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児童虐待

 
 政府広報のスポットCMを見たことがあるだろうか。
「児童虐待──疑わしいと思ったら、迷わずすぐにご連絡を。あなたの声で、救える命があります」
 このナレーションを聞いた瞬間、ものすごい憤りを覚えた。
 今月22日、京都府長岡京市の佐々木拓夢ちゃん(3歳)が虐待を受け餓死した。近隣住民は、拓夢ちゃんが殺される3ヵ月も前から民生委員を通じ、虐待をうかがわせる状況を京都児童相談所に知らせていた。
 同相談所は虐待の可能性を指摘されたにもかかわらず、「はっきりした根拠がない」として京都府警向日町署に知らせていなかった。
 根拠がないなどとよく言えたものだ。拓夢ちゃんの姉(6歳)が、深夜1時にパジャマ姿で外に放置されているのを近隣住民が見つけ、同署に通報。全身に殴られたアザがあることから大阪府の児童福祉施設に保護されたのは、今年3月のことだ。この時近隣住民は、なぜ児童相談所が幼い弟も一緒に連れて行かなかったのか不思議に感じたという。どうせ拓夢ちゃんにはアザが認められなかったからとか、そんな理由によるのだろう。
 案の定、拓夢ちゃんへの虐待は、姉が保護された直後の4月頃から始まった。わずか6歳の姉に暴力をふるっていたのは、血のつながらない同居の女(39歳)であり、拓夢ちゃんにとっても同様。28歳の父親は虐待を知りながら放置(ネグレクト)していた。こんなハイリスク家庭の子どもが、
「ママ、おなかすいた」と泣いていたのだ。そのSOSを聞きつけた近隣住民の訴えの、いったいどこに根拠がないといえるのか。一度も足を運ばずに、ただ放置していたのだ。これは立派なネグレクトだ。児童虐待である。虐待‘夫婦’に続き、逮捕されるべきだ。
 全国の児童相談所は職員の数が足りず、ときには1人で100件も抱えることもあるという。抱え切れないことは、警察への通報を怠ることの理由にはならない。子どもの命を軽んじすぎている。
 定期的に病名変更を繰り返し、5年間で8日間しか出勤していない者に満額の給料を支払い続けていた役所。人手不足を理由に、幼い命と真剣に向き合おうとしなかった児童相談所──我々が働いて得た中から支払われる税金だ。きちんと職務を果たしている人たちにだけ使ってほしい。

 それにしても、児童虐待の政府広報──幼い男の子の身を案じ、何度も情報を寄せてきた近隣住民が、あのスポットCMを見たら、どんな気持ちになるだろう。
 
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by vitaminminc | 2006-10-25 17:46 | 児童虐待 | Comments(0)