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時間

「一日が、30時間あったらいいのに」
 これは、毎日大変忙しそうに過ごしていて、しかも私の何百倍も時間を有効活用しているムスメの口癖だ。
 先日などは、翌早朝大学のゼミの卒業旅行に発つというのに、いつになく昼食(←肉と野菜のオイル煮。妙に美味しかった)を作ってくれたかと思えば、まだまったく荷造りしていない状態のまま確定申告の書類を作成し(←バイトしながらユニセフ募金などをしていたので、返してもらえるものはしっかり請求する人)、おまけに最近急に夢中になっている某俳優宛てに、生まれて初めてファンレター(←直筆)まで書いた。飛行機に乗る以上、やるべきことはやっておきたいのだという。
 「不吉だ。そんな生き急ぐでない」
 にわかにビビり出した私に、ニヤッ笑ってムスメが言った。
 「わかった? 明日4時に起きなくちゃならないから、××駅まで車で送って」
 下心があったとしても、私がムスメの立場だったら、旅支度もできていないのに、母親に料理をふるまう発想はなかっただろう。

 ムスメの血縁者とは思えないくらいぐうたらな私は、たとえ一日が30時間あったとしても、睡眠時間が増えるだけのような気がする。
 だから30時間とはいわない。1時間でいい。「絶対眠くならないで、何か一つのことに集中できる」時間があればいいのに──と、あたしゃどこまで他力本願なのか。

 そういえば、安房直子さんの児童文学作品に、「だれも知らない時間」というのがあった。ひとりの若者が、亀から時間をもらう話である。かれこれ200年も生きていて、もう生きていることにすっかり飽きてしまった亀が、自らの命を削って、一人の若者に時間を与えるのである。亀から譲り受けた特別な時間。若者は、誰にも知られることなく、夜を徹して夏祭りの太鼓の練習に励む。
 一緒に練習しているはずなのに、若者一人だけが、ぐんぐん上達していく。みんなに訝しがられ、問い詰められた若者は、とうとう亀との秘密を明かしてしまう──このあと事態は思わぬ展開へ。
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 その時々の気持ちのありようで、長くも短くもなる時間。
 平等に与えられているはずなのに、使い方次第でまったく違ってくる。
 その人が、一生の中で有意義に過ごせた時間がどれだけあるかなんて年齢では推し量れない。

 自分の寿命を「有意義な時間」というふるいにかけたら、ものすごーーーく









 短命な気がする。 

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by vitaminminc | 2015-03-04 19:27 | 人間 | Comments(0)