あなどら連発

 セルフのスタンドで給油をし、支払いのため店内に入る。中にいたのは、30代半ばの女。見慣れる顔だ。新入りか。
 「6番です」
 と給油Noを告げる。
 「6番?」とその女が聞き返す。
 「6番です」
 と私は繰り返し、クレジットカードを出す。
 女は無言でカードを切る。
 おい・・・。私はにわかに腹が立ってくる。何で客の私が敬語を使って、店員のアンタがその態度なのだ。
 「サインをお願いします」
 ここで初めて女は「ですます」調になった。
 仕方ない、許してやるか。柔らかな筆遣いで私は名前を書く。

 スーパーで買い物をしてレジで精算をすませると、50代後半くらいの女の店員が、
 「ありがとう」
 と短く言った。
 駄菓子を買いに来た小学生ではない。ここはふつう「ありがとうございます」ではないのか?
 もともと「ありがとう」という言葉自体は好きな私だ。レジ係が自分より年長者であることを考慮して、心の片隅で苦笑するに留めた。
 買った商品を袋に詰め終え、さあ帰ろうとしたときだ。背中でレジ係の声が聞こえた。
 「ありがとうございます」 
 別の客に対して言っていた。しかも、その女性客は明らかに私よりも若い。女性客が自動ドアを抜けて表へ出る際にも、レジ係はもう一度言った。
 「ありがとうございます」
 女性客は買った物を自分で袋に詰めることなく店を後にした。購入したのが一品だけの場合、レジ係はバーコードを通した商品をそのまま袋に入れて客に渡す。
 さきほどの女性客よりもたくさんの品を買い、おそらく支払金額もずっと上回っていたであろう客の私が自動ドアを抜けるとき、レジ係は「ありがとうございます」とは言わず、無言のままだった。

 実は私はこのような目によく遭う。早い話が、軽んじて見られがちだ。自分の何が相手を横柄にさせるのかわからない。わけもわからないまま「どっちが客だかわからない」態度をとられる。
 年上の店員にぞんざいに扱われた時には、「必要以上に若く見られたんだ」と受け流し、年下の店員に失礼な態度をとられた場合は、「まだまだ修業が足りないね」と許容もするが、目の前であからさまに差別されると、さすがに不快になる。

 ムカムカしながら考える。
もしかして自分はコイツにだけは頭を下げたくないって顔をしているんだろうか。気が弱そうだとか、何をやっても許してくれそうだとか、そんな理由ではなく、単純に「頭を下げたくない面構え」というやつ。
 若い頃はもっと眼ヂカラがあって、「横目で睨まれるとコワイ」と恐れられもした。そのせいか、店員に高飛車な態度をとられた記憶もない。年齢と共にすっかり顔面根性が失せ、キリッとしていたはずの目元(自認)は完全にタレ眼(by ムスメ)になった。こうなってしまった以上は仕方ない。若返り整形などを企てるよりも、仏の顔の方に磨きをかけよう。

 ところが、まだあった。声である。顔が見えないのだから電話ならOKかと思いきや、これがまた、面白いように舐められる。
 勤務先のフリーダイヤルにかかってきたエロ電。実年齢をいったらグロテスクなくらいのギャップがあるとも知らず、開口一番独りで勝手にボルテージを上げ、独りで勝手に果てた。平日の真昼間、わずか1~2分間の光速飛行である。
 タレ眼は点となり、鼓膜には気色の悪い残響がいつまでもこびりついて離れない。
 「どこへでも勝手に行きやがれ~!」
 そう叫んで受話器を投げ捨てた私を見て、同僚が吹き出した。
 「もしかしてエロ電?」
 「おばさんに向かって、‘おねえさん’と呼ぶんじゃねー!」
 
 本当に、どうして自分はこう他人に穴取られ侮られてばかりいるんだろ?(T皿T)
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Commented by chin-papa at 2007-10-05 20:59
「自分は他人からどう見られているか」って気になるよねー。
今日の話で思い出したけど、ワシはやたらと道を聞かれるタイプ。
海外旅行先でも聞かれるぐらいなの。これは一体どういうことだろうか・・・。なんか知ったような顔して偉そうに歩いているのかなあ。
Commented by みんみん梅桜紫陽花彼岸花 at 2007-10-05 22:16 x
なるほどねえ。アメリカのスーパーで買い物した時に、日本の40代のお姉さん達は、アルコール類を売ってもらえなかった。そういう外観による先入観というのは、西洋人が東洋人を見るときには顕著なんやろうけど、同じ日本人同士でも起こりうるんやろうね。確かに、レジのおばはんは顧客様を若い子と考えたに違いない。実年齢より若くみられることのない女性もいることを考えたら、別に悪いことやないやん。「まあ、しゃあないやつやなぁ。ここんところは許しといたろ。勉強せいよー。」っていっておこうやないの。
Commented by vitaminminc at 2007-10-05 23:28
chin子ちゃん。人に道を聞かれるのは、‘親切そうな人’に見られている証じゃ。大いに誇るべし。だって私(←超ド級の方向音痴)が道を尋ねるときは、やっぱり優しそうな人を選んで聞くもんね。
で、海外旅行先で聞かれる場合。そりゃもう‘原住民’に見られているってことですな。ふはははは♪ そうかそうか。我が妹だけあってニッポン人ばなれしているのだな。ふはははは♪ 実は姉ちゃんもニューヨークでアメリカン・インディアンかと聞かれ、国内でもフィリピン人に間違われたことがある。国際色豊かな私。結構ウレシイ♪
けどホントは江戸っ子率75%なのさ。てやんでい。ラヴ&ピース。
Commented by vitaminminc at 2007-10-05 23:40
みん花さま。本当に若く見てくれてるならええねんけどなぁ。私、焼酎チガウ、小・中学時代は大人っぽい顔立ちだって言われてたんですよ、今じゃ考えられないけど。それが25過ぎた辺りから今度は逆に齢より若く見られるようになりまして。
( ̄^ ̄)でもこのアップ・ダウン周期でいくと、近い将来、今度は再び実年齢より上に見られる可能性大ですな。電車やバスで、自分より年上であろう方から、「どうぞ」なんて席を譲られちゃったりするかも~。
それはそれで「しめしめ」の人生かも~。
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by vitaminminc | 2007-10-04 17:50 | Comments(4)