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お久しぶりでございます。
この齢になって初体験。こんなに多くの人から優しい声をかけていただき、温かい手を差し伸べていただけるとは。骨を折った甲斐があるというもんです。 デビューの日なんか、仕事を終えたワタクシが、ビルの玄関口の階段を下りて来るのを、多くの仲間が今か今かと待ち受けていました。 みんながワタクシのことを笑顔でわぁわぁ出迎えてくれたのです。 そして、質問攻め・・・・この光景はどこかで見たことが・・・・そう、まるでワイドショー番組の記者会見。 ワタクシは、はにかみながら言いました。 「こんなに多くの人から温かいお言葉を頂戴したのは、生まれて初めてざんす」 「大丈夫?」 「手を貸そうか?」 「一体どうしてそうなったの?」 市議会議員に立候補したとか、何かの懸賞に大当たりしたわけではありません。 ワタクシの左足はギプスで固定され、その上に、百均の「男の防寒コーナー」で購入した、27-29cmのでかいカバーソックス(黒)を履き、更にその上にはLサイズの男物のスリッパサンダル(黒)。 そして右足には、高さが合うのがそれしかない関係で、スケッチャーズの厚底スニーカー(黒)。 カッコイイったらありゃしねー。 骨折デビューであります。 口々に投げかけられる質問に、ワタクシは下記の内容をかいつまんで話しました。 実はこれより2日前(11/17)の晩、美容院でカット&ヘッド・スパを終えたワタクシは、とあるショッピングセンターで買い物をして、外駐車場敷地内の歩道部分を、愛車スイフトに向かってテクテクと歩いておりました。 すると右斜め前方に、とある看板が見えました。ドン・キホーテです。ドンキ好きのワタクシは浮かれました。 ──こんな近くにドンキができたんだ! 早速帰ったらムスメに教えてあげましょう。 ところが、でございます。怪奇現象が起こりました。突然、視界からドンキの看板が消えたのです! 気づくとアスファルト上に突っ伏しておりました。買い物の袋は投げ出すことなく、しっかり左手に握られたまま。 よそ見をしていたので、歩道と車道の段差に足を取られ、早い話がロックンローラーしてしまったのでした。 後方を若い男女が歩いていたはずですが、もちろん振り向く勇気などありません。必至で立ちあがったワタクシは、左足の痛みに歯を食いしばりながら、びっこひきひきスイフトに辿り着きました。いち早く現場から立ち去らないことには、顔面から火炎放射して顔面大ヤケドという二次災害が起こりかねなかったからです。 土ふまずが異様に高い(←足跡が指先と踵しかつかない感じ)、見た目のみ俊足のワタクシは、結構捻挫しやすいのです。何年か前には靭帯が伸び切る、超ヘビー級の捻挫を負いました。この時は松葉づえまで支給されて、全治3カ月。 アレに比べりゃ~軽いものよ、と捻挫のエキスパートであるワタクシは思っちまったわけです。湿布薬を貼っただけでは心もとなかったので、念のためアンクルサポーターで固定しました。 翌日仕事に出るのに、バスも考えましたが、バス停までとバス停からの徒歩3分が3里に思えたのと、乗って座れなかった場合、他人に「席を譲ってくだせえ」と訴える勇気がないので断念。マイカー通勤は、停める位置によっては階段以上に足に負担がかかるスロープを、エレベーターまで延々歩かねばならないため断念。 結局チャリが一番ということになりました。1日目はどうにか無事に終わり、転機は2日目に訪れました。 通勤途上、国道の交差点で信号待ちをする際、たくさんの通勤人を避けて停まろうとバランスを崩し、つい左足を普通に地面につけてしまったのです。 頭骸骨の中をイナズマイレブンが、左足に激痛が走り抜け、あとは朝礼で5分立っている間も、トイレまでの片道1分さえも、脂汗がにじむほど。目尻に涙の結晶が・・・。 2日目の夕方、整形外科に行きました。この時点においても、まだ捻挫が悪化したくらいにしか思っていなかった甘党のワタクシ。 ![]() 「骨、折れてるね」 医師が指し示す先──小指の付け根の下3~4cmあたり──には、稲光状の亀裂が。 「ひゃあ」 「骨折は、湿布じゃ治らないよ」 会見が終わるより早く、というか始まった直後から、みんなの心配そうな顔が、お笑い芸人を観に来た客のソレに変わっていたのは言うに及ばず。 しかし、みんなおやさしい。棚の仕事道具を出してくれたりしまってくれたり。提出書類を提出トレーに出しに行ってくれたり。ありがとう、ありがとう。うれしいよぉ、うれしいよぉ。 そして思いました。何年か前は持ちこたえた骨も、今じゃ脆くなっているのかと。ドラッグストアでカルシウム錠を買いました。 さらに思いました。会見でみんなに「えぇ? あんなところにドンキなんかあったっけ?」と言われたのです。 ワタクシも、看板を目にしただけで、実際に店舗をこの目で見たわけではありません。しかし、近くにありもしないのに看板だけ出ているハズがありません。 あの晩は、すべてが怪奇現象で、骨折はその中のほんの一つの現象に過ぎなかったのでしょうか。 ただ一つ言えることは、骨を折って良かったなということ。骨折り損のくたびれ儲けと申しますが、人々のやさしさに触れることができたワタクシにとって、骨折りは、この上なく得なことでした。 この先、心が折れそうになった時に、思い出すことにします。折るなら心より骨だなと。 信じるか信じないかは、貴方次第です・・・・。 ▲
by vitaminminc
| 2013-11-29 14:35
| 笑い
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