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2010年 06月 23日 ( 1 )

ねこ電車

駅の階段をのぼっていた。
ひどく疲れている。
とても立っていられない。
しゃがみこんでしまった。
足元が心もとない。
ステップの傾斜角が変わったようだ。

b0080718_17141139.jpg昔テレビでやっていた番組を思い出す。「ダイビングクイズ」(MBS、テレ朝系)。
間違えたり答えられなかったりするたび滑り台の傾斜角度が1段上がる。
解答者は滑りやすくなるように、靴下はもちろん、手には白手袋を嵌めていた。
落ちないよう両足を突っぱね耐える姿が子ども心にツボにはまった。
落ちるところも魅力的。白黒番組でありながら、色とりどりの風船が見えた。
風船のプールなんて夢がある。

しかし「現実」の私に風船の用意はない。
落ちたら骨折。必死で階段にへばりつく。
ロック・クライミングのように上のステップに手をかける。
時間の経過とともに、ステップの傾斜はきつくなってくる。
冗談じゃない、こんな姿を人前にさらすなんて。
恥ずかしい、階段を四足でのぼっているなんて。
だけど死ぬほど疲れている。
どうしても立ち上がることができない。
こんなふうに階段をよじ登っている人間がいることに、他人は案外無関心だ。
先を急いでいるのだろうけど、それがかえってありがたい。
救急車に担ぎ込まれるわけにはいかない。
今ホームで待っている電車、あれに乗らなくては。
どうしてもあの電車に乗らなくては。
やっと頂上まで辿り着いた。ホームの上は平らだ。
ありがたいことに、二足歩行ができる。
発車のベルが鳴る前に、電車に乗れた。
猫が3匹乗っていた。
ダイビングクイズの風船ではないけれど、実に夢のある光景。
悪夢のような肉体労働から解放され、心底ほっとした。
猫は3匹とも、自分の愛猫と同じく茶トラ。
車内は意外と空いている。ボックス・シートに座った。猫たちがよく見える位置。

発車のベルが鳴り出した。
何かのメロディーだろう。
ずいぶん長く鳴り続けている。

走り出そうとしない電車の中で、私はたぶん、しぶしぶ腰を上げた。
発車のベルのつもりが、止めたのは目覚ましだった。

「ねこタクシー」という映画が公開されたからだろうか。
「ねこ電車」の夢を見たのは。
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by vitaminminc | 2010-06-23 17:21 | Comments(4)