先月のニュースに唸る

 およそ、ひと月前。6/8付讀賣新聞の朝刊記事を読んだ私とムスメは、思わず顔を見合わせた。
 そして唸った。
う~~~~む・・・。

 記事によれば、2004年2月、愛媛県今治市で、80歳代の男性がオートバイで走行中、小学校から道路に転がり出たサッカーボールを避けようとしてバイクごと転倒。足の骨折などで入院した後、生活状況の変化により体調が悪化。翌年7月に肺炎で死亡したという。
 大阪府内の遺族らが、ボールを蹴った当時小学5年だった元少年の両親に、計約5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴判決が、6/7大阪高裁で下された。
 大阪高裁岩田裁判長は、「校庭からボールが飛び出すのは珍しくなく、注意しながら走行すべきだった」と男性の過失を新たに認定。賠償額を約320万円減額したものの、1審に続き元少年の過失を認め、両親に計約1180万円の賠償を命じた。
 1審2審共に、校庭でのボール遊びを認めていた学校側の責任については争われず、また判決でも触れなかった。
 争点を増やし、審理が長期化することを避けたいとする原告側の理由によるもので、被告を当時わずか11才の少年1人に絞ったためである。

 私にも80歳代の母がいる。1日でも長生きしてほしいと願っている。だからこそ、母がバイクではないにしろ、自転車に乗ることさえ反対した。高齢者の骨折は命取りになりかねない。仮に、もしバイクに乗っていたとしたら、迷わず免許の返上を迫っただろう。若い頃に比べ反射神経や判断力が落ちていれば、被害者のみならず加害者となり得ることも容易に想像できるからだ。
 
 大阪府内の遺族のほかに、死亡した男性の身近に暮らしていた遺族はいなかったのだろうか。生活状況の変化についての具体的な記述がないので迂闊なことは言えない。骨折が原因で寝たきりの生活を余儀なくされたとしたら、その介護にかかる時間や費用等、遺族に請求されても仕方がないとは思う。
 ただ、責任の所在を追及することよりも、時短を選んだ理由。それは、当事者にしかわからない。

 そう、時間なのだ。時があと数秒狂っていたら、どうだったろう? 
 高裁では、「注意しながら走行すべきだった」として、男性の過失も認めている。 
 ボールはオートバイの遥か前方を転がっていき、続いてボールを追いかけて飛び出してきた少年を、果たしてバイクは避けることができただろうか。
 数秒の時間のズレで、原告と被告が入れ替わったかもしれない事故である。
 因みに、ムスメとムスコが出た小学校は、校門から程近いところにバックネットを設置している。言うまでもなく、こうした事故を防ぐためのものだ。
 
 肉親を亡くした遺族の訴えや、その訴状を 事務的 忠実に審理した判決に対し、難癖を付けるべきでないことは重々承知している。
 だが、数年前には被告の少年と同じ小学5年で、被告と同じように校庭でボール遊びをしてたムスコの親であり、かつ80歳代の親を持つ、いわば中立的立場にいる私に言わせれば、あまりにも一方的
 そもそも11才の少年の過失を認めること自体、私には「???」なのに、その全責任を少年の親だけに負わせてよいものなのか。いくら原告が(時短を理由に)学校側の責任を問わなかったにしても、生徒が校庭でしたことによる事故だ。本来であれば、学校側の管理能力(バックネットを設置するなど)が問われるべき問題である。

 11才の少年が、走ってくるバイクをゴールに見立てて蹴ったのでない限り、被告扱いするのは随分と酷な話だと思う。
 また、男性には気の毒だが、その事故で即死したわけではなく、事故から1年5ヵ月後に死亡したのである。

 1180万円。わが家が加入しているこども保険には、幸い他人様に危害を加えてしまった場合の損害賠償が(確か)付いている(はず)。
 でも、少年の両親が、もしもそうした保険に入っていなかったとしたら・・・?
 「長期化を避けたいから」という理由で、ただ1人標的にされた小学5年の少年は、すでに8年間もの長きに亘り、加害者としてのレッテルを貼られた。

 賠償以前に、裁判にかかる費用の問題がある。進学・進路──少年の未来予想図が大きく変わってしまったとしたら、その根本的原因を探るのは、あまりに切ない。

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 この訴訟と判決。
血の温度が、まったく感知できなかった。


 
 
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by vitaminminc | 2012-07-06 10:59 | 人間 | Comments(0)

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