君の名は、だな

え~~~~っとぉ、今年に入って、1月だったかな、ぃゃ2月に入って間もない頃だったか。
すっかり出遅れましたが、映画「君の名は。」を観に行ったんです。
のんびりしてるとそのうち終わっちゃうってんで。
美しいと世界的に評判の映像。ぜひとも大きなスクリーンで観たかったんです。
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朝一は特別料金で観ることができますから、安全運転で車を飛ばしました。

チケット売り場に着きました。
平日とはいえ、やけに空いていました。張り切って早く着き過ぎたせいでしょうか。
チケット販売員の女性が、空いている座席表を見せてくれました。
あら~~~選び放題です。
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私は迷わず、「Fの8で」と申し出ました。
映画がお好きならおわかりでしょう? 
通路を挟んで真ん中の席が、特等席だってことくらい。
ところが、販売員の女性は難色を示したんですね。
「あの、こちらでよろしいんですか?」
というのも、隣のF-9が、すでに購入済みになっていたからです。
「隣、人がいますけど」
そりゃいるでしょうよ、一番見やすい席なんだから。考えることは皆同じってことですよ。
「いいんです」私は肯定のイントネーションで答えました。「真ん中の、8番で」

上映前にトイレを済ませてから、指定のスクリーンに入りました。
まだ予告が始まっていないので、人はまばらです。
私は自分の席目指して突き進みました。
そして、座りました。
私が座ったと同時に、隣の9番が、(そんなバカな)というリアクションを見せました。
飛び跳ねたように上体を起こすや否や、慌てて自席の右側のアームから、自分の飲み物をどかしたのです。
ものすごく空いているので、安心し切ってて両方のアームを使っていたわけです。
左側のアームには、ポップコーンほか劇場フードを入れたトレーが置いてありました。
彼は、私というシネマモンスターが現れるまで、超リラックスムードで至福の時を過ごしていたに違いありません。

それにしても、私の後に続く入場者が皆無というのは、一体どうしたことか。
私はにわかエスパーになったような気がしました。
隣の席の20代の若者。その心の声が、否応なしに聞こえてまいりました。
──え? え? ヤベー。嘘だろ? 俺、このままこのおばさんと2人で並んで映画鑑賞しちゃうわけ?
  いやいやぃゃいや、ありえねー。だって、隣に人がいるの、わかってたはずだよな? 
  こんなにガラ空きなのに、どう考えても変だろ、この状況。
  うっわ、怖い怖い怖い、マジ最悪。今年に入って最強の厄日。
  かと言って俺が移動するってのは、明らかマズイよな? この人、絶対気分害するよな?
  下手したら、キレたついでに俺に切りかかってくるかもしんねーし。
  まっさかなー、あはは。おとなしそうだよ。きっとこのおばさん、映画が好きなだけかもな。
  でないとしたら、単に頭がイカレてるだけの──

予告編が始まる前に、私の方で移動しました。照明が落ちる前に、影のように素早く右へ。
若者と自分との間に、空席を1つ設けたのであります。
動くに動けず、嘆きに嘆いている(に違いないであろう)若者が、無性に気の毒になったからであります。
怪訝そうな顔のチケット販売員の忠告を無視した己の愚かさに耐えきれなくなったからであります。
そして何より、勝手に妄想している隣の若者の「心の声」に、自分で笑い出しそうになったからなんであります。

いや、もうちょっとは席が埋まっていくだろうと思ったんですよ、特等席の我々が奇異に映らない程度には。
なのに、がら空きの劇場で、1人の若者と1人のおばちゃんが、仲良く並んで座ってるわけで。
不自然です。滑稽です。

空席を設けてよかったです。
年甲斐もなく泣けましたから。
9番もむせび泣いておりました。
私がまだ真横に居座っていたときに、舌打ちもしなければため息もつかず、お行儀よくしてくれていた9番。

我々は、ガラ空きの劇場で、エンドロールが完全に消え、照明がつくまでの間、ずっとスクリーンを観つめていました。
若者よ、君の名を呼ばせて欲しい。
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「映画興治郎!」






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by vitaminminc | 2017-03-29 17:53 | 趣味 | Comments(0)