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目から鱗ンタクトレンズ

ジャンプ!

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 食事をとっている間も、洗濯物を干している間にも、眠眠がひとりで逝ってしまうんじゃないかと気が気でなかった。
 いっそベビースリングで、わが身に眠眠を括りつけておきたいと思った。
 主婦なので、最低限の家事はやらないといけない。
 生きているので、喰うことも寝ることも放棄するわけにいかない。
 どうかどうか、ひとりで逝かないでと願う日々。

 病魔との闘いで、険しい形相になっていた眠眠だが、昨夜、ほんの束の間、久し振りに穏やかな表情を見せてくれた。顔だけ見ていると、末期の腎臓病だなんて、何かの悪い冗談だよと思えた。
 まるでこの時だけ、病魔が短い休息をとったみたいに。
 かわいい、あどけない眠眠。私の宝もの。
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 今朝7時過ぎ。部活に行くムスコに、眠眠を撫でてやってくれと伝えた。もう長くないからと。
 「もう、瞳が動いてなかったよ」
 私の部屋で長いこと眠眠を見ていたムスコが、出がけに言った。
 「ほとんどまばたきしていない。時々ピクッとするくらいで。あれじゃ目が渇いちゃうよ」
 じっと眠眠の顔を覗き込んでいたらしい。

 8時台になると、腹の上下動が短息呼吸に変わった。閉じた口にシリンジを入れ、数滴水を与えた。
一回呑み込んだが、それ以上は口の端から流れ出てしまった。
 汚れた口のまわりを拭いてやると、鬱陶しそうに顔をそむけた。
 それから私の手の平に頭を預けて、遥か遠くを見つめていた。
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 ベランダで洗濯物を干した後、部屋に戻って眠眠の名を呼んだ。
 昨日まで見せてくれた、しっぽによる返事が、今日はもう見られない。
 と、突然、眠眠が、起き上がるようなそぶりを見せた。
 違う、もがいているんだ!
 私は眠眠を抱きあげ、自分が寝そべると、胸の上でそっと眠眠を抱きしめた。
 耳の内側が、自分の心臓の鼓動でどくんどくん揺さぶられる。
 大声でムスメを呼んだ。寝ているのか、なかなか来ない。
 「眠眠が、眠眠が、逝っちゃうよ!」
 ようやくムスメが部屋にきた。
 それまでに眠眠は、三回くらい四肢をピンと引き攣らせ、二度低い慟哭をあげていた。
 「痙攣みたいの起こしてて──」
 だが、ムスメが来てからは、一度両足を真っ直ぐに伸ばし、何かをぐっと掴むみたいに手の平を目いっぱい広げたかと思うと、やがてスッと静止した。

 「眠眠?」

 まだ温かい。まだ柔らかい。
 腹の上下動が止まっているのを認めても、それでもまだ眠眠が生きているのか死んでいるのかわからなかった。

 最期のあれは、ジャンプして、虹の橋を掴んだ瞬間だろう。

 オムツを外すと、おしりの周りに、最期の力を振り絞った痕跡があった。
 ウエットティッシュで、一生懸命眠眠のプライドを守った。
 眠眠の腹の毛並みが、私の大粒の涙を、いくつもいくつも受け止めていた。

 眠眠のおしりを拭いたウエットティッシュと、私とムスメのハナミズと涙でウエットになったティッシュの山ができた。

    2015年4月25日、午前10時。
     眠眠、永眠。享年10歳。

 ムスメは今日、昼過ぎから出かけなければならない用があった。
 孝行者の眠眠は、私が休みの日を選び、ムスメが家にいる時間を選んで別れを告げてくれた。

 どんままさんに教えてもらった、ペットのための出張火葬を執り行ってくれる会社に予約の電話をした。
 明日15時。眠眠に恥ずかしくないよう、しっかり仕事に出て、それから眠眠を送るつもりだ。

 花屋さんに行って、可愛いいブーケをつくってもらう。
 「明るい茶トラの猫なので、黄色をベースにつくってください」
 「10歳ですか。それは、早かったですね」
 「早かったです。腎臓病で──(嗚咽)」
 眠眠は7月生まれだ。
 「そこのひまわりも、一緒に入れてください」
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やさしくて、大きな大きなネコちゃんでした。。。
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励ましてくださったみなさまに、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。





 

 
 



Commented at 2015-04-25 19:46 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by キャサリン at 2015-04-27 10:21 x
眠眠さん、りっぱだった!
ほんで、みちゃままさん、よくがんばりました!
ひまわりが、すっごくお似合いですぜ、姐さん。
空を駆ける眠眠さんが、大阪からもみえました。
ありがとう。
Commented by vitaminminc at 2015-04-28 13:55
❤キャサリンさま❤
私が生まれてから、四足の哺乳類を天国に見送ったのは、
眠眠で6匹目です。
慣れることなどもちろんないけれど、齢のせい?
だんだんペットロスに対する抵抗力が失われていくようです。
ほとんど燃え尽き症候群。チカラというものの入れ方を
忘れてしまったように腑抜けています。とほほ。
Commented by vitaminminc at 2015-04-30 21:03
❤鍵コメさま❤
コメントありがとうございます!
眠眠を亡くしてから、外猫のサバンナちゃんに
マンマをあげることにより癒されております。
サバンナちゃんというのはサバトラの女の子で、
特別野性味の強い子です。撫でさせてくれません。
でも、外猫ちゃんにとっては必要な「警戒心」です
ので、一定の距離を保つよう心がけています。
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by vitaminminc | 2015-04-25 14:55 | Comments(4)