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平成最後のお正月



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169.png新しい年が来た 希望の年だ 
169.png喜びに胸を開け 大空青毛(何じゃこの変換)

①昨年の誕生祝いにお友だちから贈られたお醤油皿だにゃん!
②ムスメがカットした紅白カマボコちゃん
③母とムスコの心温まる元旦会話
④「飯はまだかぇ」目がつのだじろうの漫画と化したミケ母さん
⑤つのだじろうの漫画
⑥⑦⑧私が片想いしている丑松くん

今年もよろしくお願いいたしますぅ125.png

by vitaminminc | 2019-01-03 14:53 | 人間 | Comments(4)

【ムスコの先輩~大学編】
先月だったか、外泊したムスコが帰って来るなり夢見るようなまなざしで一言。
「驚いたよ。あんなに凄い部屋、生まれて初めて見た」
前の晩、ムスコは大学ゼミの先輩(院生)に誘われて、大先輩(OB)の部屋に泊まらせていただいた。
大先輩の自宅に向かう道すがら、先輩は予めムスコに言い聞かせたそうだ。
「いいか、驚くなよ。浴室以外、と・に・か・く・汚い
自分も泊まらせてもらう身でありながら、なんたる言い草(笑)。
大先輩の自宅に着くや否や、部屋の惨状に畏れをなしているムスコを置き去りにして、泊まり慣れている先輩は「風呂借りま~す」と遠慮会釈なしに浴室に消えた。
ムスコは高校時代から実年齢よりずっと上(ジジイ)に見られるせいか、年上の先輩たちによく可愛がられた。
ウエルカム精神旺盛な大先輩と談笑していると、風呂上がりの先輩がタオルで頭を拭き拭きムスコに言った。
「風呂場も、もはや汚い
自分より目上の大先輩に対しては暴言、ムスコに対しては注意喚起とも取れる台詞を吐いて、先輩は部屋の片隅に身を落ち着けた。
そして、嬉しそうに何度も口にしていたという。
「あ~、楽でいい

「ちょっと待って」
 と私はムスコに言った。
ムスコがこれまで見たこともないほど汚い部屋などあり得るのだろうか。
「ムスコの部屋より、もっと汚いってこと?」 
「そう。あれに比べたらオレの部屋なんかまだキレイ」
想像もつかない。足の踏み場もないくらい散らかったムスコの汚部屋より遥かに汚いとすれば、それは 肥溜 もう死臭が充満している殺戮現場でしかない。
「生ゴミに虫がわいてるとか?」
「いや、さすがにゴミがどーのってんじゃないけど、とにかく汚いとしか言いようがない」
「でも先輩は、楽でいいって喜んでるんでしょ? なんで?」
私の疑問にムスコがヘラッと笑った。
「もともと新しいし、すげーきれいな部屋のはずなんだよ、マンションの外観からしても。キレイ過ぎると汚さないように余計な気を使わなくちゃならないけど、この部屋はその点楽でいいって意味じゃない?(笑)」
「でもムスコに汚いと言われちゃうほどの部屋でよく眠れたね」
 と私が呆れていうと、
「大丈夫。オレ1人だけベッドの上で寝たから」
 あな恐ろしや。先輩と大先輩を床に寝かせ、一番下っ端のムスコがベッドを借りるとは。
 どんだけ心の広い先輩と大先輩なのか。
 それからしばらく経ったある日。
 大学から帰ったムスコが、バッグから取り出した袋の中身を披露した。
「先輩(院生)がこんなもんくれた。ステーショナリーグッズ。次回(大先輩のOB宅に)泊まる時に使えって」
──真新しいトランクスに靴下、モンダミンミニボトル、クシ、T字カミソリ、ヘアクリームほか男性用ミニ化粧品3点セット。
 見事なまでのラインナップ。先輩(男)は、乙女なのか?
「えぇッこんなにたくさん? そこまで考えてくれるなんて、先輩(院生)って太っ腹というか、清潔好きなんだね」
 キレイ好きなのに、大先輩の汚部屋が楽でいいという。。。
「汚い」と「楽でいい」は、ある意味同義語なのかもしれない。
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ムスコの大学祭に行って、キャンパスに足を踏み入れたとたん、目を奪われた大樹。寺社仏閣でいうところのご神木に匹敵する大銀杏。長い年月の間に銀杏特有の形状を突き破り、ハリポタの暴れ柳のような姿を呈している。遠くから見たら銀杏の樹には見えなかった。大樹の周りには円形のベンチが設けられ、模擬店で買った食べ物を楽し気に頬張る人々で賑わっていた。




by vitaminminc | 2018-11-25 17:52 | 人間 | Comments(4)

子どもたちから聞いたそれぞれの先輩が、とっても魅力的。

【ムスメの先輩~職場編~】
 ムスメの4、5年先輩の男性社員。
 ズバ抜けて仕事が出来る。特技は言葉の暴力。仕事が遅い相手には、たとえそれが上司であろうが容赦しない。ズバズバ言って周囲を震撼させる。いわんや後輩をや。
 パワハラと紙一重の言動にまわりはハラハラ。職場のトップも止めはしない。なぜなら先輩は営業成績が常にトップクラス。つまりはトップのお気に入り。
 幸いムスメはまだ標的にされたことはない。けれど、オラオラ系がもともと苦手。常に「怖い」存在。
 そんなある日、どういうわけか先輩に同行して車で得意先を訪問せねばならない事態になった。
 恐怖のあまり助手席で固まっていると、先輩はおもむろに自分の身の上話を始めたという。
「嫁とアパートで同棲を始めた頃のことなんだけど、嫁にあれほどN○Kの訪問には応じるな、居留守を使えと言われてたのに、嫁がいない時、オレうっかり玄関チャイムの音に条件反射しちゃってさぁ、ドア開けちゃったんだよ」
 え? もしかして、恐妻家?
「―気づいたら契約させられてよぉ。出来ることなら契約はなるべく先に延ばしたいよな」
 あれ? 押しが強いわりに押しに弱い?
「―で、あんまり悔しいから、帰り際そいつに言ってやったんだよ、『テメーうち以外も、ここら全世帯と絶対契約しろよな!』でも、あれって今思うと負け犬の遠吠えだよな」
 ムスメはキャハハと笑ってしまったそうだ。そして人伝てに聞いた話を思い出した。
 先輩の「嫁選び」について。
 先輩は独身時代、一人暮らしをしていた。
 彼女が出来るたび、「親に会わせる」という名目で、実家に連れて行った。親に会わせるためではない。実家で飼っている愛犬に引き合わせるために。 
 恋は盲目という。自分の目が節穴になっている以上、誰よりも信頼できる愛犬の「人を見る目」を借りたのだろう。
 先輩は、彼女の犬への接し方はもちろん、何より愛犬の反応がこれまで引き合わせた歴代の彼女の中で最も良かったことから、今の嫁さんに決めたそうだ。
「そういう話を聞くと、根はイイ人なんだろうなとは思う」
 とムスメは言った。
「でもやっぱり怖い」
 と言う。
 新所帯誕生時のN○K受信契約あるあるや、ワンコ話をもってしても相変わらず怖いだなんて、相当なハラスメンタリストと見た。
 でも、話を聞く分には憎めないお人柄の先輩。

by vitaminminc | 2018-11-23 21:39 | 人間 | Comments(2)

怪現象

不思議でならぬ。
晩秋となり、さすがに朝晩の冷え込みが増してきたとはいえ、こんなことが起ころうとは。
それも、毎日である。
私は暑がりのくせに寒がりだ。
ゆえに、ボアタイプの厚手の毛布、綿毛布、更に羽毛布団の3枚を掛けて寝ている。因みに羽毛布団は「夏でも涼しい」が売りの薄手タイプゆえ、のぼせて死ぬ心配はない。ご安心あれ。
ところが、驚くべき事象にびっくり仰天なのである。朝起きてみると、3枚だったはずの掛け布団が、必ず4枚に増えているのである。
答えはこうだ。
いつのまにやら私は、敷布まで被って寝ているのである。
確かにパッドの上に敷いているシーツは冬用。下手すると真ん中に掛けている綿毛布より暖かい。
だからといって、一体いつ、どのようにして器用にもシーツを被るに至るのかが皆目わからない。
枕がふっ飛び床に落ちているならまだわかる。寝相の悪さゆえということになろう。
違うのだ。私は毎朝きちんと枕の上に頭をのせた状態で目を覚ますのである。
そして、私の枕の右横で、私のより大きな枕を縦に置き、フリースの膝掛けを敷いて寝ているくーちゃんの下には、私が掛けているのと同じシーツが敷かれたままだ。
要するに、1枚のシーツの左半分を、私が3枚の掛け布団の一番下に、まるで肌掛けのように掛けていて、右半分は敷いた時の状態のまま、敷布としての役割を果たしているわけだ。
最初に敷布を掛けて寝ていたことに気づいた朝、私は自嘲しながら推理した。
─今朝は冷え込んだ。無意識に、めくれたシーツの端を引き寄せてくるまってしまったのだろう。
しかし、すぐに違うということに気がついた。シーツの端を掴んで海苔巻きみたいにくるまったわけではない。シーツは敷いた時の面のまま、なぜか私の上に掛かっていた。
一体どうすれば、端をしっかりパッドの下に折り込んだシーツを静かに外し、横で寝ているくーちゃんになんら迷惑をかけることなく、そして自分の枕を床に落とすこともなく、上の3枚の掛け布団を乱すことすらなく、きちんとシーツの左半分の下に潜り込んで眠ることが出来るというのか。
毎晩、これでもかこれでもかというくらい、しっかりシーツの端をパッドの下に折り込んでいるのに、朝起きると決まって敷いて寝たはずのシーツを掛けて寝ている。これを怪現象と呼ばずになんと言おう。

妖怪「枕返し」というのがいるらしいが、私&猫の部屋には妖怪「敷布掛け」なるものが現われるのやもしれぬ。
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妖怪・枕返し
因みに、うずぴは私が寝つくまでは掛け布団越しに私の足の上に寝たり、時には布団に入ってきて私の腕の中でゴロゴロいってたりするが、朝目覚めた時にはキューブ型の巣穴で寝ているのが殆ど。くーちゃんと違ってビビりだから、妖怪を恐れているのであろうか。
まあ、うずぴも毎晩飽きもせずネズミのおもちゃを水に浸しているから、ある意味もののけ姫のようなものだが(笑)
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昨日はいつもと違う水入れに浸していた





by vitaminminc | 2018-11-20 21:27 | 人間 | Comments(0)

 中原中也じゃないけれど、汚れちまた悲しみを拭うために、職場の同僚と元同僚と3人で、映画「プーと大人になった僕」を観に行ちまた。
 とんでもないことが起こちまた。
 パチッと目を開けたら、あろうことか、エンドロールが流れちまてた。
 何かの冗談だろうと思ちまたが、現実だった。
 これまで、映画を観ている途中で一瞬こっくりこっくりすることはあちまたが、後半まるごと喪失したのは初めてだった。
 エンドロールは結構長かった。私は自分の失態がおかしくておかしくてずっと笑いをこらえてふるふる震えちまてた。
 観終わって立ち上がりながら、両隣のふたりが口々に言った。
「思っていたより良かったね」
「誘ってもらわなかったら自分じゃ観に来なかっただろうから、誘ってもらって良かったよ~」
「やちまた」
 と私がこらえきれずに白状しちまた。
「寝落ちしちゃって後半まったくわからにゃい」
「嘘! どこまで観てた?」
「(クリストファーロビンの)娘が生きたぬいぐるみたちを抱きかかえて列車に乗って、ボックスシートに座ったとこまで」
「え? じゃあ、タクシーに乗ったとこは?」
「知らん。誰がタクシーに乗ったの?」
「娘がよ。そこが一番面白かったシーンなのに、うわぁ勿体ない、寝てたなんて信じられない」
 ふたりが言うには、私は舟をこぐでもなく、うなだれるでもなく、いつになくしゃんと背を伸ばし、真っすぐ前を向いていたらしい。仮死状態だったのだろう。
 先週あたりから、変な時間に目が覚めては眠れなくなちまたりしていたからなぁ。。。
 ふたりは小気味よさげに映画の感想をひけらかし、「ま、寝てたヤツにはわからないだろうけど」と言っては身体をくの字に曲げて大笑いし、「心が汚れちまった人には観るに堪えない純粋なお話だったものね」と言っては腹を抱えてバカ笑いした。
 私が映画好きなのを知っているだけに、意に反して寝落ちしちまたことをいじくり倒して大喜び。
「寝てたけど、ふたりのお腹が鳴っていたのは知っているョ」
 と私が反撃に出ると、ふたりに同時に突っ込まれちまた。
「何言ってんの! 鳴っていたのは、みん子よ!」
「まったく! 映画も面白かったけど、みん子ってどーして毎回そんなにわらかしてくれんの?」

 家に帰ってポストを開けたら、一枚のハガキが届いていた。
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 24日に届いた通知が、取り下げ最終期日は25日だと告げている。ずいぶん乱暴な。
 どーれもいいれすけろ、私の名前の漢字、一字間違ちまてるんれすけろ。
 家にいたムスコに、「プーさんの後半、見逃がしたぁ~」と泣きついちまた。「決して退屈だったわけじゃないのに、なぜだあぁぁ」
「おやおや。いい話だってのに、そりゃ残念だったね! テヘッ」
 とムスコに慰められちまた。
 
 auの今日の星占い、私の星座は11位。いかにも、11位的な日だ。(でも映画のあとのランチは超愉しかった169.png

 汚れっちまった悲しみに
 いたいたしくも怖気づき
 汚れっちまった悲しみに
 なすところもなく日は暮れる・・・

 


 




by vitaminminc | 2018-10-24 21:25 | 人間 | Comments(0)

ディープな秋

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 秋は好きです。
 私が生まれた季節でもあります。
 空は青く高く澄んで、風はさらりと爽やかに吹きわたります。

 先日、地元を歩いていたら、いかにも仲睦まじい老夫婦に出会いました。
 ご主人は脚立に乗って、道路にせり出した柿の枝に両腕を伸ばしておりました。
 奥さんは、少しふくらんだレジ袋を手に、熱心にご主人のことを見守っておりました。
 ふたりとも、小柄な私よりもさらに小柄なのでした。
「持っていきませんか?」
 不意にご主人が、通りすがりの私に気づいて人懐こい笑顔で声をかけてきました。
「ふふ、今、主人が柿を─」
 控え目な性格がにじみ出ている奥様も、にこにこした笑顔で私を振り返りました。
 こんな素敵なご夫婦の無垢なる申し出を断ることなど、誰にできましょう。
「よろしいんですか?」
 私も思わず人懐こく答えておりました。
「お父さん、そこいらへんが良さそうですよ」
 奥様が枝を指さしました。
「今ね、柿を切っているんですけど、柔らかくなり過ぎてしまってね」
 奇跡を感じました。
 本当に本当に、お二人とも何とも言えず可愛いのです。
「ああ、これなんかいいでしょう。少し小さいですけどね」
 と言いながら、ご主人が私のために枝切りばさみで柿の実を切ってくださいました。
 ハサミは収穫用と見え、切った実を下に落とすことなく、切ると同時に挟み込む仕組みになっておりました。
「あとお父さん、そちらのもいいみたいですよ」
「ああ、ほんとだ、よし、これも切りましょう」
 ご主人は合計5つの柿を選びながら、奥様に向かって言いました。
「(家の)中から適当な袋を取ってきて─」
「いえ、袋ならありますので」
 私はドラッグストアで買い物をしたレジ袋を見せました。
「一緒に入れてしまっていいんですか?」
「もちろんです」
「かえってすみませんね」
 ご主人は果てしなく腰が低いのです。
「いえいえ、とんでもないです」
 心が洗われました。
 ご夫婦は、初対面の私に対してだけでなく、お互いに対しても丁寧な言葉遣いをされていました。
 私は何度もお辞儀をしてお礼の気持ちを伝えました。
 あそこの家は、確かに以前からあの細い裏通り沿いに建っておりました。
 実際の住人は、全然違うのではないでしょうか。
 本当はもっと俗っぽい、ごくふつうの住人が暮らしているのではないでしょうか。
 真っ白く清潔なステテコを穿いていたご主人。
 真っ白く清潔なエプロンを巻いていた奥様。
 私が出会った老夫婦は、現実離れしているくらい愛らしく、秋の妖精のようなのでした。
  
 翌々日の晩には、親しい友人が、毎年恒例の銀杏をたくさん届けてくれました。
 やはりにこにこして、とてもいい笑顔で届けてくれました。
 ありがとう!
 じんわりとやさしい気持ちにさせてくれる、深い秋。

 くーちゃんは、最近居間に私しかいない時に限り、くつろぐようになりました。
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 いちいち報告するほどのことでもなかろーと思われましょうが、これは報告すべき進歩なのです。
 私の部屋でならムスメに撫でさせるくーちゃんも、居間ではまだ警戒が解けないようです。
 ムスメに送った「居間で寛ぐくーちゃん」の画像をLINEで受け取ったムスメが、帰宅するや嬉しそうに居間に入ってくると、くーちゃんはスタコラサッサと2階に駆け上がってしまいました。
 その後、階段にいたくーちゃんを見つけたムスコが、
「オレ、白黒撫でたぜ」
自慢するほどですから、いかに人馴れしないタイプかおわかりでしょう。
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 この日はうずぴも私しかいない時間帯に、ひょっこり現れました。
 でも、滞在時間わずか4秒でした。
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 居間に入ると同時に踵を返して2階に戻ってしまいました(笑)
 でも、ふたりとも(涼しくなってきたから)夜は私のそばで添い寝してくれます。
 ええ、私は湯たんぽ代わりです。




 


 


by vitaminminc | 2018-10-14 15:02 | 人間 | Comments(2)

野口くん

「いいなぁ、お茶の水」
 とムスメが言った。学生時代を過ごした街なので、お茶の水に愛着があるのだ。
 それとは対照的に、私は自分を奮い立たせる意味で宣言していた。電車が苦手で仕方ないのだ。
「明日、御茶ノ水に行きます!」
 眼科受診後のランチはどこでとるのかと訊かれた。
「一人で食べるんじゃつまらないし、都心は(物価が)高い。病院出たらすぐ帰る」
 と田舎っぺ丸出しの母親の発言に、ムスメは一抹の不安を覚えたらしい。このまま放っておいたら、我が母はどんどん出不精になって老け込んでしまうのではないか?
「そんな勿体ない! せっかくお茶の水まで出るんだから、Soup Stock Tokyoでお昼を食べたら?」
 ムスメは、私が行く眼科病院のすぐ近くのはずだと言う。
「なんだ、同じビルだ」
「ね? 帰りに寄りなよ」
 そう言って、ムスメは私の気が変わらないように、野口くんを同行させる手配までしてくれた。
「ただし、Soup Stock Tokyoでランチするのが条件だからね」
 課せられたミッションに、いつになくはしゃいだ気分になった私は、長いことスマホでSoup Stock Tokyoのサイトを眺めていた。メニューは店舗や日時によって変わるらしい。私が行く日のお茶の水店10/01~10/04のスープは全部で8種類。それぞれがこだわりの素材で作られていて、詳しい紹介を読めば読むほど、どれにしようか迷ってしまう。
「明日のメニューを決めるのに、30分もかかってしまったョ」
 と話すと、ムスメは貧乏性の母親を持て余し苦笑した。
「そんな・・・そこまで? なんかスミマセン・・・(笑)」

 当日、診察を終えた私は、野口くんと仲良く連れ立ちエレベーターで1Fへ降りた。
 ところがなんと、店には「改装中」の案内が・・・。
 私同様、コチラの店で待ち合わせをしていたと思しき人物が、店の前で携帯電話の相手に訴えていた。
「やってないよ、スープ・ストック・東京! 改装中だって~」
 サイトの案内を見落としたかと訝しく思い、スマホを開いて再確認。ムスメも一緒に見ていたはずなのに、どうもおかしい。
 お茶の水店のページには、10/01~10/04のメニューが確かに載っている。肝心の休業案内がない。
 しかし、サイトのトップページ一番下にある地味~な「お知らせ」のところに、いくつかある案内の1つとして、目立たな~い感じで載っていた。
「この度Soup Stock Tokyo御茶の水店は、店内改装のため2018年9月30日(日)をもちまして一時休業いたします。リニューアルオープンは2018年11月中旬を予定しております─云々」
 なら、なぜゆえ休業期間中にも関わらず、御茶の水店のページにメニューを載せるのだ? 休業案内は、休業する店のページに載せなさいよ。私のオマール海老のビスマルク(正しくはビスク)をどうしてくれるのよ!?
 憤りを覚えたが、そばで電話していた人に比べりゃ私の被害など小さい。同じビルの21階から1階におりて、ちょっと落胆したに過ぎない。
─さて、どうします?
 私は野口くんに相談して、御茶ノ水から近い別の店舗はどこかいなと検索した。
 おお! 上野ecute店というのがあるではないか! これなら帰り道だし駅構内! 途中下車する手間も余計な電車賃もかからずに済む。ふははははは。
 かくして私は中央線で御茶ノ水➡神田➡東京まで行き、山手線に乗り換えて、東京➡神田➡秋葉原➡御徒町➡上野に出た。神田駅を通過する際、車窓から同じ看板を2回も拝む羽目になったが、勝ち誇っているから全然気にしない。
 余談になるが、御茶ノ水まで東京駅経由で行けば、4分多く時間がかかるけど乗り換えは1回で済むから楽、ということもムスメが教えてくれた。前回はジョルダン氏の言うがままに、乗り換え2回で往復したが、秋葉原で降りるのが無性にダルかったのである。
 そんなわけで、無事Soup Stock Tokyo上野ecute店に到着。平日のせいか待つことなく座れた。
 オマール海老のビスマルク(正しくはビスク)とフォカッチャとアイスコーヒーの3点セットを注文。
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 ムスメが手配してくれた野口くんは、丸くて薄い銅の硬貨2枚に身をやつした。
 確かに美味しいけど、これじゃうちのムスコ、ちゃぶ台 テーブルひっくり返す、絶対に。
「こんなんで足りっかーッ! 
 何、980円? 高っけ~! 
 ムスメ(←姉の名)学生の身分でそんなにいいもん食ってたのかよ?」
「おねーちゃんは、最盛期はバイト3つ掛け持っていましたからね」
 ムスコは大学近くのラーメンやで、約半値のラーメンをすする日々。
「スープなんて俺は要らねー」そうだ。

 追伸:眼科では、次回半年後に検査を受けるよう指示された。そこの病院では通常予約を入れられる4カ月先までしか処方箋は出さないらしい。しかしそこはさすが頭のキレる女医さん。入試で加点なしで合格しただけのことはある(と信じている)。頼み込んだわけでもないのに、目薬をもらいに来るだけのために上京させるのはしのびないと気遣ってくれたもよう。
「1ヵ月2本ずつで何とかいけます?」
 と私に確認して、2種類の点眼薬を各12個ずつ出すよう処方箋を用意してくれた。

 次回は4月。オラ、春が来たら、また東京さ行くだ。
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珍しや 仲悪しふたり 同じ段




by vitaminminc | 2018-10-06 19:24 | 人間 | Comments(2)

Keep up with ムスコ

 あれは長月某日の昼下がり──ムスコがアイポッドでサカナクションの曲を聴きながら、♪あおーいあおーい・・・と口ずさんでいた。
「俺、サカナクションのこの曲好きかな」
「なんて曲?」
「aoi」
「もしかして、CD買ったの?」
「買った」
「ベストアルバム?」
「に近い─魚図鑑。CDじゃないよ」
「CDじゃないの!?」
 ムスコはよくアイチューンで音楽を購入する。すぐに聴けるからだ。
「なんでCDにしてくれなかったの? ケチ!
 と私は文句をたれた。CDならカーステレオに取り込んで、ドライブしながら聴けるのに(チッ)。
「自分で買ったのになんでババアにブーブー言われなきゃならないんだ」
「CDに焼いてよ、個人で楽しむ分には違法じゃないんだしさ~」
「やーだね、めんどくさい」
「ケチ!」
「自分でコピーすりゃいいじゃん、パソコンに入ってるから」
「やり方教えてよ~」
「やーだね。自分で調べなさい」
 で、仕方なくネットで調べたところ、意外と簡単だったんで自力でCDにコピーした。
 後日、そのことをムスコに報告した。
「魚図鑑、録らせてもらったよ。CDが80分だったから全曲は無理だった。サビの部分を聴いて気に入った曲だけ抜粋した」
「おお、録れたか」
最初間違えてDVDを入れちゃったの(笑)そしたらちゃんと確認してくれるのね、『DVDディスクが挿入されましたがこれでええんですか?』みたいに。よかったョ、未使用のCDが家にあって」
「自分で録れたんなら洋楽も聴く? アヴィーチーなんて聴く還暦、いたらカッコイイよ?」
「洋楽録ってくれるの?」
「プレイリスト作ってやるから自分で(CDに)録りな」
「ありがと!」
「結構あるんだけど──コレは?」
「あ、それ知ってる、ケーキ♪」
「なんで知ってんの?」
「去年だっけ? 夏に流行ったじゃない」
「正しくは Cake By The Ocean だけどな」
 ムスコはほかにも何曲か触りを聴かせて、リストに入れてほしいか確認してくれた。
「マルーン5のロストスターない? あの曲好きなんだけど」
「ないね。俺の中ではもうマルーン5は卒業したのよ」
 私が結構洋楽を知っていると知ったムスコ、ババア侮りがたしという顔をした。
「リンキン(・パーク)の、コレは?」
「あ、それ持ってない。絶対入れて! あとは任せた」
「80分以内に収めりゃいいんだね?」
「そう。曲と曲の間は1秒に設定してください」
「曲数×1秒プラスね」
「そんな感じ。あ、さっき言ってたアヴィーチって?」
「才能あるのに若くして死んじゃったんだよね、まだ28かそこいらで。耳にしたことあると思うよ、世界的にヒットしたから」
「それも入れてくれた?」
「最初に入れた」
「ありがと♪」
 このような会話の末に、ムスコが作ってくれたプレイリストのタイトル、CDに焼く時点で初めて知った。
「洋楽BBA」であった。
「17曲入ってるんだぞ。5,000円はもらわないと割が合わねー」
 と言いつつも、請求なしで機嫌よくプレイリストを作ってくれたのである。

 どーでもいいが、BBA(←ババア)言うな!
 あと、うっかり流しちまったが、よく考えたらまだ還暦じゃないから!


 


by vitaminminc | 2018-10-02 20:45 | 人間 | Comments(4)

感傷汗スメント

酷暑の、とある昼下がり。
バス停に行くと、先に待っていた若い女性が、額の汗を拭おうともせず話しかけてきた。
「すみません。このバス、利用されますか?」
「ええ」
「あの、私、初めて利用するので教えていただきたいんですけど」
「ハイ?」
「スイカはどうすればいいですか? あ、スイカ使えますか?」
流暢な日本語だ。外国人ではなさそうだ。
「使えますョ。バスに乗ってすぐ、ステップの右横にスイカをかざすヤツがあるので、そこでピッとやります」
「はい。そ─」
「そして降りる時は、運転手さんの左横のところに、同じくスイカのヤツがあるので、そこにピッとやって降ります」
「あ、はい!」
「初めてだと不安ですよね~」
「はい、なんかドキドキしちゃって─」
バスがやって来た。
後部ドアのガラスの向こうに、ピッとやるヤツが顔をのぞかせている。
「あ、もうそこに見えてますね、あれです」
ドアが開くか開かないかのタイミングで私が言うと、女性は嬉しそうに頷き、
「ありがとうございます!」
 とぺこりとお辞儀をして元気に乗車した。

バスに乗って、女性とは少し離れた空席に座った。
そして、感じの良い若い女性についてあれこれ想った。
この路線バスでスイカを使うのが初めてということは、ここの住人ではない。
たぶん、ラウンド1に何人かの友だちと一緒に遊びに来たのだろう。
往路は送迎バスに乗れた。けど、帰りは何かしらの事情で彼女だけみんなよりも先に帰ることになったのだ。
人数が揃わなければ、送迎バスは出ない。仕方なく一人で路線バスに乗って駅に向かうことにしたのだろう。
表情も声も明るかった。友だちと喧嘩別れなんかするわけない。とっても性格良さそうだ。
一足先に出なきゃ、バイトの時間に間に合わないからなんでしょ?
もしかしたら、私服だったからわからなかったけど、化粧っ気もないし、まだ女子高校生?
帽子もかぶらず、日傘もささずにバス停に立っていたよね。間違いない、JKだ。

まぶしかったなぁ、あの、額の、玉の汗
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私も10代の頃は、表面張力が働き、球体の汗をかいたっけ。
一体いつから今みたいにだらしのない汗をかくようになったんだろう?
も~~~、べちゃっとして根性の無い!
哀しいけど、こう呼ぶことにしよう──玉砕の汗
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*可愛いにゃんこの水飲み画像はネットより拝借しました。


by vitaminminc | 2018-08-20 19:55 | 人間 | Comments(4)

実家断捨離中

悲鳴と怒号が飛び交いながらの(笑)実家の断捨離。
母が溜め込んだ布団類の異常な多さに狂気すら覚えた。
敷き布団だけで6枚棄てる。
掛布団は8枚くらいか? タオルケットも入れたら二桁。
確かに棄てるのは勿体ないくらい、母曰く1回しか敷いていないという敷き布団も2枚あったし、きれいな掛布団もたくさんあった。
でも使っていないのだ。処分するしかない。
「そんなに新しいなら、今自分が使っているのを処分して、これと交換したら?」
 と提案すると、そっちはお客さん用だからきれいだけど、重いから自分で干せないという。もう90を過ぎてるのだから、無理して干したりせずに、私が前に買ってあげた布団乾燥機を使えばよいではないかという話はこれまでに数え切れないくらいしてきた。が、毎回ムカムカするので今回は口にするのを止めた。
「あら。あの布団乾燥機、みん子が買ってくれたの?」
 とか、
「うちに布団乾燥機なんかあったかしら」
 なんて言葉を返されるからである。 
 新しい4色のかいまき布団を4枚発見。
「これは何のために買ったの?」
「2枚組だったから」
 娘と2人の孫のため─つまり私の家族のために通販で購入したらしい。大物を買う前に相談してくれたら止められたのに。
「こんなに掛布団があるのに? かいまきってわざわざ腕を入れて掛けるわけにもいかないし、使い勝手悪いんだよ?」
「あら。そうなの?」
「それに子どもたち大きくなったから、それぞれ予定がいっぱいで、もう泊まりには来られないよ」
現に今回里帰りしたのは私一人。
「ならみん子が持ち帰ってよ」
うちにも布団は余るほどある。近くにいた同居人のアニキも「布団は要らない」と即答。
4枚すべて処分したかったが、母は黄色のかいまきだけ棄てて残りの3枚(紅、緑、青)はとっておくと言い張った。
これ以上揉めていると片付かないので、ここは折れた。
トイレに飾ってあった造花を母に訊かずに捨てたが、いつの間にかゴミ袋から拾ってまた飾ってしまった。これもスルー。
収集してもらう粗大ごみは、50年もののナショナルの足踏み式家具調ミシン、でかい円卓、ホットカーペットの3点。
兄嫁さんが言うには、以前にも区に粗大ごみの収集を依頼して引き取りに来てもらったのに、当日の朝になって「やっぱりこれは置いてってください」と収集料金が戻らないにも関わらず引き取りを拒否した前科があるらしい。
ホットカーペットは未使用に近い状態のまま、もう何年も湿気の多い物置に放置しているため、段ボール箱に虫が湧きかねないのだ。実際ほかの段ボール箱には虫が湧いているのもあって、見つけた瞬間卒倒しかけた。
私は葛飾区内のコンビニに行って合計2,900円分の収集チケットを購入し、シールタイプのそれを粗大ごみ3点に貼りつけた。
円卓─300円のB券1枚。ミシン─B券6枚、200円のA券1枚。ホットカーペット(2畳サイズ)─B券2枚。
なんだか「抵当」を貼っているようである。
「ホットカーペットは虫がわいちゃっていた(実際はまだわいていない)から処分するしかないんだからね。当日の朝になって持っていってもらうの止めたら親子の縁切るからね」
 と脅した。
戦争体験の母世代がもったいない信者であることは理解できる。なぜ使いもしないのに購入してしまうのかが理解できない。
「この方がよっぽどもったいないのだから、もう何も買わないで」
 と言うと、案の定母は言い返した。
「あら何も買ってやしないわよ」
一方、着ないから持ってかないかと目の前に広げられた、昔買って忘れていたという何着ものワンピース。品の良さそうなものだけ選んで母自身に着てみるよう促すと、驚くくらい似合う。
私と違って色白で、きれいな銀髪になったせいか、少々派手な色でも似合ってしまうところが憎い。
ファッションショーをしてはしゃぐ母が可愛いかったので、何枚かスマホで写真を撮った。
画像を覗き込んだ母は不満げだった。
「あらぁ。私ってみん子ちゃんの目にだけきれいに映るのかしら。本当はこんな家の中じゃなくて、外の自然光のもとで撮ってくれた方がもっと美人に撮れるのに」
おい。
母は、ピンク色のワンピースを次の話し方教室に着て行くことに決めて嬉しそうだった。
30年くらい前に買ったというワンピースの数々。
「こんなにいいのがあったのに、なんで60や70代の時に着なかったの? 90過ぎてから着るなんて勿体ないじゃない」
母は両足にサポーターをしているのを気にしていた。
「大丈夫、目立たないよ」
ワンピースの裾が、身長が縮んだ母にとってはマキシ丈になったので、足元がほどよく隠れる。
肉体労働でへろへろになったが、相変わらずイケメンの甥っ子と久しぶりに会えたので目の保養にはなった。
「みん子ちゃん一人の時じゃなくてよかったね」
 と甥が苦笑した。物置で虫が湧いている段ボール箱を発見した時、すぐそばにアニキと甥がいたからだ。
まともに日本語を話せなくなった私を尻目に、男ふたりは冷静に対処した。
アニキは虫だらけの箱を持ち上げ家の中を移動しようとするたび、そこに居合わせた全員(兄嫁さん、甥っ子、私)に止められた。すぐにでも箱を外に出したいらしく、アニキが三度目に物置から出ようとした瞬間、兄嫁さんがブチ切れた。
「そこを動くなって言ってるじゃん!」
この時だけは私も我に返り、心の中で笑った。 
「そのままじゃ虫がこぼれ落ちるって!」
兄嫁さんが私の代わりに叫んでくれた。
甥が箱を入れるためのゴミ袋を取りに行ってる間も、私は地蔵のように硬直したまま一歩も動けずにいた。
私は基本的に虫が苦手だ。二度と実家の物置には入りたくない。
精神的ダメージが大きかったらしい。
「あれ? なんかみん子ちゃん小さくなっちゃった?」
私を見た甥が笑いながら言った。
心臓を中心に、全身が縮み上がったらしい。
あー、しんどい。



 




by vitaminminc | 2018-08-13 06:32 | 人間 | Comments(4)

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