慇懃無礼なカレ

働き始めて7年だし、ギリギリ「今どきの若いもん」に入ると思いますよ、私から見りゃ。
見た目も結構ステキなわけ。スマートでスラッとしちゃって。昭和もんのスタイルとは明らかに違う。
出資額が大きいだけあって、アタマもいい。知識が豊富で、器用に何でもこなせちゃう。
しかも親切。ちょっとした力仕事ならボクがやるよ053.gifてな感じで、頼んでもいないのに素早く反応。

だけど、虚弱体質。特に環境の変化みたいのにはとことん弱い。いわゆるもやしっ子?
繊細といえば聞こえはいいけど、単に融通がきかないだけ。秀才肌の、いわゆる頭でっかちみたいで。
転居や、夏の尋常でない暑さとかで神経をやられたのか? ここ数年で仕事にも支障をきたしている。
正直いって、家族は手を焼いているに違いない。ほっぽり出すわけにもいかず、ご機嫌窺いの日々?



カレが我が家にきたとき、家族はその端正な容姿に見惚れ、歓声をあげたものだった。
ナーバスそうなカレの、心の扉を開けるには、ちょっとした労力が要るものと警戒したが、カレは違った。
軽いスキンシップだけで、自ら扉を開いてみせたのだ。何度も。何度でも。
そしてカレは、たくさんの引き出しを保有していた。
通常の冷蔵室以外に、チルド室、野菜室、冷凍室は大小2個。

カレの親切心は、狭い我が家では無用の長物。そばを通っただけで勢いよく扉が開いた。
腕が触れたといっちゃーどつかれ、肩が触れたといっちゃーどつかれる。
無駄なオープンは電力の無駄。一週間経ずして、カレのタッチセンサー機能は解除された。
思えば、この自慢の親切心が裏目に出たことが、カレの自尊心を大いに傷つけたのかもしれない。

以来、カレは黙々と働きながらも、徐々に家族に不信感を抱いていくようになる。
自分が家族に愛されていないことを、家族の会話の端々に感じ取るようになっていった。
「あ~ぁ。前の冷蔵庫が、家を建替えるまでもってくれてたら、もっと大きいのを買ったのに」
「アイス食べてない人、早く食べちゃって! うちの冷凍室、狭いんだから」

やがてカレは、神経に異常をきたすようになった。確実に、病んでいった。
まず、小さいほうの冷凍室が、フリーザーとしての役目を放棄した。
アイスが溶けてしまうのはもちろん、ケーキなどについてくるミニ保冷剤でさえ、凍るまでに三日を要す。

「野菜室がちゃんと閉まらないよ? 何かつかえてるみたい」
野菜室の、大きくて深い引き出しをギリギリまで前に出し、仕切りのトレイを外して奥を確認。
つかえているものの正体を知った瞬間、私は凍りついた。ぃや、頭の中で何かが溶けて、笑い崩れた。
野菜室の奥に、日本三名瀑の一つ「袋田の滝~冬のジオラマ」が出現したからだ。
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画像の滝は白いが、カレの作品は「霜」とは違う。透明で、扇状に裾野を延ばした、美しい滝だった。
冷凍室の小引き出しの無能ぶりを批判されたカレは、その腹いせに、せっせと滝をつくっていたのだ。
長い年月をかけ、丁寧にこしらえた純度100%の水の結晶は、非常に強固なものである。
ヤカンで沸かしたお湯をかけても、溶けやしないのである。永久凍土もまっつぁおなんである。

「頼んでもいない場所で、氷つくってんじゃないよッ!」
即刻クビにしたいところだが、そうもいかない。
電子レンジや洗濯機と違って、家庭になくてはならない必須アイテム、それがカレ。
価格、消費電力ともに、最高値の座を譲らないカレは、家庭の強い味方にして、家計にツライ敵。
滝のせいで野菜室がきちんと閉まらず、いかに電力代が嵩もうが、今、カレを解雇するわけにはいかない。

足元を見られている気がする。
出会った頃、さんざん扉でどついてきたのだって、きっとワザとだ。
いい奴ぶって、本当は無礼なだけだったのだ。


そんなカレの名は、慇懃無冷蔵庫之丞。

昭和の家電は良かった。ズングリムックリしてたって、頑固一徹、職人気質。
とにかく頑丈、ちょっとやそっとじゃ壊れなかった。。。









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# by vitaminminc | 2014-09-25 10:25 | 笑い | Comments(0)

麗しの添いネコ

昨日の輸液は上々だった。
1回針が抜けはしたものの、しっかり合計100ccの輸液に成功した。
ちょっとしたコツもつかんだ。
眠眠の我慢が限界に達するのは、当然後半戦。
なので、注射器交換後の時間を短縮する必要がある。
それで、これまでは50ccを入れた注射器を2本用意していたが、内容量を変更することにした。
前半用に最大量60cc、後半用に40ccを入れることにしたのだ。
さらに、注射針は、つまみ上げた皮膚の下の、空洞になった部分に刺すのだが、刺した後は、通常皮膚から手を放す。
しかし、私は皮膚をつまみ上げたまま輸液してみた。
なぜなら、眠眠はほかの猫に比べて、皮膚にあまり余裕がない。つまみあげるのにも苦労するくらいだ。
皮膚に余裕がないから、液体を注入されている間、違和感が気色悪いのではないだろうかと考えた。
それで、試しにつまみ上げたまま注入してみたところ、これが功を奏した。
身をよじる回数がが激減したのだ。
秋ナースは、こうして、微力ながらも日々進化している(と思っている)。

輸液後の眠眠は、充電が完了した機器のように、フル回転。
速攻水を飲み、マンマをカリカリ。
いいウンチも出る。

「輸液するとやっぱり体調がいいみたいだね」と嬉しそうにムスメが言う。
「でも、(発病)前みたく私の隣に寝てくれないんだよね・・・」と私がしょんびり言う。
「はっはっはっ、そりゃ嫌われても仕方ないよな」毒舌のムスコが遠慮なく言う。
「ああ、どうせ私は嫌われ者だよ、来る日も来る日も注射針を刺してるからぬぇぇ」
そう、眠眠は腎不全発病後、一度たりとも私の隣で眠ることがなくなった。真夏のクソ暑い熱帯夜でさえ
必ず隣に寝ていたというのに。
体調を崩してから、独りで寝たがるようになったのだ。

ところが、眠眠が隣に寝てくれなくなったことをぼやいた晩、眠眠がこっそり寝室に入って来た。
「あ! 眠眠!」
私が喜ぶと、眠眠はひらりとベッドに飛び乗って、私の隣にちんまりと丸まって寝た。久しぶりだった。
こうして眠眠は、私が読んでいた小説を閉じて、電気を消してからもずっと隣にいた。少なくとも私が意識をなくして完全に寝入るまでの間、ずっと隣で寝ていた。

翌朝(つまり今朝)5時に起床すると、眠眠はホールに置いてあるソーイング・テーブルの上で寝ていた。
私は悟った。
眠眠に添い寝してもらったのだと。
赤ちゃんネコの時から人と一緒に暮らしているのだ。絶対ヒトの言葉がわかっている。
ああ、私は病気の猫にまで気を遣わせているのか。
でも、嬉しかった。

余談だが、ムスコは一昨日も毒舌ぶりを発揮した。
もぐもぐとバナナを食べている私に向かって、こんなことを抜かしやがったのである。
「お。サマになってるぜ
でも、嬉しくねー!


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# by vitaminminc | 2014-09-16 16:56 | 生きもの | Comments(2)

100cc の、誘い水

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獣医さんに指導を仰ぎ、自宅で眠眠に輸液しております。
獣医さんではすんなり刺さる注射針が、なぜか自宅ではうまいこと刺さりません。
というより、獣医さんではじっとしている眠眠が、自宅では動いてしまうわけで。
ストレス軽減のため在宅輸液にしたわけですが、リラックスできることが裏目に出ています。
怖くて固まることがなくなった分、逃げる隙を窺うのです。
注射針を刺す時に、下手に躊躇してしまう私もいけない。
一気にプスッとやらないから、痛みに気づいてしまうんですね。

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注射する方もされる方も慣れていないから、もうてーへんです。
眠眠が逃げ出さないよう押さえてくれる係は、今のところムスコ。
輸液量は、100cc。50ccを2本です。
輸液三日目の本日、初めてしくじりました。
途中で注射器をつけかえる時に、眠眠の爪がムスコの肩に食い込み、さらに針が抜けてしまいました。
抜けたら刺せばいいんです。ムスコは続行を申し出てくれました。
でも、これ以上嫌がる眠眠に無理を強いるのは後々マズイと思い、50ccで断念しました。

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それにしても、輸液の効果は一目瞭然、すごいです。
枯れかけていた樹木の葉が、一気にみずみずしさを取り戻したかのようになります。
ごわごわしていた毛並みまでもが、ふわふわになります。
そして、誘い水のように、水をよく飲み、ゼロに近かった食欲が少し回復するのです。
辛そうに四肢を折り畳んだ箱座りは、手足を伸ばした寝姿に変わります。
話すこともしんどくて、無言になってしまった眠眠が、かつてのようによくしゃべります。
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腎不全なんてウソなんじゃないかと錯覚しそうになります。
でも、一日置きの輸液が一日置きに必要な理由を、嫌でも思い知らされます。
もう眠眠の身体は、自力では水分を補給することができないってことを。
良い状態が保たれるのは、輸液後せいぜい36時間。
私は今日も、動画サイトで猫の輸液シーンを繰り返し見て学習。
もっと上手に輸液してやれるようになりたい。
輸液されて一時潤う眠眠とは逆に、輸液するたびに私は大量の水分を放出します。
汗だくで、確実に100ccは失われています。

しかし、私の人生に、この上ない潤いを与えてくれているのも眠眠。

4枚目の写真は、輸液直後。
超不機嫌な面構えですが、体勢はなんとなく、くつろいで見えますよね。













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# by vitaminminc | 2014-09-14 22:22 | 生きもの | Comments(0)

ドレ耳ソラ耳

最近、「ババア」「ジジイ」と呼び合っている。
幸い、夫婦間での話ではない。私とムスコ(←16チャイ)の間でだ。
ムスコがふざけて私を「ババア」と呼ぶたび、怒りより笑いが勝つ。
なんなんだ、この笑わずにはいられない「ババア」の言葉の響き、そして魔力。
だからバランスを保つために、私もムスコのことを「ジジイ」と呼んでいる。
「え?」とフツーに返事をする。
呼ばれて笑って、呼んでも笑う。バカ親子である。

そんなババアとジジイの昨夜の会話。
ジ「あれ? 今日って10日じゃなかったっけ?」
バ「9日だよ。しっかりしなよ」
ジ「なんだ、このババア」
バ「なんだこのババアはないでしょ! しっかりしろと言ってあげただけなのに」
ジ「ハッ!? 俺は今、『なんだ、9日かぁ』って言ったんだけど?」
バ(←相当な笑い)
ジ「勝手に聞き間違えて、独りで盛り上がってんじゃねーよ」
バ「だっていつも、あんまりババア、ババアって言うから(笑)何でもそう聞こえちゃって(笑)」
ジ「ババア、しっかりしろよな」

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# by vitaminminc | 2014-09-10 08:08 | 笑い | Comments(0)

レタスを買っておうちに帰ろう

「腎臓病予備軍」といわれたのは、いったい何月のことだったろう。
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もともとお水を飲むのが大好きだったので、水を飲む量が増えたことや、それに伴い尿の量も増えていたことに関しては、あまりにも無頓着だった。
今までなったことのない便秘になったために、慌てて獣医に連れていったのだった。
それでも、この時点では検査の結果、「腎臓病予備軍」と診断されて、薬は出なかった。ただ、餌を腎臓病用フードに切り替えるようにと指導された。
先生は、眠眠(♂猫10才)の下腹部を触診した。
「まだ便が詰まっているほどではないから、このまま様子を見ましょう」
ほどなくして、心配していた便通もあった。まずそうながらも、腎臓サポート食をチビチビ食べてくれ、ほっとしていた。鰹節はもちろん、大好物のレタスも与えてはいけないと言われた。腎臓用の餌以外は一切ダメですと。

冷蔵庫を開けるたびに、レタスをほしがって飛んできた眠眠だったが、数えきれないくらい望みが叶えられないことを経験して、さすがに学習したらしい。
眠眠は、レタスをあきらめた。
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夏の暑さがこたえたものか、徐々に食欲が落ちていき、動作も緩慢になっていった。
家族みんなが「眠眠も年をとったなぁ」とつぶやいた。
そのうちに、血尿が出始めた。これはいかんと受診した。
6キロあった体重は、4.7キロまで減少していた。
「慢性腎臓病」と診断され、生涯飲ませ続けなくてはいけない腎臓病の薬(水薬)が出された。
水薬の名称は「セミントラ」という。トラ猫のみんみんと相性が良さそに思えたが、シリンジ(針無し注射器)を嫌がって飲んでくれない。仕方なく餌にかけて食べさせた。
血尿に関しては、腎臓病のほかに膀胱炎の可能性もあるので、採尿して持ってくるように言われた。

採尿など不可能だ。眠眠は、便秘時の排便はあらぬところで粗相することはあっても、オシッコは必ず紙砂入りのトイレでしかしたことがなかった。
トイレをとっぱらってオシッコを我慢させるのは酷だ。そこまでして採尿することができなかった。
そうこうしているうちに、「血が出ている!」というくらい、血尿の色が深刻になってきた。珍しく、尿がトイレからはみ出ていたので、すかさずスポイトで吸い取って、眠眠とオシッコを病院に運んだ。
眠眠の体重は、4.2キロに減っていた。
膀胱炎の薬と止血剤8日分が出た。こちらの二種類は錠剤だったので、飲ませるのに難儀した。

膀胱炎と止血剤を飲ませ始めてから6日が経過。眠眠は、まったく餌を口にしなくなった。水薬をかけるのを止めても、餌皿に近寄りもしなくなった。大好きだった水さえ飲まなくなった。
そして、飲まず食わずの状態で、黄色い胃液を何度も吐いた。
獣医で測った体重は、3.9キロ。
もともと大柄な子だったので、立ち姿は物干し竿に干したカーペットみたいだ。
涙なんか流すものか。一滴残らず呑み込んでやる。
錠剤で胃をやられたのかもしれない。血尿は治まったが、眠眠の消耗はあまりにも大きすぎた。
血液検査の結果は、数値だけで判断すると「末期」。あまりにも進行が早いことに先生も驚きを隠せず、猫白血病か猫エイズを疑って再検査となった。結果は共に陰性。白血病で亡くなったおてんば猫の茶尾に噛みつかれたり引っ掻かれたりしたにも関わらず、奇跡的に陰性。
なのに、「末期の腎不全」だなんて。入院した方がより良い治療を受けることは可能だが、最悪の場合入院中に容体が急変して、そのまま死んでしまうかもしれないなんて。
「通院します」
迷わず選択した。「治る病気なら入院させたいところですが、万が一の場合、家族の誰も看取ってあげられないというのは考えられません」

幸い眠眠は「輸液」により急場をしのぐことができた。
現在、週に2~3回、「輸液」のため通院している。
まったく食べられなかった餌も、日に大さじ1杯くらいなら食べられるようになった。
「輸液」後は、便通も一時的に回復する。新鮮な水もよく飲む。
「輸液」は、ヒトでいうところの「透析」を意味する。
腎臓が機能しなくなると、いくら水を飲んでも体内を素通りしてしまい、慢性的な脱水症状を引き起こす。体内に溜まった毒素を尿と一緒に排出できなくなるため、飲み喰いできなくなるほど具合が悪くなる──簡単に解釈すると、こういうことらしい。

獣医には言えないが、餌を替えた。腎臓用のまずい餌ではなく、高齢猫用の、とても小さい粒のフードにした。こちらに替えたことで、ようやく大さじ1杯とはいえ、食べてくれるようになったのだ。
ペースト状の餌は、一口舐めただけで、二度と口にしなかった。

餓死だけは、絶対に避けたい。

今でも、オレンジを目にすると、ひどく心が痛む。
末期がんで治る見込みのない父が、病床で「オレンジが食べたい」と何度も訴えたのに、点滴に影響するといけないからと、私は拒み続けた。
死んでしまってから、どれほど自分を責めたかわからない。
どうせ死んでしまうのなら、食べたいものを思う存分食べさせてあげればよかった、と。

批難されることは承知の上だ。おまえはろくでもない飼い主だとなじられることも。
きちんと腎臓病のフードを与えて、きちんと薬も飲ませて、定期的に輸液を続けることで、小さな命を延ばすことが可能だということは理解している。
けれど、腎臓サポートフードを、ドライタイプもペーストタイプも、まったく受けつけないのだ。少しずつでも自分で食べられるうちは、強制給餌はしたくない。

幸い、腎臓病の水薬は、餌にかけなくても、シリンジで直接口に入れることができるようになった。
手足を突っぱね、顔をそらして抵抗するだけの体力が、すでになくなったせいだ。
これほどまでに弱ってしまったけれど、眠眠はどこまでも気高い。
毎晩私のすぐ横で眠っていたくせに、今はホールでひっそりと眠りに就く。
一緒にずっと触れていたいけど、眠眠の本能を尊重して、ぐっと我慢している。
排尿に関してあれほど潔癖症だった眠眠が、トイレ付近の床で失禁を繰り返るようになった。
ボケたのではない。間に合わないのだ。
床に水溜りをこしらえるたびに、律儀に小さく鳴いて教える。とても切ない顔をする。

腎臓は、一度傷ついたら二度と治らない。あきれるくらいもろい臓器だ。
私の心臓も容易には治らない。父の死から干支が一回りしたけれど、オレンジを見るたび傷口が開く。

今さっき、眠眠が悲しそうな声で知らせにきた水溜りを拭きながら、決意した。
今日、輸液の帰りに、レタスを買って帰ろう。


眠眠に、レタスを食べさせてあげるんだ。
大好物のレタスを。
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# by vitaminminc | 2014-09-08 13:22 | 生きもの | Comments(0)

虫がいい話

 今朝早く、部屋で物音がして目が覚めた。時刻を確認すると、まだ5:23だった。本格的起床時間まで、あと90分は寝ていられたはずなのに。
 ダブルベッドの横で寝ているはずの眠眠(♂ネコ)の姿が見えない。
 音のする方を見てみたら、床で眠眠が、しきりに紙袋を小突いている。どうも床に無造作に放置していた紙袋の下に、何かを追い詰めたようなのだ。
 ゴキちゃんだったらイヤだなぁと思ったが、そんな予感はあまりしなかった。実は、眠眠は私と同じで、ゴキちゃんがあまり好きではない。ゴキが動くたびにびくっと怯える始末で、しまいには寝転がっている自分の横をでかいゴキが悠々と通り過ぎるのを片眼を開けて見送ったことさえある。その様子はまるで「見なかったこと」にしたとしか思えず、大騒ぎしていたのは私だけなのだった。
 だから、ゴキ嫌いな眠眠がちょっかいを出しているからには、相手はゴキ以外の何かだろうと安心して見守っていられた。
 
 紙袋の下から、降参したのか最後の脱出を試みたのか、一匹の昆虫登場。眠眠が、すかさず猫パンチをお見舞いする。遊びたいから手加減している。今なら救出可能だ!
 「眠眠、おやめ」
 眠眠はおとなしく脇へ退いた。私は弱っている昆虫を、そっと手ですくい取った。洗濯ものと一緒に取り込まれてしまったらしい。よかった、まだ生きている。
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 画像はネットから引っ張って来たソックリさんである。カナブンより丸くずんぐりしているから、コガネムシの仲間だろうか。艶消しタイプの、地味な薄緑色をした子だった。私はカナブンとかハナムグリとかコガネムシとか、丸っこい昆虫が好きなので、ちょっと嬉しかった。
 その子は私の手の内側で、しっかり爪をたてて踏ん張っている。よしよし、これだけ元気があれば大丈夫。階段の踊り場の窓を開けて、外に放ってあげた。
 朝早くから起こされてしまったけれど、小さな命を一つ救えたのだ。実に気分がいい。知らなかったとはいえ、勝手に拉致して、勝手に救助して、勝手に自己満足するとは、虫のいい話。

 部屋の隅では、眠眠が、思い通りに事が運ばなかった時によくやる仕草─爪とぎ─の音だけが響いていた。バリバリバリバリ・・・・


 


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# by vitaminminc | 2014-08-03 23:39 | 生きもの | Comments(2)

新世紀ガングリオン

「なんじゃその、エヴァンゲリオンみたいな名まえは!?」
 ムスメに笑われた。
 わが身に起きた症状の正体を、ネットで突き止めた瞬間である。
 下記の画像は、大阪の古東整形外科さんが、「患者さんのための病気の参考資料」としてHPに載せているものを拝借。まさに今、私の左手首は、位置といいサイズといい、↓↓↓こんな状態。
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 これは「ガングリオン」と呼ばれる、良性腫の一つだそうだ。とはいえ、ネット相談者の大半が「骨が突き出てきた!」と勘違いしているように、ちっともブヨブヨなんかしていない。結構硬くて、骨が変形して飛び出てきたんじゃないかという恐怖におののいてしまう。
 先の整形外科さんによれば、ガングリオンは「放置」が望ましいという。注射器で内容物を吸い出したり、外科的手術で除去しても、再発することが多く、放っておくと自然消滅することもあるからだそうだ。
 異様な手首の正体がわかるまでは、「私なんか骨まで出して頑張っているのに」と報われない主婦業をぼやくのに使ったりもしたが、本音は恐ろしい難病─進行性骨化性線維異形成症(筋肉が骨に変わっていく病気FOP)に対する恐怖をごまかしていたのである。
 気づいたのが土曜の午後だったので、すぐに医者に行けなかった私は、丸一日無駄に恐怖と闘い、無駄に憂鬱であった。
 でも、ガングリオンという、原因不明ながらも恐れるほどでもない症状とわかった以上、もう平チャラ。月曜になったって整形外科になんか行かなかった。
 案の定、ムスメに叱られた。
 「安心するのは、専門医に診てもらってからでしょう?」
 どっちが親だかわかりゃしない。で、仕方なく火曜日に受診。
Dr.「これは、いつから? 最近じゃないよね?」
ワタシ「それが、いつからかはわからないんですけど、気づいたのは土曜の午後です」
Dr.「あれ? ちょっと待てよ(と脈をとる仕草をしたまま)。コレ脈打ってるな」
ワタシ「???」
Dr.「コレのちょうど下あたりを動脈が通ってるんだけど、コレが血管に食い込んでたら厄介だ──」
ワタシ「!!!」
Dr.「ちょっと!(看護師さんに向かって)ほらあれ! 超音波用意して!」

 超音波断層カメラで念入りに調べてもらった結果、私の突起物は動脈を避けるようにつくられており、悪性腫瘍の特徴はまったく見られなかった。そして、「水ぶくれのようなもの」と診断された。
 私は自分で調べた病名を、間違えないように気をつけながら、おずおずと口にした。ゲングリオンでもガングリゲンでも、もちろんエヴァンゲリオンでもなく──
 「これはあの、ガングリオン、ですか?」
 「ああ、そう、ガングリオン」東北大医学部出身の気さくなセンセイは、素人が知ったような口をきくのにも寛容で、すんなり肯定。
 ガングリオンと認めてもらった以上、私は断固として『放置』を望むものである。もしもセンセイがやれ吸い出すの、やれ切開するのと言い出したら、「今週海に行くのです。帰ってからお願いしたいのです」とウソをついて永遠にバックレる準備も万端。
 「このままでいいでしょ?」むしろセンセイの口から、望み通りの言葉が。「たぶん自然に治っちゃうと思うから」
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 「どうしてもね、主婦は結構手をつかうからね」とセンセイが原因らしいことに触れるのにつられ、私はつい言わなくてもいいようなことを口にしていた。
 「コレに気づく前の日に、すごく重いレジ袋を、左の手首にかけてしまったんですけど──」
 「それは、無い」みなまで言わせず否定された。そんなことでいきなり飛び出たりはしないらしい。
 ま、20代~40代の女性に多い症状だというし、私もまだ若いってことか。ふはははは。
 
 人騒がせだな、ガングリオン。
 
 
    


 

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# by vitaminminc | 2014-08-02 19:21 | 健康 | Comments(0)

「超高速!参勤交代」超おススメ!

「アナ雪」が降らせた大雪に埋もれてしまって、ノー・チェックだった。それだけに、今回観に行った映画には、いい意味で裏切られた。
 もちろん、ネットで映画評はチェックした。5つ星中、概ね星4つ以上。これなら手堅い、
観て損はないだろうと思い、母を誘って観に行ったのだ。
 けど、こんなに面白いとは! ここまで楽しめるとは、正直思わなかった。
 すっごく面白かった!
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「超高速!参勤交代」

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 星1つ欠いたコメントを書いた人たちの難癖は、もっぱら「時代考証」だった。みんなコレさえもっと真面目に(?)考証していたら満点あげられたのに、ってな寸評。言いかえれば、歴史に疎い者にとっては文句なしの満点作品ということだ。
 娯楽映画に徹底的な時代考証を求めたりしたら、その分制約が増えて面白味に欠けてしまう。星が5つになるどころか、3つくらいに減ってしまいかねない。だから、日本史にうるちゃい人を除いて、すべての老若男女にお勧めしたい。

 役者も魅力的だった。
 いわきの弱小貧乏藩の殿様役は、佐々木蔵之介。さすが。品格がある。閉所恐怖症だが、気さくな人柄で、分け隔てなく民に接する、人情味にあふれた殿様。抜刀術の達人で、その剣さばきに目がハートになることまつがいなす。
 そして、持ち前の知恵で何度も藩の窮地を救ってみせる実直な家老に、われらが西村雅彦。もう、家老なんだか過労なんだかわからないくらいの苦労人。体をはって何度も笑かしてくれる、愛すべき人格者。
 さらに、藩で一番年下の武士・弓の名人役に、知念侑李くん。
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 ンもうもう、どうしようもないくらい、超可愛い。この子が話す福島弁の素朴さったらねーのよ、おばちゃん、も~胸がキュンキュン。一番福島弁らすい福島弁だったのではねーがと。
ネイティブ福島弁も知らないくせに大絶賛しちゃうもんね。
 ほかにも、石橋蓮司、市川猿之助、寺脇康文、陣内孝則、伊原剛志、上地雄輔、六角精児に深キョンなど、いい役者が勢ぞろい。あ~、観に行って、ホントえがった。

 もっともっと評判になってもおかしくないくらい面白い作品なのに、イマイチ騒がれていない気がする。
 後味がまた、なんともイイ! 爽快! 落ち込んでたり、ちょっち元気がないそこのアナタ、超高速でこの作品を観に行くことをお勧め。滋養強壮剤よりダイレクトに効くことまつがいなす!

 ど~でもいいが、人からDVDを借りて観た「アナ雪」、私にはイマイチイマニイマサンだった。どこがそれほど面白いのかサッパリ。そりゃ映像はきれいで見事でしたョ。あと、別に好きじゃないけど、歌は確かに耳に残る。でもそれだけ。観終わったあと、頭の上にクエスチョンマークが扇状に並んでしまった。
 私だけがおかしいのか?とふと心配になったが、一緒に観たムスメも「つまらん」という感想だった。あ、もしもアナタが「アナ雪」が大好きでしたらお許しを。我々母娘、おかしいんです。きっとハートが汚れてしまっているんです。おほほほほ・・・

 やっぱり私は日本人なんだな~。福島バンザイ!
 

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# by vitaminminc | 2014-07-25 18:39 | 趣味 | Comments(0)

夢中お見舞い申し上げます

 関東地方もようやく梅雨が明けたらしい。
 太陽の季節、そして体温の季節。今日も35℃は超えそうだ。

 私は壺を持っていない。だから壺の代わりに、頭蓋骨の中に大魔王とあくびちゃんを閉じ込めている。
 現金なものである。たっぷり寝ていても、仕事中は何度となくあくびちゃんを噛み殺す。ごめんよ、あくびちゃん。
 その癖、夢中になれることがあったりすると、覚せい剤でも打ったんかいというぐらい、頭が冴える。もちろんこの冴えは、もっぱらフィクションに対してのみ活かされ、決して仕事や勉強など現実的側面ではまったく役に立たない。ネバー。100%、役に立たない。
 それを裏付けてみよう。そもそも私が夢中になれる対象は、この世に存在しないのである。私を夢中にさせてくれるのは、いつだってフィクションなのだ。非現実的世界に存在するもの、非現実的世界で起こる事象、あるいはそういった非現実的夢の世界そのもの。だからこそ夢中になれる。
 話がくどくなってしまったが、私はつくりものが好きなのだ。映画だったり、小説だったり。要するに、現実から逃避することが好きなだけである。
 その日私は、CATVで放映された「ゴールデンスランバー」という映画を鑑賞した。堺雅人主演の映画で、なかなか面白かった。またいつか観てみたくなるような、息の長いタイプの作品だったので、ああ、予約録画しておいて良かったなぁとしみじみ思った。
 次に私は、その同名の原作(伊坂幸太郎/著)をネットで取り寄せた。半分まで読んだところで、予想通り、映画をしのぐ面白さだったので、会社の同僚相手に大絶賛。その同僚とは読書仲間で、私が持っている万木目学作品と、同僚が持っている伊坂幸太郎作品を交換し合うのが常だった。
 ここにきて、逆転現象が起きたわけだ。いつもなら、同僚のほうから貸すよといってくるはずの伊坂幸太郎作品を、私のほうが先に読んで貸す。もとより伊坂好きだった彼女は、当然のことのように言った。
「貸して」
 紹介して、貸すとまで言った以上、「いやぁ、実はまだ半分までしか読んでなくて」と待たせるのも忍びない。ちょうど脂がのって来たところだ。物語も俄然面白くなっている。分厚い長編ゆえ、残り半分といっても、通常の文庫本1冊以上のヴォリュームはあったが、私はふた晩で読み終える決心で臨んだ。
 ところが、面白すぎて止まらなくなった。気づいたら、夜が白々と明けつつある。えらいこっちゃ! 今日も仕事なのに、もう若くもないのに、ほぼ徹夜で出勤とは!
 4時半に読破するやいなや、意地でも寝てやるとばかり、ギリギリまで仮眠をとって、しっかりお勤めを果たした。
 人間、やる時ゃやるものである。睡眠不足にはからきし弱く、本来であれば「仕事にならない」状態に陥っても不思議じゃなかった。それこそ小説のタイトルどおり、黄金のまどろみを享受してこその自分、のはずだった。
 朝一で、バトン(小説)を無事同僚に渡し終えた私は、若干いつもより無駄口が少なく、若干いつもより品位を保ち、若干いつもより真面目に仕事ができた。
 私の頭蓋骨の中の魔王は、睡魔界の魔王だ。フィクション大魔王だけあって、面白い小説が大好物。小説を読んでいる間中、その見返りとして、私に上質な眠り(ゴールデンスランバー)を与えてくれたらしい。
 ふつう睡眠不足の翌日は、疲労ハイでどうにかもっても、翌々日には絶対ガタが来る。それが今回、まったくなかった。
 そう、私は目を開けたまま眠ることも得意だが、目を開けて活字を追いながら、本当に夢を見る─つまり眠る─に等しい優れワザを体得したのである。
 何度もいうが、このゴールデンスランバーは、退屈でわけのわからない学術書の活字を目で追いながら、≪寝落ち≫するのとは全く違う。
 脳は、現実(いつも)以上に、覚醒していた! 

 余談ではあるが、映画版のキャストについて。
 堺雅人は、原作の人物描写が、まさに堺雅人の風貌を指しているとしか思えないくらいだったので別格としても、主人公の元カノ役の竹内結子も良かった。彼女以外、元カノ役は不可能だと思わせるくらい、ハマリ役だった。話し方も、声さえも。だから小説を読んでいると竹内結子の声に変換されるので、すごく愉しかった。
 まだ「ゴールデンスランバー」を読んだり観たりしていないみなさんへ。本作品の場合は、先にヴィジュアル(映画版)から入っていくことをお勧めします。
 映画を観て、ストーリーがわかったあとでも、いや、わかっていれば尚更、小説が愉しく読めます。見事なキャスティングのおかげで、台詞すべてが、映画の出演者の声で再現されるのですョ061.gif
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# by vitaminminc | 2014-07-23 15:11 | 趣味 | Comments(0)

お告げ

 昨年11月に義母が他界した。四十九日法要を終えると同時に、それまでオットの実家で義母が管理していた仏壇が我が家にやってきた。といっても、私が運転する車に載せて、私がお連れしたのだが。
 位牌は義父母2柱あるのに、遺影は義母のものだけが飾られた。12年前に亡くなった義父のものはない。何となく落ち着かない気分になった私は、オットに問うた。
 「お義父さんの写真は飾らないでいいの?」
 オットは気乗りしない様子で、「仏壇の引き出しの中に、数枚親父の写真が入っているはずだけど」と私に丸投げした。
 引き出しの中に入っていたのは、セピア色に褪せた、かなり古い写真だった。義父はずいぶん若く、下手したらオットが生まれる前のものではないかとさえ思えた。
 「こんな古いのじゃなくて、お義父さんのお葬式の時に作った遺影、それの小さい方、実家にあるんじゃないの?」
 答えはNoだった。処分してしまって、もう存在しないという。オットははっきり誰が、とは言わなかったが、義母が処分したのは明明白白。義父は昔気質の超関白亭主で、義母によく手を上げたらしい。義父の遺影を処分したのは、おとなしく無抵抗で、我慢に我慢を重ねて尽くした義母の、それは最後の抵抗心だったのだろう。
 ならばバランスよろしく、義母の遺影も飾るのをやめようという気にはなれず、うやむやのうちに月日が過ぎていき、私もいつしか遺影のことは考えないようになっていた。
 そんなある日(先月末)、私は義父から言われたのだ。目覚める直前まで見ていた夢の切れ端で、その言葉は残響として、いつまでも鼓膜にはりついていた。

──写真は、2つ並べて飾るものだよ。

 義父は生前、嫁の私にもうるさいほうだったので、私も正直言って義父は苦手だった。けれど、夢の中の義父は、ただただやさしかった。柔和な笑みを浮かべて、静かにそう訴えかけたのである。
 起床して、夢の話をムスメにしたところ、ムスメもちょうどおなじ日の真夜中過ぎ、不可思議な音を聞いたという。床に就いたものの、まだ眠れずにじっと横たわっていたら、いきなりベッド脇で金属音がしたのだと。ムスメのベッドはパイプベッドで、何か硬いものでベッドの柵を叩かれたような感じだったという。驚いたムスメは、布団をかぶるようにして、現実から逃げるように眠りに就いたらしい。
 で、私は行動に出た。ムスメのアルバムを引っ張り出して、義父が写っている写真を探した。まだ1歳くらいの幼いムスメを抱っこした義父が、夢の中の印象そのままに、実に柔和な笑顔で撮れている一枚を見つけた。
 義父の葬式で使われた遺影も、元はムスメを抱っこした写真で、私が撮ったものだ。が、新しく作り直す遺影は、義母に処分されたのとは別の写真にしたほうがいいような気がした。
 早速カメラ屋に持ち込んで、遺影の作成を頼んだ。ムスメの手が入ってしまわないように、「着せ替え」サービスを利用することにして、義父には渋い感じに紋付袴を着てもらうことにした。
「髪はいかがされますか?」と店の人が聞いてくれた。え!? 増毛まで!? しかし、
それではあのセピア色の写真を飾るようなものではないか。義父から頭部の輝きを奪ってしまっては、もはや義父ではなくなる。上がる口角を下げようもないまま、やんわり辞退した。
 加工には1万円ほどかかる。これはぜひともオットから徴収し、亡き父親の供養に一役買ってもらわねば。

 2013年9月25日付日経サイエンスによると、ここ10年間、夢を使った能力開発や課題の解決はどこまで可能か?といった、脳科学の研究成果に基づいた研究が進展しているそうである。

 人が夢を見るのは「レム(REM=急速眼球運動の略)睡眠」時で、この間、眼球のみならず、脳の活動も覚醒時と同じ水準に高まっているという。

 ただ、活性化している脳領域は覚醒時とは異なり、夢を見ているときは、大脳皮質のうち視覚や動きの感知に関わる部分、及び情動に関連した部分の活動が活発になっているという。

 対照的に、意思を伴う行動や、論理的・社会的に適切かどうかの判断に関係した領域(前頭前野背外側部)はあまり活動しない。このことの一つの解釈としては、思考を論理的で既知の事柄に制限している「思考の抑制作用」が弱まり、常識にとらわれない思考をすること。すなわち独創的な発想や、問題解決が導かれるというもの。

 今回の夢のお告げは、むしろ常識的に考えて導かれた結果、のような気がしてならない。義父の遺影の仕上がりには、発注から10日ほどかかるらしい。義父が紋付袴を気に入ってくれるといいのだが。

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# by vitaminminc | 2014-07-03 16:03 | 人間 | Comments(0)

独断! 似てるてる坊主 2014 梅雨バージョン

田丸麻紀 と 
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真木よう子   
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波瑠
 と
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綾野剛
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けッ! いったいどこが! とお思いの方がいたって全然かまやしないのです。
あくまでも私見です・・・ふっ。

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# by vitaminminc | 2014-07-01 18:09 | 趣味 | Comments(0)

なんちゃってフル装備

 職場での雨降りの朝の会話


同僚「オハヨー。今日は(雨だから)バスで来たの?」

私 「いや、自転車で」

同僚「へーぇ、頑張ったね」

私 「レインポンチョに、レインハット、そしてこの・・・」と、足元を指差し、

  「ガーデニングシューズ」

同僚「(笑)あっはははははは、今日もしっかり、ハズさないでくれて・・・(笑)」

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# by vitaminminc | 2014-06-23 21:34 | 笑い | Comments(0)

イナカ者とイカ者

 腐ってもトウキョ~。23区の1つに生まれ育った私の中では、ガッコの保護者会 に出席するには、スーツ着用 というのが常識だった。
 夏はさすがに上着なしでも、白ブラウスにスーツの下(スカート)という、それなりにきちんとしたいでたちでガッコを訪れるものと思っていた。
 ところがドスコイ、結婚して都落ちして住むようになったわが町においては、まったく違った。上の子が小学校に入学し、最初の保護者会を控えた私は、近所のママに、「当たり前のことだけど」と前置きし、念のため確認した。「もちろんみんなスーツで行くよね?」
 「えぇ~~~」と笑われた。「ジーパンじゃまずいけど、そこまでキッチリした格好で行く人なんていないよ」
 半信半疑ながら、「スーツだと浮くから止めた方がいい」という言葉を信じ、割ときちんとした、おとなしめの、真面目そうな服装で参加した。
 みんな結構ラフなので驚いた。なんていうのか、幼児の世話をするため動き易い服装で来るのがベターだった、幼稚園の保護者会感覚のまま、小学校にもつれ込んだ感じ。下手すると、スーツでもないのに、割ときちんとした服装でさえ浮いているような気がしたほどである。
 そして町全般において「保護者会は普段着でも可」が当たり前であったが、地球温暖化に比例するかのように、年々ラフ度が増していくように思われた。さすがに県立中高一貫校の説明会に、ジャージの上下でやってきた夫婦を見た時は我が目を疑ったが。
 ところで、ガッコの最初の保護者会で感じた違和感はどこへやら、私の中の田舎ントリー精神は、必要以上に順応し、ラフ化の一途を辿っていったのである。

 そんな田舎ントリーな私にとって、ムスコの高校の保護者会は、実に敷居が高い。校風なのだろうか。夏場であろうが、95%以上の保護者が黒のスーツで御来光ぃゃ、来校する。誰の葬式ですかってなもんである。ちなみに残る5%は濃紺もしくはダークグレーの上下である。
 そんなことを知らなかった田舎ントリーな私は、昨年第1回目の保護者会でしくじった。黒ではなく、紺のサマージャケットとライトグレーのスカートで参加してしまったのである。講堂のどこを見回しても黒ずくめであるからして、大変肩身が狭かった。下が上と違う色なので、一生座っていたかった。
 全体保護者会が終了し、ムスコのクラスに移動した。斜め前方の席に、ワークシャツにジーンズで来てしまった、気の毒なデザイナー風のおとーさんが座っているのを発見。どんなに癒されたかしれやしない。しかし、その肩は男性にしては窮屈そうで、物言わぬ背中には、「絶対うしろ、振り向きません!」という意思が殴り書きされているかのようであった。

 去年の失敗で学習した私は、今年は黒を身にまとった。が、蒸し暑い。亜熱帯化しているこの日本の夏に、上着なんて耐えられない。それでも一応、丁寧に折り畳んだ上着を持参の上、参戦することにした。
 しかし、今年は服装問題だけでは済まなかったのである。
 出がけになって、履いて行くべき黒のパンプスが行方不明であることに気づいた。当然入っていると思っていたシューズボックスのふたを開けたら、もぬけの殻だったのである。昨年11月に、義母の葬儀の際に履いたあと、一体いずこへ・・・。私は足のサイズが小さい。間違ってもムスメが履いていけるわけはないのである。
 どこを探しても見つからないので、仕方なく、別の古いパンプスを履いていくことにした。確かこれって、足が痛くなるタイプの靴だったような・・・だからこそパンプスを新調したのでは・・・? 悪い予感は的中。バス停までたった3分歩いただけで、すでにアキレス腱のすぐ下(ここも踵に入るのか?)が痛くなった。
 駅に到着してみると結構時間に余裕があった。近くのマツキヨに寄って、靴ずれ対策用バンドエイドを購入。イトーヨーカドーのトイレで両方の踵を保護すべく、応急処置を施した。
 靴ずれ用バンドエイドは高価なだけあって、クッション性に優れていた。これならどうにか耐えられるかもしれない。一縷の望みを抱くことができた。
 
 しかし、渋谷駅で撃沈。いい加減ウンザリする距離を歩かねばならない乗換途中で、右の踵に痛みが走った。バンドエイドがズレてしまったのだ。苦痛と闘いながら、「痛くない、痛くない」と自己暗示をかけて歩き続けた。
 そのうち、踵をかばうように歩いたせいで、さらに右足の小指まで痛くなってきた。もともと靴が窮屈なわけではない。むしろ若干ゆるいために足がフィットせず、踵に靴ずれが生じてしまうのだ。それに反しての小指の痛み。明らかに、締め付けられることによるものである。踵の痛みから逃れようとして、無意識に足が前方に寄り、その結果、魔のデルタ地帯(とがったつま先)に押しつけられ、小指が悲鳴を上げているのだ。
 地獄であった。小指の血流は堰止められ、うっ血し、じんじん痺れてきた。しかも、小指を犠牲にすることによって踵の痛みが軽減することはなく、ズル剥けはing形なのである。
 
 ガッコに着いた。校舎までの並木道が永遠に思われた。教室までの廊下も永遠に思われた。
 痛みのせいでにじみ出た脂汗は引くことを知らない。従って、誰もがきちんとスーツの上を着ている中、私だけが白いブラウスで光り輝いていた。もうどうでもよい。
 担任登場。白Yシャツに、ライトグレーのスラックス。上着など着用していない。私は指差して叫びたかった。
 「ざまあ御覧ください、先生も正しく肌で季節を感じておいでです! 夏仕様です!」
 私の心の叫びは教室に響くことはなく、担任が型どおりの挨拶を始めた。ところが、話の途中でいきなり話題を変えたのである。
 「教室、暑くて申し訳ありません。室温を26度までしか設定できないようになっているもので・・・」
 クラスの特徴などを話していたはずなのに、なぜ急に?
 まもなく、せわしなく動くものが私の視界に入ってきた。
 それは、私の左手に持たれて私の左手首によって高速前後運動を続けている扇子であった。
 一瞬だけ体感温度が下がった。私はそーーーーっと扇子を畳み、そーーーーーっと机の端に置いた。そして、そーーーっと黒目だけを左右に動かして、周囲の様子を窺った。ある人は机の上に上品に置いた両手を聖母マリアのように組み、ある人はしゃんと背筋を伸ばして担任の言葉に聞き入り、またある人は自前の手帳に自前のペンで何やらメモをとっていた。
 私の体感温度は確実に20度上昇し、完全に発熱状態に陥った。
 しかし、やがてスーーーーッと平熱に戻る事態が起きた。担任が、定期テストの成績表を配ったのである。
 驚いたことに、いや、予想通りというべきか、わがムスコの成績は、数Bただ一教科をのぞき、ほかはすべて、見事なまでに、きれいに平均点を下まわっていたのである。
 ヤリイカ、アオリイカ、スルメイカ・・・イカにもいろいろあるけれど、
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 うちのムスコは、平均イカ。

 帰りは妄想で痛みを紛らわせるしかなかった。
 もう、右の踵は血まみれに違いない。昇りエスカレーターで私の後ろに立つ人は、さぞかしドン引きしていることだろう。
 もう、右足の小指は、壊死しているに違いない。家に帰ってストッキングを脱いだら、つま先に、もげ落ちた小指だけが残ることだろう。
 歯を食いしばって歩く凄い形相を人に見られたくなくて、復路はこの暑いのに、マスク着用で帰った。

 うちに着くなり、恐る恐るパンプスを脱いでみたら、小指が赤くなって、アキレス腱下の踵は薄皮が剥けただけだった。血も滲んでいやしない。どれだけ痛みに弱い体質なのか。
 それにしても若いころ、よくもこんな非人間工学的履物を履いて歩けたものである。
 あの頃私は痩せていた。体の重さを分散させるには、足の小さい私は不利である。いっそ一年中雪駄を履いてはどうか。などと屁理屈こねてないで、真面目に減量してみるか。
 「奥さん、もうやめて!」
 「頼むから、もうそれ以上痩せないで!」
 子どもたちが手に手に握り飯を持って私にすがりつく姿を妄想し、ふとズル剥けた踵に目をやる夏の午後。
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# by vitaminminc | 2014-06-21 17:26 | 人間 | Comments(0)

御目に掛ける

 漢字を2つ並べると、それなりの表情の顔に見えてくるからオモチロイ。


 (白.白;) 白い目で見る

 (無.無;) ~に目がない

 (長.長;) 長い目で見る

 (皿.皿;) 目を皿のようにする

 (日.日;) 日の目を見る

 (裏.裏;) 裏目に出る

 (毒.毒;) 目の毒

 (黒.黒;) 目の黒い内

 (脇.脇;) 脇目も振らず

 (猫.猫;) 猫の目のように

 (回-回;) 目が回る

「無」とか「黒」は、下まつ毛が少女マンガっぽくて好き。

「長」は表情豊か。重そうな三重瞼の下で、薄目開けてチラ見している。

「毒」も、かなり困りきっていて、憎めない。




 (鱗.鱗;) 目から鱗が落ちる     けっ・・・ケバい!

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# by vitaminminc | 2014-06-13 22:30 | 趣味 | Comments(0)

100-70=30

 ムスコが、高校で採血有りの健康診断を受けたのが、今年4月の第一週。
 「なんかオレ、血液引っ掛かったらしい」とムスコから報告を受けたのが、5月の第一週。
 「明日放課後、校医のところに行くよう、今日担任から言われた」
 不安に駆られた我々両親は、「ラーメンばっかり喰ってるからだ」とムスコのラーメン大好き小池さん的嗜好をなじった。ラーメンと白血球の数とどう関係があるんだと反論するムスコに、「食生活を甘く見るんじゃない」と我々両親は口々に説教した。
 「塩分・脂肪分の摂りすぎは栄養バランスを崩し、免疫力にだって影響するのだ」
 「おまえの将来は確実にメタボだ」
 翌日、校医から渡された手紙を読んだ我々両親は、益々不安に駆られた。「要再検査項目」として、「白血球数」の値が基準値をオーバーしている旨、記されていたからである。
 毎年会社で受ける健康診断の説明書を取り出して、オットが言った。
 「これによると、成人男性の場合になるけど、9500くらいまでだな、基準値の上限は」
 ムスコの数値は13800だった。
 「あ、でもまだ未成年だし、白血球の数って風邪をひいただけでも結構高くなるんだよね」とさり気なくなだめる私とは対照的に、オットはムスコに追い打ちをかけた。
 「ラーメンばっか喰ってるからだ!」

 私は一刻も早く再検査を受けさせたかったが、ムスコが頑なに拒んだ。
 「大体そんなに深刻な事態だったら、オレなんか介さずいきなり親に連絡がいくはずだ」と、やれ部活(大会含む)だ、親戚の結婚式はいたしかたないとして、やれ定期テストだ、と先延ばしにすることおよそ三週間。
 それまでは自覚症状がなかったものの、5月の半ばからは変な咳まで出る始末。
 結局ムスコを医者に連行することができたのは、5月も下旬にさしかかろうという頃だった。
 「咳が出ているうちは正しい白血球数は出ないよ。微熱もあるし。風邪引いてると白血球数、上がるから」
 「でも先生、このような咳が、もう二週間近く続いているんです。風邪なんでしょうか」
  そりゃ百日咳かマイコプラズマか、咳の原因を特定する必要がある、血液検査せにゃならん、ということで、この日は検査結果が出るまで7日分の抗生剤や鎮咳薬が処方された。
 微熱まであったなんて・・・。ムスコには、ラーメン禁止が言い渡され、代わりに免疫力を上げるために、やたら乳酸菌がふるまわれることとなった。
 一週間後、医師に検査結果を見せてもらった。幸い白血球数は基準値に戻り、熱も平熱に下がっていた。ただ、ゲホゲホ、コホコホというスタッカートな咳だけが続いていた。
 「この赤字で示された2項目、PT(百日咳毒素)とFHA(線維状赤血球凝集素)の数値だけが高いのわかる? まず百日咳で間違いないね」医師が太鼓判を押す。
 「おそらく三種混合は受けてるはずだから──受けてるよね?」
 「受けてます」と私。そうかそうか、三種混合って、ジフテリアと破傷風はすぐ思い出せるんだけど、あと一つがいつも不確かで──それが百日咳、おまえだったのか。
 「その免疫力が切れたか、型が違ったかして、もらっちゃったんだろうね」と医師。
 「え? まだムスコ16ですけど、もう免疫、切れちゃうものなんですか?」
 「うん、人によっては。白血球の数値が高くなってたのが、4月の頭? てことは、もう2ヵ月は罹ってるか。100-60=40(笑)あと1、2ヵ月は続くと思うよ。長いんだ、百日咳というだけあって」
 「はぁ」苦笑するムスコ。
 「先生、やはり周囲の方にうつしたりしますよね」念のためムスコにマスクをさせてはいたが、それでも心配になって私は訊いた。
 「う~ん。誰か周りで咳が出るようになった子、いる?」
 「いや、誰も」とムスコが答える。実際、咳を撒き散らされたにも関わらず、我が家は皆無事。
 「乳幼児がいたら気をつけてあげないといけないけど、基本的にキミたちくらいの子はみんな三種混合受けてるからね、罹りにくいといっちゃ罹りにくいんだよ、大人よりは」

 家に帰って母子手帳を確認。やはり第Ⅰ期3回、追加で1回、計4回接種している。
 ネットでも調べた。ワクチン接種による免疫の持続期間は、4年~12年。だいぶ開きがある。ムスコが4回目を受けたのは、平成12年の10月。今から14年程前? ゲゲッ! とっくに有効期間、切れてるやんけ~!
 国立感染症研究所の調べによると、2001年には百日咳で成人の占める割合が、わずか2.8%だったのに、10年後の2010年には56%に達し、以降増加の一途を辿っているという。これは世界的にも同様で、ワクチン接種により患者数が減ったことで、自然罹患による追加免疫を得られない世代が増えたことが、成人の感染者が増加している理由らしい。
 今回感染したムスコは、「自然罹患による追加免疫を得られた」ことになるのだろうか。
 それにしても、体力ある。私なんかこれだけ咳が続いたら、もう消耗し切って寝込んでいるに違いない。
 ムスコは違った。体力測定で1500m走るわ、部活での筋トレ、走り込みは当たり前にこなすわ、恐るべき10代パワーである。
 身近に乳幼児がいなかったのが何よりだった。現在百日咳の特効薬がないことから、相変わらず咳を鎮める薬だけ飲み続けてはいるが、ムスコの咳もだいぶ減ってきた。
 100-70=30、あと三十日咳。
ムスコはまた週一の割で「ラーメンを食わせろ」とうるさい。咳よりずっとうるさい。

 


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# by vitaminminc | 2014-06-12 19:49 | 健康 | Comments(2)

老いるWAYS 難聴耳の憂鬱(←無理やりッ)

 前回の記事で反省したのも束の間。煩雑な時間に追われ、またもや母に電話を入れないまま三日ほど経った夕方。母の方から電話がきた。
「あの、どうしても耳が聴こえなくて。米寿のお祝い、やっぱり補聴器がいいんだけど」
 うへぇ~~~と思った。なぜなら、補聴器に関しては、すでに何回も試した結果、『どうもうまくいかない』『いまはまだ聴こえる範囲内』『今作ったとしても症状が進むたび買い替えることになる』との結論に達し、しばらく様子を見るということに落ち着いたはずであった。
 補聴器関係だけでも、4回は試している。
 1回目は、テレビの音がよく聴こえる、という集音器。私が母にプレゼントしたものだが、あまり役に立たないようなことを言われ、今ではどこにいったかも不明。
 2回目は、母が自分で新聞広告を見て、「これが欲しい」と指定した補聴器。聞いたことのないメーカーだったが、「使用後でも返品可」だったので、私が注文。そしてそれが届くと同時に母の住む葛飾まで往復5時間近くかけて出向き、装着具合や聴こえ具合を確認した。
 この時は、補聴器の付属品である耳栓(型とサイズの異なる6種類)すべてが、母の耳の形状にまったく合わないという、聴こえる聴こえない以前のあり得ない問題があって、早々に返品(送料は私が負担)した。
 3回目は、カルチャースクールで一緒になる人が使用している補聴器。母がその方に尋ねたところ、誕生日に息子さんからプレゼントされたものらしい。
 母は、そのメーカー名をしっかりメモしていた。有名な音響機器メーカーP社であった。
「会社がわかっても、そこで取り扱っている補聴器はピンからキリまであると思うよ」
「その息子さん、読売新聞の広告を見て買ってくれたそうよ」
 ならば話が早い。私も母のために、何かいいものはないものかと、日頃から「補聴器」という文字には敏感に反応するようになっていた。先日切り抜いた新聞広告を確認したところ、それこそがP社の補聴器にほかならなかった。
 私は兄・イチローにメールした。今度はアナタの出番です。広告のあらましを入力し、母に代って注文してあげなはれと伝えた。
 後日兄から電話あり。
「P社に問い合わせたら、ごく初期の、軽い症状の人向きだって言うんだよ。お母さん、前に耳鼻科で聴力を測ってもらったら、中の上って言ってたろ。全然ダメ。注文しなかった」
 そののち、イチローは母を連れて、補聴器専門店にも行ってくれた。ずいぶん時間をかけ、いくつかの補聴器を店で試したらしいが、いずれも芳しくなかったという。
「高けりゃいいってもんでもないらしいんだよね」とイチローが私に言い訳(?)したのを裏付けるかのように母は感想を述べた。
「片方10万円の、その店では一番安いものしか試させてもらっていないけどね」
 いやいや、おかーさん。「20万もしたのに」とか、「50万円もかけたのに」と嘆く人は実際多いですよ。イチローが言うのはまんざら間違いじゃないんですよ、おかーさん。

 そんな母が、最後の頼みの綱としている補聴器の情報は、下記のごとくである。

 1.地元の文房具店に来る客の、知り合いの知り合いが使用 
 2. 使用者は、区の広報に載っていた広告を見て、その補聴器を購入したらしい
 3.高額なので、片耳分しか購入していないそうだ
 4.片耳だけとはいえ聞き取れるようになったからか、うつ病みたいだったのが見違える
ほど 明るく積極的になったらしい
 5.店に行ったのではなく、わざわざ家に来て測ってもらったらしいから、その人の足が
   不自由なのか、または店のサービスがすこぶるいいのか?

 母が最初に私にこの話をした時に、私は母に言った。その快適な補聴器を実際に使っている人がわからなくても、「言い出しっぺ」=つまり、知り合いの知り合いだという、文房具店に来た客が特定できさえすれば、必ず使用者に辿り着ける。もう一度よく確認してみたら?と。
 よほど耳の聴こえに不自由しているのだろう、母はわざわざ買う物もないのに、もう一度文房具店に行って確認したという。
「ごくたま~にしか買いに来ない客だから、どこの誰かもわからないんですって」
 解せぬ。ごくたま~にというのは、誰かが死んだ時に香典袋を買いに来る程度なのか?『耳が遠くなった』ことを話題にするくらいである。そこそこお齢をめした方のはずなのに、あの狭い下町で、古くから営んでいる文房具やのおかみさんが、その客のことをどこの誰だかわからないとは。
 母よ。貴女は単なるリップ・サービスに食いついてしまい、文房具やのおかみさんを焦らせてやいませんか。
 まあ、そんなことはどうでもいい。肝心の、母からの電話の話。
「インターネットとかいうので、その補聴器を取り扱っているお店、簡単に調べてもらえるんじゃないかと思って」
「私が? 簡単にって簡単に言ってくれるけど、店の名まえもわからないんでしょう?」そんなに暇じゃねーんだよと思いつつ、ああ、そうかと独りで合点した。
「区の広報に広告を載せていたなら、葛飾区内に限定できるよね。それでも、補聴器を取り扱う店って結構多岐にわたるんだよ。私の職場の近くなんて、宝石店でも補聴器取り扱ってるもの」
「あのね、みん子ちゃん、確か錦糸町からお店の人が来てくれたらしいのよ」
 はぁ? 補聴器使用者にとって赤の他人である、ごくたま~に来る客が、そんな具体的な町名を?
「ちょっと待ってよ。錦糸町なら、葛飾じゃないじゃない。錦糸町は確か墨田区だよ。情報が雑すぎるよぉ」
「でも、もしかしたら姉妹店なのかもしれないし」
 だから何という店の!? いいえ、おかーさん。一番大切なことをお忘れです、おかーさん。
 補聴器は、Aさんの耳に合ったからといって、Bさんの耳にも合うとは限らないのです。
 私が家事を投げうってリサーチしたところでですよ? そこが正しい店なのかを判断する術もなければ、そこで注文する補聴器がおかーさんの耳にも合って、おかーさんも見違えるように明るくなっちゃえるという保証は、ないに等しいのではないでしょーかね、おかーさん。
 
 あぁ、まただ。母と電話で話した後は、どうしてこう後味が悪いのか。私がドバイの億万長者で、とっかえひっかえ金に糸目をつけず、最高級の補聴器を、クリアに聴こえるその瞬間まで、百万回でも試させてあげられたらいいのに。
 何もしてあげられないもどかしさ。必ず自己嫌悪に陥る。母に電話を入れ忘れるのは、もはや自己防衛本能としか思えない。
 電話で私と話す分には、さほど聞き取れないこともないそうで、不自由はないという。FAXを送信されるよりも、声の便りの方が嬉しいという。
 実際、「え?」と言われた時以外、七割は普通のボリュームで話していられる。
 一方、大好きな話し方教室で、発表している人の話が聞き取れないのが余程辛いと見える。発表した人に、適切な感想を言ってさしあげられないからだろう。
 話は「音」としてのみ聞こえて、何を言っているのかわからないそうだ。だから、耳鼻科での聴力測定も、「重度」とは診断されず、軽度と中程度の間くらい、になるという。
「ピーーーーという音は聞こえるから、ボタン押すでしょ、そうすると先生に『それほど悪くないですね』って言われちゃうの。いつもは人が何を言っているのかもわからないのに」
 聞こえはするが、聞き分けられない。これが難聴。

 後ろめたさのあまり、その晩リアルすぎる夢を見た。私は新入社員で(ああ、ここはリアルでないですけど)、ある企業から内定をもらい、早々と新人研修に参加していた。
 30人ほどが長方形になってテーブルを囲み、グループ・ディスカッション形式で研修している。なぜなのかわからない。発表者の声は聞こえているのに、何を言っているのか話しているのか、さっぱり聞き取れない。両隣も向かいの新人も、みんながみんな熱心にメモをとり、すぐさま自分の意見をまとめては挙手を争っている。
 私は自分の耳を手のひらで何度も押したり、耳たぶを引っ張ってみたり。聴力の回復を期待してみるが、一向に聴こえない。一人、また一人と意見を述べていく。誰一人として私が問題を抱えていることを気に留めやしない。誰が何を話そうが、街中のざわめきにしか聞こえない。まったく聞き取れないのだ。
 自分独りだけが、暗闇に取り残されていくような気がした。内定を取り消されるどころか、自分自身の存在を取り消されるような、底なしの恐怖。ついに心臓が悲鳴を上げた・・・と思ったら、目覚ましの音だった。
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「高齢者疑似体験」を導入している自治体や企業のニュースを見たことがある。思うように膝を曲げられない拘束具や、視界が狭まったりぼやけて見えるゴーグルなどを装着し、身をもって高齢者の
不自由さを理解しようとする試みである。

 聴力に関しては、私は夢の中でしっかり疑似体験した。これは何というか、とにかく本当に、
    しんどい。

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# by vitaminminc | 2014-06-12 11:37 | 人間 | Comments(0)

照れポート

 一昨日の晩のことだ。
 忙しさにかまけて、つい母に電話を入れるのを忘れてしまった。電話をしよう、電話をしようと思いながら、一日一日と先延ばしになっていただけに、寝床に入ってからさすがに自己嫌悪に陥った。
 別に用があったわけではない。なんだかんだと一週間以上声を聞いていなかったので、朝の時点では、仕事から戻ったら母に電話するつもりでいたのだ。
 どうして忘れられるんだろう?
 職場にシフト表を提出するたび、母に電話を入れ、翌月中旬以降の予定を確認してきた。コーラスや話し方教室、さらに整形外科や眼科にも通っている母のスケジュールに合わせ、仕事の休みをいれるためだ。
 そうしたところで、必ず母に会いに行けるわけではない。母と同じ日に休みがとれたにも関わらず、家でたまりにたまった家事と格闘したり、たまりにたまった疲れを消化するため爆睡してしまうことの方がむしろ多い。
 休みを確認しておきながら、実際には会いに行けないまま2ヵ月が過ぎたせいだろうか。性懲りもなく母の休みの日を確認した次の日、今度は母の方から電話が入った。
「あのね、いつも私の休みに合わせてくれているけれど・・・」と母は申し訳なさそうにいった。
「こちらは趣味とボケ防止でやっていることなんだし、これからはみん子ちゃんの休みに合わせてもらえばいいから。お仕事のほうがずっと大事でしょ?」
 それまでは、私が仕事で休みをとりにくい曜日に限って母のオフであることが多かった。合唱コンクールや話し方の発表を控えている時などは、何週間も前であっても母は休みたくないと主張した。私ももちろん母の趣味を大切に考えていたので、自然いつも自分のほうで調整するかたちになっていた。
「どうしたの? 急に。こっちは予め休みを決められるんだから、お母さんの習い事を優先してくれて構わないのに」
 2ヵ月も高齢の母を放っておいた後ろめたさに小突かれるように、私は母に訊いた。
「なんだかね、私も会える時に会ってもらわないといけない齢になってきたし・・・」
 そう。母は間違いなく高齢者。今年の4月で満88歳、米寿を迎えた。見た目が若いから、つい忘れたくなるが、去年あたりから耳もだいぶ遠くなってきた。体調が比較的よいときと、そうでないときとの差が、かなり精神面に影響を及ぼすことにも気づいている。
 頻繁に会えないのなら、せめて毎日電話の1本くらいかけてあげればよいものを、それすらも忘れてしまう自分に嫌気がさす。
 こちらもこちらで自分の子どもの世話(ムスコが4月の健康診断に引っ掛かり、再検査のため二度医者に連行)に追われていたというのが、今回の親不孝の言い訳の一つ。

 昨日は、電話を入れるタイミングを逃す前に、しっかり電話を入れた。
 母はなぜかいつもより元気な声だった。
「あら~、ゆうべ来てくれたと思ったら、今日は電話までくれて」
「え?」
 私は母の元へ行っていない。一瞬で蒼褪める。
「ゆうべね、お布団に入ってから、しばらく寝つけないでいたら、みん子ちゃんが私のベッドの足もとにちょこんと座ってたのよ」
 母はおかしそうに、そして嬉しそうに話す。
「夢で見たの?」
「それが、夢じゃないのよ。『あら、わざわざ来てくれたのね』って私、話しかけたんだから」
「確かに私だったの?」
「うん。みん子ちゃん」
「私、生きてますけど、枕元に立ちました?」
「ベッドの足もとに、座ってた(笑)」
「でも私、まだ生きてますけど?」
 母はなおも嬉しそうに続ける。
「それで私、このままじゃ暗いわね、と思って部屋の電気をつけたのよ」
「うんうん」──なんだかドキドキする。
「そうしたら」
「そうしたら?」
「誰もいないの、不思議なことに」
「何かを見間違えたんじゃないの?」
「確かにみん子ちゃんだったわ」
「会話したの?」
「う~~~ん、眠れないなぁと思っていたらすぐそこに気配がして、振り返ったらみん子ちゃんが座っていたのよ。だから『あらぁ~、わざわざ来てくれたのね』って」
 少し泣きそうになった。
「お母さんが見たもの、なんかお化けみたいじゃなかった? ゾッとするとかなかった?」
「全然。きれいなお着物きてたわよ」
「えぇ!! きもの!?」
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「いえ、洋服。赤くて、いろ~んな柄の入った、きれいな服──」
「よかった~、みすぼらしいなりしてなくて」(って、そういう問題かい)

 母には、ちょうど昨晩母のことを考えていたから、私の意識がそちらに飛んだのだろうと話しておいた。元気にしてるかなぁとか、足は痛くないかなぁとか、そういう気持ちの現れだろうと。
 瞬間移動(テレポート)とか幽体離脱とか、レビー小体認知症(症状の一つに幻覚が見られる認知症)とかが頭をかすめた。が、母は今のところ、自分が見たものが、限りなく現実に近いであったことを自認している。さらに、その不思議な体験を楽しんでもいる。いきなり医者に連れていくのは時期尚早だろう。
 ここはこまめに電話を入れ、母の言動を注意深く見守っていかねば。今月下旬には実父の十三回忌も控えている。おとーさん、どうか母の正気をお守りくださいぃぃぃ!

「また近いうちに、きれいなベベ着てお邪魔しますね、お母さんの枕元に」
 私が冗談をいうと、母も明るく応じた。
「いつでもいらしてね041.gif
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# by vitaminminc | 2014-06-04 11:28 | 健康 | Comments(4)

男子ing!& 立ち漕ギャル

 男性のふとしたアクションが、女性にとって萌えポイントとなることがある。
 
 その筆頭に挙げられるのが、有名な「壁ドン」である。

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 壁を背にした彼女と至近距離で向き合い、彼女を挟み込むように腕を伸ばし、壁に「ドン」と手をつくアレのことである。自分一人で彼女を囲い込み、完全に支配し、逃がさない。誰にも邪魔させないよ、てなポーズである。
 これらの光景は、高校の休み時間の廊下あるいは電車のドア付近などでよく見られる、青春の1シーンだが、ケッ、そんな大げさにガードしなくたって、誰もオメーの彼女なんかさらいやしねーよ、と言いたくなるが、これは若い女子にとってはたまらないらしい。ど~りで少女漫画では定番のお約束ポーズなわけである。
 ところで、若くないおばさんである私にとっての萌えポイントは、そんな静止画像のようなものとは違い、実に健康的である。なぜなら、自転車の立ち漕ぎだから。
 しかし、萌えポイントとなる条件は、意外に細かく、案外厳しい。すなわち、

 条件1. 中高生男子に限る
 条件2. 夏の学生服(白Yシャツ+黒ズボン)着用
 条件3. 10代らしく気持ち良い痩せ方をしている(病的不可)
 条件4. オーソドックスなハンドル及びサイクルは27インチ以上
 条件5. 白Yシャツの袖を肘あたりまで腕まくりしている
 条件6. 黒髪でなくてはならない

 チャリの立ち漕ぎは「ダンシング」と呼ばれ、れっきとした有酸素運動として着目されているようである。
 そういえば、2、3年くらい前から、ずーっと立ち漕ぎしっぱなしのダンシング族を街中で見かけるようになった。見るからに減量を目的とした人びとである。彼らは除外される。なぜなら、そのような人びとの中に10代はまずいないし、カッコイイとは思えないからである。
 某テレビ番組の名物キャラ桐谷さんみたいに、《ずーっと》ではダメ、見る者を疲れさせてはいけないのである。 
 では、どのような立ち漕ぎが理想なのか。それは、加速度的立ち漕ぎである。
 交差点の信号待ちなどで停まっている状態から漕ぎ出す際に、ごく自然に上体が持ち上がる姿勢、あのアクションのことである。せいぜい左右合わせて6~8漕ぎか。速度を得るための自然な動作なので、時間にしてわずか10秒。
 観察してみるといい。中高生男子というのは、実によくコレをやる。力むわけではない。自意識過剰な彼らにとって、力むなんて絶対有り得ない。ただ、他人より遅れを取らないためだけに、人波にうまく乗るためだけに、自然に出る行動なのだ。
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 立ち漕ぎの美しいシルエットの条件として、両腕は限りなく真っ直ぐに近く、ごく緩い「く」の字であること。自転車のサイズが本来の身長に合っていないと、腕がしなやかに伸びない。よってあまり美しくないので、適正サイズの自転車に乗っていることが必須条件となる。
 実は、中高生男子の立ち漕ぎ姿に見惚れたきっかけは、ほかでもない、わが馬鹿ムスコのソレを見たからであった。
 あれは今から2年前。ムスコ中3の夏であった。
 その日、私とムスコは、どこかの私立高校の説明会に出席すべく、自転車で駅に向かっていた。
 かあちゃんと駅までツーリングしている情けない姿を、この世の誰にも見られたくない、自意識過剰な年頃だったムスコ。赤信号が青に変わるたびに、やっと追いついた私をいち早く引き離すべく、27インチチャリの上に伸び上がっては立ち漕ぎした。
 それでもあまり腹が立たなかったのは、その姿が優雅で美しかったからである。
 ここまで言い切ると、親馬鹿を通り越して間違いなく馬鹿親である。読んでくださっている希少な方々もどん引きしているに違いない。
 ただ、美しいと感じたのは、あくまでもそれが後ろ姿だったからである。正面からだったら、中3というより社会人3年目にしか見えなかったであろうムスコは端から対象外である。
 後ろ姿のムスコは、でかいくせして少年らしく痩せていた。その細い肩と長い腕に、ほんのわずか守ってあげたい、などとわが無垢なる母性が大いに勘違いしたせいであり、風をふくんで少し膨らんだYシャツの白さが、夏の紫外線よりも強くわが老眼を射抜き、眩惑させたのである。
 だから条件7. には、「後ろ姿に限る」という文言を追加しておく必要がある。
ネットの立ち漕ぎ画像の中に、立ち漕ギャルの姿を発見した。女子の美しい立ち漕ぎ姿というのは、分母が小さいため、そうそうお目にかかれるものではない。
 いや、待てよ。別に男子中高生に限らずとも私の場合、女子中高生であっても全然OK、萌えポイントであることに変わりはないようだ。
 これは公平というより、私がオッサン化しているだけなのか。
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# by vitaminminc | 2014-06-03 18:52 | 趣味 | Comments(0)

涙腺上のエリア

 50を超した私は、よく泣く。
 人前での話ではない。私を泣かすのは、主に映画館のスクリーンだったり、本のページだったり、テレビの画面だったり。それに、現実の何気ない風景だったり。
 涙腺が脆くなったというよりも、そのエリアが拡大したような気がする。
 泣き幅(?)が、広がった。

 再放送中のドラマ「離婚弁護士」で、津川雅彦の演技(30を過ぎた娘を想う親心)に泣き、
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 同僚から借りた文庫本「永遠の0」(百田尚樹)の元ヤクザの特攻隊員のエピソードに泣き、
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 自分で購入した文庫本「ふがいない僕は空を見た」(窪美澄)の中の一話『セイタカアワダチソウの空』を読んで泣いた。
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 それだけではない。しばらく庭に姿を見せなかった外猫のミケ母さんが、誰かのはからいで避妊手術を受けたらしい、との報告をムスメから受けた日も、何時間も経ってからしみじみ泣いた。
 ミケ母さんは、毎年欠かさず出産を繰り返していたベテラン母さんだ。野良猫の場合、その出産回数と寿命とが反比例するということがわかっていながら、捕獲に失敗してばかりで、私はどうすることもできずにいた。ミケ母さんは特別賢い猫なのだ。
 だからムスメが、ミケ母さんの耳に避妊手術を施したことを示す印(耳カット)を発見したと知って、私はずいぶん嬉しかった。
 自分ではまだミケ母さんの耳を確認していない。けれど、先日少し離れた場所で、ミケ母さんがじっとこちらを見る視線の中に、これまで感じたことがないくらい、警戒心というか人間への不信感を含んでいるように感じた。あれは単なる思い過ごしではなかったわけだ。おそらく、ちょっとした格闘の末、捕獲されて避妊手術を受けたのだろう。
 どこのどなたか存じませんが、ありがとうございました。志を同じくする仲間が、少なくとも自分以外に1人はいることを再確認でき、勇気がわいてまいりました。自分は独りで闘っていたわけではないのだ。そうと知って、たいへん心強く感じております。
 術後の外猫ちゃんにどんなに嫌われたって、我々はこれからもチャンスがあれば、彼らを捕獲し、避妊手術を受けさせ、マンマを与えてまいりましょう。
 ご存じでしょうか。たぶん我々二人の手で、二度も避妊手術を受けさせてしまった(私が耳カットを拒否したせいで)にも関わらず、ずっとなついてくれていたチビハチのこと。
 あの子は、春先でしたか、交通事故に遭って、天国にいってしまいました。寂しいです。今でも仕事から戻った私のチャリンコの音を聞きつけて、どこからともなくあの子が庭に現れるような気がして、涙腺を刺激します。
 あなたのおかげで、チビハチを産んだミケ母さんは、娘の分まで長生きしてくれることでしょう。
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# by vitaminminc | 2014-05-29 21:18 | 人間 | Comments(0)

きのうかきょうか

 なんてこった。
 ブログを始めて幾年月。
 これまでひとつも記事をアップしない月などなかったのに、気づけば穴を開けていた。
 いつもの年なら・・・・・060.gif4ガッツだぜ パワフル魂
                   4ガッツだぜ すいもあまいも
                     4ガッツだぜ Do the ド根性
                       私は汗かいて ベソかいて Go! ・・・・・のはずだったのに。4月が落ちてもた。パワレス虚しい。
  
 言い訳は山ほどある。外猫ちゃんの1匹、チビハチを交通事故で失ったのはショックだった。だが、それらを一くくりにして、非常にわかりやすい言葉に置き換えると──
 老化・・・・・これに尽きる。
 げにおそろしきは老化なり。この私から、体力ばかりか気力まで吸い取るとはのぉ。
 さらに、老化に比例してしかるべき知識がまったく備わっていないことを、この春私は嫌というほど実感したのである。

 自治会の班長になった。
 本来であれば、年度変わりの4月に就任するはずが、2ヵ月早く務める羽目になった。前任者(近所の奥さん)が病に伏したからだ。
 ところが就任早々、その前任者のご主人(もともと心臓を患い入院していた)が急逝。遺族の話によれば、今年は例年になく2月に亡くなる人が多発しており、連日満杯。公営葬祭場も奇跡的に申し込めたんだとか。
 班長の私は通夜・告別式の日程を確認し、急ぎ班員に連絡した。回覧だと時間ばかりかかるので、一軒一軒電話を入れて伝えた。
 不幸はつづくものである。
 その翌月、3月。今度は隣家のご主人が、入院先の病院で亡くなった。今度も班長の私は通夜・告別式の日程を確認し、班員に知らせて回った。
 誤解しないでもらいたい。私は死神でもなければ、他人の賞賛を浴びたいがために殺人に走る自己愛性人格障害者でもない。
 もともと古い住宅街の一角で、班員の平均年齢も半端なく高い。何しろこの私が「若い人」と呼ばれるほどである。だから、いつかこんな日が──香典を包む日が来ることは予測していた。
 でも、なんで今年なのか? なんでこの春なのか? あと一年、いや、せめて夏まで命をつないでほしかった。これが本音。そう、この春我が家は結婚以来、いまだかつて経験したことが無いくらい冠婚葬祭ビンボーだからである。

 本題に戻そう。
 立て続けに不幸があったればこそ、識ることができた「常識」がある。
 二軒目のご遺族が、葬儀から三日目の早朝(7時半ころ)、我家の玄関チャイムを鳴らした。そして応対に出た私に、「ああ、やっと会えた。いつもお仕事でいないから」と、大輪の白菊が顔を寄せ合う、それはそれはゴージャスな花束を持ってきたのである。
 「ああ、それはどうも、ご丁寧に・・・」
 私は困惑が表に出ないよう、必死に顔面の筋肉を操り、5キロはあろうかという立派な花束を受け取った。

 取り敢えず、水を入れたバケツに花束を浸した。家にはこんな大きな花束を生ける花瓶などない。いや、それ以上に、葬儀にお供えしていた花をもらったことなど我が人生史上初のことだったので、よからぬ考えに囚われていた。
 そう、結婚式で花嫁がブーケを投げる、あれである。
 「次は貴女の番よ!」
 そんな西洋かぶれした慣習が刷り込まれた歪んだニッポン人たる私にとって、白菊は敬遠すべきものに等しく、正直有難迷惑であった。完全に持て余していた。
 葬儀参列者には、お清めの塩が配布されるくらいである。果たして、この花は大丈夫なのだろうか?
 ムスメに話したら、ちょっとだけ苦笑いして、私の望んでいた通りの答えを返してくれた。
 「花は神聖なものだから、花に何かが憑いていたとしても、きっとそれは良い精霊だよ」

 それからさらに二日が経過した、仕事休みの朝。私はまだ生き生きとしている大きな花束を車に積んで、久し振りにポポやチャオが冥る墓地に向かった。
 家に相応の花瓶がないので、墓参がてらペット霊園の共同墓地に花を供えにいったのだ。
 亡くなった隣家のご主人は、うちのダンナと違い、動物好きの方だった。おそらくお空の上で微笑んでくれたに違いない。

 かように私は無知であった。供花を葬儀参列者にお裾分けするというのは、生前のその方の功績を称える象徴、ありがたく頂戴すべきものであることを学んだ。
 供花のお裾分けをいただいたら、家に飾ったり、仏壇がある家では仏壇にお供えして、「もうすぐ○○さんがそちらにいきますから、どうぞよろしく」とご先祖様に予めご報告したりするのだそうだ。
 「次は貴女の番よ!」を勝手にイメージしてしまった愚か者の私は、もしも高齢の母と同居の身であったなら、なんだかんだと屁理屈を述べて、受取りを拒否したやもしれず。せっかくのご遺族の厚意を無にし、近所づきあいに亀裂が生じるところだった。

 無知とは、すなわち無恥である。まだまだ未熟者の私である。
 今回は、久し振りに天国のわんにゃんたちに会いに行けて、それはそれで有難かった。
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 ※帰納(きのう)⇒個々の具体的な事実から共通点を探り、そこから一般的な原理や法則を導き出すこと。
 ※供花(きょうか)⇒葬儀に際し、お悔やみの気持ちを込めておくる生花のこと。「くげ」「くうげ」とも読む。
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# by vitaminminc | 2014-05-03 14:16 | 人間 | Comments(2)

I 'll show you a failure of me.

  I 'll show you a failure of me.


 醤油さしの中身が切れた。
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 床下収納から、醤油のデカボトルを取り出した。
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 マルジュウの、出汁醤油を継ぎ足すため。( ↓ 旨いョ)
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                   060.gif流し台で醤油を注ぎ (ベベンッ)、

            060.gif満杯にした醤油さし (ベベンッ)

                060.gif背後に控えし冷蔵庫 (ベベンッ)

            060.gif目がけ一歩を踏み出すや (ベベンッ)

                    060.gifいなや身の丈16寸 (ベベンッ)

            060.gif縮んだわが身の右脚はぁ (ベべンッ!)

                060.gifパックリ開いた床の怪にぃ (ベベンッ!!)

                     060.gif見事呑まれておったとさぁ (ベンッ!!!)











        

         落ちるか? ふつう。。。

         危うく右足も骨折するとこだった。

         去年の晩秋、左足を骨折したばかりなのに。

        I 'll 醤油 a failure of me.
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# by vitaminminc | 2014-03-17 08:39 | 笑い | Comments(2)

現実的現実逃避

 今年に入ってから、立て続けに万城目学を読んだ。
 といっても、「鴨川ホルモー」「ホルモー六景」「偉大なる、しゅららぼん」の3冊のみ。

 万城目学はイイ。地に足がついたままの状態で、現実逃避させてくれるから。
 「地に足がついた状態」というのは、もちろん心理的に、という意味。物理的根拠はない。

 なんていうのかな、ニッポンの伝統のようなものをベースに描いてくれるので、安心なのだ。
 手のひらの上で転がしてもらっているような心地よさというか。

 現実逃避するにしても、あまりにも現実とかけ離れたファンタジーに没頭するのはキケンである。
 よく中学生の頃、外国の小説ばかり読んでいたら、母親に「目つきがおかしい」と言われた。

 あれからウンジュウ年。
 さすがにハリー・ポッターを読みふけったところで、心身ともに魔法使いになる危険はなくなった。  

 今でも読んでいる最中だけは、アッチの世界にイッテしまう。
 オトナになったので、戻っては来れる。ただ、現実とのギャップがキツく感じられるようになった。

 なので今の私には、万城目ファンタジーが最良の処方箋。
 地に足をつけた状態で、魂を解き放つための。

 現代ニッポンの、一見フツーの日常の中で繰り広げられる、摩訶不思議を疑似体験。
 ストレス解消に持ってこいである。

 先日、レディース・デー(女性1000円)に休みがとれた私は、単独映画館へと足を運んだ。
 「偉大なる、しゅららぼん」である。

 結構長い作品なので、第一回上映は9:10から。
 8:20頃、まだ通勤ラッシュが尾を引く満員電車に乗り込んだ。

 給料日前でいつになくスッカラカンのくせに、「贅沢な休日だなぁ」とニヤケていた。
 財布の中には、貯金箱の馬の尻の蓋から取り出した500円玉が2枚とSuicaが1枚。

 中学生以下の所持金を手に、通勤電車に揺られている自分。
 どんだけ映画が観たかったのか。贅沢すぎる。

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 映画は期待を裏切ることなく楽しめた。原作が長編なので、端折ってる感は否めないが。
 映画版ならではの遊び心、小出しのギャグも私好みだったし。

 教頭先生の挨拶なんか、なぜ笑っているのが私だけなのか不思議なくらいウケた。
 思いがけず、浜村淳さんまで拝めて、得した気分。

 岡田将生、浜田岳、渡辺大の3人が高一役をやると知った時点でウケていたのに。
 「あれで15とは、とても思えない」・・・・・・・・岡田将生が渡辺大を指して言う心の声?(笑)

 映画をたった一人で観に行ったのって、24前後の、自爆的失恋をした時以来じゃないかな。
 げげ! 何十年ぶりだろう。

 500円玉2枚という現実を握りしめ、満員電車に揺られて、観たくてたまらなかった映画を観賞。
 地に足をつけたまま現実逃避。いや~~~、こんな贅沢、500円玉2枚じゃ買えません、普通。

 

 

 
 
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# by vitaminminc | 2014-03-15 10:49 | 趣味 | Comments(2)

嘔吐リバース

猫は歩きながらゲロを吐く。




正確にいうと、吐いてる最中だけは停止している。

でないと自分のお手手が飛沫を浴びちゃうから。

オゲッ! オゲッ! と吐いて、次の波がこみ上げるまでの間、えずきながら歩く。

じっとしていてくれればいいものを、いちいちあちこち歩きまわる。

そして、わざわざ後始末に困るようなところにゲロッてくれる。

狙っているとしか思えない。




本日も、あぅあー おぅわー

と志村けんのバカ殿が低い声で唸っているような鳴き方をしたので、慌ててドアを開けた。

眠眠は、心得たように居間から廊下に出て、ゲコッ! ゲコッ! と嘔吐した。

廊下なら安心である。拭き清めるのも楽だ。




先日は間に合わず居間でやられた。

テーブルの下に広げっぱなしだった子こどもたちの私物が汚物を浴びた。




廊下が静かになった。

無事眠眠のゲロンチョリ~が終わったようである。



確認しに行く。

しまった。掃除機をしまい忘れていた。

廊下には障害物のないスペースはいくらでもある。

なのに、なぜ掃除機の蛇腹ホースの上に?

掃除機は吸うものだ。吐くものじゃない。

蛇腹を伸ばすようにして、溝に付着した汚物を拭き取っていく。

ウエットティッシュを何枚も交換しつつ、らせん状に拭き取っていく。




今、眠眠は、まんまを食べている。

カリカリと、満足そうな音を立てている。
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# by vitaminminc | 2014-03-12 17:44 | 生きもの | Comments(0)

似てるてる坊主 2014早春

バイきんぐ 小峠(向かって左)と
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胎児
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春風亭昇太
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家庭教師のトライさん
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# by vitaminminc | 2014-03-02 11:37 | 趣味 | Comments(0)

高き洗面台と誇り高き猫

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猫は、誇り高きいきものなのだそうだ。ある有名動物写真家が言っていた。そのため、自分の失敗を人に見られるとたいへん傷つく。ましてや笑われようものなら、しばらく立ち直れないのだと。

 その通りだと思う。ただ、プライドが高いというよりは、自分のしくじりに弱いような気がする。
 さて、先日のこと。我が愛する眠眠が、大いに傷つく場面に遭遇した。
 眠眠は新鮮な水が大好きである。だから日に何度も何度も流水を所望する。
 その夜も「流れる水を舐めたい」「蛇口をひねるよろし」「こっちだよ、こっちこっち」「ついてきな、水のあるところはこっちだ」「ほれ、早くせんかい」と、ひっきりなしに訴えていた。そして、ツアコンみたいに先に立ち、私を洗面所まで案内した。
 いつもならここで眠眠は、まるで重力を感じさせない身軽さで、ヒョイッと洗面台の縁に飛び乗ると、「ハイ、蛇口をひねってね」と最後にもう一声鳴いてみせる。
 ところが、目にも止まらぬ速さで着地に失敗した眠眠は、目にも止まらぬ速さで私の視界から消え去った。
 「あ、あれ? 眠眠?」
 一瞬、何が起きたのか理解できなかった。気づいたら、目の前にいたはずの眠眠がいなくなっていた。
 耳の中の残響で理解した。ドサッときて、タタタタタッである。
 そうか、落下したのか(猫なのに)。それで、走って逃げたのか。
 なんだか笑えなかった。還暦を過ぎた眠眠の、体力の衰えを思い、なぜか口の端をキュッと結んでいた。
 あんなに水を欲しがっていたのだ。すぐ気を取り直して、じき戻ってくるだろう。が、呼べども待てども眠眠は帰ってこなかった。
 もしや、陶製のシンクにしたたか前足を打ち付けて、捻挫でもしたのでは?
 心配になって、二階にある私と眠眠の部屋まで様子を見に行った。案の定、姿が見えない。 
 ベッドの布団を剥ぐと、いじ毛にいじ毛た眠眠が、ただの毛の塊と化して、ふて寝していた。
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 眠眠の場合、失敗を恥じる度合いが、年をとるほど強まっていくように思う。もっと若くてムチムチころころ肥えていた頃は、戸棚の上で寝がえりをうって床に落ちるという大失態をやらかしたって、ここまでいじけなかった。5分も経つと何事もなかったかのようにケロッとしていた。
 猫も自分の老いを自覚して、愕然とするのだろうか。誰だって、自分に出来ると思っていたことが出来なくなったら、そりゃ~結構ショックだ。

 あれから二日後。再び「水だ」「水だ」「水を飲ませろ」とやかましく訴えながら、私を洗面所まで誘導した眠眠。洗面台を見上げた途端、何かがフラッシュバックしたらしく、スタコラサッサと居間に戻ってしまった。
 前足を痛がる様子もなく安心していたけれど、心身ともに相当痛い記憶として脳裏に焼き付いていることは間違いない。もしかして、陶製のシンクにぶつけたのは、前足ではなく、額だったかも~。猫が猫の額ほどのもんをぶつけるなんて~。

 猫は誇り高きいきものである。
 年をとるにつれて高さを増していく(かのような)洗面台。
 眠眠を抱っこして、そっとそこにおろしてみる。何が我慢ならないって、こうされることほど頭に来ることはねーとばかりに、眠眠はシンクを蹴って軽やかに床に降り立った。
 蛇口には目もくれないで、私だけを一瞥して。
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# by vitaminminc | 2014-02-20 17:42 | 生きもの | Comments(4)

失笑点

 私はよく笑う。まったく笑わない日がないくらいである。

 つい最近も、自分の血液型に関わる問題に触れて失笑したばかりだ。

 お気に入りのテレビ番組の一つに「月曜から夜更かし」がある。ご存じマツコ・デラックスと村上信五(関ジャニ∞)が、世の中の気になる事象を取り上げて、好き勝手に検証するという番組である。
 先月、この番組のおかげで、ブラジル人にO型が多い理由を知った。
 
 うっすらと、ラテンアメリカにはO型が多いらしいということは知っていたのだが、なぜか? までは知らずにいた。
 番組の解説によると、もともとはO型以外(A,B,AB型)の人もいたのだが、1500年頃に梅毒が大流行した際、絶滅してしまったのだそうだ。
 要するに、梅毒に対する耐性を持っていたO型のみが生き残ったわけで、純潔のブラジル人の場合は、実に100%がO型なんだそうだ。
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 我家では、ムスコと私がO型である。どうしようもない緊急時ならば、B型のオットとムスメに輸血してやることも可能。そう、万能供血者なのである。

 自分のことは棚にあげ、ブラジル人の誤解を恐れずにいうならば、部屋中を荒らし、人の分のおやつまで喰い荒す、自由人のムスコを見ていると、をもって梅を制すという言葉が自然と浮かんできて、なるほど・・・と納得した。

 しかーーーし。私のココロが動かされたポイントは、ソコではない。
 O型以外は絶滅した
という表現に思わず噴き出した涙したのである。
 「そ、そんなみなさん、そんな弱いことでどーするんですか」

 いつなんどき再び絶滅危惧種になるやもしれない、O型以外のみなさん、くれぐれもご自愛ください(笑)
 
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# by vitaminminc | 2014-02-04 19:35 | 人間 | Comments(4)

味はいつかえる?

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          +
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          +
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      いや、自腹92円
          
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        ×4
          
    味気ない

 犯人に告ぐ。

 ぉぉぉ愚か者め。
 誰だって何らかの不満くらいある。
 それでも働いてんだ。
 働くしかねんだよッ!
 私の場合は、子どものために。

 工場が操業停止に追い込まれて、おまえのパート仲間はどうなった?
 誰が時給を払ってくれるってんだよ?

 ウチの子が好きだったアクリのミニグラタン──あのお弁当の華を返せ。
 頭にきているせいか味覚までおかしくなったか。
 クリスピーサンド「メープルフレンチトースト」の、あの極上の美味さを返しやがれ。
 ぶぁっかやろおぉぉぉッ!!

 ──以上、時給で働く主婦の怒りの矛先でした。
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# by vitaminminc | 2014-01-30 09:37 | 人間 | Comments(0)

いじましの老化生活

 韓国海苔が好きです。
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 時々大袋を買います。八枚切り8枚入り1パックが、12パック入ったお徳用です。
 我が家は4人家族です。
 1人3パックの配当になります。
 八枚切りの手のひらサイズを、計24枚、シャムシャムといただくことができます。
 できるはずなのに、これまではそれが不可能でした。
 なぜなら、我が家には約1匹、欠食童子がいるからです。
 「え? みんなまだ食べてなかったの?」
 このようなしらばっくれ方をして、欲望の赴くまま喰います。
 小腹が空いたといっては、おやつ代わりに次々袋を開けるのです。

 そこでワタクシは、良心に訴えるという打開策に出ました。
 いくらなんでも、個人名が貼ってあるヒトの袋を破いたりはすまい。
 紙とマジックとハサミとセロハンテープを用意しました。
 そして、1パックごとに、家族1人1人の名前を書いた紙を、各々3ネームずつ貼り付けました。
 我ながら、なんと貧乏くさい作業をしているのだろうと危うくウンザリするところでした。
 しかし、これでバッチリです。
 これで、我が家は安泰です。
 (暇こいて)ソコにいる者だけが得をするという、非民主主義的横行を阻止することができるわけです。

 晴れがましい気分で韓国海苔の袋を破き、満足げにシャムシャムと韓国海苔を口に入れました。
 その時です。
 ムスコが、私が手にしていた開封済みパッケージを見て言いました。

 「その袋、オレの名前になってるけど──」

 約7mm×25mmに紙を切りーの。
 マジックで家族の名前を記入しーの。
 それをセロハンテープで貼り付けーの。

 で、自ら間違えヒトのを喰いーの。。。
 ムスコが敵討のような目つきで、速攻私の名前入りの袋を破き、食べ始めたのは言うに及びません。
もぉ、いやだ。
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# by vitaminminc | 2014-01-25 10:24 | 笑い | Comments(0)

ダメリット?

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 実は私、家にシャープのソーラーをつけたんです。
 11年ソーラーのコマーシャルに出演してきて、
 ようやく叶いました。









この最新のCMを見て、私とムスメは思わず首をひねった。
「このCMって・・・・」
「いったいどこにメリットが???」


だって天下の大女優小百合様だというのに、11年もかかってようやく叶った、なんて。
マジ?
シャープはCM出演料を支払うのみで、ソーラー1台取り付けるサービスを怠ったわけ?
ケチ?
大女優様だし、金銭面で折り合いがつかなかったとは思えない。
何が彼女に11年もの間、設置することを躊躇させたというのか。
実際に使ってもいないくせに、公共の電波にのせて商品を褒めていたわけですね。
いえ、実際に使ってなくたってみなさんCMに出ていますとも。
でもわざわざ「私、今まで使っていませんでした」的なことを告白しなくたって、ねぇ(笑)

小百合様とシャープ双方にとって、マイナスでしかないと感じたのは、わしら母娘だけかね?
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# by vitaminminc | 2014-01-20 20:57 | 趣味 | Comments(0)

そんなふうにしてキミは・・・

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 こっそりヒトの烏龍茶なんかを・・・








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 飲んでくれちゃったりしているわけね?
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# by vitaminminc | 2014-01-16 10:15 | 生きもの | Comments(2)


日々の暮らしに「ん?」を発見


by みん子

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