轢かれないように──。
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# by vitaminminc | 2016-04-15 22:34 | 生きもの | Comments(2)

スーパー90歳

実母の誕生日の前日。
家に母を呼んで、卒寿を祝う計画を立てた私は、車で母を迎えに行く準備をしていた。そこに、兄嫁さんから電話が入った。
「みん子ちゃんがこっちに着く頃には私はもう出かけていると思うから、今のうちにと思って──」
兄嫁さんの声は、いつになく深刻である。心をゾワゾワさせながら、次なる言葉を待った。
「実は、数日前のことなんだけど、お義母さんが朝早く家を出たなと思ったら、夜8時を過ぎても帰らなくて、イチロー(わがアニキ)さんとすごく心配したの」
えぇ!? ついに認知症発症か。発症と同時に徘徊か。私は大いに焦った。さきほどさりげなく「卒寿」といったが、これは大変なことなのである。卒寿の卒は、「卆」(つまり「九十」と書くことから、九十歳のお祝いを指しているのである。そう、母はこの4月で満九十歳を迎えたのである。
厳密にいうと、卒寿のお祝いは数え年でやるそうだ。本当なら昨年お祝いしてさしあげるべきところだったのだが、昨年私は非常に緊迫した状況下にあり、それどころではなく、早い話がきれいサッパリ忘れていたわけだ。その親不孝ぶりを返上すべく、有休を使いまくって数日間仕事も休んだ次第。

兄嫁さんの話──私たちに一言も告げずに出かけたのは、言えば反対されると思ったからだろう。
早朝から出かけて夜8時半過ぎに帰ってきた。どこに行っていたのか尋ねたら、熱海に日帰り旅行にいっていたという。
熱海だけでなく、小田原にも寄って、帰りは上野公園に夜桜を観に行ったという。
同伴者は、一緒に習い事をしているお友達数人。訊けばその友人らは皆70代。お義母さんよりずっと若い。
70代の人たちと一緒に行動したことで、お義母さんはすっかり(体力的に)自信を持ってしまったようだ。
でも、実際はかなり無理していると思う。出先で万が一のことがあった場合、一緒に行ってくれた方たちに迷惑がかかる。
病院に搬送されたとして、ふだんどんな薬を服用しているか問われても、私たち夫婦は何もわからない。
とても上機嫌で帰ってきたので、私としてもあまり水を差すようなことは言いたくないが、みん子ちゃんからどうかうまく伝えてほしい。
今後は自重するように。イチローさんは優しいから、強く言えないの。ただ「今度から出かけるときはちゃんと言ってくれよ」と言うだけで。

熱海⇒小田原⇒上野──ハードスケジュールではないか。聞いてるだけで疲れてしまう。それを、90になろうとする母が、電車と二足歩行で成し遂げたとは!!

昼前に母を迎えに行くと、テニスから帰って来たアニキが、「これ、ムスコくんに」とムスコの大学入学祝いをくれた。寡黙なアニキは、案の定、数日前の母のあっぱれな行動に関して言及しない。だから私も聞きはしない。
母を車に乗せ、2キロほど走行したところで、思ったとおり、母自ら怒涛のように語り出した。
「こないだね、とてもいいことがあったの!」
「え? 何何?」すっとぼけて尋ねると、母が頬を桜色に染め、興奮状態で話し始めた。
週一で通っている、体操教室で一緒の人たちが、「今度熱海に桜を見に行きましょうよ」と提案。体操教室の面々というのは、母が最高齢で、当時あと数日後に90歳になる母と、5つ下の85歳、あとは70代の方が5人ほどだという。85歳の方が、その日は予定が入っているからと辞退。70代は、当然母も辞退するだろうと思っていたらしい。
が、母は違った。
「ご迷惑かもしれないけれど、今生の見納めに、私も参加していいかしら?」
70代の方たちは、「まぁすごい」と大賛成。「行きましょう、行きましょう」ということになった。
余談だが、母が実年齢を明かすまで、70代の方たちは母を一回り若く見ていてくれたそうで、90近いと知った途端、毎回体操教室終了後に椅子を運ばなければならないのだが、代わりに運んでくれるようになったという。元々親切な方たちだったのだ。
当日、一人が全員分の「青春18きっぷ」を用意してくれていて、90になろうという母、18才の気分で受け取った。
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熱海では、寛一とお宮の像を見てから、近くの料理屋でたいへん美味しいお昼を平らげた。肝心の桜は、東京より暖かいはずの熱海でも、まだ三分咲きだったらしい。

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熱海だけで帰るものと思っていたら、「ねぇ、小田原にも寄ってみない?」と一人が提案。行き当たりばったりの気ままな旅に、変化球が投じられた。
もちろん母を除く70代は、「みん母さん大丈夫? 無理しないでね」と気遣ってくれた。母は「私も行くわ」と腰を上げたという。
小田原城に登るときは、70代の中で一番年上の方が母の手を引き、ゆっくりゆっくり階段を上ってくれた。
ほかの皆さんも、「みん母さんを見てると励みになるわぁ」と、母の姿に自分たちの近未来を投影させ、声援を送ってくれたようだ。

これで帰ると思いきや、「ねぇ、帰りに上野に寄って夜桜を見て行かない?」というご意見が。熱海の桜が拝めず不完全燃焼だった70代は、実にエネルギッシュなのだった。いくらなんでもみん母さんはもうお疲れでしょう、絶対無理しないでねと念を押してくれた。
そういえば、この齢になるまで、夜桜というのを見たことがなかったなと気付いてしまった母。「私も見たいわぁ」と同行表明。

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画像はどれもネットから拝借したものなので、実際はまだ五分咲きだったという。平日だったため、狂ったような人込みもなく、満開ではなかったにせよ、それなりに楽しめた模様。
帰り際、みなさんが訊いてくれたそうだ。
「明日何か予定あるの?」
「コーラスの日だわ」
「きっと今日の疲れが出るでしょうから、お休みして家でゆっくりした方がいいわよ」
「そうね、そうするわ」
しかし、70代と一緒に行動と共にした母は、翌日しっかりコーラスのお教室にも出かけたという。

恐るべし! 90歳! 
だって、平日だったら電車だって混む。特に帰りは17時以降、エンドレスでラッシュだろう。それに、駅には階段がつきものだ。いったいどうすりゃそんなに歩けたのだ?
昨年は体調が悪かった母。やれ膝が痛む、踵が痛い、メニエールでクラクラする、二度も吐いてしまった等、結構私も心配させられた。だからこそ、オットのお通夜も告別式も、敢えて母には来てもらわなかった。89歳と聞いて、オットの親戚も納得してくれた。オットが急逝し、この上母にも逝かれたら、私はきっと正気を保てない。そう感じたからこその決断だった。

結局私は、アニキの言葉を補足する感じで、「どこに行くと告げずに家を出たらどうなるか」というシミュレーションを語って聞かせ、警察のご厄介になりたくなかったら、ちゃんと行先・同行者の連絡先を伝えるかメモに残して出かけてくださいと母にお願いした。
そして、百均で紐付きカードケースを3つ購入して、カードには母の氏名・住所・血液型・服用薬・緊急連絡先電話番号をせっせと書き込んだ。その一つを母が持参した手提げバッグに紐で括り付け、カードを中にしまった。
「バッグを替えたときに入れ忘れないように、あともう2つ予備で作ったから、家に帰ったらほかのバッグにもこのように括り付けて、いつでも持ち歩くようにしてね053.gif

90歳の母を自宅に呼んで、二泊三日。卒寿のお祝いカラーだというずくめのベスト、ストール、ショルダーバッグを贈った。それらを身に着け、乙女のようにはしゃいだ母。わが母ながら、いちいち可愛い。お連れした日帰り温泉でも、露天風呂で一緒になったご婦人に母の実年齢を教えたら、「あらでもお肌がすべすべ! とてもそんなお齢には見えないわ、きれいなおばあちゃまだわ」と心底びっくりされた。補聴器を外していて、ますます耳が聞こえない母は、せっかくの褒め言葉も聞こえなかったけど、頷く代わりににこにこと笑顔をふりまいていた。

三日目に母を実家まで送り届けたら、母が家の鍵を持っていなかったというオチ048.gifアニキに見送られたため、自分で鍵を閉める必要がなかったから持って出るのを忘れたという。まぁ、このくらいのポカは私やムスメだってよくやる。アニキたちが帰るまで、お隣の家にあがらせてもらい、待たせていただけることになった。
私は翌朝5時半起床なので、お隣さんにお礼を言うと、さっさと帰らせてもらった。

その三日後くらいに母から電話があった。話し方教室で、熱海の話を披露したら、講師に「たいへん素晴らしい」と褒められたそうだ。耳が遠くなってみんなの話が聞こえないからもう辞めるとこぼしていた母だが、実際は辞めてなどいなかった。
「今度の話し方教室で何を話そうかしら」と、送る車中で私に相談してきた。
母は「これは娘から聞いた話です──」として、私が提供した話を発表することが多かった。「実体験を話せるいい機会ではないか」と、熱海の話を発表すべしとアドバイスしていたので、その結果報告。

若い。本当に若い。頭脳も私よりずっとずっと明晰。
私なんか、母のためにとった連休の穴埋めで連勤しただけですっかりくたびれちゃって、その後遺症で毎日ヘロヘロ。
ヨレヨレの頭ながら、先行きに一抹の不安。6月に控えたオットの一周忌法要で、オットの親戚に「お元気そうですね」と言われようものなら大変である。
「ええ、3月には熱海に日帰り旅行にいって、小田原城にも上ったんですよ」と自慢しそうな母が怖い。
当時は本当にそうだったとはいえ、足腰が弱っていてよう歩けん母のはずが、あん時ゃ仮病だったんかい!てなことになったら、私の面目丸つぶれである。いつになく人の声がよく聞こえて、いつになく饒舌になった母が、熱海物語をしちまった場合は、「ボケちゃって、すみません」と小声で取り繕う覚悟である。

母よ。目指せ、白寿!!







# by vitaminminc | 2016-04-11 13:16 | 人間 | Comments(2)

ぬれねずみ

やはり猫。
うずぴはこうしたネズミのおもちゃが大好き。
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ところが、毎日のように、自分の飲み水の中に入れてしまう。
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毎日ですよ、毎日。
欠かすことなく毎日。

はじめは遊んでるうちに、自然に入ってしまったのかと思った。
でも違う。
飯の器には、絶対に入れない。
水の方にだけ入れちゃうの。

で、それを手でチョイチョイするのがたまらないらしい。
やめてくれぇ(笑)
脱毛した毛は沈んでるし、不衛生で仕方ない。
見つけるたびに水から救い出し、ティッシュで拭き拭き。
水も日に何度も入れ替える。

尾はちぎれてるし、咥えられて水に沈められ、いたぶられる日々。
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背中が、ゲハってきた
なにゆえ、水に入れて遊ぶのか。
いと哀れなり、ぬれねずみ。



# by vitaminminc | 2016-04-05 13:30 | 生きもの | Comments(2)

鳶職人

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ウヒョー! どうやって飛び乗ったの?
3、4枚シャッターを押してから気づいた。
そうか、降りられないのか。

慌ててスマホを放り出し、両手を差し伸べた。
が、
足を滑らせたうずら、両手でぶら下がり健康器状態になったと
思う間もなく落下⇩

どうして後先考えずに、こんな足場の悪いところに飛び乗るのか。
そして、
足場の悪いところに落ちるのか。

毛を剃ったら、全身青あざだらけなんじゃないの?

ビビリのくせに、私の部屋の中でだけはお転婆娘です。





# by vitaminminc | 2016-03-12 18:35 | 生きもの | Comments(2)

親としてのアドバイス

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合宿免許で山形さ行っでる愛ムスコから、短いLINEが届いただ。
「ちなみに昨日仮免許とりました」
はぁ~、合宿ってのはやっぱす早ぇな。まだ一週間しか経ってねっぺ?
英検も数検も漢検も、何一つ資格を持ってねぇから、参加させて良かったべ。将来、就活に役立つと思ってな。

上の画像は、十中八九、宿泊先のホテルだ。ツインルームに野郎ふたりで寝泊まりすてっぺ。何はしゃいでんだか。
この画像はオラに送って寄越したわけじゃねぇ。オラが勝手にムスコのLINEから拝借すたっべさ(笑)けけけ。

合宿に行く前、せっせと荷造りしてるムスコが、「あ~、パンツが足りねー」と嘆いていだっけかな。
足りないのはパンツじゃねぇ。おめぇの脳みそだ。高校一年の時、選択旅行で北海道に行ぐって時に、オラしこたま買ってやっただ。
それをどごにしまい忘れたもんだか。だらしなさすぎっぺよ。
「これはもう小せーんだよな」
見るからに小さなボクパンをひらひらさせたと思ったら、そばに転がっているマーシー(ムスメ所有の巨大チーターのぬいぐるみ)に穿かせるでねーか。
「あ~、ダメだ、しっぽが邪魔でこれ以上あがらない」
そこで、オラの出番だ。親として、人生の先輩として、わたしくしは厳かに、助言したのでございます。
「後ろ前、逆に穿かせてみ!」
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            着用前


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            着用後


「おぉ~!」
大絶賛するムスコ、バカ笑いするムスメ、鼻高々の母。呆れたあほんだら一家である。
死語(←ムスコ曰く)になっている「社会の窓」から、大事なしっぽを引っ張り出され、どことなく哀愁が漂うマーシー048.gif
ムスコは、おっとこんなことやってる場合かと、荷造り再開。
しかし、洗ってやったパンツをきちんとしまわないために、あるべき枚数が見つからないことといい、穿かせている段階でしっぽの処理を思いつかないことといい、お前はまだまだ未熟者だ。
合宿費用を出してやったんだから、きっちり実地免除証明を携え、意気揚々帰って来るがよい。オラ待ってるだ。




# by vitaminminc | 2016-03-10 16:12 | 笑い | Comments(0)

うずぴ、退院する

またしても、いきなり余談。
おそらく誰も同調してくれないだろうとは思いつつ、いやいや、もしかしたら、今度ばかりはほかにも指摘している人がいるかもと密かに期待。最近では、バラエティー番組で天然ボケをかます美しい笑顔の向こうにお笑いの影がチラついて、完璧な美を前に、なぜか笑っちまうのである。
私的指摘、似てるてる坊主シリーズ↓↓↓

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女優・平愛梨


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おかずクラブ・ゆいP


では、本題。
昨日の朝、避妊手術を受けるため入院したうずら。推定生後5ヵ月ではあるが、体格・体重的には十分であることから、早めに受けることにした。
捕まえるのが大変だった。5ヵ月を過ぎたあたりから、うずら持ち前の野性味に磨きがかかってきたからだ。
病院でキャリーバッグから引っ張り出される時の抵抗も凄かった。その様子がまぶたの裏に焼き付いて、預けて家に戻ってからも、どうにも落ち着かなかった。眠眠なんかキャリーバッグを置いただけで自分から中に入っていくタイプだったし、野良出身の茶尾でさえ、捕まえるのに難儀したことは一度もなかった。簡単に抱っこさせてくれたから。
うずらは、私がこれまで接したことのないタイプの子。寄ると逃げる、隠れる、威嚇する。
だからなおさら胸が痛んだ。かわいそうでかわいそうで、退院するまでが待ち遠しくてたまらなかった。ビビリっ子だから、院内でどんなに心細いだろうと心配した。
あいにく本日私は仕事だったので、ムスメに朝一で迎えに行ってもらった。
私が仕事から帰ったとき、うずらは私のベッドに寝ていた。けれど、私を見たとたん、キャット・タワーの上に駆け上って、空中のねぐらの方に隠れてしまった。
あんな動きができるということは、術後の体調は良好といえるだろう。
昼食を済ませて再び部屋に様子を見にいった。ムスメが朝与えてくれたエサの残りを処分して、うずらの大好物のおやつをあげた。うずらは袋を見ただけで目を輝かせたけれど、エサ入れのそばに私がいるものだから、ねぐらからおりて来ようとしない。
さりげなくエサ場を離れた私は、うずらのトイレの片づけを始めた。
うずらがおいしそうにおやつを食べている音がする。
まったく、そこまで警戒しなくてもいいのになぁ。
私はそのままベッドに寝転んだ。
まもなく、掛布団の上に小さな衝撃を受け、私の足先にやわらかく温かいものが寄りかかるのを感じた。
私はだらしなく目じりを下げ、驚かせないように小さな声で「う、ず、ら・・・」と話しかけた。
うずらは逃げないで、そのまま私の足先を抱きしめて眠ったようだ。
なんて、なんて、なんて可愛いのだろう。
私は私の足先に嫉妬した。
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退院後のうずら。
時々元気に部屋の中を駆け回っては傷口が痛むのか、
「ひゃあ~~~」と悲鳴のような声をあげる。
もっと安静にしていないとダメだよぉ。


# by vitaminminc | 2016-02-07 21:57 | 生きもの | Comments(0)

う・ず・ら

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白猫ちゃん?



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白猫ちゃんじゃないよ



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「うずら」だよ056.gif(ギンッ)








ところで、私だけだと思う。
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鈴木砂羽さんと



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トレンディーエンジェル斉藤さんの黒目が似てるなんて思うのは。



# by vitaminminc | 2016-02-03 08:49 | 生きもの | Comments(2)

色足是空

のっけから余談。甘利氏が、経済再生担当相を辞任。
昨年5月に行われたマイナンバーのPR記者会見で、ゲスの極み乙女。の替え歌なんか披露していたから、ネット上では「ゲスの呪い」なんて揶揄されている。
安倍総理が最も失いたくなかった閣僚の一人。アマリにも残念。
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私も密かにそう思っている。
だって、テレビで甘利氏が映るたびに、あの長い額に圧倒され、そこに「寿老人」を見ていたから。
それが「受領人」の責任をとって辞任とは。。。(嘆)
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さて本題。子にゃんこ「うずら」の話。
うずらが我が家の一員になって、早2ヵ月。
来た当初は800gしかなかった体重も、今日測量したら2200gになっていた。推定生後4ヵ月の子猫の平均体重が2000g前後なので、いたって順調(^^♪

うずらは相変わらず「シャーッ!」と鳴く。毛の生えたコブラとしか思えない。
どうやらうずらにとって、人に対して「鳴く」ことは、「威嚇する」ことと同義らしい。
ふだんが「シャーッ!」。で、本気になると、これに「ゲッ!!」という破裂音が加わる。身体が大きくなった分、この破裂音の迫力には、さすがにビビる048.gif

人に対してではなく鳴く(=独り言)場合は、多少ヘビ以外の声も出るには出る。
滅多に耳にすることがないけれど、「きゅ~」と鳴く。例えば、遊んでいたピンポン球が、自分の飲み水が入った器に飛び込んでしまった時など。
この「きゅ~」という小さなつぶやきが、崩れ落ちそうになるほど可愛い。
猫語は、我が家に来た当初、一回だけ(おそらく母猫を呼ぶ際に)発したのを最後に、キッパリ捨ててしまったらしい。
「シャーッ!!」ごくたまに「きゅ~」と鳴く、ギロッポン出身のキジネコ。

ところで、うずらには、大好きなトモダチがいる。それは、ちゃんと血が通っていて、うずらが抱きかかえるのにちょうどいい大きさをしている。
好きすぎて、甘噛みせずにはいられないし、逃げないように爪を立ててしまうので、結局いつも逃げられてばかり。
こないだは、抱きかかえたまま眠ってしまった。トモダチも嬉しいやら困るやら、どうしていいかわからなかったみたい。
トモダチは、うずらの温かいお腹を愛おしいと思った。
トモダチは、うずらの腹式呼吸に身を任せていた。
トモダチは、なぜか痺れた。

トモダチは、私のくるぶしから先である。
うずらは、トモダチを私の足とは認識していない。
なぜなら、トモダチは必ず掛布団の中からちょこっとだけ顔を覗かせる、ベッドの上の住人だから。
昼間私が留守にしている間、うずらはずいぶん頑張って布団の中を探している(に違いない)。
結局探せなくて、そのまま布団の中で眠ってしまうようだ。
家に帰ると、乱れに乱れた掛布団の中に、うずらが丸まっていることがたびたび。

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トモダチと固い握足を交わすうずら

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トモダチがいないときは、エビくん(ペティオのけりぐるみ)を招待するうずら


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あるいはおもちゃを持ち込んで一人遊びする、猫界ではタレ目のうずら


慢性的な猫風邪に悩まされていて、目薬を絶やすことができない。
風邪を悪化させないように、暖房と空気清浄機と加湿器をツケッパにしているため、光熱費が二倍に跳ね上がっている。
それでも構わない。
私にはうずらが絶対必要。
すごくすっごく可愛いんだけど、頼むからさぁ、「ゲッ!!」だけは止めてくれないかな、怖いから(笑)













# by vitaminminc | 2016-01-29 13:41 | 生きもの | Comments(0)

浄化槽の神

何か忘れちゃいませんか?

そうでした、トイレの顛末を忘れていたざんす。
トイレ詰まりを確認したお水系トラブル業者(←サンドイッチマンの金髪の方を柔和にした感じ)が、「浄化槽がいっぱいになってるからだと思うんですよね」と診断しました。「土日は(汲み取りは)やってないから、すぐに電話して、月曜にでも(汲み取りに)来てもらったほうがいいですよ」と。

嘆かわしや。昭和の香りぷんぷんの「汲み取り」という言葉。
お察しのとおり、この近辺には下水が通っていません、いまだにですよ(怒)。家を建て替えてからは、合併浄化槽という、大型浄化槽のお世話になっています。トイレのみならず、家庭排水の全てを清水に換える、頼もしいヤツであります。
その合併浄化槽の、食道にあたるところまで、食べたものが詰まっていて、うまく胃に下がらない状態? だからゲップのような異音がするのでしょうか。
業者が帰るや否や、私はすぐに浄化槽を管理している会社に電話を入れました。年4回、3ヵ月ごとに浄化槽を検査(管理費用年間2万7000円)して、夏場は防虫剤(実費)を取り付けたり、浄化槽の沈殿物が溜まったら、汲み取り(実費)の手配をしてくれます。
「先月検査に来ていただいた時に、汲み取りが必要だということは何も仰っていただいていなかったんですけど──」
私は焦り丸出しの声で、トイレが詰まり気味で、業者に診てもらったら浄化槽がMAXだからだと言われた経緯を説明し、すぐに手配してくれるよう頼みました。
「お待ちください──」電話に出た女性が、我が家の浄化槽のデータを確認します、と言いました。「ああ、11月××日に伺いましたが、その時点では汲み取りの必要はない状況ですね。合併浄化槽の汲み取りは、3年に一度、人数の多い家庭でも2年に一度くらいなんですけど──」
そして、担当者が昨年末に定年退職したため、新しく担当になる者に連絡を入れます、と言われました。
新担当者の携帯から、まもなく電話が入りました。今度の担当は若そうです。
「トイレの修理に来た人に(浄化槽が)いっぱいになっていると言われたんですか? 今、自分でも端末でデータを確認してみたんですが、まだ大丈夫のはずなんですよね。第一槽と第二槽の両方見てないんじゃないのかな。今から15分くらいで伺います」と元気よく請け負ってくれました。
新担当くんが、チャイムを鳴らしました。
「今、浄化槽の蓋を開けますから、奥さんも一緒に確認してください。自分、説明しますんで」
すごくテキパキした好青年です。
「こちらが、排水が直接流れ込む第一槽です。一見、確かに上の方まで溜まっているようには見えるんですが、ここのパイプ──第二槽とつながっている、このパイプに届いたら、汲み取りが必要、ということになります。先月の記録でもそうでしたが、まだ大丈夫です。もちろん、頻繁に汲み取るお客様もいらっしゃいますが、一回に3万円ちかく費用がかかりますから、必要になったらで十分です。その修理に来た人って、いくつくらいの方でしたか?」
「30代後半くらいに見えました」
「う~~~~ん、たぶん浄化槽の専門ではないんでしょうね」20代の青年がかすかに苦笑しました。
そして、トイレの水が引っ張られるのは、一時的にトイレの使用量が増えるなどして水かさが増したのが原因として、バルブを調整してくれました。実際、実家の母が年末遊びに来たので、トイレの使用頻度は上がっていました。トイレから外の浄化槽までが至近距離にあり、ダイレクトに流れ込むことも理由の一つのようです。詰まっているからとバケツの水をドバドバ流した私の行為は、絶対にやってはいけないことだったようで。
「ちょっと心配なので、自分もこの目でトイレを見させてもらっていいですか?」
青年は私に続いてトイレの底を確認しました。
「普段の水の量を知らないんですが、これ、まだ少ないですか?」
「いえ。調整していただいたおかげで、さっきまでより少し増えています! ああ良かった、ありがとうございます!」
ゴポゴポいう捨て台詞も聞こえなくなりました。
「良かった」──青年は満足した表情で、改めて私に向き直りました。「これからは、また何かトラブルがあったら、まずうちに連絡してください」
「え? お宅は浄化槽の管理だけじゃないんですか?」
「いえ。トイレだけじゃなく、キッチンやお風呂場の排水が詰まったときも、とにかくうちに電話してください。すべて浄化槽が関係してくることなので。高圧洗浄などを行う部門もありますから」
20年前に最初に契約した時に、この説明が欲しかった。聞けば、高圧洗浄の金額もネットで調べた相場よりずっと良心的。浄化槽の「水質」管理をうたっている社名が邪魔をして、「トイレ詰まりは自己責任」という考えしか浮かびませんでした。
青年は一銭も受け取らずに、最後までテキパキと、実に気持ちよく爽やかに去って行きました。定年で辞めたという前任者も感じのいい方だったっけ。
因みにトイレの修理業者には、基本料金1750円を支払いました。出張料を取られなかっただけ、よしとしましょう。

次回の検査は2月。自社の仕事に自信と誇りをもち、自分の目で確かめたいと寒風の中、駆けつけてくれた青年。当日何のお礼もできなかった私の、せめてもの気持ちとして、缶コーヒーを購入しておきましたです、ハイ。





# by vitaminminc | 2016-01-27 12:06 | 人間 | Comments(2)

頑駄夢!

─{29日、パルコの向こう側にあるLABI池袋(ヤマダ電機)の7階、11時に「神戸パスタ」の店の前で。ビックカメラじゃないよー}

11月に入り、高校時代の友人A子から届いたLINEである。
昨年11月末、私はA子とC子と久しぶりに会った。久しぶりという表現では足りない。C子とはおよそ32年ぶり。A子となんて高校卒業以来である。

当日は、早めに家を出た。ネットで調べたら、駅からほど近い。この分だと30分前には到着してしまうだろう。
そんなことを思いながら、池袋駅に降り立った。
ネットで調べた出口から地上に出た。駅前から見えるかなと思ったけれど、看板が見えない。「パルコの向こう」って、パルコを背に立った場合、左方向に行けばいいのか、右方向に行けばいいのか?
「ビックカメラじゃないよー」ということは、ビックカメラと間違えやすい位置にあるということか。あ、あれに見えるはビックカメラではないか。
LABIが見えないので、ビックカメラに向かって進んだ。おぉ、あったあった。ビックカメラの隣にLABIが。
私は迷わず店内に入り、エレベーターのボタンを押した。
案内板によると、7階フロアは「GANDAM」となっている。さすが大型電器店。フロアーの名称までアキバっぽく凝っている。
エレベーターに乗り込み、7階のボタンを押す。
正直、案内のどこにも「神戸パスタ」がないことに、一抹の不安は覚えていた。しかし、7階「GANDAM」フロアの奥に、神戸パスタはきっとある。
エレベーターが7階で停まり、扉が静かに開いた。
なんだろう、この独特の空気圧。
歩みを進めた私は、異質なものにぐるりと取り囲まれた。隙間なく並べられ、積み上げられた、箱という箱でできた壁。まるで迷路みたいだ。
フロアは異様に静まり返っていて、遠くに2、3人の男性客(←明らかにディープなアキバ系)が見えるのみ。
この壁の向こう側に、きっと神戸パスタがっっ! しかし、休憩用のベンチはあれども、飲食店など皆無なのであった。
私は理解した。
ココは表示どおり、GANDAM専門フロアでしかないのだと。
へなへなとベンチに座り、すぐさまA子にLINEした。
─{7階に着いた。GANDAMだった}

私はレジカウンターに立っている男性店員のところに行った。この時点でようやく気付いた。自分がこのフロアではエイリアン(←50過ぎのババア)なのだと。
店員は、エイリアンに親切だった。
「神戸パスタ? でございますね? こちらはLABI、モバイルドリーム館になりまして、神戸パスタさんは、LABI、日本総本店の方の、7階になります」
「こちらじゃなかったんですね」
客の言動に吹き出さないよう教育を受けた優秀な店員は、B6サイズのチラシのような地図を手渡しながら言った。ものすごくハキハキと、一語一語クッキリと。
「まず、1階までおりてください
「はぃ」
「いったん駅の方まで戻っていただきますと、一つ目の信号がございます」
「はぃ」
「その信号が、青になったら渡っていただき、少し左に折れていただきますと、もう見えてきます」
「ありがとうございます」

神戸パスタに到着すると、すでに2人が店の前で待っていた。
私のLINEを見て、「こいつ大丈夫か?」「迎えに行った方がいいんじゃない?」と大いに ウケて 心配していたらしい。

「ビックカメラじゃないよー」という注意を、ビックカメラ隣にあるモバイル館の方じゃないからね、とは解釈せず、わざわざそこを目標にした私。
店内表示に「神戸パスタ」の案内がないどころか、目的のフロアが「GANDAM」となっていたにも関わらず、素敵なフロア名だぁ、と受け止めた私。

「ふつう、GANDAMで(間違いに)気付くでしょー」とC子が笑った。
「なんか高校時代とちっとも変ってないよね」とA子も笑った。
30余年の隔たりは、相変わらず方向音痴な私の出遅れた登場で、一気に解消した。

私は基本的に変わっちゃいない。成長もしていない。
思い込みで進んでしまう、ななところ。いろいろと目なところ。浮世離れした白昼みたいに、夢見がちな解釈をしてしまうところ。
つまり、アホ!
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# by vitaminminc | 2016-01-20 11:15 | 笑い | Comments(0)

運のツキとスッポン

仕事は昨日から出ているのだが、今日はシフト休みである。
朝6時に起きてムスメの弁当を作ったあと、二度寝したら寝坊した。
10時に予約していた歯医者に、9時半に起きたのでは間に合わない。
仕方なく「風邪をひきました」といい齢して仮病を使い、一週間後に予約を入れ直した。

これでよし──とならないのが、世の常である。我が家はちょいとした問題を抱えていた。
年末から、便器のたまり水(封水)の量が激減している。臭気もなく、一応流れもする。ただ、水が流れ落ちる最後に「ゴポゴポッ」と捨て台詞を吐くようになった。
建て替えてから7年目? 今までこんな現象、起きたことがない。
ネットで調べたら、原因はほぼ「詰まり」らしい。詰まっているなら、水があふれそうなものだが、それとは逆に、引っ張られる場合もあるとのこと。
また、パイプユニッシュなどの洗剤は、トイレ詰まりには効果が期待できない旨説明書きにもある通り、実際試した人の話ではまったくダメだったらしい。
原因(詰まり)の原因(犯人)には、心当たりがある。
それはつまりムスコ。
ヤツは消耗品を狂ったように消耗することにかけては、キング・オブ・ファミリーである。
どんだけご清潔なのかは知らないが、尻拭いが好きなことだけは間違いない。
さっき補充したばかりのトイレットロールが、ムスコが入っただけでなくなりかけるのだから。
そんなだから、痔にな
とにかく、私はムスコに厳重注意した。業者を呼ぶ事態になったら、場合によっては諭吉が3人と一葉が1人、家出するんだからな。
「え? オレって証拠でもあんの?」
目が笑っている。身に覚えがあるからだろう。
ムスコのバカげた質問には答えず、キッパリ言った。
「紙をいくら使ったっていいが、途中、何度もこまめに流してくれ」
私は、引き続きネットでスッポン(ラバーカップ)について調べた。百均に売ってるのは、今時和式トイレ専用らしい。
洋式トイレ用のは1000円くらいするようだ。カップの直径が、14cmのと16cmの二種類あるのか。
T社のホームページには、便器の型式に合うサイズを載せているようだが、I社にはそういったサービスはないようだ。
型式を告げて、直接聞くしかない。
「あ~~~めんどくさい!」
私がブツブツ言ってる横で、突然ムスコが聞く。
「──てことは、オレ今トイレ使えないの?」
「何? この期に及んで、まだトイレに何か入れる気?」
「ハイ。しかも、大060.gif
そして私の目の前で、小5の時に作ったという「キュッポンの歌」というおかしな替え歌を小躍りしながら披露しやがった。
「何、そのキュッポンて」
「トイレに使う、ゴムのお椀みたいのに棒がついたやつのこと」
スッポンのことかい。

I社のお客様センター(←下請け会社)に電話をすると、受付で要件を聞いたのち、折TELするという対応だった。混み合っているらしい。
「もしもお買い物などに出られるのでしたら、先にそちらを──」
皆まで言わせず答えた。「ラバーカップを買いに行くので、先にサイズの確認をしておく必要があって電話しました」
「かしこまりました。では、なるべく早めにお電話をさしあげるように申し付けます」
なるべく早めにという言葉ほど胡散臭いものはない。私の耳には、「遅くなります」と変換されて届いた。
予感通り、40分近く待たされた挙句、得られた回答は次のようなものだった。
「お客さま、排水の穴をよく見ていただいて、その穴が隠れる大きさ(のカップ)なら、どれをお使いいただいても構いません」
オイ。穴より大きいものを、使うにきまっている。
問題は、そのカップのサイズが便器に合わないとうまくいかないことにある。ネットでもそう注意してあった。
そのことをやんわり訴えると、意外すぎる答えが返ってきた。
「わたくしどもは、品番(←伝えたのは型式と品番の両方)しか伺っていないものですから──」
わからないなら、潔くわからないと言うべきである。無駄に時間を費やしてしまったではないか。

ネットでは、スッポンでうまくいかなかった場合の次なる手も紹介していた。
真空式パイプクリーナー、つまり、針の代わりにラバーカップをつけた、バカでかい注射器のようなシロモノである。
「もういい、いっそはじめからコレを購入すりゃいいんだ!」
「そうだよ、それにしといた方が間違いないよ」となぜかムスコも嬉しそう(この直後外出して姿をくらましたが)。

地元のホームセンターに行って、結局自分が「排水の穴より大きいもの」を購入するしかないと知った瞬間の、敗北感。真空式パイプクリーナーも置いてないなんて。
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ご丁寧にも、専用の収納器まで備えた、コレ一種類しか売っていなかったのである。1000円じゃ買えなかった(ケッ)。
ブルーの使い捨てゴム手袋も一緒に購入し、ネットの解説にあった「とびちり防止カバー」も作った。
ゴミ袋の脇と底をL字に切って開き、スッポンの棒が差し込めるだけの穴を開けたものである。
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準備は整った。あとはこれを便器の穴に差し込み、カップの上部くらいまでバケツの水を注いで真空状態にして、ゆっくり押してから素早く引けばいいってか。

しかーし。カップがでかくてきっちり入らなかった。当然隙間ができる。いくら水を入れてもカップの上まで溜りゃしない。
だからサイズを確認したかったのだ! 穴よりでかいのは当たり前、そのくらいアホでもわかる。
穴の上の急斜面の、いったいどこを「直径」とすべきかわからんから聞いとんじゃろが。
どのみち店には一種類のサイズしか置いていなかったから仕方なく購入したが、トイレを詰まらせたのは100%我が家のせいである。100%I社を責めるつもりはない。責めるなら50%。
HPにさぁ、スッポンのサイズくらい紹介しておこうよ。

諦めきれない私は、階段下収納をゴソゴソ探し出した。パイプ詰まりを薬の力ではなく、物理的にどうにかするためのものを昔買ったことを思い出したのである。
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あった、あった。コレですよ、コレコレ。メジャーみたいに金属製の薄くて平たいものがどこまでも伸びるんですよ。
リールみたいにレバーをくるくる回すと元に収まる仕組み。
買ったものの、実はまだ一度も活躍の場を与えていなかった。喜ぶがよい、ついにオマエの出番が来たのだ。
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いざ、出陣! 
え? え? ずいぶん伸ばしけど? いかん、途中でどうにもこうにも動かなくなった。S字の排水管の、おそらく二つ目のカーブで立ち往生か。
本当にどうにもならないではないか。これ以上力技にでると、パイプを壊しかねない。ダメダこりゃ。

私はさらに、スッポンでも駄目だった人のためのページを見つけた。バケツの水は、一気に流すと逆効果らしい。すでに何度もやっちまった。
なるべく高い位置から、直径5cmの水柱を保ち、排水の穴めがけてピンポイントで注ぐのが良いらしい。
早速試した。バケツの水が重くて、途中高度が保てず的も外して床を拭かねばならないハプニングを挟みつつ、めげずに3回、華厳の滝の水芸を。

それでもダメだった場合の奥の手──ヤカンに湯を沸かし、便器に注ぐ。このとき、カップ半量の重曹とカップ1杯のお酢も投入し、30分~1時間放置。
ただし、熱湯は陶器にひびが入る恐れがあるので、あくまでも熱めの湯でないといけないらしい。

この記事を書いてる間に、とっくに1時間以上経過した。今、トイレの様子を見に行ってきた。
ガッカリ。水位は相変わらず低いまま。封水が、足りていない。
もうさっきお酢は使い切ってしまったし、私も疲れ切った。ツキなんて、あふれ出る現象ではなく、引っ張られる現象の方で最初から使い果たした気がする。
明日もう一回トライしてみて、ダメだったら早めに業者に連絡するしかなさそうだ。

トイレットペーパー、いつも店で一番リーズナブルなシングルタイプを買っていたのだけど、去年からメーカーが変わったことを思い出した。
若干紙質が以前のものより「シッカリ」しちゃっているように感じたのだけど、もしかしたら、これが引き金になったのかもしれない。
トイレが無事に回復したら、今度からはもっと高くてもいい、柔らかいペーパーを買い求めることにしよう。
そうすれば、ムスコも痔にならずに済







# by vitaminminc | 2016-01-06 17:35 | 人間 | Comments(0)

武器よさらば

ニッポンの猫神さま・くるねこ大和さんは、猫を保護した時の状況によって、ご自分を使い分けている。
使い分けているというのは、ちょっと違うか。
乳飲み子に、自らミルクを与えて育てた子に対しては「おかあさん」。
そして、成猫または母乳を卒業しているくらいまで育っていた子に対しては「おばちゃん」というふうに。
分け隔てなく、愛情たっぷりに育てているにも関わらず、敢えて「おばちゃん」とご自身を位置づけているこだわりは何故なのか。
それは、何らかの理由によって途中で育てられなくなったにせよ、それまでその子を育ててくれた実母に対する敬意にほかならない。
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ギロッポンの野生児うずらが、我が家に来てすでに一ヵ月余り。
いまだに「シャーッ」と威嚇され続けている。
生後二ヵ月くらいの赤ん坊だし、「シャーッ031.gif」が「にゃ~ん016.gif」に変わるのなんか時間の問題だと思っていた。
が、一週間、半月過ぎても「シャーッ」。

いまでは、これがうずらの普通の鳴き声なんだと思うようにして、自分を慰めている(笑)。
実は、私は一回だけ、聴いたことがある。
あれは我が家にやって来て三日目の深夜だった。
うずらが、可愛い声で「にぃ~~~」「にぃ~~~」「にぃ~~~」と鳴いていた。
私がそっと起き上がった瞬間、鳴き声はピタリと止んだ。
以来、あの可愛い声を二度と耳にしていない。もっぱら「シャーッ」のみ。
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あの頼りなげなか細い声は、まぎれもなく、実母を呼んでいる声だった。
だから、私はうずらのおかあさんになろうだなんておこがましいことは思わない。
ただただ錯覚してくれさえすればそれでいい。うっかりでもいい。
警戒を解いて、「にゃ~~~」と鳴いてみてほしい。
「シャーッ」と鳴くは容易には解けないだろうけど、またあの可愛い声が聴きたい。

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こちら、外猫ちゃん用2015年版冬期ハウス。
昨日の夕方設置したばかり。
朝まんまをあげに小庭に出たら、サバ子があらぬ方角からやって来た。
まったく使用していないということだ。
ま、うずら同様、野生児にとって警戒心こそが最大の武器。幾日か経て、このハウスに爆弾が仕掛けられていないことがわかりさえすれば、いつかは利用してくれるだろう。

うずらよ、「武器よさらば」だ。




# by vitaminminc | 2015-12-30 08:51 | Comments(2)

泣き納め

昨日。
鼻をすすりながら、旦那の部屋を片付けた。
半年もの間、見て見ぬふりを続けていた、「ご霊前」の祭壇も解体した。
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居間にいたムスメが、静かに入ってきて言った。
「みん子、また寂しくなっちゃったの?」
辛いと訴えると、
「また今度やればいいじゃない」
と慰めてくれた。無理をするなと。
年末には母を呼んでいる。この部屋に寝泊まりしてもらう。
いつまでも逃げているわけにはいかない。

パンパンに膨らんだビジネルバッグも、この日初めて開いた。
ムスメが、旦那の名入りの日付印を手に取った。
「15年6月5日で終わってる──」
旦那が入院したのは、そのわずか5日後だ。
そして、それきり生きては帰って来なかった。この部屋に。
嗚咽が号泣に変わった。泣き納めだ。

旦那の押し入れに入っていた、名刺フォルダー。
一枚一枚数えてみた。生前旦那が名刺を交換した人々。
全部で1778枚あった。
そのうちの2枚は、私の父親とまだOLだった私の名刺。
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およそ旦那の職業とは結びつかないような名刺もいくつかあった。
外務省、陸上自衛隊、某テレビ局に某レコード会社──なんで???

もともと何を考えているのか掴みどころのどころのない人だった。
亡くなった今も謎は深まるばかり。
そもそも何で突然死んでしまったのか?
初夢の中でいいから、教えて欲しい。

# by vitaminminc | 2015-12-28 08:58 | Comments(0)
今月初めに、ムスコにクリスマスプレゼントに何が欲しいか尋ねたところ、プレゼントは要らない、その代わり借金をチャラにしてくれ、みたいなことを言われた。
借金というのは、先月購入したゲーム器だかゲームソフトだかの支払いを、私のクレジットカードで
立て替えた分だ。アマゾンで注文するときはいつもこうなる。
なんという親不孝者なのだろう。私から、プレゼントを選ぶ楽しみを奪った罪は重い。

味気ないクリスマスを回避するため、ムスメへの贈り物を選んだ同じ日、私はムスコにも贈り物を用意することを思い立った。もちろん、借金は帳消しにした上で。
要らないというムスコに、敢えて贈る私。なんと愛情深い母親なのだろう。

ムスコの好きなものを買って、自宅でせっせとラッピングした。
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あんれまぁ、可愛くもいびつな林檎だよぉ。
意外な贈り物を手にしたムスコは、まんざらでもなさそうな笑顔を浮かべ、写真に撮った。
「何が入ってんの?」
軽い。振ると乾いた音もする。
「お菓子?」
ムスコは童心に返ったような笑みを浮かべたまま、包装を解く。
中から出てきたものは──
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おまえの大好物、カップ麺だよぉ。
ムスコは大いにウケて、中身も写真に撮った。自虐ネタとしてツイッターにでも載せる気だろう。

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「うずら~」と呼ぶと、「シャーッ」と応える、息ピッタリの愛猫うずらには、全長84cmの手作りトンネルをプレゼント。
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結構気に入った様子で、時々駆け抜けて遊んでいる。

プレゼントを喜ぶ、贈り甲斐のあるムスメには、ご所望の勤務先で使うステンレスボトルほか、私が勝手に補足して、ニットのワンピだとかディズニー・チェシャ猫の腹巻だとかを贈った。今日は早速ニットのワンピを着て出かけてくれたが、ワンピとして着るにはいかがわしいくらい短すぎた。下にパンツを穿けば大丈夫。もともとワンピではなく、ロングセーターだったのかもしれない(笑)

蛇足になるが、今日ちょっとしたイイ事があった。朝、仕事に出る際、途中でポストにハガキを投函しようと思い、すぐに取り出せるよう、バッグの口を少し開け、そこにハガキを忍ばせておいた。
チャリ通勤の私は、いくぶん強めに吹く風に逆らいながら、自転車をこぎ続けた。
赤いポストの前で自転車を停めて、バッグからハガキを取り出そうとして、思わず「あ」とつぶやいた。
入っているはずの、ハガキが、ない!
某保険の加入申し込みハガキである。目隠しシールを剥がされたら、私が実は結構いい齢をしていることも、どんな保険に入りたがっているかも一目瞭然。困る。大変、困る。
今来た道を振り返っても、それらしき落し物は見当たらない。
最近かすみ目で悩んでいる。遠くて見えないだけかもしれない。とりあえず引き返すしかない。
道路交通法に反して車道の右側を走りながら、必死でハガキを探したが、どこにも、ない。
風でどこかわからないところまで飛ばされしまったのか──
これ以上グズグズしているわけにはいかない。遅刻してしまう。がっくりと肩を落として、今戻ってきた道を再び戻りかけたその時、ハガキを発見した!
それは、縁石の、4つある側面のうち小さい面──進行する私と対峙する面を覆うように、しっかり貼りついていた。
ああ、ヨカッタ。個人情報流出云々よりも、保険の加入申し込みハガキを落とすアホとして地元民に認知されずに済んで。師走の風の、おくりもの053.gif
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# by vitaminminc | 2015-12-26 17:45 | 笑い | Comments(0)

特効薬の正体

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うずらあ、すみません。動画がアップできなかったもので、一時停止して静止画扱いでアップしています。▶を押しても動きません。
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推定9月、ギロッポン生まれ。キジネコ女子。

画像だけ見ると馴れているように見えますが、鳴き声は「シャーッ」のまま。
上の2枚は、釣り竿の先に毛玉のぼんぼんがついたおもちゃに夢中になってじゃれていますが、突如はっと我に返って、慌てて寝床に戻ってしまうのがオチ。

我が家に来た時から今にいたるまで、猫風邪等で目がトラブっていて、日に5回点眼中。
そのせいか私、とことん嫌われております(涙)
本当のお母さんに「人間を信じるべからず」と教え込まれたのでしょうか。
点眼が障害になっているにしても、ベイビーが半月以上経ってもほとんど懐いてくれないというのは、それだけ本当のお母さんの警戒心が刷り込まれている証。徹底的に守られていたんだろうなぁ。愛情深く育てられていたんだろうなぁ。私なんか、勝てるわけがありません。
獣医はこの子のことを「かなりのビビリ」と見ています。
私だけではないのです。目薬を点さない分、私より有利なはずの子供たちに対しても同じ。部屋に入ってくるとぴゅ~っと巣穴タイプの寝床に駆け込みます。

その割には意外に簡単に捕まります(おぃ)。
てのひらに仰向けに乗せれば、さっきまで起きていたってご覧のとおり。
ハリネズミのように丸まって仮死状態に陥り、耳を閉じてオールバックになります。
見た目が猫でなくなったりします(笑)。
そして、ゴロゴロいいながら寝落ちしてしまいます(可愛くて気が狂いそう)。

昼間、人間がいないとき、あるいは同居人(←私)が爆睡している間は、案外のびのびと一人遊びを楽しんでいる模様。
未明にふと物音で目が覚めて、こっそり薄眼を開けて見てみたら、わんちゃんみたいに骨付き肉のぬいぐるみを口にくわえ、自分で投げ飛ばしてはタックル&ケリケリ。そしてまた口にくわえ・・・を繰り返していました。
あまりの愛らしさに、どうしても撮りたくなって、ついスマホに手を伸ばした瞬間、気配を察して、あっという間に巣穴にスライディングして姿を隠してしまいました。

私の姿を見て、すっ飛んで来たり、すり寄って来る日は訪れるのでしょうか。
そんな妄想を抱きながら、毎日うずら(←ムスメが体の色柄から命名)と一緒に暮らしています。
幸せです。
# by vitaminminc | 2015-12-18 23:07 | 生きもの | Comments(0)

特効薬

皆さま。
半年近くも(blog上で)引きこもっていて、ご心配をおかけしました。ギリギリ年内復帰が叶ってよかったです。
Dさんが特効薬を持ってきてくれなかったら、身体中凝り固まったまま、未来永劫blogを再開できなかったと思います。
11月下旬にDさんから連絡が入りました。六本木で特効薬を入手した、(中略)今日の夕方届けに行くと言うのです。
その頃の私は、良薬は口に苦いと知りながら、もう苦いのはごめんだという気持ちが働いていました。自力で探すこともせず、ダラダラとした毎日を惰性で送っていました。
火葬されたのは旦那なのに、なんだか自分も燃え尽きたみたいになっていました。
Dさんは、昔から、すごい手ヂカラのある人です。
何か素敵な提案をしてくれたとしましょう。やる気のない私が、のらりくらりと聞き流す、あるいはくだらない言い訳をしたとします。
Dさんは、うふッと小悪魔のように笑い、私の千倍の威力で聞き流します。提案をしてくれた時点で、それはDさんの中では決定事項なのです。
そして予告どおり、カッコイイ車に乗って、Dさんがやって来ました。
狂ったように真っ青なジャンパーを引っ掛けた私が、カッコ悪く出迎えました。
Dさんはドライブの疲れも見せず、早速特効薬を手に取りました。そして、私に続いて我が家に入りました。
冬がそこまで来ているというのに夏用のスリッパを履かされたDさんが、階段を上がるよう促している私に短く質問しました。
「ここは?」
「そこは居間だけど開けちゃダ――」
遅すぎました。
「うっふふっ」
頭が高速回転するDさんは、開けるなと言われる前に先回りして半開きにして覗いていました。全開しなかったのは武士の情けだったのでしょう。嫌な予感はしていたのです。
まさか本当に開けるとはあぁ!
腰の力が抜けかけた私は、ヨレヨレと階段を上がりながら弁明しました。
「あと一週間待ってくれたら、居間でお迎えできたのに」
「ううん」瞳に愉快そうな色を浮かべた小悪魔が即答しました。
「変わらないと思う」
我々は私の部屋に入り、ドアを閉めました。
「ふ~む、広いんだぁ(何もなければな)」と、足の踏み場がないに等しい8畳の洋室に立ったまま、Dさんが言いました。
その目は相変わらず珍しい物を見るかのように「うふっ」と笑っているのでした。
特効薬はたいへんデリケートに出来ている様子でした。手袋(←軍手)をはめて慎重にバッグから移しました。
途中でムスコが学校から帰ってきて、Dさんに挨拶しました。
「おひさしぶり」とDさんが言った意味をムスコはわかっているのでしょうか?
まだ小学生のチビすけだったキミを連れてDさんの邸宅にお邪魔した時、キミはご馳走のお吸い物を飲みながら「あ~アサリは久しぶりだ」を連発しただけでも恥ずかしかったのに、海鮮丼をお代わりしておきながら、二杯目は上にのった海産物だけを平らげ、ごはんを丸々残すという、ニッポン人として一番いけない食べ方をしてくれたのだ、お米にお詫びしろ!
母の胸中など知る由もないムスコは、私の過剰に青いジャンパーを見るやドン引きし、よく覚えていないけれど、「すごいの着てるね」みたいに言いました。
「S川(Q便)さんかと思った」今だとばかり、すかさずDさん共感。
「抱っこする?」
頷くムスコに、私はか弱くシャーッと威嚇する特効薬をつまみ上げたのです。
――刹那、私の身体中の血が、勢いよく流れ出すのを感じました。――というような文学的言い回しをする小説をかつて読んだことがありますが、あれは単に気取っているわけではなかったのですね。実現可能でドキュメンタリーなリポートだったのです。
特効薬に触れたとたん、数日前から息をするのも苦しいほど頑固な肩凝りに悩まされていたというのに、湯飲みも持ち上げられないほどの痛みにくるしんでいたというのに、気づいたらすっかり解消していました。  
まるで奇跡。今さらながら、Dさんの手ヂカラに感服しました。
Dさんの手ヂカラとは、まいっている人の背中を、有無を言わさずどんと押してくれるチカラ。
Dさん、この上ない特効薬をありがとう!!
動画をアップしようとするたび画面が真っ白になってキケンなので、特効薬の詳細は次の記事で048.gif
 






# by vitaminminc | 2015-12-15 02:29 | 生きもの | Comments(2)

未だ亡くなっていない人

4月下旬、私の横で、猫の遺骨を拾っていた主人。

2ヵ月後、私はその主人の遺骨を拾っていました。








病気で急逝

信じられないです

信じられないくせに

毎日のように涙が出るのです

どうやら私は未だ生きています

息を吸って吐いて

できるだけ規則正しく

繰り返していこうと思います

愛する子どもたちと一緒に



主人よりも猫の方がずっと好きでした

でも主人の死はその質量の差だけ

私を打ちのめしています

悔しいです
# by vitaminminc | 2015-07-03 11:31 | 人間 | Comments(9)

身長は慎重に

4月にムスコの高校で、恒例の健康診断があった。
身長と体重測定も行われる。
その晩私は、帰宅したムスコに期待を込めて聞いた。
「身長、伸びてた?」
一年前に測った時、ムスコの身長は、178.8㎝だった。
腰痛か膝痛で通院した際、ムスコのレントゲン写真を診た整形外科医に、
「そろそろ身長は止まったんじゃない?」的なことを言われはした。が、もしかしたら惰性であと2㎜くらい伸びたかもしれないのである。いや、そもそもムスコは姿勢が悪い。
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しゃんと背筋を伸ばしたら、去年の時点で大台に達していたかもしれないのである。
ムスコはニヤッと笑って、私を見降ろしながら答えた。
「縮んだ」
「その若さで!?」
「しかも8㎜」
「え!? じゃあ178㎝になったってこと?」
「イエス」
「どうやったら8㎜も縮んだりするの!?」
「すぐ横が内科でさ」
「???」
「俺の隣で、胸に聴診器を当ててるんだよ」
「???」
「はい、息を大きく吸って~~~」
「!!?」
「吐いちゃったんだよ、つられて、つい」
「まさか」
「その、ふぅ~って吐いた瞬間に、頭測るヤツ下ろされて、ジャスト178㎝(笑) ハッ」

──身長を測る時は、息を大きく吸って、吸って吸い続けろ!

 以上、ムスコの8㎜ フィルム  
 じゃなくて、8㎜ チヂム をお届けしました。

追伸:ムスコが、食べ終えた食器を運ぶ時に、皿に醤油が残っていることも考えず雑に運んだため、床に点々と醤油がこぼれ落ちました。もちろん、自分で拭かせました。そして、使用済みウエットティッシュをゴミ箱に捨てる際、ヤツはなぜかよろけて(下を向いて拭いたから頭に血が上ったんですかね)壁にぶつかり、ちょうどそこが照明のスイッチのあるところだったので、居間の電気が消えました。
「こぼさなくていいものをこぼし、消さなくていいものを消す──」
暗がりの中、私が重々しくつぶやくと、ムスコが電気を点け、満面に笑みを浮かべて言い返しました。
「うっせー、ババァ!
 とことん楽しいムスコです。



 


# by vitaminminc | 2015-05-13 10:51 | 笑い | Comments(0)

お礼参り

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てへへ。
私と眠眠の寝室には、骨になった眠眠が瞑っております。

火葬した翌日、最後にお世話になった、眠眠を痛い口内炎から救ってくれた、あのA医院に、お礼の挨拶に行きました。骨になった眠眠を連れて。もちろん、ほかの患者さんの飼い主さまがギョッとしないように、大きめの手提げ袋に入れて、待合室では人目にふれないよう気を付けました。

先生は、もう私がなんのために来たのかわかっておいでのようでした。
「無事に、このようなカタチになりました」と言って手提げ袋から骨壷を取り出して見せると、先生は生きてた時と大して変わらない仕草で骨壷を撫でてくださいました。骨壷を伴ってやってくる変な人間は私くらいのものでしょー。
「最期の最期に、一緒に居られる時間を大切にと言っていただき、眠眠を無用な苦しみから少しでも解放させてあげることができました。先生には本当に感謝しています」
嗚咽しそうになって、やっとそれだけ言うと、先生は言葉少なに、ただただやさしい目でちょっと笑って、うんうんとしきりに頷いておられました。

私はホネ眠眠が入っていたのとは別の、もう一つの大きな手提げ袋から中身を取り出し、診察台の上にそっと並べました。
それは、輸液を入れるための注射器、眠眠の皮膚に突き刺してきた翼状針などです。B病院で大量に購入し、余らせてしまった未使用の医療器具でした。目にするのがあまりにツライしろものなのでした。
「家に置いておいてもただ劣化させるだけなので、引き取っていただればと──」
「はい! 喜んで使わせてもらいますよ」
「助かります。ありがとうございます。この子の供養にもなります」

そのあと先生は、ちょっと言い淀んだように2秒間ほど右手人差し指を刑事コロンボのように額に当てて、
「あの、ワタシの知り合いに、有名な住職がいて──別に有名なのは関係ないんだけど、このような骨壷の祀り方を前に教わったんですよ」と話し始めました。
それによると、ペットの祀り方は人とは違うのだそうです。現世で一緒に暮らしていても、ペットと人は、帰る場所(あの世)が異なるので、人と同じように祀ってしまうといろんなもの(あやかしとか邪霊?)が寄ってきて、愛するペットの成仏の妨げになるので気をつけるようにと住職から言われたそうです。
何をどう気をつけるのか──。

 1.骨壷とか遺影は、床より高い台の上に並べてよい。
 2.お花やお水などのお供物は、床に置く(ただし、敷物は敷いてよい)
 3.お線香も床に置くが、線香立ての中には灰ではなく、砂か土を入れる。

「ワタシも専門家ではないんで詳しい理由はこれ以上説明できないんですが、親しい住職がわざわざ教えてくれたことなので、ワタシも家ではずっとこのやり方でやってます。宗派によっても違うでしょうし、もちろん信じる信じないは自由ですよ」

先生はその寺を紹介したわけでもなんでもないので、私に伝授してくれたところで先生自身には何のメリットもありません。
なので素直に従うことにしました。ただ、線香立てについては、灰に立てるタイプのものではないので、結局灰はもちろん、砂も土も使っていません。
床に直接お供物を置くのは抵抗がありましたので、眠眠が元気だった頃に、フードと水を並べて置いたトレーを置いて、そこにお供え物を置きました。早い話が、生きてた頃のスタイルそのままに。
 
四十九日には、先達が眠る地元のペット霊園に、納骨に行く予定です。




# by vitaminminc | 2015-05-10 18:06 | Comments(2)

眠眠の仏様

早いものです。明日は眠眠の初七日です。
25日に看取って、翌日火葬しました。
どんままさんに、出張して家の前で火葬してもらえる会社を教えてもらいました。
それが、とっても良かったんです!
眠眠の火葬を執り行ってくれた担当さんは、本当に動物が大好きな方でした。
私にはよーくわかりました。

「眠眠ちゃんは骨格のしっかりした、ずいぶん大きな猫ちゃんだったんですね」
やせ細った遺体を見た時より、骨になった姿を見た時に、担当さんが言いました。
「猫の大きさですと、たいていの場合、頭蓋骨も焼くと崩れてしまうんですが、眠眠ちゃんはしっかり形が残っていますね」

眠眠は、骨になっても愛らしかったです。
私は人差し指と中指を伸ばして、眠眠が撫でられるのを好んだ眉間の上あたりの骨を、そっと撫でました。
余熱を帯びた骨は、眠眠が生きていた時のように温かでした。

これとこれが対になって、肩甲骨の部分になります、とか、これが前足の肘から先の骨になります、とか、ああ非常に珍しい、こちらをご覧ください、爪の付け根の骨がちゃんとその形のまま残っているのがわかりますか? とか──ほとんどすべての骨に対して、とても丁寧に解説してくれました。父の火葬の時よりもずっと丁寧でした。
「下顎の骨にも、ちゃんと歯が残っていますね。とても骨が丈夫な子だったんですね」
よく見覚えのある歯。眠眠が大あくびをするたびに、何度も見てきた歯です。かわいい歯並び。

骨を拾う段になって、担当さんが「施主様は、ご主人でよろしいですか?」とダンナを振り返りました。
ふだん父親に対しては控え目なムスメが、「いえ」と妙にきっぱり言いました。「施主は、母が」

その日はダンナも休みで家にいたので、火葬に立ち会ってくれました。私が頼みましたので。でも、火葬の最中、外で火葬車を見守ってくれている担当さんに冷たい珈琲を入れて持って行こうとしたら、なんと、止められました。
「そういうことはしなくていい」と反対するのです。ケチなんでしょうか。理解に苦しみます。
外は初夏の陽気でした。火葬には約90分もかかるのです。私は冷たいダンナを無視して、氷の浮かんだ冷たい珈琲を持って家の外に出ました。
担当さんはえらく恐縮して、それでもたいへん嬉しそうに「いただきます」と両手で押し抱くように受け取ってくれました。
午後3時過ぎの外気は、思ったよりもずっと暑いのでした。私は近所のドラッグストアに足を運んで、アイスクリームと緑茶も仕入れてくると、追加で担当さんに手渡しました。
「暑い中、お疲れさまです」
「これはこれはどうもすみません、ありがとうございます」
大切な大切な眠眠を焼いてもらっているのです。何かせずにはいられませんでした。

「──では、ご主人とお嬢様に交互にお骨を拾っていただき、奥さまにお渡しください。奥さまは、順に骨壷に入れてください」
人間の場合は二人同時にひとつの骨を拾いますが、猫の骨は細くて小さいものです。二人で同時に箸で掴むのが難しいため、このような拾い方になるそうです。
人と同じように、足の部分から始まり、しっぽの骨を経て骨盤、あばら骨、肩甲骨、前足、首の骨、そして頭蓋骨へ。

「こちらが、いわゆる喉仏の骨、と言われている部分です」
「わーぁ」
喉仏というものが、猫にもあるということを知りました。いや、すべての哺乳類にはあるらしいのですが、それがちゃんと人と同じように仏様の形をしているということを初めて知ったのです。
もっとも、あとで自分でも調べてみたのですが、部位としての喉仏は軟骨で形成されているので、火葬に耐えきれず灰になるそうです。だから実際は、頸椎の一部の骨? つまり喉とは無関係らしいですね。
眠眠のそれは、どこから見ても仏様のシルエットとしか思えないくらい、見事な仏様っぷりでした。
感動して、思わず合掌。
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頭蓋骨は、箸ではなく、両手で取り上げて、慎重に骨壷に納めました。

「ふつう喉仏様は最後に頭蓋骨の上にお載せするのですが、眠眠ちゃんの場合、頭蓋骨の形がしっかり残っているため、この上に載せると蓋が閉まらなくなってしまいます。ですから、喉仏様は頭のすぐ横に入れてあげてください」
骨壷が、通常の猫用のサイズよりもワンランク大きいものになったにも関わらず、眠眠の骨はやはり規格外だったようです。

玄関で、骨壷に納まった眠眠を抱っこしながら担当さんと向き合いました。支払いを済ませた後で、担当さんがしみじみ話し始めました。
「眠眠ちゃんは、10歳という若さで亡くなりはしましたけれど、こちらのようなご家庭で、みんなに愛されて、本当に幸せだったと思います。実は──」
担当さんが言うには、ペットのための葬儀社ではあるものの、実にいろんなお客さまがいらっしゃるとのこと。
「先日、うちの会社に依頼がございまして、若いもんがその電話をお受けしたのですが──」
動物病院に行って、安楽死させた犬を引き取って処分してくれという内容だったそうです。電話を受けた若い従業員は、思わず「当社はペットのお葬式を執り行うところで、処分するところではありません」と答えたそうです。私は心の中で拍手しました。
ところが、客は激怒。カンカンに怒って上の者を出せということになり、ベテランの担当さんが電話を代わることになったそうです。
その客の言い分というのは、次のような内容でした。
──うちにはうちの事情ってもんがある。それを知りもしないで、何だ、あの若い奴の態度は! 犬は親父が生前飼っていたものだ。だが、親父とおふくろは何年も前に離婚していて、自分は母親に育てられた。親父とはもう何十年も会っていない。その親父が死んで、肉親だというだけで親類から呼び出され、遺品の処分を押しつけられた。遺品の中に、たまたま犬も入っていたのだ、と。
「遺品の処分を押しつけられたという言い方をされていましたけれど、おそらく親類の方々は、形見分けのつもりだったのではないかと思うんですよね」と担当さんは感想を挟みました。
──別れた親父が飼っていた犬なんて、家に持ち帰れるはずがないだろう! 母親に話すことすらできないっていうのに! そもそも動物病院で安楽死を引き受けたのだから、葬儀屋ならその遺体を引き取って当然だろう!
「電話でもあの剣幕でしたから、おそらく動物病院の方でも仕方なく、引き受けざるを得なかったのではないでしょうか」と担当さんは再び感想を挟みました。「里親を探す手間がなかったとしても、いきなり安楽死というのではなく、せめて保健所に連れて行ってくれていたらと思いました。そうすれば、少なくとも一週間は命の猶予があって、もしかしたら里親が見つかったかもしれないですし。でも、その方はお金を払ってでも、一刻も早くお父様の生き形見と縁を切りたかったのかもしれませんね」
「え? じゃあその犬は、病気とかではなかったわけですか?」
「ええ。私も最初はそう思いました。だから安楽死させるしかなかったのかと。でも実際は、健康な、まだせいぜい3歳か4歳くらいの若い犬だったそうです。動物病院の話では」
私は絶句しました。その依頼主は、父親のことを恨みながら育ったのでしょう。でも、犬に罪はありません。犬は物ではなく、命あるいきものです!
動物病院に安楽死を依頼して、葬儀屋に「処分」を依頼する。わざわざ金を出してでも、一刻も早く父親との繋がりを断ちたがる息子。犬に対する扱いは、まるで父親への復讐のようです。惨い話です。
「ですから、眠眠ちゃんのように、大切に育てられて、悲しんでくれるご家族に見送ってもらえて、本当に幸せだったと思います──」

眠眠、天国に行ったら、そのワンちゃんの友だちになってあげてね。

眠眠の死後、私は軽度の燃え尽き症候群です。会社では、PCのパスワードの一部に眠眠のなまえを入れていたので、毎朝入力するたびに、胸がキュッとなります。
ポカンと空いた胸の空洞に、火葬で見た、あの小さくて素晴らしい喉仏様を鎮座させることを想像したりします。
火葬の前に、葬儀社さんのHPで、遺骨の一部をカプセルに詰めて、いつも持ち歩けるものを見つけましたが、ムスメに止められました。
「骨の一部が欠けるのは、眠眠にとってよくないと思う」
確かにそうだなと思い改めました。

眠眠が使っていた爪とぎに、眠眠の爪が残っていやしまいかと探したけれど、残っていませんでした。
いつだったか、抜け落ちた長い髭を拾って、金運が上がるからとお財布に入れていた時期もあったけど、結局あれは何処にやったものかしら──
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──眠眠。やっぱり私、だいぶ淋しいよ。



# by vitaminminc | 2015-04-30 23:48 | 生きもの | Comments(4)
え~~~、ここらで景気づけに、昨晩の超不毛な親子の会話を再現しますです。

♠大馬鹿ムスコ
❤ドアホ母(me)

♠「あ~~腹減った!なんか喰うもんない?」
❤「え~~~、今夕飯食べたばかりじゃない」
注)母(←私だ)は重症の眠眠ロスで食事をつくる気力がわかず、この日はスーパーで買った寿司、大根と胡瓜のサラダ(←適当に切って梅こぶ茶で和えただけ)、タケノコの味噌汁のみ。
♠「足りねんだよ。なんか喰うもんくれ」
❤「タケノコご飯炊いた(←明朝用)から、なんならそれ食べてもいいよ」
♠「う~~~ん。なんか違うな」
❤「何がどう違うって!?」
♠「いや、何となく」
❤「うるさいなぁ、もう! 邪魔だからあっち行って!」
♠「あれ? それどうするつもり?」
注)母は残ったみそ汁の中からタケノコだけを取り出すと、小鉢に入れ始めた。
♠「おい、何をやってるのかと聞いている」
❤「あんたの明日のお弁当用に取り分けてるの!」
♠「味噌汁に入ってたタケノコを? 汁が出ちゃうじゃないか」
❤「(汁は)レンジで飛ばすから大丈夫です」
♠「やめてくれよ、なんでわざわざ水分を蒸発させて不味くしたのを入れるんだよ?」
❤「汁がこぼれると困るって、ムスコ自分で言ったじゃない。どいてよ、冷蔵庫開けるんだから」
注)母、小鉢にラップをかけ、冷蔵庫にしまう。
♠「おい。今、人の話、聞いてた? 俺は、タケノコを、弁当に入れないでくれ、って頼んだんだよ?」
❤「いいじゃない、たまには旬のものを入れたって」
♠「なんでそんなにこだわるの? 食べるのは俺だよ? その俺が入れないでくれって言ってんだよ?」
❤「作ってもらっているくせに、なんでそんなにエラソーなのよ!」
♠「はい、はい」
❤「おかずが弁当箱の中で寄っちゃわないように、一品でも多く入れたいの!」
♠「どーせ蓋開けりゃ毎日寄ってるって。1つくらい足したって変わんねーよ」
❤「入れさせてくれたっていいじゃない! 旬のものを食べさせたいという親心がわがんねが?」
♠「いつもの冷食でいいよ、それと変な卵焼きで」
❤「嫌なこと言うねぇ。だからこそ入れたいんです。ムスコ、タケノコ好きでしょ?」
♠「好きだよ? だからわざわざ干からびさせるなと。おい、さっきのヤツ何処にしまった?」
❤「ちょ・・・何すんのよ、レンジで温めるだけ、干からびません! やめなさいって、冷蔵庫の扉を長いこと開けてちゃダメ!」
♠「俺ぁ嫌だ。乾いたの喰うぐらいなら、今喰ってやる!」
❤「あ!!」
注)ムスコ、小鉢のラップをひっぺがすが早いか手掴みでタケノコを口に放りこむと、モグモグしながら不敵な笑みを浮かべる。
 
(ーー;)大体いつもこんな調子。みなさん、この↑↑↑会話がいかに馬鹿げてるかおわかりですね? 
まぁ大半は私がですけど。
旬のものを弁当のおかずに加える加えないでギャーギャー言い争っていましたが、どの時点でヌケ落ちたものやら──翌朝お弁当に詰めるゴハンが、タケノコの炊きこみご飯だってこと。
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# by vitaminminc | 2015-04-28 15:04 | 笑い | Comments(0)

ジャンプ!

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 食事をとっている間も、洗濯物を干している間にも、眠眠がひとりで逝ってしまうんじゃないかと気が気でなかった。
 いっそベビースリングで、わが身に眠眠を括りつけておきたいと思った。
 主婦なので、最低限の家事はやらないといけない。
 生きているので、喰うことも寝ることも放棄するわけにいかない。
 どうかどうか、ひとりで逝かないでと願う日々。

 病魔との闘いで、険しい形相になっていた眠眠だが、昨夜、ほんの束の間、久し振りに穏やかな表情を見せてくれた。顔だけ見ていると、末期の腎臓病だなんて、何かの悪い冗談だよと思えた。
 まるでこの時だけ、病魔が短い休息をとったみたいに。
 かわいい、あどけない眠眠。私の宝もの。
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 今朝7時過ぎ。部活に行くムスコに、眠眠を撫でてやってくれと伝えた。もう長くないからと。
 「もう、瞳が動いてなかったよ」
 私の部屋で長いこと眠眠を見ていたムスコが、出がけに言った。
 「ほとんどまばたきしていない。時々ピクッとするくらいで。あれじゃ目が渇いちゃうよ」
 じっと眠眠の顔を覗き込んでいたらしい。

 8時台になると、腹の上下動が短息呼吸に変わった。閉じた口にシリンジを入れ、数滴水を与えた。
一回呑み込んだが、それ以上は口の端から流れ出てしまった。
 汚れた口のまわりを拭いてやると、鬱陶しそうに顔をそむけた。
 それから私の手の平に頭を預けて、遥か遠くを見つめていた。
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 ベランダで洗濯物を干した後、部屋に戻って眠眠の名を呼んだ。
 昨日まで見せてくれた、しっぽによる返事が、今日はもう見られない。
 と、突然、眠眠が、起き上がるようなそぶりを見せた。
 違う、もがいているんだ!
 私は眠眠を抱きあげ、自分が寝そべると、胸の上でそっと眠眠を抱きしめた。
 耳の内側が、自分の心臓の鼓動でどくんどくん揺さぶられる。
 大声でムスメを呼んだ。寝ているのか、なかなか来ない。
 「眠眠が、眠眠が、逝っちゃうよ!」
 ようやくムスメが部屋にきた。
 それまでに眠眠は、三回くらい四肢をピンと引き攣らせ、二度低い慟哭をあげていた。
 「痙攣みたいの起こしてて──」
 だが、ムスメが来てからは、一度両足を真っ直ぐに伸ばし、何かをぐっと掴むみたいに手の平を目いっぱい広げたかと思うと、やがてスッと静止した。

 「眠眠?」

 まだ温かい。まだ柔らかい。
 腹の上下動が止まっているのを認めても、それでもまだ眠眠が生きているのか死んでいるのかわからなかった。

 最期のあれは、ジャンプして、虹の橋を掴んだ瞬間だろう。

 オムツを外すと、おしりの周りに、最期の力を振り絞った痕跡があった。
 ウエットティッシュで、一生懸命眠眠のプライドを守った。
 眠眠の腹の毛並みが、私の大粒の涙を、いくつもいくつも受け止めていた。

 眠眠のおしりを拭いたウエットティッシュと、私とムスメのハナミズと涙でウエットになったティッシュの山ができた。

    2015年4月25日、午前10時。
     眠眠、永眠。享年10歳。

 ムスメは今日、昼過ぎから出かけなければならない用があった。
 孝行者の眠眠は、私が休みの日を選び、ムスメが家にいる時間を選んで別れを告げてくれた。

 どんままさんに教えてもらった、ペットのための出張火葬を執り行ってくれる会社に予約の電話をした。
 明日15時。眠眠に恥ずかしくないよう、しっかり仕事に出て、それから眠眠を送るつもりだ。

 花屋さんに行って、可愛いいブーケをつくってもらう。
 「明るい茶トラの猫なので、黄色をベースにつくってください」
 「10歳ですか。それは、早かったですね」
 「早かったです。腎臓病で──(嗚咽)」
 眠眠は7月生まれだ。
 「そこのひまわりも、一緒に入れてください」
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やさしくて、大きな大きなネコちゃんでした。。。
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励ましてくださったみなさまに、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。





 

 
 



# by vitaminminc | 2015-04-25 14:55 | Comments(4)

生き場所

  破れたソファーに座って
  生き場所を探す猫みたいに
  爪で 皮膚で 指で 手の平で
  腕で 肩で
  胸で君を確かめてた
  今日も生きてるかを
  最高な世界へ 最高な世界へ── (THE YELLOW MONKEY #BRILLIANT WORLD)


 仕事から戻って眠眠の様子を見にいくと、眠眠は床でへばっていた。
 床のそこかしこに、黒い墨をなすりつけたような跡があった。
 眠眠のウンチだ。
 ペースト状の餌に、墨のサプリを混ぜて与えている。
 身体に溜まった毒素を墨に吸着させ、ウンチと一緒に排出させるのだ。
 よく見たら、ベッドの上の毛布にも、間に合わなかった墨が付着していた。

 餌と呼べるような量を口にしていない。
 昨日やっと歯茎に塗りつけられた量なんて、紅筆にとったリップクリーム程度だ。
 トイレの中にも、猫砂1粒ほどの墨の塊があった。
 ずいぶん苦労して、あちこち洩らしながら、目的地まで辿り着いたようだ。
 なんて偉いんだろう。

 昨夜から今朝にかけて、40分間隔で鳴いて起こされた。新生児の授乳よりしんどい。
 疲れ果てた私は、とうとう鳴き声に気づかずに、深く寝入ってしまった。
 突然、何かが落ちる音で目が覚めた。
 眠眠が、私を乗り越えて、ベッドから床に落ちたのだ。
 本当は、降りたつもりなのだろう。
 けど、もう踏ん張る力が残っていないから、結果的に落下した。

 私は飛び起きて、眠眠を抱きしめた。
 ごめんね、ごめんねと何度も謝った。
 眠眠が落ちないように、要塞となって寝ていたくせに、まったく気付けなかった。
 骨と皮だけの身体だ。
 痛かったろうに。

 今日も床にへばっていたところをみると、また落ちたのだろうか。
 今朝は一応、床にクッション材を敷いておいたけど。
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 どんままさんの素晴らしい知恵を拝借して、子ども用プールも取り寄せた。
 完全防水の簡易寝床である。
 ふらふらになって壁にぶつかったとしても、これなら安心、痛くない。
 試しに寝かせてみたけれど、這い出ようとして、空気入りの壁に爪を立てる。
 ベッドだと落ちたら危ないのに、上で寝たいらしい。
 よし、プールはいよいよ動けなくなった時のために、準備だけにしておこう。

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 眠眠に、紙おむつを穿かせた。嫌がる体力も残っていないから、されるがままだ。
 明日は仕事が休める。一日そばにいてあげられる。
 オシッコも出なくなってきた。
 知っている。こうなると、もうお別れが近いって。
 そういえば、声も出なくなった。
 鳴らない管楽器のように、空気だけが漏れる。
 でも、眠眠は腹を膨らませ、小さな口を開き、必死に訴えている。
 つらいんだよね。

 ふと、横たわる眠眠を見て、いっそ息が止まっていたらと願う。
 だって、そうだとしたら、苦しまずに逝ったことになるから。
 痩せこけた腹が、かすかに上下している。
 なんてことを考えてしまうのだろう。
 でも、本当に、少しでも楽に逝かせてあげたい。それだけが願いだ。
 もう長いことずっと、ずーっと気持ち悪いことに耐えてきたのだから。

 神様。眠眠が、どうか少しでも苦しまずに神様のもとに行けますように──
 

# by vitaminminc | 2015-04-24 18:40 | Comments(0)

茶尾ぷ~降臨?

おそらく、その気持ち悪さは船底に押し込められて荒波を渡っている時の激烈な船酔い、あるいは入院レベルの重度のツワリだろう。

辛さ、苦しさから夜中に何度も大声で鳴く。そんな眠眠にしてやれるのは、シリンジで水を与えたり、身体を─いや、もはや身などついちゃいないので、骨格をやさしくさすったりくらい。寝不足状態が続いている。

なんとかしてやること自体が延命措置(苦しみの引き延ばし)でしかない、末期の腎臓病。ペースト状の餌を口内に塗るのもためらわれる。実際、ひどく嫌がる。吐き気と闘っているのに、強制給餌なのだから。

好物のおかかも拒否する。餌だけではない。あんなに好きだった水を飲むことさえ、もう自分からはしなくなった。

眠眠は、声変わりした。鳴き過ぎて声がしゃがれたのとは逆で。子猫のときからハスキーボイスだったのだが、きれいな澄んだハイトーンに変わった。

まるで6年ほど前に他界した、妹分の茶尾が鳴いているみたいだ。
そういえば、顔つきもだいぶ変わった。
「わぁ、眠眠、ずいぶん目がつり上がっちゃったね」
病気の苦しみからだろうか、すっかり面変わりした眠眠を見て、ムスメもびっくりしていた。
その顔までもが、なんだか茶尾に似てきた。どんぐりまなこの眠眠と違って、茶尾は女狐顔だった。
身体の重さも茶尾ぷ~並み。
もしかしたら、弱っている眠眠の肉体に茶尾が入り込んだのではないだろうか─などとバカなことを考えてしまう。茶尾は死んでからも何度か家に遊びに来たことがあるので、密かに本気でそんなことを想う。

茶尾ぷ~、頼むよ。アニキ分の眠眠を、早く苦しみの淵から救ってあげてよ。
いっつもキミのわがままを、あんなに穏やかにやさしく受け入れてくれたアニキなんだよ。
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      窓辺に行きたがったが、自分じゃもう上がれない。抱っこして、セッティング
             剥製の虎の敷物のように薄い身体。痛々しい。
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           病魔との死闘の末、すっかり目がつり上がってしまった。
           茶尾、もしかして、おまえが一緒に闘ってくれているの?




# by vitaminminc | 2015-04-23 18:38 | Comments(0)

転院顛末の補足



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B病院に入院中の眠眠。2/13に見舞いに行った時の様子。
前回の記事でアップした、入院二日目とはかなり違った印象。
そう、入院三日目の眠眠は、明らかに元気がなかった。
前日にはなかった、眠眠のキャリーに入れてあった毛布にくるまっている。
若い甲先生の説明によると、朝検温したら、眠眠の体温が猫の平熱を下回っていたとのこと。
「下にホットカーペットを敷いてからは、だいぶ平熱に近くなりました」
2月である。病気でやせ細った猫である。
夜間無人になる病院で、日割り計算一泊30000円。
はじめから、ホットカーペットを敷いてあげてくれっつんだよ!

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3月10日撮影。やせっぽちの眠眠。通院途中の車内にて。
病院に行く時に欠かせないキャリー(下)と一緒に同乗しているのに、なぜかイキイキ。
それは「自由」に動き回れるから!

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4月6日。経営手腕に使う腕なし=腕はすべて動物のために。
A医院の凄腕先生のもとへ。
食欲不振とヨダレの原因である、「口内炎」を治療してもらう。
医師「口内炎を治す薬は、確実に腎臓を破壊します」
私「では、どうすれば・・・?」
医師「痛くて食べられないのでは辛い。私だったら『今』を優先させます」
私「先生、口内炎を治してあげてください」
にっこり微笑んだ凄腕先生は、いくつかのお薬を調合して、眠眠に注射してくれた。
医師「好きなものを食べさせてあげてください」
ほぼ壊滅状態の腎臓保全よりも、「今」痛くてたまらない口内炎を治療。
しばし好物のかつお節を賞味。


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猫にあるまじき、悲しき「クビレ」
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かつてはこんなにふっくらしていたのに。


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倒れそうな足どりで、それでもトイレに向かう。
健気すぎる。
用を足してからは、私が抱きかかえて寝床へ。
もう、スポーツタオルくらいの重さしかない。
最盛期は6キロを超えていて、アメショーよりもでかかったのに。。。


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直近の眠眠
明日はお仕事なんだよ。
昼間、付き添ってあげられないんだよ。
つらいよ、ホントにもう、とってもさ。
まだ何処にもいっちゃダメだよ。
















# by vitaminminc | 2015-04-22 11:07 | Comments(3)

二転院三転院

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 上の写真は、2月12日に、B病院に入院中の眠眠を見舞った時のもの。入院二日目。腎臓の数値が悪化して食欲が失せたため、緊急入院を勧められた。24時間体制で血管点滴を行うこと三泊四日。結果、一時的に回復した。
 といっても、かつてのように元気になったわけではない。毎晩の在宅皮下点滴は続き、毒素の排出を助ける2種類のサプリを飲ませる日々。食欲が戻ったとはいえ、発病前みたいに量を食べられるわけではない。減った体重が300g増えたのも束の間。やがて食欲は徐々に落ちていき、サプリの1つを飲むのをひどく嫌がるようになった。
 退院してから、2ヵ月もたなかった。素人目に見ても、2月の入院前より更に具合が悪そうだ。病院に連れて行けば、前回のように即日入院となることは必至。それを覚悟の上で身支度を整え、担当医がいることを確かめるために、病院のホームページを開いた。
 その日は、眠眠を担当した甲先生(若い女医)と乙先生(ベテランの女医)両名の出勤日に当たっていた。しばし頭を抱え込む。
 というのも、はじめに眠眠を担当したのは若い甲先生だったのだが、一度出勤日を見間違えて、甲先生が不在の日に診てくれたのが、ベテランの乙先生。治療上、両先生の説明が食い違っていることがわかり、私は乙先生の言い分に従うことにした。甲先生は、かなり早い時点から、眠眠の症状を見ながらというよりは、段階的に輸液量を増やしていき、その都度増量の善し悪しを判断するため、一週間後に血液検査をするという計画だった。その増量が私には「一気に増やす」印象で、100ml⇒150mlに増やしましょうと言われた時には、怖くなって抵抗してしまい、「末期になると320ml(←これではもはや猫というより水!)点滴する子もいますよ」という説明を押しのけ、「せめて140mlで試したい」と主張した。
 乙先生に診てもらった時点で、眠眠の輸液量は140ml。若い甲先生には、近いうちに160mlに増やしましょうと言われていたので、乙先生に、「そろそろ160mlにした方がいいでしょうか?」と尋ねると、ベテランの乙先生の回答は意外なものだった。因みに、カルテには160mlの件は記入されていなかったと見える。
「いえ。無暗に増やしても、循環器系に影響して心臓に負担がかかりますから。今140ml点滴しているのなら、そのままでいいでしょう」
 乙先生のこの一言で、私は甲先生から乙先生に鞍替えを決めた。甲先生の治療計画に関しては、何だか告げ口するようで気がひけたので、敢えて乙先生には伝えなかった。
 指名して、乙先生に二回目の診察をしてもらった日、眠眠の腎臓は、2月の入院前と同様の数値を示していた。それでも乙先生は、直ちに入院を示唆することはなかった。そこで私は、乙先生に正直に家計の事情を訴えた。ペット保険に加入していないこと。まだまだニンゲンのムスコの学費がかかること。夜勤も始めたが、点滴セットとサプリ代で毎月6万円の出費は、相当深刻であることなど。
「お子さんは、高校生くらいですか?」
「はぃ」
「(ペットの)保険も、発病してからだと人間のと同様、入れませんからねぇ──」
 乙先生は言葉少なに心からの理解を示してくれた。結局、入院を勧めることもなく、また点滴の輸液量を増やすでもなく、栄養剤入りの点滴を(いちいち噛まれ防止のカラーをつける→)甲先生よりもはるかに手際よく済ませると、足りない保水液やサプリ、注射セットを確認して用意してくれた。乙先生の方針は、あくまでも眠眠の具合を見ながら、対処療法的措置を行っていくというものだった。

 だから今回、甲先生が不在で乙先生だけが都合良く出ている日に当たっていたら、私はB病院に眠眠を連れて行き、さすがに今回は入院を提案され、それに応じていたことだろう。
 でも、両名の診療日ということから、私は二の足を踏んだのだ。B病院は、最新の医療設備を誇る大きな病院で、獣医師を何人も抱えている。また、案内専門が1人、受付専門の女性は常に2人いる。
 獣医師を指名できるというのは患者側にはありがたいシステムだが、途中で指名を替えた場合、両医師が鉢合わせるようなシーンの気まずさといったらない。
 診察だけならまったく問題ないが、入院となると話は別だ。もしも入院中、乙先生が不在の日があったら・・・。はたして甲先生は快く眠眠の世話をしてくれるだろうか。
 ただでさえ精神的にいっぱいいっぱいなのだ。余計な気疲れはしたくない。何もかも面倒になった私は、B病院を切り捨てた。そして、以前お世話になったA医院に連れて行くことにした。

 A医院は、隣町にある。大先生と弟子の女医さんの2人だけで切り盛りしている小さなペット診療所だ。採算を度外視しした超良心的診療で知られている。
 私はこの小さい医院で、マイ(♀猫・享年18歳・死因:ほぼ老衰)、ぽぽ(♀犬・享年15歳。死因・悪性リンパ腫)、茶尾(♀猫・享年3歳・死因:猫白血病)の3つの命を見守っていただいた。       先生は凄腕で、入院が当たり前の手術でも、可能な限り日帰りさせてくれることで定評がある。私の子たちは手術は受けていない。先生は、治る病気や怪我以外はメスを使わない。極力日帰りさせる理由は、患者の精神的ストレスを出来得る限り軽減させたいという一心から。
 そんなにいい先生なら、なぜ発病当初からそこに行かなかったのか? 話は長くなるが、理由はただ1つ。A医院は残念なことに、まあ、いろいろ考えあってのことと推測されるが、ノラ猫ちゃんの避妊手術の協力医ではない。しばらくの間、家の周囲のノラにゃんに避妊手術を受けさせることに奔走していた私は、費用の面で折り合いがつかず、二匹目からは市内のC病院を利用するようになった。何匹かその病院に連れていって、相場の半額以下の医療費で避妊手術を施してもらったことから、「義理立て」したのだ。
 しかし、当時私が心配していた眠眠の「血尿」とは別に、血液検査の結果、「腎臓病になっている」と言われ、その説明が今思うとかなり不明瞭で、病気に対してまったく正しく理解できなかった。コミショー丸出しの先生が口にしたことは、入院すればあるいは良くなる可能性はあるが、ここまで悪化しているといつ死んでもおかしくない。もしかしたら入院中に死んでしまうかもしれない云々。
 こんなことを突然言われて、誰が眠眠を病院に置いて行けよう。よくわからないまま点滴をしてもらった眠眠は、血尿のため止血剤を処方されたが、胃をやられて飲ませた途端激しく嘔吐。しかも猫相手に採尿など不可能。四六時中はりついていられる専業主婦ならまだしも、打つ手がないままいたずらに日が過ぎるばかりだった。
 やがて痛みと頻尿でトイレが間に合わない状態になり、床に失禁。それをスポイトで吸引して病院に持参したが、きちんと検査してもらいたいので、「こちらで採尿してはもらえませんか?」と尋ねたところ、新入りの女医さんがいきなり眠眠の膀胱をひねり上げ、眠眠は痛みでもんどりうって唸り声をあげた。しかも、尿は一滴も採れず、点滴の針が抜け落ち、私のバッグが水をかぶる始末。
 頭にきた私は、これを機に在宅点滴に切り替えた。しかし、この期に及んでも、なお「腎臓病」より「血尿の痛み」の方に危機感を募らせていた私は、確実に「採尿」して検査をしてくれると知り、B病院に替えたのだった。
 設備が整っているだけあって、眠眠は即日ありとあらゆる検査を受けた。そしてその結果と今後の治療方針について詳しく説明された。エコー画像には、いびつなかたちに歪んだ眠眠の腎臓と膀胱、尿管が浮かび上がり、そこかしこに点在して血尿の原因となっている数個の結石も認められた。位置と大きさ、眠眠の体力から、外科的手術で結石を取り出すことも、腎臓病を抱えていることから薬剤で石を溶かすことも不可能であることを知らされた。
 若い甲先生ではあったが、病気の説明は簡潔でたいへんわかりやすく、霧が晴れるように理解出来た。その後眠眠は、自力で小さな血のりのついた塊を尿と共に排出し、それ以降、血尿と痛みは治まった。もちろん、結石はまだほかにも存在していたので、最も悪さをしていた石がなくなったというだけだが。
 それからは、「眠眠ちゃんのために、腎臓病の進行をいかに遅らせるか」という呪縛でがんじがらめになっていくのである。
すなわち、治るわけではなく少しずつ悪化して行くしかない腎臓のエコー画像を5000円もかけて撮られて「もうすでにここまで腎臓が縮んでしまっています」と前回の画像と比較し説明されても、絶望感しか抱けない。どうにかしてこれを遅らせてやらねばという強迫観念に駆られ、とにかく必死になるしかなかった。

「毎晩点滴してあげてもねぇ」と平屋建てのA医院の先生が言った。
「結局全部腎臓を素通りして外に出てしまう」そう、本来臭いがキツイはずの眠眠の尿は、まるで水道水のように無色透明。無臭なのだ。「点滴は、筋肉と皮膚の間に結構な太さの針を刺すわけだから、この子がおとなしくしていたとしても、実際はこれね、かなり痛いんだよ」
 コクコクと頷くだけの私に、小さな医院の凄腕先生は続けた。
「入院すれば、その時は一時的によくはなります。ただ、腎臓病は、絶対に治りません。一時的によくなるために、血管に注射針刺されて、24時間拘束されて、でも、それが2ヵ月に1回だったのが毎月になり、毎週になり、毎日になる。この子のことを考えたら、私は入院は勧めない。若い子と違って、この子くらい、10歳過ぎてからの発病は、どんなに数値が悪くても、中には身体が慣れる場合もある。まあ、具合が悪いことにはかわりはないけどね。若いうちの発病は、それはもう重くて、黄色い胃液を泡を吹くように吐き続けて、とても見てられないくらい。私が唯一安楽死を勧めるのは、若いうちに発病した腎臓病くらいなもんです。わかりますか? 腎臓病というのは、それくらい、治らない病なんです。入院は延命措置でしかない。高いお金を払って入院させるくらいなら、この子の苦しみを受け入れて、一緒にいる時間を大切にするのも選択の一つといえます。少し肩の力を抜いて、この子の病を受け入れてみてはどうですか」
少し肩の力を抜いて──私は泣いてしまった。凄腕先生には、金銭的苦労は何も伝えていなかった。
「この子のために、毎晩点滴してあげなくちゃとか、入院もさせられないようじゃひどい飼い主だとずっと思っていたから──」
「そんなことは、ありません!」
 先生は一時口調を強めたけれど、どこまでも優しい目をしていた。
「飼い猫は確かに長生きの子もたくさんいます。この子はもう10年生きた。この子にとっての寿命は10年だったということです。好きなものを食べさせてあげてください。猫は頑固だから、具合が悪い時にまずいものなんか絶対食べません」
「かつお節が好きなんですけど、かつお節もあげていいですか?」
「あげてください。この子が生きてて楽しいなと思えるように」

 先生、救ってくれてありがとうございます。先生にも腎臓病は治せないことはわかりましたが、先生は腎臓病の猫を想ってビョーキになりかけていた飼い主のアタマを治してくださいました。

 眠眠は、かつおの刺身もまぐろの刺身も食べてくれず、乾きもののかつお節のみ、仙人みたいに少し口にする。口のまわりを舐め上げる体力がないのか、かつお節を舐めたあとは、顎にかつお節の髭を生やしたままだ。
 昨日からまた具合が悪くなって、やけに鳴き続ける。寒いのに、どこにそんな力が残ってるものやら、風呂場の扉を押し開け、浴室に蹲ることが多くなった。
 今日もまた凄腕先生のもとに眠眠を連れて行った。
「水場に行きたがるということは、脱水症状のあらわれでしょうか。前に白血病で死んだ子も最期の方はやたらお風呂場に行きたがってたんです」
「本能で(水を)求めているのかな」
「輸液量、少し増やしてもいいですか?」
「今70だっけ? 140までならいいよ。でもここまで痩せてる(かつて6キロあった体重が、すでに2.5キロに)と、あまり(輸液で)おおきなコブになると、首の皮膚がひっぱられて結構きついから、様子を見ながらね」
「はぃ」
 凄腕先生は、「何も処置してないから」と診察代を一銭も受け取らなかった。
 医院の受付は、弟子の女医さんか介助の看護師さんが兼任している。
 何度も礼を言って医院のドアを閉める直前、奥の診察室からもう一度凄腕先生の大きな声が聞こえた。
「お大事に!」
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# by vitaminminc | 2015-04-20 16:11 | 生きもの | Comments(2)

日々の暮らしに「ん?」を発見


by み茶ママ