弟の逆襲

b0080718_1533394.jpg←異父母兄妹ネコ=取っ組み合いするほど仲良し

 この間の母の日のこと。
 日頃、第二次(思春期)反抗期の姉(長女)に、いいようにイタブラレている息子。夕食のあとのデザートを食べる際、自分と私のためにスプーンを2本持ってきた。
息子「はい、ママ」
 私「ありがとう」
 娘「アレ? 私のは? なんで~!? 持ってきてくれたっていいじゃない! このボケ!!」
息子「るせー。母の日はあっても、姉の日なんかねーんだよ」
 私「ブハッ・・・」(←吹き出す)

 反抗期に入る前の娘は、それはそれは優しい姉っぷりだった。言葉遣いも今のように野卑でも粗野でもオヤジでもオタクでもなく、私よりもずっと女らしい言葉がしゃべれた。バックにゃ野薔薇のスクリーントーンでも貼り付けたくなるような、それはそれは乙女チックな純粋少女だったのだ。
 当然弟は優しい優しいお姉ちゃんのことが大好きで、文字通りお姉ちゃん子だった。娘が小学5年の林間学校で家を空けたときには、息子に何度も呼び間違えられた。私のことを「ママ」ではなく、姉の名で呼んでばかり。挙句の果てには、一緒に入ったお風呂で思い切り溜め息をつかれた。
「あ~ぁ、つまんない」
 母としての自分の存在価値を疑わなければならないほど(疑わなかったけど)、当時の息子にとって姉の存在は大きいものだった。
 ところが、今のザマはどーだ。現在の二人を見ていると、これがかつてのあの仲睦まじかった姉弟だろうかと首を捻りたくなる。同じ人間なんだろーか。もっとも息子の方は、姉の【横暴】に立ち向かうため、変わらざるを得なかったという感じではある。
 
 さて、一昨日。息子が珍しく算数で裏表とも満点の答案を持ち帰った。息子は私に似てヌケている。うっかりミスの天才だ。記号で答えるべき箇所を数字で答えたり、+と-を見間違えることなんかしょっちゅう。100点をとれたということは、「落ち着いて問題が読めた」ことを意味し、それだけでも彼にとっては大いなる進歩なのだった。滅多にないことが起きると人は饒舌になる。
「100点とれたのはね、クラスで5人だけだったんだよ。あの頭のいい○○くんだってコレは80点だったの。ボクが100点とったの見てショックだったみたいだから、『気にするなよ』ってなぐさめたら、悔しがってボクの腕バシッて叩いて、机にこうなっちゃった・・・(←突っ伏す真似)」
 ま~た調子こいて友だちに余計なことを・・・。

 中学校から帰って来た娘(←「小学生は100点取れて当たり前!」という意見の持ち主)が、弟の誉れを聞いて、冷たく言い放った。
「クラスに5人なんて、どうせウソでしょ。アンタが100点とるくらいなら、何人も100点とってるに決まってんじゃん」
 こんなことを言われても、いたぶられ慣れている息子は「ふん」てな調子。
 が、私の方は何らかのスイッチが入った。
 私には、中学を卒業するまで「数学だけは学年一」と言われた兄がいた。(←今でも生きてます、念のため)そんな兄を持つ妹の悲劇が、蘇ってきたのである。自営業で忙しかった母は、数字が幾何学模様に見えてしまう娘の勉強を兄にみさせることがよくあった。思えば当時、兄も反抗期だったのだろう。もう、言いたい放題だった。接続詞あるいは息継ぎ代わりに、一言何か言うたびに、兄は「バカ」の二文字を口にした。あんまりバカバカ言ってくれるものだから、あるときなど問題の解き方に耳を傾ける気力も失せ、ぼ~っとしながら兄が「バカ」というたびカウントしてた。答えを聞かれて「○○回」と単位の違う数字を言ったら、「バーカ!」ととどめをさされた。「おれもうヤダ、こんなバカ相手にすんの」
 こっちだってとっくの昔に「ヤダ」ったのだ。

 娘をガミガミキ叱りはしなかった。
「どうして『よく頑張ったね』って言ってやれないの? 私、悲しいわ」
 と、ポツンと言った。「ママ悲しいわ」ではなく、「私、悲しいわ」という言葉が自然に口から出た。
 娘は何も言い返さなかった。え?と思うくらいやさしい目をして、私の顔を2秒間見つめただけだった。
 その晩。私の家事が終わらなかったために、息子は一人ぼっちでお風呂に入っていた。娘の姿が見えないなと思ったら、洗面所に娘の服が脱ぎ捨ててあった。弟を追うように、いつのまにか自分からお風呂に入ったようだ。
 廊下に退き耳を澄ますと、いつになく、やさしく弟に話しかける娘の声が聞こえた。嬉しそうに答えている息子の笑い声も。
 第二次反抗期のことを「精神的親殺し」と表現する人もいるらしい。精神的にとはいえ殺されるのは真っ平だが、娘は、「姉の日」はなくても「自分の非」がわかる人間。わけもなくイライラしたり、どうしようもなくモヤモヤしたりといった毎日なんだろう。何でもかんでも乗り越えていけ。どんなに言葉が荒れたって、きっと本来のやさしさだけは失わずにいてくれる。ママじゃない、「私」がそう確信している。

 湯気の向こうで仲良く語り合っている二人の声を聞いたら、自分も湯に浸かっているみたいな気分になれた。



 
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Commented by picasso_2005 at 2006-05-20 00:09
(ノω・、) ウゥ・・・ええ話しやなあ・・・。こないなええお子さん達、大事にしたったりぃや。おチンチンに指人形はめたってええやんか!ええ子達や・・うんうん。
Commented at 2006-05-20 00:10
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by vitaminminc at 2006-05-20 14:43
ええ。ピカソさん、ココだけの話ですが、実は私、息子がガチャピンをハメてるのを見たあとに、サトウ製薬の医薬品のおまけに付いていた、ピンクの象も差し出して、「これもあるよ」と渡してあげました。ほほほほほ・・・・
Commented by NIKUちゃん at 2006-05-21 19:00 x
ビタミンミン恐るべし!やはり男の子の母はそうでなくっちゃ!小さいことにくよくよしない!だねぇ(注:おちんちんが小さいんじゃないよ!念のため)
Commented by vitaminminc at 2006-05-24 21:20
いえいえ、なんのなんの。実際ガチャピンは小指サイズでございます。
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by vitaminminc | 2006-05-19 15:44 | 子ども | Comments(5)