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チンチタッタ劇場~恥部まる(出し)子ちゃん物語

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『小指』にピッタリ、ガチャピン指人形

 ある春の晩のこと。ちびまる子ちゃん世代の息子と一緒にお風呂に入っていたら、湯船に浸かっている息子が淫靡な笑い方をした。
「いひひ、いひひひ」
 シャンプーの泡にまみれ、目が開けられなかった私だが、せがれが何をやらかしているかが手に取るようにわかった。ええい、誰が手になど取るものか。
「指じゃないとこに指人形はめたでしょう」
「いひ、どーしてわかったの?」
 シャワーで泡を落として湯船を見る。思ったとおりだ。
 息子の腹イカダに頼りなく立つ小さなマストの先で、ガチャピンが手を振り笑っていた。息子のプチマスト、前回は岩礁のイソギンチャクに化けた。息子がてのひらで起こすさざなみに身を任せ、プランクトンを追いかけ揺れていた。名優なのである。
 フロイトによれば、こうした「見せたがり」は幼児性欲からきているらしい。乳児(男の子)は、目が見えるようになって、自分のオチンチンを目にした瞬間から、自分のモチモノに俄然興味を抱き出す。悦びを分かち合いたくて、つい人に見せてママに叱られてるうちは、ご愛嬌。それが大人になってからも治まらないのが、露出症。──うちのムスコ、将来大丈夫だろうか。
 
 それにしても、8才にもなってこんな調子なのだから情けない。息子と同じ年齢のちびまる子ちゃんは、さすが地上波に乗るだけあって、クラスメート一のおバカ=「山田」でさえ、教室でオチンチンを振り回したりはしない。息子だって無論、家の外ではしまっているだろうが。
 少々幼稚な面があるので、TPOをわきまえろということは日ごろからよく言いきかせている。

──ん? 8才? とんでもない記憶が蘇ってきた。私が8才当時のクラスの男子。こ~んなもんじゃなかったゾ。
 その頃クラスの悪がき4、5人の間では、しょーもない遊びが流行っていた。体育の授業で着替えるたびに、パンツに手を突っ込む。そしてブリーフの股ゴムから親指を突き出して、「横チーン! はみ出しィ!」と叫んでは、教室中を走り回るのである。バカ丸出しである。女子は見ないように手で顔を覆い、キャーキャー悲鳴をあげては逃げ回る。残りの男子はサラブレッドを鞭打つように、上着を机に打ちつけながら、ゲラゲラ笑ってはやしたてていた。
 だが、楽しい日々はそう長くは続かない。いつもの悪ふざけが高じて、悪がきたちは親指だけでは飽き足らなくなり、とうとうパンツを下ろしてしまう。教室の前に横に並んで、当時流行っていた「信州一味噌」のCMソングを歌い出した。即興とは思えない、完成度の高い歌と踊りのショー。
「チンチタッタ、チンチタッタ、チンチタッタ~、信州一、信州一、おっみおっつっけ~!」
 もうほとんどトランス状態。誰も彼らを止められない。
 このバカ騒ぎを知った担任の先生(←24歳・独身女性)の怒りたるや、凄まじかった。
「そんなに見せたいのなら、ずっとそのままのカッコで教室の前に立ってなさい!」
 かくして4、5人のラインダンサーが教壇前に立ち並ぶ中、私たちはいたたまれない気持ちで教科書に視線を落とす破目となる。腹ゴムと股ゴムの伸びたパンツをずり下げたまま、プチちんも頭もうなだれて、涙だばだばの男子たちを前に、どう授業を受けろというのか。
 今の先生がこんな罰を与えようものなら、「人権侵害」でPTAから糾弾され、教育委員会から事情聴取され、挙句の果てには教員免許剥奪は免れたとしても、遥か離島でウミネコ相手に授業をするしかなくなるだろう。
 鷹揚な時代だったのだ。死ぬほどの赤っ恥をかいた悪がきたちは、その日のうちにはケロッと生き返った。私の知る限り、誰かからこの醜聞を聞かされたに違いない悪がきの親たちも、苦笑し赤面するだけで、誰一人として担任に食ってかかる者はいなかった。

 ココまで語っておきながら、ふと不安になった。私の記憶には尾ひれがついているのではないか。信州一味噌のCMソングの出だしが「チンチッタッタ、チンチタッタ」なんて出来すぎている。本当は「シュッシュポッポ、シュッシュポッポ」だったのを、悪がきたちが替え歌で唄っていただけかもしれない。さらには、実際にはパンツ一丁姿で立たされていただけで、「ずり下げ&もろ出し」はなかったのかもしれない。まぁパンツ一丁だったとしても、今ならコレだけでも十分えぐいので、許してもらいたい。
 なんといい加減な、と呆れられても仕方がない。何しろ目のやり場に困っていたくらいである。誓って凝視などしなかった私の記憶、曖昧模糊とした部分があって当然。印象としては、やっぱり「ずり下げ&もろ出し」だなぁ。これでいくしかない。これでいこう。しかし何処へ?

「歯を食いしばりなさい!」という、愛の平手打ちをかますときの先生の名台詞。あ~ぁ。もう一度聞きたいなぁ。
 

Commented by NIKUちゃん at 2006-05-19 14:24 x
古き良き時代かな・・・。
昔はよかったね~。小さなことにいちいち目くじら立てる親も少なかったしね。体罰だって悪いことしたんだったらすりゃあいいわい。悪いことした子供を責めずに、正そうとした先生を責めるなんて世の中まちがっとるρ(`D´#)!
しかし、い味出してるね~って私の小学校でもパンツから指出してるの、いたわ!!
Commented by vitaminminc at 2006-05-19 15:00
中学の先生なんか「武器」まで持っていたもんね。英語の先生は教師用のジャンボ定規、伝説となった音楽の先生(←のちにやりすぎて左遷となる)なんか指揮棒の代わりに竹刀を手に授業していたらしい。(兄談)で、もちろん、飾りじゃないのよ武器は。私もジャンボ定規で尻叩かれました。英文の読みで、単語が読めなかったんじゃなくて舌が回らなかっただけなのに。涙ちょちょぎれるくらい痛かった。。。ぅぅ・・・なのに今では懐かしい。
Commented by picasso_2005 at 2006-05-20 00:02
私は中学の時水泳部で、疲れて泳ぎの途中で休もうものなら、デッキブラシで頭叩かれるわ、ビート版投げられるわ、大変でしたよ。そして悪いことした人は「私は悪いことをしたので、ただ今反省中です」という看板を首にかけられ、職員室の前で正座。でも、罰を受けてる方も笑ってやってたけどね。いい思い出だよね~。
Commented by vitaminminc at 2006-05-20 14:35
想像するとやたら面白いんですけど。いったいどんな「悪いこと」をやらかしたんです? 私は竹刀教師とは別の音楽の授業中、笑いが止まらなくなって机の上に正座させられたことがあります。机の上ってーのは、見た目がバカっぽい分、結構効きます。(←でも笑いは止まらなかった)
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by vitaminminc | 2006-05-17 15:36 | 子ども | Comments(4)