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目から鱗ンタクトレンズ

生きている仏

 人のために生きるのがペット
 人のために死ぬのが家畜



 坊さんがそう言った瞬間、私は小さく息をのんだ。
 
 先月中旬。穏やかでやさしかった姑が、荼毘に付され天にのろしをあげている時だった。
 火葬が終了するまでの時間、私たちは親族控室にいた。
 
 坊さんは、私のはす向かいに座っていた。本格的な修行に入るまでは高校の教師をしていたというだけあって、結構俗っぽい話し方をする坊さんだった。
 千葉県にある某大病院から「霊が出るからお祓いに来てください」という依頼を受けた時は、「近くの寺に頼んだらどうですか」と一度は断ったそうだ。でも「是非お願いします」と何度も懇願され、断り切れずにお祓いに行ったそうだ。
 「わざわざ川を一本越えてお祓いに行ったけど、地元の寺に依頼しないでわざわざ東京の寺に電話寄越すあたり、噂になることを恐れたんだろうね」と俗っぽい口調で坊さんはいった。「あれからクレームが来ないとこみると、無事お祓いできてたってことかな(笑)」

 いつしか話はペットの供養に及んでいた。
 「うち(の寺)にもペットの葬式をしてくれないかって話はよく来るけど、うちではやらない。どこどこの寺がペットの供養もやってるからそこに電話してって、もうこうなると殆ど斡旋。宗派やその寺によって考え方はあるんだろうけど、うちはペットなんてものは人と一緒に供養するもんじゃないと思ってる」
 そう話す坊さんの、かすかに刻まれた眉間の皴を見て、私は反感を抱かずにはいられなかった。この人は動物が嫌いなんだろうなと。

 ノンアルコールビールをまた一口飲んだ坊さんは、不意に≪つづき≫のように話し出した。
 「だってペットなんて、生きながらにして仏さんなんだから──」

 そして、冒頭の台詞を口にしたのである。

 頭では、当然知識としてわかっていた。わかっていたけど、よくはわかっていなかったのだということがよくわかった。坊さんの口を介して、今回初めて理解したような気がする。

 「だからペットを寺で供養するというのは、うちでは考えられない」と坊さんは繰り返す。「でも家畜を供養するのは当然あって然るべき。だから畜産業が盛んな地方の寺には、馬頭観音(畜生道に落ちたものを救う観音様)が祀ってあったりするでしょ」

 「お寺で白い猫ちゃん、飼ってますよね。赤い首輪の」私は坊さんに確認してみた。 
 「ああ、あれ?」と坊さんはつまみのアタリメを噛みながら答えた。「勝手に寺にいついちゃってね。仕方なく餌やってるんだ、家のもんが」
 苦笑したように見えたけど、動物が嫌いなわけでもないらしい。

 要するに、ペットを人間様と一緒に供養するなどもってのほか、という上から目線による否定ではなく、もともと仏であるペットを人間ごときと一緒に供養するのはおかしい、という考え方らしいのだ。

 「ペット専門の霊園? あれは全然別。修行を積んだ坊さんがいるわけじゃないし。飼い主の心の拠り所として需要があるってことでしょ。ただ、営利目的でねぇ、(人間用の)ふつうの寺が、今やたらとペット供養もしますって謳ったり、ペット霊園を併設してみたり・・・・あ~れはどうかと思うね」 (←宗派の教えというより、この坊さんの自論らしいです)

 ヒトのために生きている仏。それがペット。
 これからは、眠眠のことを家族と思ってはいかん! あまりにも頭が高かった。仏様に対して。
 歴代の仏に対してだって、あんなことやこんなこと・・・・何が「お手」だ、「お座り」だ。とんでもない所業の数々。
 もっともっと大切に、大切にするべきだった。大切にしなければいけなかった。大切にしたかった。

 ヒトがもちろん肉親を、そして家族のように育てたペットを失った時、必ず、絶対、百発百中後悔するのは、そのことに気づかずにいたせい。あるいは忘れていたせい。当たり前と思っていた愚かさゆえなのか。

 みなさんのそばにも、いますか。
 無償の愛で支えてくれる、生き仏が。 (▼馬頭観音菩薩)

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Commented by キャサリン at 2013-12-12 13:18 x
おります、おります、生き仏さまが。
時々、足蹴にしたり、罰当たりこの上ない、数々のワタクシの所業をお許しくださるでしょうか?
しかし、怒涛の更新じゃ~あ~りませんか。どないしはったん?
そんなことより、今回の記事。思いが募り過ぎて、言葉になりませんわ~。この年の瀬に、なんと遺棄される生き仏さまの多いことよ。なんなん?(注:どうしてなの?)
人間って、ほんまに業の深い生き物やねぇ。
その辺のことは、語っても、語りつくせませんな。
ほな、今度ぬくたいおコタで、渋~いお茶でも飲みながら思いのたけを語りましょか、み茶ママさま。
それにしても、巨乳いや、巨万の富を取り逃すとは。。。
剛毅なお方だこと!惚れ直しましたっ(笑)
Commented by vitaminminc at 2013-12-14 14:34
❤キャサリンさま❤
ふっふっふっ・・・本日二度寝して、起きたら11時半。
かろうじて午前中。
実は、昨晩から内澤はんの“言いなり”になっていて(笑)
読み終わったら、またキャサリンさまの“別荘”に、感想を
置き手紙してきますからぬぇぇぇ。
そう言えば、二度寝から覚めるまでの間、眠眠を必死に抱っこ
している夢を見ていました。眠眠を護っていたのではなく、眠眠にすがっていたの。不本意ながら、知人の豪邸のパーティーに参加させられていて、場違いもいいとこ。気後れするあまり、どうしていいかわからないで、眠眠を抱きしめながら右往左往。
ところが猫を抱いているだけで、見知らぬ人(特に子ども)が、
声をかけてくれる。絶対に眠眠を放してなるものかと、そりゃもう
必死に抱きしめてました、腕がしびれるくらい。
そしたら実際、眠眠が布団を隔てて私の右腕の上に乗って寝ていたんですね、ど~りでしびれるわけだ、ふはははは・・・。
お互い、生き仏さまに、精一杯の敬愛を注いでまいりましょう!
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by vitaminminc | 2013-12-11 13:21 | 生きもの | Comments(2)